2017年09月13日

東バ<20世紀の傑作バレエ>3日間。

東京バレエ団<20世紀の傑作バレエ>の公演に、3日間行ってまいりました。とっても楽しかったです♪ いいプログラムだった〜。ベジャールの「春の祭典」は何度見ても飽きないし、キリアンの「小さな死」は初めて全編を見たんですが、とてもいい作品でした。ダンサーたちのパフォーマンスもよかったし、是非再演してほしいです。プティの「アルルの女」は、正直、「水香さんのためにレパートリーに入れたんだろうな、、」なんて、ちょっとひねくれた見方をしていたんですが、実際そういう側面もあるとは思うけど、全編を見る貴重な機会になったし、作品としても面白かった。何より、川島さんのヴィヴェットと弾さんのフレデリを見ることができたのが嬉しかったです。登場人物が少ないので、全員がプティの作品に触れることができたかどうかはわかりませんが、新しい振付を踊ることで必ずやダンサーたちが成長できるに違いないという、友佳理さんの信念を信じたいと思いました。セットも比較的シンプルだし、登場人物も多くないし、抜粋でも上演できるし、全国公演に持って行きやすいんじゃないかな〜と思ったんですが、今はギエムのツアーがないから、東バが全国でガラを上演することって、あまりないんですよね、、。ボッレが来るまでは秋元さんが水香さんのパートナーとしてリハーサルに参加していたようなので、いつか秋元さんのフレデリも見られるかな〜なんて思ってしまいました。

とりあえず、ツイッターの字数制限の140字で感想いきます。サクッと書こうと思うと、どんどん止まらなくなっちゃうんだけど、じゃあちゃんと感想書こうと思うと止まっちゃうんですよね、、、。なので、作品ごとに140字で!(謎の縛り・・・)。

「小さな死」
流麗で美しい作品。1stキャストでは、ダンサーの充実を実感。今このメンバーで見られる幸せを噛みしめた。2ndキャストは所々ぎこちないところがありつつも、瑞々しくてよかった。ただ、2ndの中で唯一1stの崔&アルバレスが頭一つ出てる感はある。東バの女性陣は静謐な雰囲気の作品が合う。

「アルルの女」
ボッレの変わらぬ若々しさに、42歳と知り驚く。ファランドールは美しかった。水香さんは私的に苦手な部分が控えめでよかった。ぶりっ子しない彼女のほうがいい。川島さんのヴィヴェットが切なくて美しかった〜。弾さんはドラマチックで若さ溢れるフレデリ。ファランドールでは舞台を支配していた。

「春の祭典」
3日間、総じてGOOD! 奈良さんがすごくよかった〜。岸本さんは弱いというよりピュアな印象。伝田さんは若々しく生命力ある生贄で格好いい。入戸野さんの弱っちい(褒めてます)生贄もよかった。理恵さんの、表面張力のように張り詰めた空気が印象的。それがこぼれた後半がまたよかった。
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2017年09月08日

小林紀子バレエシアター第112回公演<マクミラン没後25周年記念公演>8月26日

8月の小林紀子バレエシアター<マクミラン没後25周年記念公演>の、初日の公演を見てまいりました。相変わらず期待を裏切らない、興味深いトリプル・ビル。それにしても、『The Invitation』、『ザ・レイクス・プログレス』、『マノン』、『アナスタシア』等、そして今回の『春の祭典』も、小林紀子バレエシアターの意気込みを感じる上演を見るのは本当に気持ちがいいです。

小林紀子バレエシアター第112回公演<マクミラン没後25周年記念公演>
2017年8月26日(土)17:00 新国立劇場オペラパレス

「バレエの情景」
振付:フレデリック・アシュトン
ステイジド・バイ:アントニー・ダウスン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
美術:アンドレ・ボールペール

  萱嶋みゆき
  アントニーノ・ステラ
  上月佑馬、冨川直樹、荒井成也、望月一真

LA FIN DU JOUR」(ラ・ファン・ドゥ・ジュール)
振付:ケネス・マクミラン
ステイジド・バイ:アントニー・ダウスン
音楽:モーリス・ラヴェル
美術:イアン・スパーリング

  島添亮子、高橋怜子
  アントニーノ・ステラ、ジェームス・ストリーター

ピアノ演奏:中野孝紀

「春の祭典」
振付:ケネス・マクミラン
ステイジド・バイ:アントニー・ダウスン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
衣裳デザイン:キンダー・アグジニー

第1部 大地の礼賛
第2部 生贄の儀式

  生贄:望月一真


「バレエの情景」

女性陣のモダンな衣裳が可愛い。プリンシパルは黄色、コール・ドは水色。どちらかというと水色の衣裳のほうが好みでした。萱沼さんは華やかな人。実は難しそうな振付を、サラサラてきぱき、そしてエレガントに踊っていきます。アントニーノ・ステラは陽性の雰囲気があって素敵。それにしても、男性プリンシパルの踊りの、ザンレールの多いこと。ステラの、スプリングのように弾むザンレールが印象的でした。
「バレエの情景」はフォーメーションが面白くて、見ているのが楽しい。男性のソリスト4人を、どうしてそこは3対1でわけたの?とか。いろいろと興味深かったです。4人のソリストのうち、一番背の高い彼が、この日「春の祭典」で生贄を踊った望月さんではないかな、と。
それにしても、小林紀子バレエシアターの女性陣はポワントの音がほとんどしません。使っているポワントの違いなのか、床の違いなのか。でも、他の会場で見てもいつも音がしないので、少なくとも床は関係がない。今回は男性陣の着地音が静なのも印象的でした。

