2019年02月02日

『Jewels from MIZUKA U』2018年11月17日

昨年11月の『Jewels from MIZUKA U』の感想を書きました。もう本当に記憶が薄れているので、感想というか印象みたいな感じですが、、。

『Jewels from MIZUKA U』
2018年11月17日(土)15:00 神奈川県民ホール

オープニング
振付・演出・映像:高橋竜太

カルメン組曲よりアダージョ
振付:アルベルト・アロンソ
  上野水香、マルセロ・ゴメス

『白鳥の湖』第2幕よりアダージョ
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
  渡辺理恵、京當侑一籠

Craze of before dawn 夜明け前の狂気
振付:宝満直也
  小野絢子、福岡雄大

Manou la mou
振付:モーリス・ベジャール
  吉岡美佳

『海賊』より パ・ド・トロワ
振付:マリウス・プティパ
  上野水香、柄本弾、秋元康臣

Absence of Story よりパ・ド・ドゥ
振付:島崎徹
  田頭綾女、ウラジーミル・マラーホフ

ー休憩ー

Shelter Skelter (新作初演)
振付:高橋竜太
  高橋竜太、長瀬直義、梅澤紘貴
  岡崎隼也、松野乃知、西村真由美
  伝田陽美、上田実歩、秋山瑛

『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥ
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
  沖香菜子、秋元康臣

『アラジン』より 結婚式のパ・ド・ドゥ
振付:デヴィッド・ビントレー
  小野絢子、福岡雄大

『ボレロ』
振付:ローラン・プティ
  上野水香、柄本弾

『ロミオとジュリエット』より バルコニーのパ・ド・ドゥ
振付:篠原聖一
  下村由理恵、今井智也

リベルタンゴ
振付:高岸直樹
  上野水香、マルセロ・ゴメス

第1回に続き、第2回もとっても楽しかった『Jewels from MIZUKA』。しかも今回はサラッと団の垣根を超えてくれました。いろいろ大変だとは思うけど、第3回もあるといいな〜と。

カルメン組曲よりアダージョ
  「ゴメス〜♪」の一言に尽きる。久々に東バでアロンソの「カルメン」を上演してほしいなぁと思ってしまいました。水香さんの衣装がオリジナルだったような気が?
『白鳥の湖』第2幕よりアダージョ
  東バを退団した渡辺理恵さんを見られて本当に嬉しくて、懐かしくて涙が出そうになりました。とっても奇麗でした〜。美しいライン、美しい爪先は健在。演技面では以前より情熱的に踊っているような気がしました。京當さんも優しげで素敵。
Craze of before dawn 夜明け前の狂気
  スリリングで格好よかった。いかにもダンサーが作りました感がなく、作品の完成度の高さに驚きました(偉そうですみません)。宝満さん、すごいな、と。パフォーマンスもとてもよかった。
Manou la mou
  東バを退団後、BBLで活動していた際に、ジル・ロマンが吉岡さんに「どこでも踊っていいよ」とプレゼントしてくれたというソロ作品。なんて粋で素敵なプレゼントだろう、と。吉岡さんのイメージにピッタリな美しい作品。裸足で踊る美佳さんの、なんと美しいこと、、、。優しくて美しくて、懐かしくてどこか寂しい、でも暖かい、そんな踊りでした。
『海賊』より パ・ド・トロワ
  弾さんがコンラッド、秋元さんがアリでした。だろうとは思っていたけど、秋元さんのアリって、なんか貴重〜。踊りはすごかったです。ちょっと心配だった水香さんの頭上リフトも完璧でした。
Absence of Story よりパ・ド・ドゥ
  針山愛美さんが怪我のため降板し、代役は田頭綾女さんに。振付家の島ア徹さんに師事し、作品への参加もあるとのことで、流石の表現力。そしてなんていうか、感じがよかった。

Shelter Skelter (新作初演)
  元東バの懐かしい面々が♪ 高橋さんは狂言回し的な役が本当に似合う。そしてやっぱり西村真由美さんのコンテ、素敵〜♪(もちろん古典も好き)。変わらぬ表現力豊かな踊りに感動。伝田・岡崎ペアも素晴らしく。長瀬さんはなんだか貫禄がUP。梅澤さんは男らしく精悍に。松野さんもやはり逸材感が漂う。東バにいてほしかったなと、つくづく。
『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥ
  東バはラコット版なので、沖さんと秋元さんの貴重なブルノンヴィル版。いずれにしても、沖さんのシルフィードは可愛い♪ アリに続き、これまたレアな秋元さんのキルト姿。足捌き、見事です。
『アラジン』より 結婚式のパ・ド・ドゥ
  小野絢子さんがキラッキラの美しさ♪ 思わず口元が緩む、幸せなパ・ド・ドゥでした。   
『ボレロ』
  プティ版の『ボレロ』。初演カップル以来踊られていないというので、ちょっと不安だったんですが、普通に面白かったです〜。音楽とともに踊りもクレッシェンドしていき、ラストは緊張感と高揚感がありました。音楽(作品)の盛り上がりと比例するように増していく2人の光る汗も効果的でした。
『ロミオとジュリエット』より バルコニーのパ・ド・ドゥ
  もう下村さんのジュリエットが素〜晴らしかったです〜♪ 少女のキラキラを身体いっぱいに宿していて、すべてが自然で、ジュリエットそのものを見ているようでした。やっぱりすごい人だなぁ、と。今井さんも格好よかった〜♪ 2人のパートナーシップも完璧で、感激しきりでした。
リベルタンゴ
  ゴメスが反則レベルの格好良さ!! 粋でお洒落な、懐の大きい大人の佇まいと、なんとも言えない人懐っこさを併せ持っているなぁ、と。そして細かなステップの完璧さ。ゴメスのステップがあまりにクリアで美しかったので、ちょっと水香さんの足捌きがバタバタして見えてしまったかもしれません、、。
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2019年01月20日

東京バレエ団『ザ・カブキ』2018年12月16日

昨年の東バ『カブキ』、2日目の感想もツイート貼り付け作戦でいきます〜。

秋元さんの由良之助は今回が2回目でした(初役は2016年)。初役のときから踊りは文句のつけようがなかったわけですが、だからといって、それがイコール由良之助ではないのだな〜と思ったりした前回よりも(偉そうですみません)、由良之助が馴染んでいたと思います。前日の塩冶判官も結構甲乙つけ難いくらいよかったんですよね〜。やはり、何度も踊ることって大事なんだな、と。そういう意味でやはり、階級や役柄に関係なく、より多くベジャール作品を踊っているダンサーのほうが、ベジャールを感じるな〜と思ったりした2日間でした。

東京バレエ団 モーリス・ベジャール振付『ザ・カブキ』全2幕
2018年12月16日(日)14:00 東京文化会館

由良之助:秋元康臣
直義:森川茉央
塩冶判官:樋口祐輝
顔世御前:奈良春夏
力弥:昂師吏功
高師直:柄本弾
伴内:井福俊太郎
勘平:池本祥真
おかる:沖香菜子
現代の勘平:和田康佑
現代のおかる:秋山瑛
石堂:岡ア司
薬師寺:永田雄大
定九郎:岡崎隼也
遊女:金子仁美
与市兵衛:山田眞央
おかや:伝田陽美
お才:政本絵美
ヴァリエーション1:岡崎隼也
ヴァリエーション2:宮川新大

【ツイッターより】

東バ『ザ・カブキ』2日目。今日もよかったです〜。あの秋元さんが、7分間のソロの終盤には流石に苦しそうな表情になってくるのがいいんですよね〜。1幕のクライマックスに7分にも及ぶ決意のソロを用意したベジャールさん。ダンサーの極限状態と由良之助の心情が重なる、名場面だな、と。
師直の弾さんがすっごく楽しそうでした〜♪ ロットバルトのときもだけど、悪役を楽しそうに演じている弾さんを見るのは楽しい♪ 演じるのが好きな人なんだな〜と。判官の亡霊は弾さんでした。弾さんは今日は師直だったので、自分で自分の首を回収した〜(笑)と思いながら見てしまいました。
東バ『カブキ』。今日は装置のトラブルがあり。血痕を描いた幕がサッと落ちて、「いろは」幕が現れる場面で、血痕幕の上手半分が落ちず、だらりと垂れ下がった状態に。そのままスルスルと上へ。そこでソロを踊る伴内の井福さんは動じずに(少し間を取ったかも)踊り始めました。
現代の東京、今日もトップバッターは山田さん。涅槃に最後に加わる後ろ向きの2人は、上手は両日とも山田さん、下手は岡崎さんでした(昨日は井福さん)。討ち入りのバク転は樋口さん? 群舞にオスカー・ラーニャと思しき男性が。背、高いな〜。
伴内の井福さんは開脚ジャンプが高い。その場でスッと飛び上がったときに、こちらの予想を越える高さでした。
樋口さんの塩冶判官もよかったです〜。一見ナイーブそうだけど芯の通った青年を好演。切腹の場面、短刀を突き立てた瞬間に、まるで吐血を防ぐかのようにプッと口を膨らませたんですよね。妙にリアリティがあってよかったです。
ちょっと確認したいことがあって、スカラ座公演の『カブキ』の映像を見たんですが、三方をブンっと勢いよく後方に持っていく平野さんが格好いいんですよね〜。やっぱり笑ってたな、、、。
定九郎の岡崎さんは、山崎街道の見せ場の六方を踏む場面で、バサッと開いた傘が勢い余ってひっくり返ってしまった、、。あれは悔しかった〜。一部が破れた傘は(このとき破れたのかな?)、カーテンコールでは修復されていました。岡崎さんの第1ヴァリも格好よかった。
第2ヴァリエーションの宮川さんもよかった。踊りはもちろんなんだけど、なんか宮川さんがより作品に馴染んだ感じがして嬉しかったりしました。
勘平切腹の場面。黒子が隠して退場する勘平に対して、自ら退場する与市兵衛。自ら退場するところか、ストップモーションの時点でムクッと上半身を起こして一緒にポーズしてました。
祇園に身売りすることを父の与市兵衛に伝えるおかる。沖さんのおかるは、一度告げようとするものの一瞬だけ躊躇い、やはり意を決して打ち明けます。昨日の川島さんもやってたかしら。
奈良さんの顔世御前がすごくよかったです〜。存在感もあったし、以前よりさらに美しかった。特に「雪の別れ」。切々と訴える悲しげな表情が印象的。上手に立って遠くを見つめる姿は胸に響きました。そして波に流されるように去っていく場面は、運命に翻弄された姿のようでグッときます。
顔世が波に流されるように去っていくあの場面がグッとくると、こちらの気持ちもいい流れで討ち入りの場面に入っていけるんですよね。当たり前だけどすべての場面には意味があるんだな〜と思う瞬間です。
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2019年01月18日

東京バレエ団『ザ・カブキ』2018年12月15日

昨年12月の東バ『ザ・カブキ』の感想です。もうちゃんとした感想を書ける気がしないので、自分の感想ツイート貼り付け作戦に出ることにしました。自分用のメモみたいなものです〜。案外、一番言いたいことがちゃんと書かれている気もする。

