2018年03月28日

山海塾『新作』2019年春に北九州芸術劇場にて世界初演。

山海塾『卵熱』リ・クリエーション版の初演を、北九州芸術劇場で見てまいりました。前回日本で『卵熱』が上演されたのは2009年12月のフェスティバルトーキョー(東京芸術劇場)だと思うので、約8年3ヶ月ぶりということになるでしょうか。本来なら新作のワールドプレミアが予定されていたんですが、おそらく天児さんの体調のことがあり、『卵熱』のリ・クリエーションに変更になりました。
いや〜、『卵熱』、久々に見たけどやっぱり面白いです〜。角笛や卵などの小道具も効果的だし、釣鐘を鳴らしたり舞踏手が発声したりと、音楽以外の「音」が多いのも特徴的。舞台美術は秀逸。そして胸に迫る展開。

天児さんのソロは、竹内さん、松岡さん、石井さんの3人で担当していました。本来なら5人で上演できる作品なので、最終景の全員が登場する場面では、若手の岩本さんは登場せず。やはり、天児さんのソロを他の舞踏手が踊るリ・クリエーション版ということで、普段の初演とはまた違う、独特の緊張感がありました。昨年の『めぐり』で、天児さんのパートをすべて蟬丸さんが踊ったときとも違う。6月には東京で、そしておそらくこれから世界でも踊られていくと思うんですが、あの緊張感漂う舞台に立ち会えたのは貴重な体験でした。

天児さんの存在はやはり圧倒的なんですが、今回ソロを担当した舞踏手さんたちも本当に素晴らしかったです。舞踏手が若返ったことで、また違うエネルギーや生々しさを感じることができました。おそらく松岡さんや石井さんは、天児さんが『卵熱』を作ったときの年齢に近いか、少し若いくらいだと思うんです。体力面や精神面で、当時の天児さんに近いかもしれない。今回感じた、あのヒリヒリするような生々しさというのは、初期の作品の特徴なのかもしれないけど、当時の天児さんの年齢に近い舞踏手が踊ることでより表現された部分もあったかもしれません。円熟味を増してもなお若々しく、舞台のたびに新鮮な感動を与えてくれる天児さんですが、若い頃はどんな感じだったんだろうと、当時の天児さんに思いを馳せました。

舞踏手さんたちにとっても、近い年齢で踊ったことに何かしらの意義があったのではないかなと思いました(偉そうですみません、、、)。体力的にはほぼ同じと言える年齢で踊ることで、当時の天児さんがこれを創造し、踊り、表現したということを、生々しく実感することができたのではないかな、と。それとは逆に、天児さんと同じ時間を過ごしてきた創設メンバーの蟬丸さんが『めぐり』のソロを踊ったことも、やはり忘れ難いです。意味合いは違うけど、どちらも感動的な舞台であったことには変わりがありません。

来年の春には、新作の世界初演が北九州芸術劇場で予定されています(会場で速報チラシが配られました)。まずはとりあえず、天児さんの完全復活を期待したいです。ただ、くれぐれも無理はされないように、、。今後、天児さんが踊ることは確実に減っていくだろうし、いつか天児さんが出演しない新作が上演されるかもしれません。それはもうすぐかもしれないし、まだまだ先かもしれない。不安がないわけではないですが、まだまだ追いかけるぞ〜(国内限定)と思った今回の公演でした。

ところで、ちょっと砂の出が悪かったような気がするんですが、気のせいでしょうか。たまに途切れることがあって、再び出る際に「カツ、コツ」みたいな音がしていたような気がするんですが、、。

世田谷パブリックシアターのサイトにも、山海塾の公演ページができています。友の会の先行が明日(29日)から、せたがやアーツカードの先行が明後日(30日)から。そして、3月31日(土)が一般発売です。
『金柑少年』には長谷川一郎さんが出演されるようで、とっても楽しみです。あと2ヶ月か。もうすぐですね♪