「LA FIN DU JOUR」

なんだか不思議な作品でした〜。特に衣裳。というか衣裳。もし普通の衣裳で踊っていたら、印象は違ったんでしょうか?
タイトルの「LA FIN DU JOUR」(ラ・ファン・ドゥ・ジュール)は、「日の終り」とうい意味だそう。登場人物は、「1930年アールデコ時代の華麗なる有閑階級」の人たちです。そして衣裳は全員スポーツウェア。ゴルフ、テニス、水泳、etc。スポーツを楽しんだ後の一時、という感じ。スポーツにはお金がかかるわけで、当時はお金持ちの娯楽だったのかもしれません。最初は「なんでスポーツ?」と思ったんですが、つまり、スポーツウェアを着ているということが、イコール有閑階級とういことなんだなと思いました。でも、主演の女性陣2人の衣裳がちょっと謎でした。最初は水着だと思って見てたんですが、よく見ると水泳のキャップではなく、パイロットキャップ(ゴーグル有り)なんです。謎〜。私が無知なだけで、何かああいうスポーツがあるんでしょうか?
ラヴェルの音楽に乗せ、一部の特別な階級の人たちが、他と一線を引いた閉ざされた空間で、現実と切り離された時間を過ごしているような作品。優雅で華やかだけど、どこか儚くて、少し暗い。時代の閉塞感のような、やや陰鬱な空気が漂います。三方を高い壁のような装置で囲んだ舞台も、その閉塞間を表現していたのかもしれません。外へ繋がる唯一の扉は、しかし最後に女性の手によって閉められてしまいます。
5人の男性が一人の女性をリフトする場面などは、「マノン」を思い出させて、マクミランぽいな〜と思うところでもありました。もう一人のゲスト、ジェームス・ストリーターも陽性の雰囲気のダンサー。踊りはややステラのほうが丁寧だったような気がします。
しかし、どんな衣裳でも、「何か?」みたいに涼しい顔して踊りこなす(そして着こなす)小林紀子バレエシアターのダンサーたちは天晴れでした。

「春の祭典」

「LA FIN DU JOUR」も初演でしたが、やはり「春の祭典」が今回の見所と言っていいのではないでしょうか。
とにかく、群舞。群舞!群舞!群舞!です。実際、何人いたんだろうか? 圧倒的な量の群舞が主役と言ってもいいかもしれません。衣裳はロイヤルのオレンジ色のものではなく、黒いタイツに赤茶色の文様が縫い付けられている衣裳でした。ロイヤルの鮮やかなオレンジにスキンヘッドという異様な感じに比べると(写真でしか見たことないけど)、ややスタイリッシュだったかもしれません。群舞の踊りは、一人一人の動きが格好いいかと言ったら、そうではなく、やはり全員で動くから面白い、という感じでした。
ベジャールの野生ではなく、とても原始なイメージ。民族的な要素が強かったです。圧倒的な群舞と神秘的な儀式が、選ばれし者を生贄へと導くトランス状態のラストまで、目が離せませんでした。

前半は群舞。おそらく生贄の男性(翌日は女性でした)も混ざっていると思うんですが、人数が多くてメイクもしている上に、東バほどダンサーを認識していないので、どこにいるかは本気でわからず。それもまた面白い体験ではありました。顔を知っていると、「あ、あそこにいる」とか考えちゃったりするので。
後半は儀式。群舞が半円形に舞台を囲み、中央には儀式を取り仕切る3人の人物がいます。群舞とは衣裳が違い、踊ることもありません。この3人のお偉いさんが、ちょっと面白かったです。全員がグルリと周囲を囲んで見守る中、数人の男性が中央で踊ります。やがて、お偉いさん3人が歩み出てきて、一人の男性に手をかざし、音楽と光と手のひらの動きが融合し、彼が生贄に選ばれたことがわかります。翌日は女性が生贄を踊ったので、その場合、選ばれる前に数人の生贄候補たちが踊る場面は、全員女性なのかどうか、非常に気になりました。
ベジャールのように、強い、あるいは弱いといった「個性」で選ばれた生贄ではなく、神の意思とでもいうべきもので選ばれた生贄。儀式と踊りの中でもっともトランス状態に陥ったものが、神が降りてきたと見なされて選ばれたような、そんな感じでした。
生贄のソロがあり、再び群舞が躍動し、最後は舞台中央に倒れた生贄を群舞全員で掲げて、幕。
生贄は大役だな、と。群舞も見所とはいえ、やはり一人で踊る生贄の重圧はどれほどだろうか、と。思わず、生贄に化せられた重圧と注がれる視線を、ダンサーのそれと重ね合わせてしまいました。初日に生贄を踊った望月一真さんは、とてもよかったです。虚ろに見開いた目が印象的でした。
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2017年09月05日