なんと言っても、<20世紀の傑作バレエ2>から『ザ・カブキ』と続けて見て、「弾さんの踊りが変わった?」というのが共通して印象に残る部分でした。踊りが柔らかくなったし、より踊りが語るようになった気がします。踊りが変わったのか、内面が変わったのか、どちらなのかはわかりませんが、そこは分かち難く結びついていると思うので、両方なんだろうな、と。今の弾さんでノイマイヤーの『ロミジュリ』も再演してほしいです。

基本、そのまま貼り付けているので(誤字脱字は修正している、はず)、読みづらい部分もあると思います〜。

因みに、切腹場面の「三方」を、過去の感想では「四方」と書いていたので、よくわからなくなって調べたところ、本来は縁起が悪い「4」を避けて三方向に穴が開いているから「三方」というらしく、切腹の際には四方向に穴の開いた「四方」を使うのだそうです。へぇ〜。

東京バレエ団 モーリス・ベジャール振付『ザ・カブキ』全2幕
2018年12月15日(土)14:00 東京文化会館

由良之助:柄本弾
直義:永田雄大
塩冶判官:秋元康臣
顔世御前:上野水香
力弥:昂師吏功
高師直:森川茉央
伴内:岡崎隼也
勘平:宮川新大
おかる:川島麻美子
現代の勘平:樋口祐輝
現代のおかる:岸本夏未
石堂:宮崎大樹
薬師寺:和田康佑
定九郎:杉山優一
遊女:三雲友里加
与市兵衛:山田眞央
おかや:伝田陽美
お才:奈良春夏
ヴァリエーション1:杉山優一
ヴァリエーション2:井福俊太郎

【ツイッターより】

東バ『ザ・カブキ』初日、す〜ごくよかったです〜。弾さんの由良之助がどんどん素敵になる。戸惑いも決意も悲しみも、全てその身体が表現していました。弾さんの優しい人柄が感じられるような、強くて美しい由良之助でした。

東バ『ザ・カブキ』。秋元さんの塩冶判官もよかったです。目が色っぽかったな〜。三方を静かに掴んだのが印象的。静かに鬼気迫る切腹場面でした。
塩冶判官の亡霊は、非番の由良之助が演じるのが定番なんですが、ついに由良之助と判官を演じる存在が現れたので、本当に判官が判官の亡霊を演じていました。明日は弾さんは師直を踊るんですが、亡霊はどうするんだろう。流石に弾さんは討ち入りには出ないだろうから、やっぱり弾さんなのかな。
森川さんの師直が悪い顔してた〜♪。あれだけ背が高くて体格もいい悪者は迫力があるな、と。人を食ったような態度から一変、片手で顔(切りつけられた場所?)を覆い、もう片方の腕を伸ばし、人差し指で前方を指差しながら退場していく姿は冷ややかで怖かった。
昨日の東バ『ザ・カブキ』。現代の東京、トップバッターで踊る上手の山田さんがとてもよかった。赤褌隊の先頭も山田さんでした? 涅槃で最後に加わる2人がこちらに背を向けて入るところが好きなんですが、山田さんが上手に(下手は井福さん)。大事なところを締めてたな、と。
川島さんのおかるがとってもよかったです〜。とても説得力のあるおかる。おかるの感情や置かれている状況、そういったものが彼女の身体と踊りから溢れていました。弾さんの由良之助も絶好調だったので、一力茶屋での2人の絡みがすごくよかった。
宮川さんの勘平は爽やかさが増した。いい表情もしていたし、勘平の無念や悲しみが伝わってきてとてもよかった。
勘平切腹の場面。猪もストップモーションに加わっているところが可愛くて好き。切腹した勘平は黒子が布で隠して退場するのに、与市兵衛は自分でむっくりと起き上がって退場するのね(笑)。
もう岡崎さんの伴内は文句なく最高に格好よかったし、この役をやりたかったという奈良さんのお才はとっても美しかったです♪ 杉山さんは定九郎も第1ヴァリもよかった♪ 第1ヴァリでは端正な踊りに力強さが増したようで、表情もよく、素晴らしかったです。何気に難しそうな第2ヴァリ。
第2ヴァリの井福さんは、爆発力のある踊りで、狭い空間を目一杯使って踊っていたのが印象的。岸本さんと樋口さんの現代のカップルは可愛かったし(樋口さんは判官も楽しみ!)、力弥の昂師さんも精悍で、でも初々しくてよかったです。
昨日の弾さんの由良之助。仇討ちへの賛同を求める場面で、それまで力強く差し出していた腕を、定九郎を演じるダンサーに対しては、フワッと優しく差し出したのが印象的でした。彼が離反するであろうことはわかっていたけど、それでも「頼む、、、」という気持ちを表現しているようでとてもよかった。

涅槃から、一度捌けた四十七士たちが再び由良之助もとに集い切腹をする幕切れ。この場面に感動し、スタジオを出て涙を拭っていたというベジャールさんが、現代の東京に戻す予定だったラストを変更したというエピソードがふと思い出され、胸が熱くなる、素晴らしい幕切れでした。
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2019年01月17日

シュツットガルト・バレエ団『白鳥の湖』2018年11月10日

昨年11月のシュツットガルト・バレエ団日本公演『白鳥の湖』の感想を書きました。

シュツットガルト・バレエ団
ジョン・クランコによる全4幕のバレエ『白鳥の湖』
2018年11月10日(土)14:00 東京文化会館

振付:ジョン・クランコ(古典版に基づく)
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
装置・衣装:ユルゲン・ローゼ
世界初演:1963年11月14日、シュツットガルト・バレエ団

【主な配役】

第1幕 王子の城近く

ジークフリート王子:アドナイ・ソアレス・ダ・シルヴァ
ウォルフガング(家庭教師):ルイス・シュティンス
家政婦:ソニア・サンティアゴ
ベンノ(王子の友人):モアシル・デ・オリヴェイラ
従者たち:
  ティモール・アフシャール、エイドリアン・オルデンバーガー
  ダニエル・シリンガルディ、ノアン・アルヴェス
町娘たち:
  ヒョ・ジョン・カン、アンジェリーナ・ズッカリーニ、ヴェロニカ・ヴェルテリッチ
  ディアナ・イオネスク、ミリアム・カセロヴァ
王妃(摂政):メリンダ・ウィサム
王家の使用人、貴族たち:コール・ド・バレエ

第2幕 湖畔

ジークフリート王子、ベンノ
ロットバルト(邪悪な魔術師):マッテオ・クッロカード=ヴィラ
オデット(魔法をかけられた王女):エリサ・バデネス
二羽の白鳥:ミリアム・カセロヴァ、ロシオ・アレマン
四羽の白鳥:
  ジェシカ・ファイフ、アヤラ・イトゥリオズ・リコ
  フェルナンダ・デ・ソウザ・ロペス、アンジェリーナ・ズッカリーニ
白鳥たち:コール・ド・バレエ

第3幕 玉座の間

ジークフリート王子、王妃
見知らぬ騎士:マッテオ・クッロカード=ヴィラ
オディール(その娘という姫君):エリサ・バデネス
スペインの姫君とそのお付き:
  ロシオ・アレマン
  アレクサンダー・マッゴーワン、フレミング・プーテンプライ
  クレメンス・フルーリッヒ、ノアン・アルヴェス
ハンガリーの姫君とそのお付き:シィナード・ブロード、エイドリアン・オルデンバーガー
ロシアの姫君:ジェシカ・ファイフ
ナポリの姫君とそのお付き:アンジェリーナ・ズッカリーニ、ティモール・アフシャール
貴族たち:コール・ド・バレエ

第4幕 湖畔

ジークフリート王子、ロットバルト、オデット、白鳥たち

指揮:ジェームズ・ダグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ団、東京バレエ学校

いや〜、よかった。前評判があまりよくなくて、自分も見たことあるはずなんですけどビックリするくらい覚えていなくて、そんなに変なヴァージョンだったっけ〜?と思いながら見たわけですが、いや〜面白かったです。なんというか、暗い、、。特に幕切れ、というか幕切れ。ロットバルトは去り、オデットは再び白鳥となって湖を行く。そして、ただただ溺死した王子を見せつけられる終幕。久々にぐうの音も出ないアンハッピーエンドの幕切れに、「クランコって〜」と心の中で仰け反りました。最近は歳のせいかハッピーエンドが好きなんですが、たまにはこういうぐうの音も出ないアンハッピーエンドに打ちのめされるのもいいもんですね。だって、愛の力なんて勝てないんですよ〜、、、。

溢れ出した湖に飲み込まれ「溺死」(プログラムにちゃんと「溺死」と書かれてました)した王子が、仰向けに倒れるラスト。息絶えて動かない王子を、ただただ見続けさせられるあの数十秒間、、、。お手上げです。あの、強大な力に対する成す術のなさを突き付けられた感はすごかったです。たぶん本当に救いがない。死後、2人が結ばれるわけでもなく、ロットバルトも死なない。愛なんて勝てない。愛なんて勝てないんです(2回言ってみました)。そして王子の魂は救われない、、、。例えばですけど、「もう勘弁してくれ」というくらい辛いラストのノイマイヤーの『人魚姫』でも、人魚姫と詩人の魂が天に昇っていくラストが描かれるし、『幻想〜白鳥』でも、ルートヴィヒの亡骸を「影」が抱き上げます。『椿姫』のラストも嗚咽しそうなくらい泣くけど、でも彼女の死後、彼女と交流した人たちが無言ながらも彼女の死を悼み、思い出を共有するような、競売のシーンが冒頭に用意されています。『マイヤリング』のルートヴィヒにも、マノンにも、一緒に死んでくれる人がいる。プログラムによると、翌朝湖畔で溺死した王子が発見されるそうなんですが、せめて王子の亡骸に駆け寄るベンノたちの姿でも描かれていれば、ちょっとは救われたんですけどね、、、。現実は甘くない、そうクランコに言われたようでした。

しかし、強大な力も何も、そもそも王子がオデットとオディールを間違えたからいけなのでは?という気もするんですが、このクランコ版の場合、王子を破滅させるべく現れたような悪魔に敵うわけもなく、もうオデットに出会った瞬間から王子の運命はロットバルトの手中にあったような気がしてなりませんでした。王子の運命が破滅しか有り得ないのは、1幕の暗い幕切れにも表れていたような気がします。人々が去ったあと、この上なく美しい夕映えの中、こちらに背を向けてしばし湖畔に佇む王子。憂いのソロを期待したら、それもなく、ただただ王子の孤独が描かれる。そして、しばし舞台を彷徨ったあと、スッと湖畔に消えます。袖に捌けたのではなく、少し高くなっている湖畔のセットから、スッと飛び降りる感じで姿を消したんです。その瞬間、もしかしたら2幕以降は王子の夢なんじゃないかと思ってしまいました。宴のあと、一人になった王子は、故意なのか足を滑らせたのか、いずれにせよ湖で命を落とし、翌朝湖畔で遺体となって発見されたのではないか、、、などという、別の物語を想像してしまいました。