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2018年03月23日

ロームシアター京都の気になるラインナップ。

ロームシアター京都の、2018年度のラインナップが出ています。舞踊部門では3事業。それ以外のイベント・企画もの(?)にも気になるダンス公演がありました。

舞踊部門は、田中泯さんと中村達也さん(ドラムス)のコラボレーション、ロレーヌ国立バレエ団、笠井叡さんの『高丘親王航海記』の3つ。ロレーヌ国立バレエ団は、フォーサイス、カニンガムなどのトリプル・ビルを上演します。どんなバレエ団なのか気になります〜。

<ロームシアター京都 2018年度ラインナップ>

【舞踊】
『芒(のぎ)の植え付け』『踊り場・叩き場/田中民 meets 中村達也』
2018年6月8日(金)19:00
会場:サウスホール
一般発売:4月12日(木)

ロレーヌ国立バレエ団 トリプル・ビル
2018年9月21日(金)・22日(土) 【全2ステージ】
会場:サウスホール
一般発売:6月16日(土)

【上演作品】
『SOUNDDANCE』 振付:マース・カニンガム
『STEPTEXT』 振付:ウィリアム・フォーサイス
『DEVOTED』 振付:セシリア・ベンゴレア&フランソワ・シェニョー

笠井叡振付『高丘親王航海記』
2019年1月11日(金)・12日(土)
会場:サウスホール
一般発売:10月13日(土)

出演:笠井叡、黒田育代、近藤良平、他

私的に最も気になるのは、京都市交響楽団の演奏によるバレエとオーケストラのコラボレーション。出演者の中に東バの渡辺理恵さんの名前があります。公演は2019年なので、その頃には東バのダンサーではなくなっていますが、東京バレエ団のダンサーとして紹介されていますね。演出・振付は中村恩恵さん、出演者は首藤康之さん、スタダンの林田翔平さんなど。気になる公演です。

京響クロスオーバー 『バレエ×オーケストラ』
2019年1月6日(日)
会場:メインホール

出演:
首藤康之
中村恩恵
林田翔平(スターダンサーズ・バレエ団)
渡辺理恵(東京バレエ団)
全京都洋舞協議会(予定)

演出・振付:中村恩恵
指揮:下野竜也
オーケストラ:京都市交響楽団

そしてもうひとつ気になるのは、「プレイ!シアター in Summer」と題した夏休みの特別企画の一つとして上演される、アクラム・カーン振付の『Chotto Desh』。大人も子どもも楽しめる、映像を使った幻想的な作品のようです。

アクラム・カーン振付『Chotto Desh』
2018年
8月11日(土)15:00
8月12日(日)11:00/15:00
会場:ノースホール
一般発売:6月16日(土)

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2018年03月22日

『レニングラード・ホテル』&ダンス公演『Triplet in Spiral』出演者情報。

7月に再演される首藤康之さんとCAVAの『レニングラード・ホテル』ですが、出演者の一部が発表されていました。前回の『レニングラード・ホテル』を見に行っていないので、どういう舞台なのかわからないんですが、今回発表されたダンサーは同時上演されるダンス公演『Triplet in Spiral (トリプレット・イン・スパイラル)』のほうに出演なのかな?と。コンドルズの近藤良平さん、中村恩恵さん、そして新国の福田紘也さん、渡邊拓郎さんなど、豪華な出演者です。

■ 『レニングラード・ホテル』/『Triplet in Spiral』(ダンス公演)

2018年
7月5日(木) 『レニングラード・ホテル』
7月6日(金) 『レニングラード・ホテル』
7月7日(土) 『Triplet in Spiral』
7月8日(日) 『Triplet in Spiral』
会場:青山スパイラルホール

【出演者】
近藤良平(コンドルズ)
中村恩恵
福田紘也(新国立劇場バレエ団)
渡邊拓郎(新国立劇場バレエ団)
CAVA
首藤康之

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ハンブルク・バレエ団『椿姫』2月2日・4日

ハンブルク・バレエ団『椿姫』の感想を書きました。私が見たのは2月2日(金)と4日(日)。4日はブシェ&エヴァンズからコジョカル&トルーシュにキャストが変更になったので、2日間、同じキャストで見ることになりました。