東京バレエ団『ラ・バヤデール』全3幕 2017年7月2日

そして、3日目。東バの『ラ・バヤデール』の感想です。今週末の<20世紀の傑作バレエ>の前にUPしたかったので。初日と中日に関しては、公演後にある程度書いていたので記憶を辿りやすかったんですが、もう3日目に至っては何もメモがなかったので、感想と言えるほどのものは書けず、、、とりあえず、キャストだけでも残しておければな、と。

東京バレエ団 マカロワ版『ラ・バヤデール』全3幕
2017年7月2日(日)14:00 東京文化会館

ニキヤ(神殿の舞姫):上野水香
ソロル(戦士):ダニエル・カマルゴ
ガムザッティ(ラジャの娘):川島麻実子 → 奈良春夏

ハイ・ブラーミン(大僧正):森川茉央
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):岡崎隼也
アヤ(ガムザッティの召使):矢島まい
ソロルの友人:和田康佑
ブロンズ像:宮川新大

【第1幕】
侍女たちの踊り(ジャンベの踊り): 二瓶加奈子、三雲友里加
パ・ダクシオン:
  沖香菜子、岸本夏未、浦由美子、中島理子
  伝田陽美、三雲友里加、政本絵美、崔 美実
  宮川新大、ブラウリオ・アルバレス

【第2幕】
  影の王国(ヴァリエーション1): 足立真里亜
  影の王国(ヴァリエーション2): 伝田陽美
  影の王国(ヴァリエーション3): 政本絵美

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

3日間たっぷり堪能したので、終ってしまった寂しさが大きかったです。この日、ガムザッティを踊る予定だった川島さんは、右足指剥離骨折のため降板。代役は奈良さんでした。川島さんのガムザッティをとても楽しみにしていたので残念でしたが、奈良さんのガムザッティはこの日もとっても素敵でした。踊りも美しさも進化している気がします。イタリアン・フェッテのときの、なんとも晴れやかな笑顔が印象的。奈良さんはカーテンコールでもすごくいい笑顔をしていました。
舞台全体としては少し不安定な部分もあり、やや疲れが出たのかな〜と。一番ヒヤッとしたのは、2幕の水香さんとカマルゴ。サポートのタイミングが合わなかったのか、失敗とまではいかないけど、結構グラっとしたので、一瞬ヒヤリとしました。2幕のコール・ドは3日間ともバッチリでした。
熱い演技の岡崎マグダヴェーヤもよかったし、友人の和田さんも素敵だったし、宮川さんはこの日もブラボーだったし、ヴァリエーションの3人もフレッシュでとてもよかったです。そして何より、自分の娘(ガムザッティ)に胸熱な木村ラジャが最高でした♪ 自分の娘で酒が飲めるという。ソロルとのパ・ド・ドゥを見ながら、娘の姿に胸を熱くし、酒が進む、進む。3幕のパ・ド・カトル(と言っていいんでしょうか)でも、ガムザッティに対してのサポートや眼差しが優しくて、娘には本当に優しいパパでした。
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2017年09月04日

東京バレエ団『ラ・バヤデール』全3幕 2017年7月1日

続いて、2日目の感想。2ヶ月前の東バの『ラ・バヤデール』の感想です。

東京バレエ団 マカロワ版『ラ・バヤデール』全3幕
2017年7月1日(土)14:00 東京文化会館

ニキヤ(神殿の舞姫):川島麻実子
ソロル(戦士):柄本 弾
ガムザッティ(ラジャの娘):伝田陽美

ハイ・ブラーミン(大僧正):ブラウリオ・アルバレス
ラジャ(国王):森川茉央
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):井福俊太郎
アヤ(ガムザッティの召使):矢島まい
ソロルの友人:宮川新大
ブロンズ像:入戸野伊織

【第1幕】
侍女たちの踊り(ジャンベの踊り): 政本絵美、崔美実
パ・ダクシオン:
  金子仁美、中川美雪、秋山 瑛、足立真里亜
  吉川留衣、二瓶加奈子、加藤くるみ、波多野渚砂
  岸本秀雄、和田康佑

【第2幕】
  影の王国(ヴァリエーション1): 秋山 瑛
  影の王国(ヴァリエーション2): 三雲友里加
  影の王国(ヴァリエーション3): 二瓶加奈子

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

東バ『ラ・バヤデール』2日目は、待望の川島さんのニキヤデビューでした。それはもう至福のときでした〜。
友佳理さんが芸監になってから、プログラムの挨拶文を読むのを何気に楽しみにしてます。今回もまた舞台芸術に対して真剣な、そして愛情あるコメントでした。特に、川島さんに言及している部分では、彼女のことを「心強い存在となってきた」と表現していて、「心強い存在」と言い切らないところに、友佳理さんの厳しさと優しさを感じて、とても印象的でした。