オデットはまた新たな王子を待つのでしょうか。そしてロットバルトはまた試すのでしょうか。もしかしたらジークフリートが初めてではなかったのかもしれない。4幕の別れ際、「こんなことに巻き込んでごめんなさい」と、どこか詫びるような雰囲気をオデットに感じたのは、そのせいかもしれません。4幕の別れのパ・ド・ドゥの間、沈痛な面持ちのシルヴァに対して、オデットのバデネスにはあまり悲愴感がないのが印象的でした。あれは諦観だったのかな〜、と。王子を恨む気持ちは勿論なく、我が身を憐れむのでもなく、しかしロットバルトに敵うはずもなく、、、。もう諦めていたのかな…と。それはやはり、これが初めてではなかったからなのでは、、、と思ってしまいました。解説にある通り、クランコ版は「王子の物語」であり、まさに「オデットと出会い彼女を愛したことで巻き込まれていく悲劇として」描かれていたと思います。

そのせいか、オデットやオディールにそれほど感情移入するようには描かれていないような気がするんです。シンプルな衣装はそのためだったのかもしれません。オデットやオディールを華やかに見せようとしていないように感じました。特に印象的だったのは黒一色のオディールの衣装です。チュチュに少し装飾はあるものの、それらも全て黒の極めてシンプルなデザインの衣装。シンプルな衣装のせいなのか、露出している肌の部分が妙に生々しかったんですよね。そしてどこか鳥っぽいというか、、。

第3幕に、幻影のオデットの姿が登場しなかったのも印象的でした。それもやはりクランコのこだわりだったのではないか、と。3幕は舞台をコの字に囲む3階建ての回廊があり(実際に人が上がれるのは2階まで)、いい感じの窓もあるし、映像を映せそうな場所はいくらでもあったんです。特に、階段を上がった正面の壁なんて、「絶対そこにオデットの幻影が出てくるでしょ〜」っていうくらい、それらしい装置なんです。完全に勝利を確信しているロットバルトにとって、そんな小細工みたいなことは必要なかったのではないかと思うと、なおさら王子に勝ち目はないように思えてきました。

主演の2人もとてもよかったです。バレエフェスですっかりお気に入りになったエリサ・バデネスがお目当てだったわけですが、もちろんバデネスはとてもよかったんだけど、衝撃はパートナーのアドナイ・ソアレス・ダ・シルヴァでした。入団して3年でプリンシパルに昇進したシルヴァは、この日がジークフリート・デビューの未知の(私にとっては)存在。しかし、どうやら2013年のローザンヌで第1位と観客賞を獲得したらしいと知り、期待半分、不安半分で臨んだわけですが、いやいや逸材でした〜。なんてチャーミングなラティーノ♪ 踊りも抜群。やや幼さも残る若々しいシルヴァは、演技面ではベテランの円熟には敵わないかもしれないけど、十分魅力的なジークフリートでした。ラテン系のチャーミングな容姿に美しいテクニック。踊りに雑さが一切ないのが本当にいいですよね〜。フワッと上がる無重力系の跳躍と、柔らかな無音の着地。ザンレールを丁寧に5番に入れ、ポーズは柔らかくのびやか。スピードとパワーのある回転は、軸も美しく見事でした。いやぁもう、これから先が楽しみで仕方がない存在であることは間違いないです。

バデネスは、くっきりとした踊りがとても気持ちが良く、強さの中にも女性らしい優しさのあるオデット。それは、バネのように強靭な踊りでありながら、それでいて角がなく柔らかい、彼女の踊りそのもののと重なるようなオデットでした。生き生きとして自信に満ち溢れたオディールもとてもよかったです。もうオデットのときと「目」が違う。王子とオディールが視線を交わすたびに、「王子!気を付けて!目が違うから。その人、目つきがヤバいから〜!」と思わずにはいられませんでした。32回転は、前半はダブルを入れた高速回転で、後半はシングルに。続くシルヴァのグランピルエットがまた素晴らしく、会場は盛り上がりました。彼ら自身がノリノリで(決して雑ではない)コーダを踊っているのが見ていて楽しかったです。

ユルゲン・ローゼの衣装もとっても素敵でした。1幕の町娘たちの衣装は、上半身が身頃から袖まで総刺繍で本当に素敵。3幕の各国の姫君たちは、こげ茶とピンクのドレスのスペインも、ハンガリーの女性陣の刺繍も、金の紗布にビーズ刺繍の丸い花を施したロシアも、思わずオペラグラスで衣装を見てしまうほど可愛かったです。因みに、ナポリの女性陣だけトウシューズでした。
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2018年12月13日

東京バレエ団<20世紀の傑作バレエ2>12月2日

東京バレエ団<20世紀の傑作バレエ2>
2018年12月2日(日)14:00 新国立劇場中劇場

「スプリング・アンド・フォール」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:アントニン・ドヴォルザーク

川島麻実子−柄本弾
三雲友里加、二瓶加奈子、金子仁美、岸本夏未
榊優美枝、高浦由美子
杉山優一、宮川新大、森川茉央、岡崎隼也、金指承太郎
井福俊太郎、海田一成、岡ア司、鳥海創

「イン・ザ・ナイト」
振付:ジェローム・ロビンズ
音楽:フレデリック・ショパン

沖香菜子ー秋元康臣
川島麻実子ーブラウリオ・アルバレス
上野水香ー柄本弾

「小さな死」
振付:イリ・キリアン音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト

沖香菜子、金子仁美、三雲友里加、吉川留衣、政本絵美、奈良春夏
杉山優一、岡崎隼也、樋口祐輝、宮川新大、ブラウリオ・アルバレス、秋元康臣

「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

上野水香
森川茉央、杉山優一、永田雄大、和田康佑

東京バレエ団<20世紀の傑作バレエ2>、最終日の公演を見ました。金曜の初日はパスしたので、このキャストは1回だけ。やっと杉山さんと岡崎さんをたっぷり見られました♪ 川島さんと弾さんの「スプリング・アンド・フォール」は2回見たかったな、、。

「スプリング・アンド・フォール」
弾さんの踊りが柔らかくなったような気がしました。冒頭のソロでは、語りかけるように雄弁で、柔らかな踊りの上半身が印象的でした。柔らかくなったのは表現だったのかもしれません。徐々に明るくなるスポットライトの中、スッと踊り始めた弾さんの語りかけるような踊りは、表情豊かで優しくて、思わず胸が熱くなりました。
胸が熱くなると言えば川島さんです。視線を上げ、踊り始めた瞬間、舞台にフワッと物語を吹き込む川島さんに、思わず胸が熱くなります。。明確なストーリーはないのに、グワッと心を掴まれ、胸が苦しくなるような感情が込み上げる。優しくて、どこか懐かしくて、本当に美しかったっです。
そして、川島さんと弾さんのパ・ド・ドゥに落涙、、、。パ・ド・ドゥの最初に印象的なシーンがあります。女性を追い越して前に立つ男性。男性の手に優しく触れ、そのまま男性の腕をグルっと回しながら前に出る女性。また男性が女性を追い越す。そして再び女性が男性の腕を回しながら前に出る。ただそれだけなのに、どうしてこんなに胸がいっぱいになるんだろう、と。そして、パ・ド・ドゥの最後にもう一度同じ動きが登場します。最初は舞台の奥で踊っていた動きを、最後は舞台の前面で踊る。同じ動きなのに、どこか雰囲気が違うんです。最初の場面では、まるで彼女は実在ではなくて、思い出が彼のにそっと触れるような、懐かしさの中にどこか寂しさを感じさせるんですが、最後にはどこか暖かいというか、より親密感が生まれているような気がします。一連の流れが本当に素晴らしいパ・ド・ドゥだなと思います。
2人の雰囲気もとっても素敵でした。古典の全幕ではあまり組まないのが残念です。川島さんと秋元さんの組み合わせも好きなんですけどね。互いの存在を感じながら、スッとユニゾンを合わせる様子に、妙に感動してしまいました。

岸本さんが流石の存在感。吉川さんと同様、彼女の真ん中も見てみたいです。榊さんも可愛かった。髪を下ろしたら更に大人っぽくなるかと思ったら、可愛らしくなってました。前髪があるからかな。金子さんも素敵でした。そして、杉山さんを堪能。やっぱり「スプリング・アンド・フォール」の杉山さん、好きだ〜。いや、全部好きなんですけど。宮川さんもいい感じ。森川さんは踊る喜びに溢れていたし、海田さんは今日もいい表情。岡崎(隼)さんも格好よかったです。ラストの緞帳が下りるタイミングは、土曜日のマチネが一番よかったような気がします〜(初日は未見)。

「イン・ザ・ナイト」
第1パ・ド・ドゥの沖さんと秋元さんがとっても素敵でした。土曜日の2人(秋山ー宮川)もとてもよかったんだけど、あぁ、やっぱりこちらがファーストキャストなんだなと納得させる力がありました。いや、秋山さんと宮川さんも本当によかったんですよ。
上手奥から後ろ向きに登場して、リフトしながらスーッと下手に移動してきます(確か)。下手まで来ると、秋元さんが沖さんの腰のあたりを持って高くリフトします。沖さんは両腕と両脚をスッと前方に伸ばしている。まるで風に飛んで行ってしまう女性をスッと捕まえたような素敵なリフトで、毎回印象的。そして、スゥっと空気に溶けていくような沖さんの腕がとても素敵なんです。ふんわりリフトも、風にさらわれるような疾走感のあるリフトも、どちらも素敵でした。
川島さんの第2パ・ド・ドゥも素敵でした〜。第3もいいけど、この第2も本当に素敵。エレガントで気品ある佇まいと、柔らかな微笑みが美しかったです。

「小さな死」
この日は冒頭の場面で、剣を掴み損ねたりする小さなミスが2か所ほどあり、何気なく見ているけどやはり難しいんだな〜と思ったりしました。
第1パ・ド・ドゥの沖さんと杉山さんがよかった! 2人とも清潔感があって好きです。それはエロスがないという意味ではなく。なかなか見る機会はないけど、いい組み合わせかも。金子さんもクールで格好いい。金子さんって、オールマイティーだなぁ、と。岡崎(隼)さんも格好よかった♪ 政本ーアルバレスは日を追うごとに良くなっていった印象。奈良さんと秋元さんも貫禄のパ・ド・ドゥで格好よかったです。
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2018年12月11日

東京バレエ団<20世紀の傑作バレエ2>12月1日 13:00/17:00

東京バレエ団<20世紀の傑作バレエ2>
2018年12月1日(土)13:00/17:00 新国立劇場中劇場

「スプリング・アンド・フォール」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:アントニン・ドヴォルザーク

沖香菜子ー秋元康臣
吉川留衣、加藤くるみ、秋山瑛、中川美雪、上田実歩、足立真里亜
池本祥真、樋口祐輝、和田康佑、海田一成、金指承太郎
井福俊太郎、山下湧吾、岡ア司、鳥海創