ハンブルク・バレエ団 2018年日本公演 『椿姫』
2018年2月2日(金)18:30
2018年2月4日(日)14:00
東京文化会館

ノイマイヤーの『椿姫』という作品の凄さに圧倒された初日でした。これはもうバレエを超えたな、と。でも、やっぱり歴然とバレエでしかない。バレエという言葉だけでは言い尽くせないと思ったんですが、でもこの素晴らしさはやはりバレエとしか言いようがないと思ったんです。何言ってるんだって感じですが、、。大袈裟でなく、バレエを好きでよかったというか、やっぱバレエを見るのはやめられないと思ってしまいました。

トルーシュとコジョカル、2人で全幕を踊るのは初めてだったようで、そのためか2回目のほうが2人の関係性はより深まっていたような気がします。気のせいかもしれないけど、ちょっとした間の取り方とかが初日とは違っていて、2人が今この瞬間の呼吸を大事にして踊っているような感じがしました。

コジョカルの本領は、3幕以降にあるような気がしました。その可憐な容姿とは裏腹に(だからこそ?)、追い詰められたときのほうが胸に突き刺さる表現を見せます。少なくとも私が強烈に覚えているのは、そいういうときのコジョカルです。ルグリと踊った『ジゼル』然り、ロイヤルのガラでコボーと踊った『うたかたの恋』(マリー・ヴェッツェラ)然り。この『椿姫』でも、身も心もボロボロになり始めてからのコジョカルは容赦がない(褒めてます)。作品の容赦ない(褒めてます)エピローグと相まって、「もう勘弁してくれ・・・」と思うほど、ぐいぐい胸を締め付けてきます。それにしても、アルマンと過ごす幸福なときも、華やかな場面でも、いつもコジョカルに漂うあの寂しさは、心打たれるものがあります。

トルーシュのアルマンもよかったです。若さ迸る、真っ直ぐな青年。そして、可愛い(♪)。真っ直ぐな分、怒りも激しくストレート。愛する人に意味もわからず裏切られ、愛が深かった分だけ愛憎が入り乱れたとしても、人前で女性に恥をかかせるなんて子どもよ!!などと一人興奮しながら見ておりました。あの邪心のない真っ直ぐな情熱で求められたら、たじろぎますよね。身を投げ出すには勇気が要る。紫のパ・ド・ドゥで、膝を着いた体勢でアルマンがマルグリットにジリジリと歩み寄るところがありますよね。思わず後ずさるマルグリットは、喜びと恐怖が入り混じる、そんな心境だったんじゃないかなと思いました。

侍女のナニーヌの登場から始まるプロローグ。一度でも全幕で見てしまうと、もうこのプロローグから涙なくしては見られません。アルマンの父デュヴァル氏、公爵、N伯爵、それまでマルグリットに関わった人たちが競売が行われている屋敷を訪れ、互いに視線は交わしても言葉を交わすことはありません。思い出を持っている人たちの優しさが交錯します。駆け込んできて卒倒するアルマン。あの倒れっぷりは、やっぱりリアブコがすごかったな〜と。マルグリットの帽子を手に取ると、夏の日の彼女の幻影が遠くを行くのが見えます。その胸締め付けられるような儚さ、、。競売にかけられた紫のドレスを手に取った女性から、強引にそれを奪い取るアルマン。「失礼しちゃうわ!」という、至極当然の態度を取る女性。そのドレスを手に、アルマンはこれまでのことを父に話し始めます。プリュダンスが、競売品を一つドレスの中に隠してくすねようとするのがまたいいんですよね〜。

それぞれの想いが優しくて、誰一人として憎めないんですよね、、。最初は拒否したものの、最後にはマルグリットの手の甲にキスをしたデュヴァル氏も、人前でマルグリットを乱暴に扱うアルマンを見兼ねて制止するガストンも、そんなアルマンから彼女を庇う公爵も、最後まで彼女の信奉者で、最後に劇場に現れたマルグリットをずっとハラハラしながら見守っているN公爵も。さらには、アルマンに間違われた青年までもが優しい。「マノン」の舞台に訪れたマルグリットは、アルマンと間違えて青年に駆け寄ります。驚いた青年は彼女を無下に扱うことなく、具合の悪そうな彼女を優しく腰かけさせます。原作は読んでいないんですが、少なくともノイマイヤーの『椿姫』に登場する人物たちは優しいです。そんな男性陣に対して、プリュダンスとオランピアの女性陣2人が、なんとも逞しく生きているのもいい。