とにかくニ川島さんが美しかったです。彼女のニキヤは、大袈裟じゃないのに、とても雄弁。指先から足の先まで、無駄がなく流麗で、一挙手一投足に意味があり、ニキヤが宿っているようでした。いや本当に、終始ウットリ。初役を演じるたびに予想を超える完成度で感動させてくれる川島さんを、毎回のように「やっぱりすごい人かも」と思ってしまいます。この日の川島さんも確かに素晴らしくて大感激したんですが、彼女ならもっと上を目指せると思ったんです。どこが駄目だったとかじゃなくて、なんとなくそう思った。川島さんをもってしてもニキヤって難しいのかなぁ、と。ところが、翌日に知ることになったんですが、この日の川島さんは右足指の剥離骨折をおしての出演だったそうで、「彼女ならもっと上を目指せる」と思ったのは、その辺りの影響もあったのかなと思いました。それであの完成度って、川島さんってすごい人かもと、やっぱり思ってしまいました。

すっかり頼れる存在になった弾さん。やっぱり、場数を踏むって大事なんだなと思ったりしました。一番安心して見ていられるのが弾さんだったという意味では、弾さんが川島さんと伝田さんの2人をを支えている部分もあったのだと思います。そしてやはり、サポートが上手いというのは、きっとパートナーも、そして見ている私たちも安心できる部分だと思います。今回、キャスト表の裏にシュツットガルト公演の現地評が載っていたんですが、弾さんについて、「天の星を取ってあげるかのように、軽々とリフトしていた」という表現があり、とても印象的でした。確かに、正面から走ってきた川島さんを頭上高くリフトしたとき、持ち上げるというより、伸ばした腕の先に川島さんを捕まえたみたいというか、弾さんの腕に川島さんが舞い降りたみたいな、そんな浮遊感があり、まったく力みを感じさせなかったんです。ダイナミックで華のある踊りも、情熱的な演技も、とてもよかったです。

伝田さんのガムザッティもよかったです〜♪ 気が強くて、賢いお嬢さま。2幕のソロルとのパ・ド・ドゥでは、しなやかで強い身体と高い身体能力から生み出される技術力を、遺憾なく発揮。伝田さんにしては、やや緊張してるかな〜という感じがしなくもなかったんですが、この日も実に清々しい踊りっぷりでした。弾さんとの並びは、ちょっと新鮮でよかったです。パ・ド・ドゥの最中、心晴れない様子のソロルが、スッと踊りの場を離れます。弾さんのソロルは巫女のポーズを真似て、ニキヤを思っていることを表現します。なかなかそこまではっきりと表現するソロルはいなかったと思うんだけど、わかりやすいっちゃあ、わかりやすい。何より、弾さんの試行錯誤が窺えたのがよかった。そんなソロルに、ジリジリ、ジリジリと詰め寄るガムザッティ。思わず後ずさりするソロルのほうへ手を伸ばし、頬に触れ、踊りの中に連れ戻します。印象的な場面でした。
伝田さんが踊ると、3幕のソロがときどきコンテンポラリーのように見えるから不思議です。ポワントで立った状態からフワッと次の動きに移行するとき、一瞬オフバランスに見えるような瞬間があって、その溜めの部分にガムザッティの複雑な心情が乗っているようでした。

アルバレスの大僧正は、その風貌が格好いいことは言うまでもなく。なんでも似合っちゃうのね〜。とても威厳のある佇まい。聖人の仮面の下に狡猾さを隠したような大僧正で、とてもよかったです。ニキヤのヴェールを外した瞬間、「んはぁぁぁっ」と大きめにトキメクも(ちょっと面白い)、慌てて冷静な態度に戻ります。彼女が踊っている最中は、彼女の存在を全身で感じながら、胸の高鳴りを表すように大きく胸で域をするのが印象的。そして周囲に気付かれぬようにヴェールの香りを嗅ぎ、袖に隠します。2人の逢引を目撃した後の怒りは、結構怖い。普段は威厳があり、落ち着いた立派な人物だけに、怒ると本気で怖い、、、みたいな幕切れでした。そして、ラジャに密告したあと、立ち去るラジャに「違う、違う、そうじゃ、そうじゃない」と、ニキヤに手を下してほしいのではないということを、何度も何度も訴える姿が印象的でした。

2幕、毒蛇に噛まれたニキヤを残してソロルが去る場面。初日のカマルゴは身体ごとニキヤのほうに振り返ったのが印象的だったんですが、弾さんはニキヤのほうにやや顔を向けそうになるも、振り向かずに消えていきました。その、力なく丸めた肩が消えていくのを見つめるニキヤ。あの後姿が最後に見た愛する人の姿だと思うと、とても切ない。何もかもに絶望したように首を横に振り、解毒剤の瓶を捨て息絶えるニキヤ、、、。ニキヤの恐ろしいほどの絶望感が伝わってきて、グッと心を掴まれる瞬間でした。
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東京バレエ団『ラ・バヤデール』全3幕 2017年6月30日

公演から2ヶ月経ってしまいましたが、東バ『ラ・バヤデール』の感想です。

東京バレエ団 マカロワ版『ラ・バヤデール』全3幕
2017年6月30日(金)18:30 東京文化会館

ニキヤ(神殿の舞姫):上野水香
ソロル(戦士):ダニエル・カマルゴ
ガムザッティ(ラジャの娘):奈良春夏

ハイ・ブラーミン(大僧正):森川茉央
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):入戸野伊織
アヤ(ガムザッティの召使):矢島まい
ソロルの友人:和田康佑
ブロンズ像:宮川新大