「イン・ザ・ナイト」
振付:ジェローム・ロビンズ
音楽:フレデリック・ショパン

秋山瑛ー宮川新大
金子仁美ーブラウリオ・アルバレス
川島麻実子ー柄本弾
ピアノ:松木慶子

「小さな死」
振付:イリ・キリアン
音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト

榊優美枝、岸本夏未、二瓶加奈子、吉川留衣、政本絵美、伝田陽美
安楽葵、海田一成、樋口祐輝、宮川新大、ブラウリオ・アルバレス、秋元康臣

「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

柄本弾
森川茉央、杉山優一、永田雄大、和田康佑

土曜日の公演を昼・夜と見てまいりました。まったく同じキャストであるということは事前にわかっていたので、見に行くまでは「やっぱり1回にしておけばよかったかな〜」と思っている部分もあったんですが、全然そんなことありませんでした。「すごくよかった! 今すぐもう1回見たい!」と思った舞台を、本当に今すぐにもう1回見られるという幸せを味わってまいりました。

「スプリング・アンド・フォール」
す〜ごくよかったです〜♪ もう頬が緩みっぱなし。そしてときどきジ〜ン。ただただ作品に身をゆだねる幸福な時間。なんて美しくて繊細で、力強くて優しい作品なんだろう、と。人間に対する、そして人生に対するノイマイヤーの愛が溢れている作品だなと思います。この作品自体に物凄く力があって、完璧なんじゃないかと思てしまうほどなんですが、そこに今回のような素晴らしいパフォーマンスが乗ると、感動は一入です。キャストが入れ替わると多少バタバタすることもあったんですが、今回も初役のダンサーが結構いたにも関わらず、以前のような「初役バタバタ」はほとんどありませんでした。男性陣の群舞がときどき揃っていなくても、踊れていないから揃っていないのとは違う気がしたというか。個々が踊れているから多少のズレは気にならない、そんな風に感じました。男性陣がモチャモチャするところは、ちょっとわちゃわちゃしてたけど(苦笑)。

沖さんがとってもよかったです。彼女の伸びやかな踊りには毎回感心してしまいます。もちろん他の女性陣も伸びやかなんですが、彼女が登場するとハッとするというか、伸びやかさのステージが違うなと感じます。空気と戯れるようなアームス、空間を切り取るポワント。身体を最大限に使った踊りは見ていて清々しくもあります。音楽と戯れ、ときに音楽を引き寄せるような踊りは本当に素敵でした。
秋元さんも冒頭のソロからとてもいい表情をしていました。秋元さんなので、初役のときから踊りは流石で、「踊れるってやっぱりすごいな〜」と思ったことを覚えています。でも、今回のほうが断然心に沁みました。無音の中、シルエットの男性陣が秋元さんの横を通り過ぎていく冒頭。ゆっくりと光が差し、音楽とともにスッと踊り始める幕開きが本当に素敵。まるで、今まで出会った人たちや出来事や感情が、風となって男性に優しく触れながら通り過ぎていくような、そんな場面です。あるいは波が、砂とともに足元を流れていくような、そんな風景が思い起こされます。沖さんと秋元さんは爽やかで、2人ともあまりウェットさがないという部分でも、いいバランスなのではないかと思いました。

この作品を踊る東バの女性陣がいつもとても好きなんですが、やはり何度も踊っている吉川さんが流石の存在感でした。佇まいが本当に素敵で、吉川さんにも真ん中を踊ってみてほしいな〜と思ってしまいました。中川さんや秋山さんもとてもよかったです。ところで、キャスト表に載っていた榊さんが出ていませんでした。どうやらチェンジがあったようで、この日は2回とも上田さんが出演していました(榊さんは初日に出演していたそうです)。チェンジなのかうっかりミスなのか、、。

最初に樋口さんを「お、いいな♪」と思ったのがこの「スプリング・アンド・フォール」だったので、今回メインの役どころを踊っていて嬉しかったです。池本さんと樋口さんだったら、池本さんのほうが3番手、樋口さんが4番手なのかな? 何度も見ているはずなのに、役どころを把握できていない、、。主演の2人に続くこの位置を踊る岸本(秀)さんがとても好きだったので、思い出して一人勝手にしんみりしてしまいました。岸本―杉山の組み合わせがすごくよかったんですよね〜。
岡ア司さん、金指さんなども印象に残りました。今年のバレエフェスで、ラウデールとレヴァツォフが踊った「アンナ・カレーニナ」に息子役で出演していた山下湧吾さんも、作品の雰囲気に合っていてよかったです。明るい場面で海田さんがすーごくいい顔して踊っていて、癒されました(♪)。

アフタートークで森川茉央さんが、最後のコーダに当たる部分は踊っているほうも開放感があると仰っていたんですが、見ているほうも一気に駆け上がるラストに向かって気持ちが高まる場面です。そして、2人がこちらに向かって駆け出してくる幕切れに、なんだかもう「ゥワァー!」ってなります(語彙力なくてすみません)。マチネは緞帳が下りるタイミングも完璧で、そのまま2人がどこまでも駆けて行くようで、感動でした。ちょっとタイミングが遅いと、両サイドに分かれる姿が見えちゃうんですよね。

「イン・ザ・ナイト」
初役の女性陣、秋山さんと金子さんがとってもよかったです。同じく初役の宮川さんも作品の雰囲気を大切に、とても丁寧に踊っていて好印象でした。第1パ・ド・ドゥの秋山さんの美しい踊りにウットリ。やはり腕が語るなぁ、と。チャーミングな役どころの印象が強い彼女だけど、艶も表現できるんですよね。爽やかさや愛らしさだけでなく、ドラマチックもいけるのか、と。彼女にノイマイヤー版のジュリエットを踊ってほしいと思ってしまいました。そろそろ再演しましょうよ〜。宮川さんのサポートもよかった。
第2パ・ド・ドゥの金子さんもとっても素敵でした。正確で美しい踊り、そしてフォルム。めりはりのある踊りとキリリとした品格のある佇まいに心打たれました。甲が美しい弧を描くポワントも印象的。彼女の知的な佇まいがとても好きです。金子さんにはタチヤーナを踊ってほしいな〜、と。こちらもそろそろ再演しましょうよ〜。
そして第3パ・ド・ドゥの川島さんがもう本当に素敵でした〜♪ その表現力にウットリ。ますますプリマの輝きを増しているようでした。明確なストーリーがない作品にもかかわらず、いや、だからこそ、彼女のドラマを描くことができる力が遺憾なく発揮されるのかもしれません。登場した瞬間に舞台に物語を運んでくるんです。舞台の空気を変える力は流石です。

「小さな死」
やっぱりいい作品だな〜と。余計なものが一切なく要素が凝縮されていて、長すぎないのもいいし、深遠で神秘的、そして美しい。やはり初演時にも感じたように、官能性よりは静謐さのほうが印象的で、それが正解なのかはわからないし、日本人の特性なのか東バの特性なのかもわからないんですが、私はそれが好きだったりします。日本人のダンサーが踊ることで不思議なエロスが漂う部分もあるような気もする。それは振付家の意図ではないかもしれないけど。
昨年の<20世紀の傑作バレエ>での初演から、あまり間を置かずに上演してくれたのも嬉しいです。せっかくレパートリーになっても、ほとんど踊り込めないのでは勿体ないですものね。初演時よりも血肉となった感があり、同時に初役陣の新鮮さや緊張感もあり、いい上演だったと思います。さらに上演を重ねっていってほしい作品の一つです。

無音の中、男性6人から始まる幕開け。剣を扱う緊張感と、剣が空を切るヒュンヒュンという音が印象的です。黒い幕の使い方も格好いい。第1パ・ド・ドゥの榊さんと安楽さんがとてもよかった。榊さんからは、この作品を踊る喜びが感じられた気がします。あとちょっと色気もあったりして。そして、安楽さんの逞しい太腿にびっくり。この第1パ・ド・ドゥだけ剣を使って踊るので、場面としての面白さもありました。第2パ・ド・ドゥの岸本ー海田と第3パ・ド・ドゥの二瓶ー樋口は、ソワレのほうがよかったな〜と思っていたら、アフタートークで岸本さんが「夜のほうがうまくできた」というニュアンスのことを仰っていて、同じことを感じられたのが嬉しかったりしました。
第4パ・ド・ドゥの吉川さんと宮川さんがすごくよかったです〜。テクニックを惜しげもなく披露する役どころもいいんですが、こういう作品に真摯に向き合う宮川さんもいいなぁと思いました。2人のパートナリングもよかったです。長身の政本さんとアルバレスが踊る第5パ・ド・ドゥはダイナミック。スリリングでよかったです。崔さんとアルバレスのパートナリングと比べてしまうと、少しバタバタした感じはあったかも。難しいことを難しく見せずに流麗に踊るのがこの作品の難しさなのかもしれません。でも、一番生々しさがあったのはこの2人かも。そういう意味ではセクシーでした。初演時、一人だけちょっと次元の違う官能を漂わせていた崔さんはやっぱりすごかったな〜、と。決して下品ではなく、美しさと静謐さの中に言い難い色気を秘めていたんですよね。最後のパ・ド・ドゥは秋元さんと伝田さん。伝田さんはもう貫禄すら漂っていました。きっと難しいことをしているんだろうけど、まったくそう感じさせずスルスルと踊っているのがすごかったです。

「ボレロ」
弾さんのメロディも、とてもよかったです。振付への敬意と、自分らしさへの探求を感じさせる踊りでした。初演は小雨降る野外。次は屋内の<めぐろバレエ祭り>。今年の<横浜ベイサイドバレエ>は私は見に行っていないのでわからないんですが、格段に自分のものにしてきたな〜という印象でした。振付に真摯に向き合う中で自分らしさを模索するような以前の踊りも、繊細な弾さんらしくて好きだったんですが、何か一つ殻を破ったような気がします。あ、何か見つけたんだな、と。でも、まだ探求の途中にも見えました。貪欲に探求していってほしいな、と。そうして、これからいくつもの殻を破っては見つけ出し、ときには見失い、ときには削ぎ落し、そしてまた見つけ、、、というふうに進化していくのだろうな、と。今回とても素敵だったのに、まだ先があると思ったら、楽しみで仕方なくなりました。

丁寧に入る前半は変わらず。それでも以前より迷いはなかったと思います。今見つけたものを信じて、それを核に踊っている感じがしました。踊りが激しくなる中盤からラストにかけての爆発力もよかった! もともと体格がいいだけでなく、身体自体に力があるし、色気も持っている人なので、それが爆発したときの魅力は半端ないです。もっと爆発してくれてもいいのにな〜と思っていたので、見ているこちらも「ついにきたー!」という開放感がありました。

できれば弾さんには、余計なことはせず、振付に真摯に向き合い丁寧に踊る中で、自然と生まれてくる自分らしさみたいなものを大切に踊っていってほしいなと思いました。彼の持つ素直さがあれば大丈夫じゃないかな、と思います。偉そうですみません、、。

それにしても、綺麗に割れた腹筋でした。
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2018年11月10日