劇中劇の『マノン』のマノンとデ・グリューに、自分たちを重ね合わせていくマルグリットとアルマン。よくできた構成だなぁとは思っていたんですが、今回ほど心に沁みたのは初めてかもしれません。それほど、マノンとデ・グリューを演じたアッツォーニとリアブコが素晴らしかったんです。ノイマイヤーが表現したい意図を的確に、いやそれ以上に体現していたと思います。最初は、マルグリットとアルマンを踊ったことのある2人がマノンとデ・グリューを踊るなんて勿体無いなと思ったんですが、そうではなかったんですね。ここが深みを持ってくることで、こんなにも作品に厚みが出るんだということがわかりました。
最初こそ嫌悪感を覚え、シンパシーを感じつつ(感じるからこそ)拒絶し、恐怖すら覚えていたマノンに、次第に共感を強め、やがて同一化していくマルグリット。舞台用の濃いメイクを施していたマノンとデ・グリューは、マルグリットとの心的な距離が近づくにつれ、そのメイクを落としていきます。最後には、彼らの存在に不思議な安らぎを感じているように見えました。彼女がそこに安らぎを見出したとき、死が近いことを感じました。そして、『マノン』の沼地の場面がマルグリットの心情と重なります。息絶えるマノンに重なるようにして横たえるマルグリット。リアブコのデ・グリューの慟哭は忘れ難いです。

あとは印象的だった場面などを。

マルグリットとアルマンの様子に嫉妬して、しつこく言い寄るN伯爵を、バチンとビンタするコジョカル。結構いい音がしてました。でも、3幕でオランピアを叩くときは、音もなくフワッと。
紫のパ・ド・ドゥのラスト。初日はマルグリットがアルマンの胸に差した椿の花が落ちるアクシデントが。そのことに気付いていなかったトルーシュは、冷静に落ちている花を見つけて芝居を続けます。4日は逆に、マルグリット胸から花が落ちてしまいます。コジョカルも冷静に拾っていつもどおりの芝居を続けていました。2人とも実にスムーズでした。

紫のパ・ド・ドゥの後の無駄のない展開も、上手いなぁと。ここでマルグリットは水色と赤のドレスを披露します。もちろん群舞も衣裳チェンジ。踊りは幕切れまでほぼノンストップだけど、彼らの衣裳が変わることで、場所や日々の経過がわかる。そして、上手の舞台サイドには常にアルマンの姿があります。説明的でないスィーディーな展開ながら、マルグリットが舞踏会を渡り歩く日々の中で、常にそばにアルマンがいることが手に取るようにわかります。そして最後は白いドレスに着替えた人々が避暑地へ出発する姿が描かれて、1幕終了。上手いな〜と。

舞踏会の間、上手で本を読んでいるアルマン。いつの間にか眠ってしまったアルマンのもとへマルグリットがやってきます。気付かずに寝ているアルマンを愛おしそうに見守るマルグリット。初日、眠るアルマンにピタッと寄り添ったコジョカルがとても印象的でした。胸につけた白い花をアルマンのもとに残して舞踏会に戻ります。目覚めたアルマンは、自分の手に花があるのを見て、マルグリットが来たことを知る。その様子が可愛くて♪ 「え?いつの間に? マルグリット来たの? マジか、えぇ〜、いつの間に、えぇ〜♪」みたいな動きが可愛い。

マルグリットの繊細なポワントワークが、戸惑い、恐れ、躊躇、喜び、高揚、煌めきなど、様々な感情を表現していて、ノイマイヤーの生み出す雄弁なステップがとても印象的です。マルグリットのもとを訪れたデュヴァル氏が、戸惑うようなステップを見せる場面も印象的。しかも、このために作られたんじゃないかというくらい音楽もピタッとハマってるんですよね〜。