【第1幕】
侍女たちの踊り(ジャンベの踊り): 二瓶加奈子、三雲友里加
パ・ダクシオン:
  沖香菜子、岸本夏未、浦由美子、中島理子
  伝田陽美、三雲友里加、政本絵美、崔 美実
  宮川新大、ブラウリオ・アルバレス

【第2幕】
  影の王国(ヴァリエーション1):中川美雪
  影の王国(ヴァリエーション2):三雲友里加
  影の王国(ヴァリエーション3):二瓶加奈子

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

とってもいい公演でした。
格好良かったです〜♪、奈良さん(ガムザッティ)が! いや、ゲストのダニエル・カマルゴはもちろん素敵だったんですが、なんと言っても初日は奈良さんの格好良さに尽きました。初演からガムザッティを踊っているだけあって、さらに深く奈良さんの中にガムザッティが入り込んでいるようでした。
この日、会場の拍手が大きかったな〜と感じたのは、1幕のマグダヴェーヤの踊り(入戸野さん)、2幕の第1ヴァリエーション(中川さん)、そして3幕のブロンズ像(宮川さん)でした。

入戸野さんのマグダヴェーヤがとてもよかった。いつもシャープな印象の入戸野さんですが、今回は力強い踊りが印でした。細かな演技も丁寧でわかりやすかった。1幕ソロでは大きな拍手が起こりました。2幕冒頭では、ソロルのベッドを丁寧に整える入戸野マグダヴェーヤ。枕をきちんと並べます。ダンサーによっては枕には触らなかったり、触るけど綺麗に並べるわけではなかったり、それぞれでした。水タバコを吸ってウットリ〜とう演技も丁寧。

森川さんの大僧正は、あの憎めない小者感がいいんですよね〜♪(褒めてます)。ニキヤとソロルの逢い引きを目撃して、炎の前で怒りを露わにする幕切れの場面では、ちょっと駄々っ子じゃないけど、感情を抑えられなくて「やだ、やだー!」っていう感情が表情に出ちゃうのが面白いです。

宮川さんはブロンズ像とパ・ダクシオンで活躍。パ・ダクシオンでは、以前よりも着地の「ドスン」がなくなった気がしました。ブロンズ像では、ともてクラシカルな踊り。しなやかで、ブロンズの重さを感じさせる踊りが印象的。踊りが重たいという意味ではなく、軽やかというよりは重厚感があってよかったです。最後、階段を駆け上り、元の位置に座ってポーズをする際、余裕があって音楽にピッタリと合わせたのがとてもよかった。いつもちょっとヒヤヒヤするのは私だけでしょうか、、。

2幕のコール・ドは本当によく揃っていて、素晴らしかったと思います。腕の角度や、上げる脚の高さが揃っていうるのは言うまでもなく、動きの繋ぎの部分っていうんでしょうか、振りの最初や最後のちょっとした動きまでピッタリで、見ていてウットリでした。ああいう繋ぎの部分の動きまでピッタリということは、呼吸が一致しているということですよね。もう純粋に、すごいなぁと思ってしまいました。先頭で下りてきた比較的長針のダンサーが、誰だかわからなかったんですが、どうやら柿崎さんだったようです。

第1ヴァリエーションを踊った中川さんがとってもよかったです♪ 本当に、会心の踊りではなかっただろうかと。彼女の持ち味を生かした明るく軽やかな踊り。とにかくステップが弾むように軽やかで、ポワントが床に着いている時間が短く感じるほど。床に着いているときでさえ、触れている部分に体重がかかっているとは思えないような軽やかさでした。後半ではさらに、しっかりとしたポワントの安定感も見せてくれました。あ〜、幸せだった♪
第2ヴァリエーションの三雲さんは、安定感のある伸びやかな踊りで、ゆったりしたテンポでのバランスも余裕があり、底力を証明した感がありました。第3ヴァリエーションの二瓶さんも、安定したテクニックと伸びやかな踊り、そして華のある存在感を遺憾なく発揮。二瓶さんはソロを踊るようになってから、常に安定した踊りを見せてくれる、すごいなぁといつも思います。3人ともとてもよかったです。

2幕のラスト、婚礼の衣裳でソロルに歩み寄る奈良ガムザッティが、ソロルを責めたり、決意を促すような強い表情ではなく、悲しげな表情をしていたのが印象的でした。奈良さんの、そういう女性らしい表現をするところも大好き。

水香さんは流石だな、という印象。初演から演じているだけあって演技にも迷いがなく、とても感情がハッキリしているし、テクニックでも見せられるし、華もある。2幕のヴァリエーションでは、ピルエットを繰り返しながら後方に下がっていくところで、ややバランスに安定感を欠く部分も見られたけど、それも3日目には完璧に修正してきて格好いいな、と。ただ、水香さんのニキヤに心揺さぶられるかというと、私は彼女はキトリとかのほうが好きかもしれません。婚約式の場面のソロで、ポワントのバランスを披露してくれるんだけど、あれをやられてしまうとその瞬間「ニキヤ」ではなく「上野水香」になってしまうので、私としては感情移入できない部分でもありました。