シュツットガルト・バレエ団『オネーギン』11月3日

『オネーギン』の感想を2幕まで書きました。『白鳥』の前にとりあえず書けた分だけUP。

【追記】3幕の感想を付け足しました(2018.12.4)

シュツットガルト・バレエ団『オネーギン』
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく
ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
2018年11月3日(土・祝)14:00
東京文化会館

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
世界初演:1965年4月13日 シュツットガルト・バレエ団
改定版初演:1967年10月27日 シュツットガルト・バレエ団

オネーギン:ジェイソン・レイリー
レンスキー(オネーギンの友人):マルティ・フェルナンデス・パイシャ
ラーリナ夫人(未亡人):メリンダ・ウィサム
タチヤーナ(ラーリナ夫人の娘):ディアナ・ヴィシニョーワ
オリガ(ラーリナ夫人の娘):アンナ・オサチェンコ
彼女たちの乳母:ソニア・サンティアゴ
グレーミン侯爵(ラーリナ家の友人):ロマン・ノヴィッキー

近所の人々、ラーリナ夫人の親戚たち、
サンクトペテルブルクのグレーミン侯爵の客人たち:シュツットガルト・バレエ団

指揮:ジェームズ・ダグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

『オネーギン』2日目の公演を見てまいりました。充実した舞台でした。本当に優れた作品だなぁと思うし、本家ならではの踊り込まれた舞台を堪能しました。ジェイソン・レイリーが見たくてこの日にしたわけですが、やっぱり素敵すぎました〜♪ いやもう本っ当に格好よかった!! とりあえずはその一言に尽きます。
お恥ずかしながら小説もオペラも未読(未見)ですが、だからこそ言えるのは、クランコのバレエを見てオネーギンをただの酷い男だとは思わないということです。プログラムの解説などももちろん助けにはなりますが、何よりもクランコの手腕と、これまでに見てきたオネーギンの名手たちによるところだと思います。中でもジェイソン・レイリーのオネーギンは非常に大人で、むしろ本来は至極真っ当な常識のある人間であることが窺えて、だからこそ彼の苦悩や葛藤が心に響くし、特に彼の苛立ちはヒリヒリするほど胸に刺さります。彼は嫌な奴なのではなく、今はそうなってしまっているだけで、時代が彼をそうさせてしまったのではないかと思わせるんです。もちろん、どんな時代のもとでも燻ぶらないでいられる人間もいるかもしれません。でも、そうはなれない彼の弱さも、この作品においては魅力なのではないかと思いました。

1幕のレイリーは、都会的な空気を纏いながらも、決して鼻持ちならない男ではないし、心ここに在らずではあっても、決して礼儀は忘れていない男です。辟易としている部分を押し隠してはいるものの、あくまで礼節を保ったスマートな振る舞いと身のこなし。レイリー自身の器の大きさが出ちゃってるんじゃないかというくらい、大人で素敵なんですよ〜♪ タチヤーナをエスコートしながらも、心はここにはない。そんな愁いを帯びた様子に、なおさらタチヤーナの心は引き寄せられたに違いありません。都会的な洗練された佇まいとスマートな振る舞い、それでいてどこか人に踏み込ませない陰のあるオネーギン。文学少女がトキメかないわけがない(偏見?)。
2人が客席に背中を向けて歩く場面は、心ここに在らずで他所を向くオネーギンと、そんなオネーギンを見つめるタチヤーナの構図が印象的。そして、ふと我に返り、エスコートしていたタチヤーナのほうにようやく注意を向けると、スッと彼女をリフトします。あの最初のリフトがいつも印象的です。まるでタチヤーナの舞い上がる恋心を表しているようで、見ている私まで心がキュッとなるのを感じます。あの瞬間、タチヤーナの中にオネーギンが入り込んで、恋心が決定づけられたのではなかろうか、と。
「何を読んでるの?」と本に話題を持っていくオネーギン。たぶん、何を読んでるかなんて興味ない。「これ?どうぞ」と舞い上がりそうな気持を抑え、手渡すタチヤーナ。彼女としては何を読んでいるか知ってほしいに違いありません。オネーギンの好意的な反応を期待する気持ちを抑えながら待つタチヤーナ。舞い上がる気持ちを悟られないようにしているつもりで漏れちゃってる感じを演じるヴィシニョーワが、うまいな〜と。そして、彼女の本を見て、心底笑いを堪えられずに、必死に口を閉じて「ムフ〜(笑)」ってなってるレイリーがまたいい(♪)。でもあれは、ちゃんとタチヤーナにわからないようにやってるんですよね。

ヴィシニョーワもとっても美しかったです〜。彼女を見ていると、やはりスターだな〜と思います。「どこが、どう」と上手く言えないんですが、もう存在がスター。でも、ヴィシニョーワはとても華やかな人だけど、彼女のタチヤーナは決して派手ではなく、丁寧に演じているな〜という印象でした。3幕はさぞ美しいだろうけど、1・2幕の娘時代は似合わないんじゃ、、、なんて思っていたんですが、まったくそんなことはありませんでした。流石に田舎っぽさはなくて、とびぬけて洗練された少女ではありましたが、本を読んでは思いを巡らせているときが一番幸せそうな、物静かで少し大人びた少女を見事に演じていました。子供っぽさは控えめで、夢見がちというよりは自分の世界を持っているという感じ。大勢の中では遠慮がちだけど、常に周囲への思いやりを忘れない、自分の中に曲げない芯は持っているような、そんな少女でした。

オサチェンコのオリガも、タチヤーナと対照的な快活な少女でとてもよかったです。無駄のないクリアな踊りも流石。群舞もとてもよくて、ジュテで舞台を駆け抜ける場面も綺麗で疾走感もありました。1幕の女性陣のジュテの着地音だけちょっと気になっちゃったけど、、。レンスキーのパイシャはスラリとした比較的長身の青年。踊りもよかったし、いいダンサーだと思いました。でも、レンスキーは脂の乗っていたフォーゲルの踊りを見てしまっているので、どうしても比べてしまうかも、、。2幕の演技はもっと濃くても大丈夫だったんじゃないかな〜と。自分が遠くから見ていたからそう思っただけかもしれませんが。手袋でオネーギンを打つところなどは迫力があってよかったです。

鏡のパ・ド・ドゥは、何と言ってもレイリーのオネーギンの悪魔的な格好よさ!!これに尽きる。少女の夢に出てくる男はこれくらい危険な香りがしなくちゃね〜♪と、ホクホクしながら見ておりました。やっぱりまたレイリーのカラボスが見たい、、、。パ・ド・ドゥは破綻なく流石の踊りでしたが、やや疾走感はなかったような気もします。ヴィシニョーワの思い切りのよさは半端なかった(褒めてます)。あんなに勢いよく脚をグルンと回してもラインを崩さないヴィシニョーワもすごいけど、それを抱えているレイリーがビクともしないのもすごい。2人のパートナリングはとてもよかったけど、いわゆる「化学反応」みたいなものは、もしかしたら前日のアマトリアンとフォーゲルのほうがあったのではないかな〜と想像。ラストの直立リフトの瞬間には、タチヤーナの高揚感がこちらまで伝わってきて、心動かされました。そして、夢から覚め、オネーギンへの手紙を書きあげるタチヤーナ。夢見心地の様子から一変、手紙を書く瞬間になると、何かこうぐうぅっと情念のようなものが入るヴィシニョーワが印象的でした。「今、これを書かなければ!」という切実さがありました。

2幕。タチヤーナに手紙を返し、「こういうことをされては困るよ」と諭すオネーギン。しかし最初はその意図を汲み取れず、「そうよ、それは私があなたに書いたのよ」みたいな、的外れな反応をするタチヤーナ。イラっとする〜(苦笑)。もう一度、人気が無くなったところで手紙を返そうとすると、今度は泣かれてしまう。タチヤーナを悪く言うつもりはないけど、イラつくのはわかるわ〜、と。そして決定打。手紙を破り、彼女に握らせます。それをハラハラと手から落とし、走り去る姿に、さらにウンザリしたはず(落ちた手紙はお友達が回収して、タチヤーナを追いかけます)。流石にやり方はキツかったかもしれないけど、ハッキリと断ったほうが優しさではある。まあ、このときのオネーギンは優しさでやっているわけではないと思うけど。
退屈を紛らわせるかのように、レンスキーをからかい、オリガと踊るオネーギン。一度目はレンスキーが怒り出したのでやめてるんですよね。ちゃんとレンスキーをフォローするようにと、オリガを促します。進行する物語の背後で2人の仲直りが描かれる。それで済んでいればよかったんだけど、、。タチヤーナの心情を吐露するソロが踊られます。「なぜ、どうして、なぜ、どうして」とでもいうような過剰な感情が細やかなステップにも表現されているような、もうヒリヒリするようなソロ。彼女のアピールを感じながらも、必死に苛立ちを抑え、耐えているオネーギン。もうその苛立ちがヒリヒリと伝わってきて、彼が堪らず「タンっ!」と両の掌で机を叩いた瞬間には、タチヤーナの気持ちで一緒になってビクッとしてしまうほどです。またレイリーのオネーギンが大人で冷静で、取り入る隙のない感じが、余計にタチヤーナを混乱させるような気がします。
駆け出すタチヤーナ。やり場のない苛立ちを抱えるオネーギンの目に、楽しそうに踊るオリガとレンスキーの姿が飛び込んできます。「これだ!」と言わんばかりに、オリガの手を取ってレンスキーから奪い、再びレンスキーをからかうように楽しそうに踊ります。またオリガの乗りがよくて、一緒になって楽し気に踊ってレンスキーをからかっちゃうんですよね〜。徐々にレンスキーの怒りが大きくなり、周囲の空気も変わり始める。オリガとしては「ここで終わりよね」というタイミングが何度かあるんだけど、タチヤーナのことで苛立っていたオネーギンは一度目とは違いなかなかやめようとしない。その度にオリガもオネーギンに付き合ってしまう。そしてついに避けられぬ決闘へ、、、。レンスキーに手袋で叩かれて後ずさりしたオネーギンにぶつかって、後ろで老人がよろけているのがちょっと楽しい。ここでその笑いを取るか(笑)と。

グレーミン侯爵のノヴィッキーが素敵でした〜♪ しかも、2幕のグレーミン侯爵の衣装の色がまた素敵。くすんだカーキといいいますか、グレーグリーン(そんな色あるか?)みたいな色合いがとても素敵でした。ここで登場したグレーミン侯爵とオネーギンが会話を交わす場面があるんですが、オネーギンとしては「やっと話せる人が来た」みたいな感じなんですよね。しかしそれを、タチヤーナを紹介するために遮られてしまう。この辺でも1イラきてたんじゃないかと思います。

決闘の末、レンスキーを死なせてしまったオネーギン。そんなオネーギンを、スッと姿勢を正し真正面から毅然と見つめるタチヤーナ。あのとき、2人は初めて本当の意味で視線を交わしたのかもしれません。それまで見えていなかったタチヤーナの真の姿が、初めてオネーギンの目に映った瞬間だったのではないか、と。それは、友人を死なせてしまったことでオネーギンの心が剥き出しになっていたからこそ、訪れた瞬間かもしれません。彼女の眼差しに打たれ、深い悔恨に苦しむオネーギンの姿で幕が下ります。