ノイマイヤーの振付の中で、ダンサーが走る場面がとても好きなんですが、それは感情が溢れ出す瞬間だったりして、心揺さぶられるものがあります。白のパ・ド・ドゥでも走るシーンがとても印象的。『椿姫』では、パ・ド・ドゥの中だけでなく、場面転換でもダンサーが走っている場面が多いような気がします。限られたセットと照明の妙、そして走るダンサーによって効果的に転換する場面。その、時に感情をも乗せた疾走感のある場面転換によって、転換ごとに現実に引き戻されるどころか、むしろ途切れない感情がどんどんどんどん上乗せされて、作品に引き込まれていくのを感じました。

マルグリットとデュヴァル氏の場面。マノンと男たちの幻影がマルグリットを苦しめます。たくさんの男たちにリフトされるマノン。一人だけ、リフトに参加せずに後方に立っている男性がいたんですが、彼の役割はなんだろう? 万が一の落下に備えているのか、後方を確認できない男性陣に最終ラインを教えているのか。ちょっと気になりました。
デュヴァル氏が帰った後、何も知らない無邪気なアルマンを送り出すマルグリット。気を失って倒れそうになるマルグリットをナニーヌが抱き留めます。2日より4日のほうが、倒れる瞬間の2人の距離が遠かったので、ナニーヌが慌てて駆け寄って抱き留めたのが、真実味があって印象的でした。
マルグリットから別れを告げられたアルマンの感情が爆発したような、トルーシュの見事なソロ。ああいう場面を見ると、アルマンにしろニジンスキーにしろ、「踊れる」というのは大事だなと思ってしまいます。もちろんそれだけではダメなんだけど、やはりあの身体能力の高さ、そして技術は説得力があります。
アルマンが走って場面転換。パリに戻ると、マルグリットは公爵とよりを戻しています。アルマンが実際に見ているわけではないんだけど、2人がベッドで関係を結ぶ様子を描くことで、観客にもそれがわかる。あの妙な生々しさがとても印象的です。例えば、2人が連れ立って歩いているだけでは、「よりを戻す」意味が薄れてしまいますもんね、、。見ている私も、「あ、高級娼婦とパトロンの関係って、やっぱりそういうことよね、、」と再認識させられるというか。アルマンが受けたショックを、生々しく感じることができます。

3幕、シャンゼリゼ界隈で再会する2人。オランピアと仲睦まじく戯れる様子を見せ付けるアルマン。その様子をベンチに座って見ているマルグリット。そのコジョカルの、本当は溢れそうな感情を必死に抑えながらも動揺を隠せない、絶妙な演技が見事だな、と。そういえば、『リリオム』でもベンチに座るコジョカルが印象的だったんですが、彼女は踊りはもちろん、踊っていないときもとても印象に残るダンサーです。

黒のパ・ド・ドゥのあと、重なるようにして眠る2人のもとへマノンが現れます。それは、マルグリットの鏡のように彼女を苦しめていたそれまでのマノンではなく、自らの分身を優しく導くような佇まいのマノン。これ以上傷つかないように、自分の世界へ帰りなさいと、まるで迎えに来たみたいでした。

舞踏会の最中、マルグリットに封筒を渡すアルマン。コジョカルのマルグリットは、「もしかして」と淡い期待に胸を躍らせるような表情をみせました。人の群れを離れて封を開けようとすると、興味本位で覗こうとするオランピアが執拗く追いかけてきます。何度振り払っても執拗いオランピアを思わず平手打ちするマルグリット。やっと心を落ち着けて封を開けると、そこには「今までのお仕事代ですよ」という嫌味のお金が、、、。ヨロヨロと舞台中央に戻る彼女の手からお札がヒラヒラとこぼれ落ちます。初日はお札が舞台の中央あたりに残ってしまったんですが、4日はもう少し上手寄りでお札を落としていました。

そしてプロローグ。もう私は「モンスター・プロローグ」と勝手に呼んでいるんですが、これでもか、これでもかと胸をえぐってきます。そこまで描写するかというぐらい丁寧に、マルグリットの最後の日々がつづられていく、、、。でも、その容赦のなさが好きだったりするんですが。進行する病の床で、アルマンへの思いを日記に書き続けるマルグリット。ナニーヌに「駄目ですよ」と止められても、床に這いつくばっても、ただひたすらに思いを記し続けます。少しでも血色がよく見えるように赤いドレスを選び、頬紅をつけ、『マノン』の舞台を見に出かけていくマルグリット。前回のハンブルク・バレエ団の『椿姫』では、不自然なくらい真っ赤に頬紅をつけていて、それが哀れで印象的だったんですが、コジョカルは極めて控えめにつけていました。