ダニエル・カマルゴは踊りもマナーも素晴らしく、終始丁寧な佇まいは好青年という印象。サポートやリフトも申し分なく、自身の踊りの見せ場ではサービス精神も忘れない。見る価値のあるダンサーだなと思いました。水香さんのニキヤの情熱に応え、敬意を持って接している、そんな様子も高感度が高かったです。
1幕のラスト、毒蛇にかまれたニキヤを残してガムザッティと去る場面で、カマルゴのソロルが身体ごとニキヤの方を向いたのが印象的でした。振り向かないソロル、顔だけ振り向くソロルなど、ダンサーによって様々ですが、身体を180度回転させて、ニキヤと正面から向き合ったソロルは初めて見たかもしれません。あれは、ニキヤへの断ち切れない思いを表していたのでしょうか。正面で対峙した瞬間だけ、2人の時間が流れたような気がしました。そして、小さく首を横に振ると、ニキヤに背を向けて消えていきます。首を横に振ったソロルの心情が、「違うんだ」なのか、「仕方ないんだ」なのかはわかりませんが、とても悲しい仕草でした。
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2017年08月31日

東京バレエ団 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』8月23日 夕方【小金井】

東バ、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』、小金井の夕方公演の感想です。1ヶ月にわたる全国公演のラストを飾る公演でした。

東京バレエ団 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』 【小金井】
2017年8月23日(水)16:00 小金井 宮城楽器ホール

オーロラ姫:秋山瑛
デジレ王子:宮川新大
リラの精:崔美実
カラボス:吉川留衣
カタラビュット(式典長):岡崎隼也
王さま:木村和夫
王妃さま:矢島まい

<プロローグ・第1幕>
優しさの精:金子仁美
やんちゃの精:最上奈々
気前よさの精:足立真里亜
のんきの精:中島理子
度胸の精:中川美雪

4人の王子:杉山優一、ブラウリオ・アルバレス、宮崎大樹、安楽葵
オーロラの友人:加藤くるみ、波多野渚砂、菊池彩美、柿崎佑奈

<第2幕>
フロリナ王女と青い鳥:足立真里亜、井福俊太郎
白い猫と長靴をはいた猫:中川美雪、高橋慈生
赤ずきんとおおかみ:中島理子、永田雄大
シンデレラとフォーチュン王子:加藤くるみ、宮崎大樹
白雪姫:波多野渚砂

オーロラの秋山さんが、か、可愛い、、、、(♪)。可愛いだろうなぁとは思ってたけど、想像以上の可愛さでした〜。気が付いたら、あまりの可愛らしさに目を細めて見ている自分がいました。やっぱり、オーロラを踊る資質ってあるよな〜と、ふとそんなことを思ってしまいました。いや、イメージの違う役を踊りきることに一つの醍醐味があることは間違いがありません。その感動は何ものにも変えがたいものがあります。だから、どちらが良いというわけではなく、オーロラを踊る資質って確かにあるよな〜と思ったんです。そんなことを考えさせる、彼女のオーロラでした。
もちろん、ただ可愛らしかっただけではなく、技術も風情もしっかりあって、全幕ではないとはいえスタミナも切れなかったし、素晴らしいデビューだったと思います。秋山さんも昼公演の金子さんも、実に落ち着いていて素晴らしいなぁと思ってしまいました。ツアーの序盤だったら少し違ったんでしょうか。
それにしても、父親(木村さん)を見上げる表情が可愛くて、思わず私まで父親目線に(苦笑)。プロムナードのときも、次の王子の手を取るまでは手元を見ているんだけど、無事に手を取った瞬間、王子の目を見て微笑むんです。それがもう健気で可愛すぎて♪ オーロラと王子たちがプロムナードでアイコンタクトを取るあの瞬間が、結構好きだったりします。

デジレ王子の宮川さんも丁寧な踊りでよかったです。宮川さんのザンレールは美しい。本当に綺麗に5番に入りますよね〜。。「5番、5番」とうるさくてすみません(苦笑)。サポートもよかったし、秋山さんとのユニゾンも綺麗でした。コーダの終盤、2人が並んでアラベスクで下がっていくところも、2人の動きがぴったりで素敵でした。

カラボスは吉川留衣さん。彼女がカラボスのキャストに入っていると知ったときは驚きました。これまでの役柄とは対極にあると思えたからです。吉川さんといえば、ベジャールの『ドン・ジョヴァンニ』のシルフィードをいつも踊っていて、まさにそんなイメージの人。今度の12月のベジャール版『くるみ割り人形』でもセクシーな妖精を踊るし、友佳理さんの采配って興味深いな〜と。「いや、待てよ」と。シルフィードって、男性を誘惑する存在でもありますよね。『ドン・ジョヴァンニ』のシルフィードもそんなコケットの象徴だったかもしれない。吉川さんの清楚な佇まいの中に、無自覚に男性を魅了する要素を見出していたのかもしれないですね。
で、吉川さんのカラボスですが、とっても美しかったです〜♪ 真っ赤な唇がとってもセクシー。吉川さんのカラボスは佇まいから何からとにかく美しくて、決して弱々しい振る舞いはしません。リラの精が登場しても、マントで身を隠そうとしたり、力が弱まるような様子は見せず、常にピシッと背筋を伸ばし、やや動揺しつつも毅然とした態度を崩さない吉川カラボスは、とても素敵でした。いかにも悪役という感じではなく、善と悪の世界が対等に存在している感じがしたというか、世界の違う美しい女性が2人存在している、そんな感じでした。