3幕。ヴィシニョーワのことだから、さぞ華やかで艶やかだろうと思っていた彼女のタチヤーナは、確かにその通りなんだけど、私の想像より落ち着いた佇まいの美しさを湛えていました。すっかり大人の女性に変貌し、愛を知り、満ち足りて平穏な、優しい光に包まれるような美しさ。いい意味で予想を裏切られた気がして、なんだか嬉しかったりしました。まだまだ進化する人なんだな〜と。というか、彼女の全幕を見るのが本当に久しぶりだったんです。だから、私が彼女のこのひきだしを知らなかっただけかもしれないんですが、いずれにせよ、わかったつもりになっちゃいけないな〜と思ったりもしました。

ノヴィッキーのグレーミン侯爵がやっぱり素敵でした♪ 原作のグレーミン侯爵は知らないんですが、このクランコのバレエ版のグレーミン侯爵は素敵な旦那様として描かれていますよね。オネーギンからの手紙に戸惑い、出かけていくグレーミン侯爵を思わず引き留めるタチヤーナ。いつもは見せない(想像)情熱的な妻の態度に、彼もまた愛情深く応えます。タチヤーナに対して本当に愛おしそうに接するグレーミン侯爵が素敵。短いながらも印象的な場面です。原作の夫婦関係はわからないんですが、少なくともこの作品においては、タチヤーナにとってグレーミンとの関係は燃えるような恋ではないかもしれないけど、確かな愛が育まれていたと思わずにはいられません。「もう全然グレーミンでいいじゃん!」と、いつも思ってしまいます。

3幕でもレイリーのオネーギンの素敵さは変わらず。老け役も本当に素敵だ、、、。レイリーのオネーギンは、それほどやつれた感じや悲愴な感じはなく、それなりに人生を送ってきたけれども、結局のところ心を満たすものはなかったというような感じ。お疲れな感じがセクシーだったりもします。タチヤーナとグレーミン侯爵が踊る様子をオネーギンが見つめる場面。人々の間を縫い、柱に隠れ、タチヤーナに気づかれないようにしながら、下手から上手へと舞台をぐるりと移動します。人垣に見え隠れするオネーギンを姿を、思わず目で追いかけてしまいます。映画のようなシーンだなぁと思ってしまいました。たくさんのカメラで様々な視点から捉えたら面白いだろうな〜と。

そして、グレーミン侯爵が去るとラストのパ・ド・ドゥへ。狼狽えるタチヤーナと、扉の向こうで躊躇するオネーギン。映像だったら別カットになるところを、紗幕を用いることで同時進行で見せることができるのが、舞台の面白いところだな〜と。いや、決して映画を下に見ているわけではなく、違いが面白いな、と。音楽も盛り上がり、こちらもラストに向けて気持ちが高まります。そして、オネーギンが駆け込んできたところで一瞬の静寂。そこからは2人のせめぎ合う感情が饒舌に溢れ出す怒涛のパ・ド・ドゥに圧倒され、思わず身を固めて見入っていることに気が付きます。オネーギンの手紙を破るタチヤーナ。足元に取りすがるオネーギンに手を差し出しそうになるのをグッと堪えると、その手で扉を指さし、立ち去るようにと促すタチヤーナ。圧倒的な場面です。
もう、いい意味で戦いのようなパ・ド・ドゥでした。せめぎ合うタチヤーナとオネーギンの感情。そして、互いに引けを取らないヴィシニョーワとレイリーの個性。実際、あの場面はタチヤーナにとってもオネーギンにとっても戦いでもあるんだよな、と。タチヤーナは揺れる心との、オネーギンは人生との戦い。互いに対峙していながら、自らの内面とも向き合っている。そんなパ・ド・ドゥだなと思いました。しかし、タチヤーナにはグレーミン侯爵との人生があるけど、これを失ったらオネーギンの人生には一体何が残るんだろう、、、と。
幕切れ。両の手のひらのグッと胸の前で握りしめるタチヤーナ。顔をがむのも厭わず慟哭するダンサーが多いような気がするんですが、唇をギュッと閉じたヴィシニョーワのタチヤーナは、すべてを飲み込んだようでした。吐き出すよりも辛い、強い決意だったのかもしれません。
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2018年10月31日

東京バレエ団<プティパ・ガラ>9月1日【神奈川】

9月の東京バレエ団<プティパ・ガラ>【神奈川公演】の感想を書きました。間もなく始まるシュツットガルト・バレエ団の公演の前に一つでもUPしておきたかったので。

東京バレエ団 マリウス・プティパ生誕200年記念<プティパ・ガラ>【神奈川】

2018年9月1日(土)14:00
会場:神奈川県民ホール

ー第1部ー
「ジョコンダ」
柿崎佑奈、ブラウリオ・アルバレス
朝:涌田美紀、安西くるみ、最上奈々、工桃子
昼:中島理子、本村明日香、吉江絵瑠奈、前川琴音
夜:上田実歩、瓜生遥花、長谷川琴音、花形悠月
夜中:榊優美枝、菊池彩美、大坪優花、木住野真菜美

「アルレキナーダ」
足立真里亜、樋口祐輝

「エスメラルダ」
伝田陽美、柄本弾
涌田美紀、安西くるみ、最上奈々、長谷川琴音

ー第2部ー
「ラ・バヤデール」より“影の王国”
ニキヤ:川島麻実子
ソロル:秋元康臣
ヴァリエーション1:中川美雪
ヴァリエーション2:三雲友里加
ヴァリエーション3:二瓶加奈子

ー第3部ー
「騎兵隊の休息」
秋山瑛、井福俊太郎

「タリスマン」
沖香菜子、宮川新大

「ライモンダ」より
上野水香、柄本弾
奈良春夏ー森川茉央、岸本夏未ー池本祥真、三雲友里加ー杉山優一
政本絵美ーブラウリオ・アルバレス、金子仁美ー岡ア司
加藤くるみー金指承太郎、中島理子ー樋口祐輝、榊優美枝ー和田康佑

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

いつもの神奈川県民ホールの公演と同様、無料のパンフレットが配られました。A4サイズでオールカラー、6ページほどの立派なパンフレット。キャスト表も目黒のときより詳しくて、ソリストまで載っていたのが嬉しかったです。目黒は子ども向けという位置づけなのかもしれませんね。そのため、キャスト表も見易く簡略化されていたのかもしれないな〜と思いました。

下手の舞台上にグランドピアノが設置され、ピアニストの生演奏に乗せて、作品ごとにタイトルと作曲家を紹介する映像が流れます。上演中も作品に合った背景が映し出されていました。気合の入りようにテンションも上がります。ただ、暗転しても背景の映像が消えないので、ダンサーたちが捌ける姿が見えてしまう場面もありました。彼らはもちろん綺麗に捌けているので、見苦しいということはありませんでしたが。

「ジョコンダ」の柿崎さんはまだ少し緊張気味な感じはしましたが、やはりあの美しいプロポーションには「おぉ〜」となります。ヴェールを掲げて登場するシーンは存在感がありました。おっとりした雰囲気も素敵。広い舞台を一人っきりで支配する力はもう一歩だったかもしれないけど、それはまだ仕方ないかな〜と。これからどう成長していくのか、どう起用されていくのか、ひたすら気になるばかりです。グランフェッテで徐々に上手に流れて行ってしまうのは、身体のバランスの問題なんでしょうか? 体幹? 
「アルレキナーダ」の足立さんが可愛かった〜♪ 軽やかな、小気味いい踊り。1回転ごとに人差し指を唇に当てるフェッテも余裕あり。彼女は技術もあるし、常に安定している印象があります。樋口さんも相変わらず爽やか♪ 開脚ジャンプも清々しい。

「エスメラルダ」の伝田さんがす〜ごくよかったです〜。こちらがあらすじを把握したという部分もあると思いますが、エスメラルダの切ない思いが溢れる踊りに、思わず引き込まれました。彼女の視線の先には間違いなくフェビュスがいたんです。彼女の踊りと眼差しで、フェビュスの存在が見えるようでした。グランゴワールの手を取り(ときにはタンバリンを介して)身体をぐぅぅっと伸ばす動きは、エスメラルダの引き裂かれそうな心の叫びを表現しているよう。その際にぎゅぎゅぎゅっと力の加わるポワンにも、感情が宿っているかのようでした。そして伝田さんの綺麗なパ・ド・ブレがエスメラルダの揺れる心を表現します。テンポが上がる終盤の力強い踊りでは、伝田さんの本領発揮という感じで、どんどん引き込まれました。
そんな切ないエスメラルダの背中を見つめるグランゴワールの弾さんもまた切なくて、そして優しい。自分の命を救ってくれたエスメラルダに対して「熱い思いを寄せ」るグランゴワールもまた、エスメラルダと同様、愛しい人の姿を追い続けます。タンバリンを差し出し、「さあ、踊って」と促す弾さんは、まるで「辛いだろうけど今は頑張って。元気を出して。」と言っているように優しげ。でも自分が踊るときは基本的に満面の笑みなのは、お目出度い婚約式の場で踊っているからなんだな〜と。その辺をちゃんと演じわけているのがいいな、と。それにしても、弾さんのグランゴワールがとてもよかったので、パンフレットの解説で「愛していない夫」という一言で片付けられているのが、なんか悲しかったです(苦笑)。

第2部の『ラ・バヤデール』影の王国は、事情によりまったく集中できず、、、。というのも、斜め前方の客席で小さな光がず〜っと点滅してるんです。どうやらお客さんのオペラグラスだったようなんですが、その白い光の絶え間ない点滅が視界の端に入ってしまい、どうしても気になる。「舞台に集中、集中」と自分に言い聞かせるものの、そう思えば思うほど集中できなくなるという、、、。己の意志の弱さを恨みましたよ、、、。
舞台は全く頭に入ってきませんでしたが、それでも川島さんのニキヤは本当に美しかったです。全幕で見たときより、さらに磨きのかかった美しさでした。秋元さんのヴァリエーションも、もう冴え渡っていたし、コール・ドが整列したとき、最前列の中央にいた政本さんと榊さんの凛とした佇まいも格好よすぎました。ヴァリエーションの3人もとてもよかったです。
点滅の主は、休憩中に周囲の方と係員の方に注意を受けていたようです。休憩後は点滅させていませんでした。

「騎兵隊の休息」も楽しかった! やっぱり秋山さん、素敵〜♪ 表情豊かなポール・ド・ブラが印象的。「アームスの中に宇宙を」という名言を持つ友佳理さんが、彼女を起用するのも頷けます。いつも通り秋山さんにニヤニヤしつつ、井福さんのヴァリエーションも会心の踊りだったのではないか、と。ブラボーでした。
「タリスマン」は、エッラとヌレディンのパ・ド・ドゥだと思っていたんですが、神奈川公演のパンフレットを読んで、ようやくそれがエッラと風の神のパ・ド・ドゥだということがわかりました。エッラが風の神とともに下界に下りていくときのパ・ド・ドゥだそうです。宮川さんは風の神だったんですね。なるほど、ジャンプや回転など、豪快な振付が多いわけだ、と。それで背景の映像も空と雲だったんですね〜。沖さんの伸びやかな踊り、宮川さんの豪快なテクニック。2人の息も合っていて、この日もとてもよかったです。