そしてマノンとデ・グリューとの最後のパ・ド・トロワ。あんなに恐れて拒絶していたマノンとデ・グリューが、今では唯一心安らぐ存在であるかのよう。マノンに同一化したマルグリットは、デ・グリューの腕の中で息絶えるマノンに重なります。忘れ難いリアブコのデ・グリューの慟哭。しかし、マルグリットの身体はデ・グリューの腕をすり抜け、デ・グリューはマノンだけを抱き上げて消えていきます。思わず「置いていかないで、、、」と思ってしまった。我に返ったマルグリットは、またアルマンへの思いをつづり始める。ナニーヌに止められベッドに戻ると、彼女に日記を託します。立ち上がり、愛しい人の頬に触れるように両腕を伸ばしたコジョカルは、少し微笑んでいました。

ところで、ナニーヌがアルマンに日記を渡すのは、プログラムによるとマルグリットが「ナニーヌに託し、アルマンに届けさせた」んですよね。てっきり私は、ナニーヌの判断で渡したんだと思ってたんです。マルグリットは、これまでよく尽くしてくれたナニーヌに、自分の心そのもののような日記をあげたのかな、と。それをナニーヌが、「マルグリット様は怒るかもしれないけど、、、」と思いつつ、アルマンに渡さずにはいられなかったのだと勝手に解釈してました。

2月2日(金)18:30
  マルグリット:アリーナ・コジョカル
  アルマン:アレクサンドル・トルーシュ
  マノン:シルヴィア・アッツォーニ
  デ・グリュー:アレクサンドル・リアブコ
  デュヴァル氏:カーステン・ユング
  プリュダンス:菅井円加
  ガストン:カレン・アザチャン→ ヤコポ・ベルーシ
  オランピア:フロレンシア・チラネート

2月4日(日)14:00
  マルグリット:エレーヌ・ブシェ → アリーナ・コジョカル
  アルマン:クリストファー・エヴァンズ → アレクサンドル・トルーシュ
  マノン:有井舞耀 → シルヴィア・アッツォーニ
  デ・グリュー:カレン・アザチャン → アレクサンドル・リアブコ
  デュヴァル氏:ダリオ・フランコーニ
  プリュダンス:レスリー・ヘイルマン → 菅井円加
  ガストン:ヤコポ・ベルーシ
  オランピア:エミリー・マゾン
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2018年03月18日

『Artistic Ballet Gala』【大阪】公演情報

『Artistic Ballet Gala』の公演情報がチケットぴあに出ました。BALLET OFFICE JAPANのHPも更新されています。大阪なので一度も見に行ったことがないんですが、いつも気になる出演者陣ですよね〜。昨年のBBLの『魔笛』でタミーノを踊ったスン・ジャユンと、同じくBBLからカルメン・アンドレスも出演するようなので、さらに気になる。やはり一緒にベジャール作品を踊るんでしょうか。

 『Artistic Ballet Gala 世界各トップバレエダンサーによる夢の共演』

2018年
8月12日(日)15:00
会場:NHK大阪ホール

SS席:13,000円 S席:10,000円 A席:6,500円
一般発売:3月23日(金)

マリアン・ヴァルター(ベルリン国立バレエ プリンシパル)
金子扶生(英国ロイヤルバレエ ソリスト)
木本全優(ウィーン国立バレエ プリンシパル)
菅野茉里奈(ベルリン国立バレエ ソリスト)
リース・クラーク(英国ロイヤルバレエ ソリスト)
橋本清香(ウィーン国立バレエ プリンシパル)
瀬島五月(貞松・浜田バレエ団 プリンシパル)
スン・ジャユン(モーリス・ベジャール・バレエ団)
ジョンシャール・ジュスニ(プレルジョカージュ・バレエ団)
アンドリュー・エルフィンストン(貞松・浜田バレエ団 プリンシパル)
カルメン・アンドレス(モーリス・ベジャール・バレエ団)
津川有利江(プレルジョカージュ・バレエ団)
ロベルト・エナケ(ブカレスト国立オペラ座バレエ プリンシパル)
奥野凜(ブカレスト国立オペラ座バレエ プリンシパル)
矢倉鈴奈(一般社団法人BOJ代表 元ブカレスト国立オペラ座バレエ)