そして、楽しみにしていた崔さんのリラの精。こちらも本当に素敵でした〜♪ ヴァリエーションは余裕を感じさせる踊り。回転も安定していて、ポワントもぶれない。そして何よりあの佇まいですよね〜。美しさと強さ。そうなんです、なんか強そうなんです。なんかもう、この人に任せておけば間違いないなっていうリラの精でした(褒めてます)。

カタラビュットの岡崎さんは、もう名人芸。台詞は迷いがないしわかりやすいし聞き取りやすい。さらにディヴェルティスマンの前、カタラビュットが踊る場面があるんですが、この日一番足音がしなかったのは岡崎さんだったかもしれません。というのも、宮地楽器ホールは音が響くのが少し気になる舞台で、ダンサーの足音だけでなく、舞台転換の音もゴロゴロと響いていたんです。なので、岡崎さんの足音がしないのはとても印象に残りました。
4人の王子は、アルバレスがサポート担当。やはり安楽さんがインド。加藤くるみさんのシンデレラが清楚で素敵。中川さんの白い猫もキュート。高橋さんの猫もジャンプが高くて軽やかで〇。オーロラとデジレのGPDDが始まる場面で、王さま(木村さん)の隣に座った中川さんの白い猫が、王様のマントのファー部分にじゃれついたんです。ニコニコと中川さんを見ながら、人差し指を左右に振って、「こらこら、ダメでしょ」という仕草をした木村さんが最高でした♪ いい絡みだった〜♪

夕方の回のカーテンコールでも、2階席からカタラビュットが投げた銀の紙テープに猫の2人がじゃれついていました。今回、どこの会場でもやってたのかな〜と思ったんですが、会場の作りによりますよね。宮地楽器ホールは馬蹄形ではないけど、2階のバルコニー席が舞台の近くまできているので、舞台の前に立っているダンサーの近くに紙テープを投げることができます。テープの回収係のスタッフが、ニコニコと楽しそうにテープを巻き上げているのが面白かったです。猫たちも「いじわる〜」みたいな感じで。和みました。

オーロラの秋山さんと、リラの精の崔さんと、カラボスの吉川さんに、ホクホクしっぱなしの夕方公演でした。
来年の<めぐろバレエ祭り>、そして全国公演がどんな公演になるのか、今から楽しみになるような夏の公演でした。
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2017年08月29日

東京バレエ団子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』8月23日 昼【小金井】

東京バレエ団子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』、全国公演の最終日である宮城楽器ホールの公演に行ってまいりました。今回の『ねむり』は、私はこの小金井公演のみの鑑賞でした。昼の部の感想です。

東京バレエ団 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』 【小金井】
2017年8月23日(水)12:30 小金井 宮城楽器ホール

オーロラ姫:金子仁美
デジレ王子:ブラウリオ・アルバレス
リラの精:柿崎佑奈
カラボス:矢島まい
カタラビュット(式典長):山田眞央
王さま:木村和夫
王妃さま:菊池彩美

<プロローグ・第1幕>
優しさの精:浦由美子
やんちゃの精:岸本夏未
気前よさの精:上田実歩
のんきの精:安西くるみ
度胸の精:秋山瑛

4人の王子:宮川新大、杉山優一、和田康祐、安楽葵
オーロラの友人:政本絵美、加藤くるみ、崔美実、酒井佳純

<第2幕>
フロリナ王女と青い鳥:足立真里亜、井福俊太郎
白い猫と長靴をはいた猫:岸本夏未、岡崎隼也
赤ずきんとおおかみ:最上奈々、竹本悠一郎
シンデレラとフォーチュン王子:浦由美子、和田康祐
白雪姫:崔美実

オーロラ初役の金子さんがとてもよかったです。なんて素敵な人なの〜♪ 感涙でした。どちらかというと、いかにも「オーロラ」というイメージの人ではないかもしれないんですが、そんな私の考えは一瞬で吹き飛びました。フレッシュな佇まい、折り目正しい踊り、小気味良いステップ。そして何より、パッションがある。「ああ、そうか」と。オーロラは「愛」の存在なんだと改めて気付かされたんです。彼女のオーロラは作品の根底にある「愛」を表現しているようでした。そんな彼女を見ながら、ふと『オネーギン』のタチヤーナを踊ってほしいと思ってしまいました。控えめで知的な佇まいと、うちに秘めた情熱。いや、超えるべき壁は高いとは思いますが、あくまで私の願望ですので、、。本当に、心動かされる踊りでした。
ローズアダージオのプロムナードでは、1回1回きちんと腕を上まで上げて、安定感もあり、最後は長めにキープ。美しいプロムナードを見せてくれました。