「ライモンダ」、いいですね〜♪ ソリスト級のメンバーを惜しみなく投入した8組16人は、もう誰を見ていいのかわからない楽しさ♪ 配られたキャスト表の男女の組合せが、実際とは異なっていたと思うんですが、気のせいでしょうか。出演しているメンバーは合っていたと思います。目黒では出演がなかった(子『ドン・キ』はメルセデスいないし)奈良さんを見られたのも嬉しい。最近の弾さんはますます頼もしいというか、初役でも落ち着いた舞台を見せてくれます。次は是非、川島さんでも見てみたいな〜と。あのヴァリエーションを踊る川島さん、きっと素敵だと思うんですよね〜。
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2018年09月15日

【大阪】第15回世界バレエフェスティバル全幕特別プロ『ドン・キホーテ』8月18日

世界バレエフェスティバル全幕特別プロ『ドン・キホーテ』大阪公演の感想を書きました。

第15回世界バレエフェスティバル全幕特別プロ
『ドン・キホーテ』全2幕プロローグ付5場
2018年8月18日(土)15:00 フェスティバルホール

キトリ/ドゥルシネア姫:マリーヤ・アレクサンドロワ
バジル:ウラディスラフ・ラントラートフ
ドン・キホーテ:木村和夫
サンチョ・パンサ:岡崎隼也
ガマーシュ:樋口祐輝
メルセデス:伝田陽美
エスパーダ:柄本弾
ロレンツォ:永田雄大

【第1幕】
2人のキトリの友人:三雲友里加 - 中川美雪
闘牛士:
  宮川新大、森川茉央、杉山優一、ブラウリオ・アルバレス
  和田康佑、金指承太郎、宮崎大樹、岡ア司
若いジプシーの娘:奈良春夏
ドリアードの女王:二瓶加奈子
3人のドリアード:政本絵美、榊優美枝、柿崎佑奈
4人のドリアード:岸本夏未、金子仁美、安西くるみ、足立真里亜
キューピッド:秋山瑛

【第2幕】
ヴァリエーション1:三雲友里加
ヴァリエーション2:中川美雪

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
協力:永井エコール・ド・バレエ

と〜ても楽しかったです! もうアレクサンドロワもラントラートフも素敵すぎ!! 幸せすぎて泣けてきました(笑)。気が付いたらずっとニヤニヤしっぱなし。そして急にジ〜ンとして涙するという(苦笑)。こんな幸せな舞台、なかなかないです。
2人はもうラブラブで息ぴったり♪  踊っているときもいないときもとってもチャーミングなアレクサンドロワを、ラントラートフが全て受けとめているようでした。愛されていることを知っていると、人はより自然に、魅力的に振る舞うことができる。そうして魅力的だから、さらに皆から愛される。それって、キトリとの共通点の一つだよな〜と思ったりしました。
アレクサンドロワの舞台には、客席との一体感があるような気がします。『ドン・キ』だからできるという部分もあると思いますが、例えばバジルが肩に置いた手を扇子で「こらっ」と叩くと、客席に向かって「ねっ♪」と笑顔で目配せをしてみせたりする。そうやってコミュニケーションをとり、客席を巻き込んでいく。観客も味方につけてしまうようなところがあるな〜と。もうアレクサンドロワなのかキトリなのか、その境界が曖昧になるというか、どうでもよくなる。と同時に舞台と客席の境界もなくなっていくような幸福感がありました。

アレクサンドロは言うまでもないんですが、ラントラートフがこんなに素敵なダンサーだとは知らなかったな〜。いや、前回のバレエフェスでも一緒に踊っているし、見たことはあるはずなんですが、私がその魅力に気付いていなかったのか、彼自身が変わったのか。いずれにしても、本っ当に素敵でした。キレのある踊りはパワフルだけどとても綺麗で、雑なところがないし、回転も自在で跳躍はフワッと高い。そして、アレクサンドロワに負けないくらい芝居っ気たっぷりの魅力的なバジル。彼女の芝居なのか素なのかわからないくらいの演技に、同じ高さのテンションとスピードで一緒に舞台を盛り上げてくれました。踊りにも演技にもサービス精神があって、でもそれがまったく下品じゃないところがいいよな〜と。揺れるブラウンの髪も素敵でした♪

もう2人の素敵な掛け合いは数えきれないくらいなんですが、オーケストラの演奏付きのカーテンコールで、2人が並んで階段を下りるとき、アレクサンドロワのチュチュをラントラートフがスッと押さえて、足元が見えるようにしてあげたんです。何その優しさ〜♪ そんなことまで気が付くなんて♪ 後で知ったんですが、彼らの前に階段を下りたダンサーが足を滑らせて転んでしまったらしいんですね。それがあったからだとしても、スマートすぎる♪ というか、転んだダンサーがいたことに気が付かなかった私はどこを見てたんだろうか、、。

東バの面々もとてもよかったです。パワフルで自由な2人にも柔軟に反応して、一緒に舞台を盛り上げてくれました。心なしか木村さんのドン・キホーテも東京より弾けていたような気が(♪)。もしかしたらいつもより予想外の動きが多くて、彼らにとっても新鮮な舞台になったのではないかと思いました。

プロローグでアレクサンドロワの姿が見えただけで、もうちょっと涙目(笑)。2人とも演技が大きいというか、華やか。まるで慣れたヴァージョンでも踊るかのように自然で、生き生きとしてました。
いまだにビックリするプロローグでのキューピッドの登場。流石に東京で見たばかりだったので今回は大丈夫でした。秋山さんのキューピッドが可愛い、、、♪ 東京では先に半分落ちてしまった兜。今回はなかなか割れず、木村さんが「えぇいっ(ぐりぐり)、えぇいっ(ぐりぐり)」と強引に剣を入れていました。ウケる、、、。

バルセロナの街にアレクサンドロワが登場すると、賑やかな舞台がより一層パッと華やかになります。もう踊りもお芝居も最初から全開! 見ている私の口は緩みっぱなし♪ 2人の熱気が舞台上に(ダンサーたちにも)一気に広がるようでした。バジルがキトリの足にタッチしようとする場面も、息の合った2人の絶妙な間合いが心地よく、周囲を囲む街の人たちの熱気も気持ちがよかった。ロレンツォとバジルの遣り取りも、なんか不思議なくらい息がピッタリで、本当に楽しい。いやもう、楽しかったことを書いたらきりがないというか、もういちいち楽しくて幸せ♪ 

樋口さんのガマーシュは、それほど嫌な奴という感じではなく、奇麗な腕の動きが印象的な、スマートなガマーシュでした。キトリに帽子を脱がされると、ハゲた頭を慌てて隠そうとするガマーシュが多いんですが、樋口さんは特に慌てる様子もなく、お付きに「おや、僕のハゲが出とるやないかい。帽子。」(大阪にいると頭の中が似非関西弁になります)みたいな感じで妙に落ち着いていて、それがかえって可笑しかった。弾さんのエスパーダもキメキメで格好いいし、伝田さんのメルセデスも妖艶で力強くて格好よかった! 女性だけど、伝田さんの感想にはいつも「格好いい」が入ってしまいます。そこが伝田さんの素敵なところなんですが♪ キトリの2人の友人もよかったです。中川さんの表情豊かなこと♪ 
東京ではなかなか上手く床に刺さらなかった闘牛士たちの短剣ですが、大阪では一発で全部刺さりました。と思ったら、一本倒れちゃった! 倒れた一本を見て、森川さんが金指さん(確か)の肩を叩き、「おいおい、お前の剣、倒れてるぜ」みたいな芝居。金指さんも「オーマイガー」みたいに返します。後ろの小芝居が楽しい♪

息の合ったパートナーシップでリフトもバッチリでした。舞台を一周しつつキトリを高く持ち上げるリフトも、3回とも頂点でパッと両手を離すラントラートフ。ところが、最初の片手リフトでは上でキープをせず。フワッと持ち上げて、キープせずにそのまま下ろすというのを2回。アレクサンドロワは持ち上げられるたびにスパーン、スパーンと開脚します。それを2回繰り返します。流石に片手リフトはキツイのかな、、、と思ったら、次の片手リフトは180度開脚してばっちりキープ。さらに次には、キープした状態から下の足をスッと曲げる余裕まで。徐々に難易度を上げるという憎い演出だったのね〜♪と。疑った自分を恥じました。グラン・パ・ド・ドゥ後の頭上リフトも、サラファーノフと同様、アレクサンドロワを頭上高くリフトしつつ、軽快にステップを踏みながら回転していました。再び疑った自分を恥じました。

キトリとキホーテ、バジルと三雲さん(確か)、ガマーシュと中川さん(確か、、)の3組が踊る場面では、女の子とイチャイチャしているバジルを見ると、客席のほうを向いて「グスン(泣)」という寂しそうな顔をしたキトリが可愛いかった。そのあとで怒って飛んでいくんですが、あの一瞬の「グスン」が可愛くて。客席に向かってやるのがいいんですよね〜。

野営地までの道行き(場面転換中)も、ラブラブな2人の踊りが素敵です。アレクサンドロワが遠慮なく思いきり身体を預けるのが印象的。ラントラートフも、彼女の身体が最大限まで伸びるよう、そしてダイナミックさを失わないようにサポートする。愛だな〜、と。
野営地では、キトリたちは下手のベンチに腰かけているんですが、途中で男性陣が立ち上がってベンチが広くなってしまうと、アレクサンドロワがメルセデスの伝田さんの隣にシュッと移動したんです。ピタッとくっつくくらい近くで親しげに話すアレクサンドロワ。確かに、仲のいい友達ならそうすることもあるかも。それがすごく自然で、さらに彼女の人懐っこさやちょっと寂しがりやなところも感じさせて、とても印象的でした。ジプシーたちの踊りを見ながらノリノリで楽しそうなアレクサンドロワも印象的。
嵐が起こり、ジプシーたちは退散。風車が回転を始めます。その風車に突進していくキホーテ。木村さんが捌けたらすぐに人形が落ちてきました。今回は落ちてくるの早かったな〜(苦笑)。

夢の場面のアレクサンドロワは淡い水色の衣裳。凛とした気品ある佇まいで、とっても素敵でした。クラシックチュチュでビシッと踊るアレクサンドロワは本当に格好よくて素敵。また「ライモンダ」とか見たいな〜などと思ってしまいました。上手奥から連続フェッテはダイナミック。イタリアンフェッテはやりませんでした。
二瓶さんのドリアードも安定した踊りとキラキラ感があり、とてもよかったです。秋山さんのキューピッドが猛烈に可愛い♪ しかも、可愛いだけじゃなくて、彼女はテクニックもあって、でもそれよりなんだか見ていると幸せな気持ちになるんですよね〜。