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2018年03月17日

東京バレエ団『セレナーデ』キャスト決定。

4月に東京バレエ団が初演するバランシン振付『セレナーデ』のキャストが発表されました。どのキャストも楽しみなんですが、なんと言っても中川美雪さんです〜♪ 彼女が選ばれたのはとっても嬉しい。楽しみです♪ 川島さんも綺麗だろうな〜♪ ダブルキャストを期待していたんですが、シングルキャストだったか〜。『真夏』のその他のキャストが出るのはいつ頃でしょうか。ファミリー公演のほうのキャストも気になります。

<東京バレエ団『セレナーデ』出演者決定> 

東京バレエ団初演『セレナーデ』
振付:ジョージ・バランシン
振付指導:ベン・ヒューズ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

4月28日(日)/4月30日(月・祝)

【主な出演者】

上野水香、川島麻実子、中川美雪
秋元康臣、ブラウリオ・アルバレス
他、東京バレエ団

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2018年03月14日

小林紀子バレエシアター『シアトリカル・ダブルビル』公演情報

小林紀子バレエ・シアターの次回公演『シアトリカル・ダブルビル』の公演情報がありました。今回の公演も、共立アカデミーの「バレエ鑑賞会」があります。事前の解説とバレエ鑑賞がセットになった講座で、講師は小林貫太さんと島添亮子さんです。
演目は、アシュトンの「二羽の鳩」と、ニネット・ド・ヴァロワの「チェックメイト」のようです。

■ 小林紀子バレエ・シアター第114回公演 『シアトリカル・ダブルビル』

2018年
6月30日(土)17:00【予定】
7月1日(日)15:00【予定】
会場:新国立劇場中劇場

「二羽の鳩」
「チェックメイト」

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2018年03月13日

前田バレエ団『白鳥の湖』/他、気になる公演。

前田バレエ団公演『白鳥の湖』全幕のキャストが出ていました。新国の米沢唯さんと、谷桃子バレエ団の今井智也さんです。静岡市民文化会館にて。木村さんのデジレを見に行った会場だな〜、と。

■ 前田バレエ団公演 『白鳥の湖』全幕

2018年11月25日(日)
会場:静岡市民文化会館大ホール

ゲスト:
米沢唯(新国立劇場バレエ団)
今井智也(谷桃子バレエ団)

指揮:福田一雄
演奏:静岡フィルハーモニー管弦楽団


ICHIBANGAI-Dance Studio-の第3回公演がちょっと気になる感じです。元東バの中島周さん、高橋竜太さんが出演します。振付も坂本登喜彦さんなど豪華。さいたま芸術劇場大ホールにて。チケットは3月16日(金)から発売。

■ ICHIBANGAI-Dance Studio- 第3回公演

2018年
5月18日(金)18:00
5月19日(土)13:00/17:00
会場:彩の国さいたま芸術劇場大ホール

前売:5,000円 当日:5,500円 (日時指定・全席自由)
チケット発売:3月16日(金)

振付:坂本登喜彦、二見一幸、加賀谷香、柳本雅寛、金田あゆ子、佐藤洋介
出演:
  二見一幸、加賀谷香、柳本雅寛、金田あゆ子、佐藤洋介
  中島周、井神さゆり、田保知里、森川次朗、池田美佳
  (Guest)生島翔、高橋竜太、児玉アリス、渡辺幸、多鹿大介(打楽器奏者)
  吉川文子、箱田あかね、今間千佳子、中村真知子
   /他


軽井沢大賀ホールで開催されるバレエコンサートのゲストに、東バの柄本弾さんのお名前が。他にもセルゲイ・サボチェンコや、国内のバレエ団からのゲスト有り。

■ 軽井沢バレエアルテ&バッハアルテ バレエコンサート

2018年3月21日(水)14:30
会場:軽井沢大賀ホール

出演:
軽井沢バレエアルテフェアリークラス
  浅井たお、市村杏、小田垣遼香、佐藤花奏、柳澤阿佐乃
ゲスト:
  大久保真喜子(白鳥バレエ学園)
  セルゲイ・サボチェンコ
  有美・サボチェンコ
  柄本弾(東京バレエ団)
  瀬川哲司(グランディーバ・バレエ団)
  台典江、寺村里梨
  佐藤沙笑、鶴見レナ
  野口栄里花(バレエ・シャンブルウエスト)
  丸山周(牧阿佐美バレヱ団)
  他

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2018年03月11日

宮城県石巻市「複合文化施設(仮称)」2018年9月着工予定。

2011年3月11日の東日本大震災で大きな被害を受け閉館した石巻市民会館ですが、2021年2月頃のオープンを目指し、順調に行けば今年9月の着工を予定しているそうです。

私が石巻市民会館を訪れたのは2010年10月5日です。東バの『ジゼル』ツアーで唯一、佐伯知香さんと長瀬直義さんのキャストが組まれたのが石巻でした。石巻市民会館は老朽化のため、耐震調査が予定されていて、2011年3月14日以降の予約は停止していました。その直前の被災だったんですね、、。

新しい施設は、石巻駅より北に位置する石巻市総合運動公園に建設されるとのこと。大ホールは1250席(1階=818席、2階=432席)、小ホールは300席。どんなホールができるのか、楽しみです。

私が石巻を訪れた際に撮影した「石ノ森萬画館」。 → こちら
石ノ森萬画館も被災しましたが(1階にあったものはすべて流されてしまったそうです・・・)、2012年11月17日に再オープンしています。
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2018年03月10日

兵庫芸文2018年度ラインナップ/東バ新制作は『海賊』のようです。

兵庫県立芸術文化センターの2018年度のラインナップが出ました(Twitter情報)。
おぉ!! 何が「おぉ!!」って、来年3月に予定されている東バの古典全幕作品の新制作が、どうやら『海賊』らしいということです! 『海賊』でしたか〜。キャストはもちろん気になるんだけど、どのヴァージョンを上演するのかということも、ものすごく気になります。『海賊』の決定版!みたいなヴァージョンって、どれになるんでしょう? 日本のバレエ団で『海賊』全幕をコンスタントに上演しているのって、Kバレエくらいでしょうか。NBAバレエ団は芸術監督の久保紘一さんヴァージョンを世界初演しますよね。もしかしたら東バも、何かしらをベースにして自分たちで作るのかな〜と思ったり。ロホやルグリの『海賊』ってことはないですかね〜。は〜、気になる。しかし、しばらくは楽しい妄想ができそうです♪

そして兵庫芸文のラインナップですが、既に判明しているBRBとマリリンスキー以外のバレエ公演は、11月のシュツットガルト・バレエ団『白鳥の湖』、ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー『くるみ割り人形』、そして東バの『海賊』です。首藤康之さんの『兵士の物語2018』もありますね〜。

<兵庫県立芸術文化センター 2018.4ー2019.3 LINE UP>

【バレエ/ダンス】

<KOBELCO大ホール>

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団『眠れる森の美女』
2018年5月11日(金)

ジョージア国立民族合唱舞踊団『ルスタビ』
2018年11月3日(土・祝)

シュツットガルト・バレエ『白鳥の湖』
2018年11月17日(土)

マリインスキー・バレエ『白鳥の湖』『ドン・キホーテ』
2018年11月30日(金)、12月1日(土)

ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー『くるみ割り人形』
2019年1月26日(土)

タンゴシリーズ<50>ドラマチック・タンゴ
2019年2月6日(水)

東京バレエ団『海賊』
2019年3月23日(土)

<阪急 中ホール>

談ス・シリーズ第三弾『凸し凹る』
2018年5月27日(日)

『兵士の物語2018』【演劇】
2018年10月6日(土)、7日(日)

コンドルズ ツアー2018
2018年10月8日(月・祝

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