そして2幕。酒場のシーンのアレクサンドロワもとっても楽しそう♪ エスパーダのソロの中で、手で角を表現して、突進する闘牛を表現するような動きがあるんですが、ちょうど自分のほうへ向かってくるエスパーダに対して、胸に手を当てて「ズキューン!やられた〜♪」みたいなアクションをするアレクサンドロワがとってもお茶目。誰かが踊っているときは、もうノリノリ。場面が酒場ということもあり、野営地のときよりもさらに楽しげなアレクサンドロワ。しかもそれを、ラントラートフが隣で温かく見守っているのがまたいんですよね〜。
キトリがバジルの腕に飛び込む場面では、下手のラントラートフ目掛けて遠くから思い切り走ってきて、勢いよく腕にダイブします。もう何の躊躇もないところがいい。アレクサンドロワをキャッチしたラントラートフが2歩、3歩と移動するほどの勢い(笑)。思わず会場もどよめいて、本当に楽しい場面でした。
踊りも存在感もパワーアップした感のある弾さんは、酒場のソロもとてもよかったし、伝田さんの男前なメルセデスも格好よかった。やっぱり彼女のジプシーの娘も見たかったな、、、と。

酒場にロレンツォたちが現れ、慌てるキトリ。咄嗟に下手の端にいた山田眞央さん(確か)に「どうしよう!」と助けを求めます。しかし、アレクサンドロワに両肩を掴まれてしまった山田さんには、メルセデスが座る椅子を運ぶというお仕事があって、「大丈夫、大丈夫、任せといて」みたいな感じでキトリをなだめ、無事に椅子を運びます。もしかしたら山田さん的にも予想外だったんじゃないかしら、と。みんな上手く対応しますよね〜。

狂言自殺の場面のラントラートフも素敵でした。とってもお茶目なんだけど、所作がスマートで、どこか品がある。そして、バジルが死んでいないとわかった後のアレクサンドロワのお茶目なこと♪ パタパタと手で扇いでみたり、フーフーと息を吹きかけてみたり。ラントラートフもキトリの胸を両手でサワサワしたりと、なんだかとても楽しかったです。

グラン・パ・ド・ドゥのアダージオ終わりだったかしら、ちょっと自信がないんですが、2人が少し離れてポーズを決めたあと、普通ならお互いに歩み寄って中央でレベランスをすると思うんですが、アレクサンドロワが一向に動かない。もうその時点でこちらはニヤニヤしているんですが、もちろんラントラートフが迎えに行きます。手を差し出す。すると「うぅん」と否定するように首を横に振るアレクサンドロワ。反対の手を差し出すラントラートフ。ようやくその手を取り、2人仲良くレベランス、という場面があり、もうニヤニヤ、ホクホクしっぱなしでした。キトリとバジルでありながら本人たちの魅力も溢れた、本当に素敵なカップルでした。
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2018年09月01日

東京バレエ団<夏祭りガラ>8月24日

どうしても明日の(もう今日だけど)神奈川公演までにUPしたかったので、ちょっと雑ですが東バ<夏祭りガラ>の感想を書きました。

東京バレエ団 プティパ生誕200年記念<夏祭りガラ>
2018年8月24日(金)19:00 めぐろパーシモンホール

―第1部―
「ジョコンダ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:アミルカレ・ポンキエッリ

柿崎佑奈、ブラウリオ・アルバレス

朝、昼、夜、夜中のダンサーがそれぞれ4人、合計16人のコール・ドと、主演カップルによる作品。コール・ドは若手が多く、名前が判別できなくて残念、、、。確か最初の朝の4人が一番知っている顔だったような気が、、、。夜中に榊さんがいたかな。最近、記憶が、、。衣裳は新調したんですね。見たことのない新しい衣裳って、それだけでワクワクするなぁ、と。
柿崎さんが美しかった〜。やはり抜群のプロポーション。長い手足はまだちょっと持て余し気味かもしれないけど、どんどん舞台に慣れてくれればなぁと思います。フェッテもシングルながら頑張っていました。最後はもう1・2回は回れたかな〜という感じで切り上げましたが、きちんとまとめてくれました。スタイルがいいだけでなく、雰囲気のある人なので、成長が楽しみです。アルバレスも麗しかったです〜♪ 身長の高い2人なので、中盤に上手からリフトで登場したときには、その高さに「お〜」となりました。

「アルレキナーダ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ

中川美雪、樋口祐輝

2人ともとってもよかったです〜♪ な、中川さんが可愛い、、、(♪)。頭に小っちゃい三角帽子が付いてるし♪ 樋口さんはフワッとした白のブラウスに黒いリボン。それほど道化師という感じではなかったけど、爽やかで素敵でした。白のブラウス、似合うわ〜。とにかくキュートな遣り取りが微笑ましくて、見ていて幸せ。「ほら、あっち、あっち」と遠くを指差して、向こうを向いた樋口さんのほっぺにチュッとキスをする中川さん。決められた演出だとしても、可愛すぎる、、、。中川さんは軽やかで安定感のある気持ちの良い踊り。彼女の個性も生きていて、とてもよかったです。樋口さんは綺麗な踊り。どちらかというと回転系よりも跳躍系が得意なのかも。足がよく開くし、空中姿勢も綺麗です。
中川さんの衣裳の飾りが一つ落ちてしまったのを、カーテンコールの中で樋口さんが芝居っ気たっぷりにっ拾っていきました。中川さんもその芝居にちゃんと乗る。緞帳が閉まらず暗転だけで次の作品に入るから、あのタイミングしかなかったんだな、と。ちゃんと「アルレキナーダ」っぽいお芝居で拾っていったのがグッジョブでした。

「タリスマン」
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ

沖香菜子、宮川新大

宮川さんは片方の肩と胸が出ている衣裳。沖さんはチュニックっていうのかな、ストンとした細身のワンピースでした。色は2人とも淡いブルーグレー系(沖さんは光沢のある布地)。何かを語りかける沖さんに対して。「いいや」みたいな態度で聞き入れない風の宮川さん。あれは、天界に帰るために必要なお守り(タリスマン)を返してほしいとお願いするエッラと、彼女に帰ってほしくないがために返さないヌレディンという場面で合っているでしょうか。
流石の2人でした。安心して見ていられます。いや、前の2つが不安だったわけではないんですが。一緒に踊ることも多いので息も合っているし、雰囲気もいい。沖さんの踊りは本当に素直で伸びやか。見ていて気持ちがいいです。宮川さんもダイナミックでよかった。

「エスメラルダ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:チェーザレ・プーニ

上野水香、柄本弾

ガラ公演でよく踊られるパ・ド・ドゥではありませんでした。そういえば、チラシの水香さんの衣裳からして違いますもんね。衣裳といえば、水香さんはチラシで着ているブルー系の衣裳ではなく、赤い衣裳。よく見たら弾さんも少しデザインが違いました。
2人の他に、4人の女性も登場して一緒に展開します。エスメラルダの水香さんがとても悲しげに踊っていて、どういう場面なのか気になったので、休憩中にプログラムを買いました。恋する人フェビュスの婚約式で踊りを披露しているから悲しげだったのね〜と。じゃあ、弾さんは?と。あとで知ったんですが、エルメラルダがかりそめの結婚生活(4年間)を申し出て命を救った、詩人のグランゴワールとのこと。HPの作品紹介によると、「切なげにフェビュスの姿を目で追い続けるエスメラルダと、そんな彼女に熱い思いを寄せるグランゴワールとの、複雑な思いが交錯するパ・ド・ドゥ」なんだそうです。プログラムだけじゃなく、HPも読んでおけばよかった〜と、反省。

今回、水香さんを見ながら、うまく言えないんだけど独特な人だな〜と思いました。これが個性的ってことなのかなぁ。今回はちょっとエスメラルダの設定が私自身よくわかっていなかったので、よりそう思ったのかもしれませんが。東バに馴染んできたような気はするんですが、やはりどこかゲストのような雰囲気がいまだにあるんですよね。いい意味で異質。最近のインタビューで、同世代がいなくなってしまって寂しくなるときもある、というようなことを語っていたので、むしろこのまま孤高の存在でいいんじゃないかなと思ったりしながら見ていました。

作品は、4人のソリストもいて、なかなか面白く見ました。水香さんのポワントを駆使した踊りも印象的。2人が手を取るのではなく、タンバリンを介してサポートしたりする振付も印象的でした。弾さんもすごくよかった♪ 女の子たちの持っているタンバリンを順に叩く場面とか、微笑ましくて楽しかったです。

―第2部―
「アダージェット」
振付:ブラウリオ・アルバレス
音楽:グスタフ・マーラー

川島麻実子、岡ア司
岸本夏未、森川茉央
金子仁美、海田一成
上田実歩、山田眞央
瓜生遥花、山下湧吾

東京バレエ団の振付家育成ジェクト<Choreographic Project V>から生まれた作品。今年の2月に開催されたスタジオパフォーマンスで観客賞1位を獲得したそうです。
美しい作品でした。白いパンツの男女10人(女性は上半身は肌色のレオタード)。V字に座った5人の女性のそれぞれの後ろに男性が横たわっている幕開きの美しさが印象的。女性たちが持っていた赤い布は、最後には白い布に。浄化のような感じなんでしょうか。序盤に短いデュオを踊ったのが岸本ー森川、ラスト手前が瓜生ー山下、最後が川島ー岡崎だったと思うんだけど、ちょっと若手は自信がない、、、。森川さんがパッションを感じる踊りで好演。川島さんの美しさは作品の要。たぶん瓜生さんだと思うんですが、コンテンポラリー向きっぽい、いい踊りをしてました。女性5人で踊る場面でも、ちょっと目を引く気になる踊りでした。

「パキータ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス

プリンシパル:二瓶加奈子、秋元康臣
第1ヴァリエーション:政本絵美
第2ヴァリエーション:伝田陽美
第3ヴァリエーション:三雲友里加
ソリスト:
  秋山瑛―安西くるみ
  政本絵美―加藤くるみ
  伝田陽美―榊優美枝

楽しかったです〜♪ いいですね〜、「パキータ」♪ 二瓶さんは堂々たる踊りと輝き。前回もよかったけど、さらに貫禄が増した印象でした。前半にダブルを入れたフェッテも安定感がありました。秋元さんが素晴らしいのは言うまでもなく。6人のソリストにもホクホク♪ 6人が前列に並んで踊る様子に、なんだか癒されてしまった。折り目正しい丁寧な踊りが素敵な第1ヴァリの政本さん。伝田さんの高いジュテ、バネのある強靭な踊りはもちろん、舞台を明るくする力も素敵です。キャスト表では第3ヴァリは榊さんになっていたんですが、三雲さんが出てきたのでビックリしてしまった。榊さんは普通にソリストいるから怪我ではないし。単なるミスプリでしょうか。ちょっとビックリして集中を切らしてしまった(苦笑)。三雲さんはとてもよかったです。

そして、「パキータ」の音楽(確か)で全員登場のフィナーレへ。それぞれのペアが少しずつ踊りを披露して、華やかに幕を閉じました。
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