デジレ王子のアルバレスも素敵でした〜。2幕の紺の衣裳、似合うな〜♪ ピチッと綺麗に分けていた髪が、踊り始めたらサラサラと揺れだしたんです。それが妙に素敵で♪ GPDDでは髪は乱れなかったと思うので、演出なのか、調整したのか、どうでもいいことが気になってしまいました。2幕の踊りはとてもよかったし、GPDDでも細かな詰めは必要だと思いますが、総じて丁寧でよかったと思います。細かな足捌きとかが、ちょっとクリアではなくなってしまったりするんだけど、気になるのはそれくらいだったかな〜。何より、あの佇まいというか、物語を背負っている感じがいいですよね。2幕の冒頭では、心満たされない王子の、沈む心が伝わってくるようだったし、GPDDもドラマチックでした。コーダでは、金子さんとアルバレスのユニゾンがぴったりと揃っていて、そういうところにもグッときました。ツアーの序盤を見ていないので、最初から息が合っていたのかどうかはわからないんですが、この1ヶ月の道のりを思うと、なんだか胸が熱くなりました。

カタラビュットの山田さんは、なかなかいい声だな〜、と。流石に演じている回数が違うので、岡崎さんの安定感には敵わないかもしれませんが、愛すべき存在感でとてもよかったです。
リラの精は初役の柿崎さん。なんて恵まれたプロポーションなんでしょう〜。登場一番、ますその美しいプロポーションに感心しました。長身で、小さな顔に長い首。そしてたぶん腕も長い。首から肩、胸、腕にかけての上半身のラインが本当に美しかったです。足もスラリと長くてとても綺麗。ただ、ヴァリエーションのときの足の上げ方が、ちょっとだけ勢い任せに見えてしまう部分があったかもしれません。やはり長い足は丁寧なコントロールが必要なのかも?と思ったりして。ちょこっとミスもあり、「頑張れ〜」と応援モードになってしまいました。私の調べた限りでは、彼女はこの1回しかリラの精を踊っていないと思います。もしかしたら、中止になった鹿児島公演で踊る予定だったのかな〜という気がしなくもないですが。なので、かなり緊張はしていたんじゃないかと思います。ただ、ミスの後も落ち着いて踊っていたし、何よりリラの精にぴったりなたおやかな雰囲気は、きっと彼女ならではのもので、とてもよかったです。登場すると、ホワンと空気が和らぎました。
カラボスの矢島さんが存在感抜群で格好よかった〜♪ 振り向く前、広げた腕の不穏さと、歪に曲げた指先の異様さが印象的。それだけで心掴まれてしまいました。そして、振り向いた表情の冷たさがまた格好いい。矢島さんのカラボスはバランスがいい気がします。美しさと恐ろしさと、意地悪さと高飛車さと、そういったカラボスの要素がバランスよく表現されているなと思います。

妖精たちもみんな可愛くて、ホクホクしました。なんか、バレエを見始めたときより、確実に自分が「おばさん目線」になってきているのを感じる、、、。オーロラの友人の政本さんと崔さんは、つい目で追ってしまいます。今回初めて認識した酒井さんもよかったな〜と。4人の王子は宮川さんがサポート係(ピンク・タイツ)。インドは安楽さん、杉山さんは紺の衣裳の王子でした。
フロリナの足立さんが可愛い。井福さんは着地が柔らか。岸本さんの白い猫は安定の可愛さだし、2人(岡崎さんと)のベチベチ音が聞こえるほどの喧嘩も楽しい。カーテンコールで、2階席からカタラビュットが投げた銀のテープにじゃれつくのは猫の性(笑)。白雪姫の崔さんが美しいです〜。なんだろう、彼女のあの美しさ。スタイルの良さやラインの美しさだけでなく、思わず吸い寄せられるような魅力がある気がします。彼女の白雪姫なら、継母にも負けなそうだな、とか(褒めてます)。
2幕のディベルティスマンの前、カタラビュットの指示で小姓役の女性4人が舞台のお掃除をします。結婚式の会場の最終確認という態で、実際には直前にカラボスたちが散らかした蜘蛛の糸(?)を拾っているんですが、あれ良い案だよな〜と。その小姓の中に中川さんと安西さんがいて、キュートな2人に和みました。

ダンサーたちが客席に登場するカーテンコール。猫はいつも子どもたちに人気で、逆サイドより到着が遅れてしまうのが、なんかいいなぁ♪と。子どもたちに丁寧に優しく接しているダンサーたちを見るのは、とても楽しいです。そして私は、踊り終えたばかりで汗を光らせたダンサーたちを間近で見ると、妙に感動してしまうんですよね。彼らのたゆまぬ努力を垣間見るような気持ちになるからかもしれません。
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2017年08月22日

東京バレエ団『バレエ・コンサート』2017年8月20日13:30

<めぐろバレエ祭り>の最終日、東京バレエ団の『バレエ・コンサート』に行ってまいりました。とっても楽しかったです! いい公演だった〜♪ 全体の構成もよかったし、現役ダンサーによる振付作品を披露したプロジェクトは新鮮かつ意欲的で、作品もよかった。若手も活躍も見られて、本当に楽しかったです。夕方の公演も見ないと後悔するんじゃないかな〜と思いつつ予定を入れてしまったんですが、やはり後悔しました(苦笑)。もう一回見たかった、、。

東京バレエ団『バレエ・コンサート』
2017年8月20日(日)13:30 めぐろパーシモンホール

【第1部】
「パキータ」
プリンシパル:二瓶可奈子、宮川新大
第1ヴァリエーション:中川美雪
第2ヴァリエーション:伝田陽美
第3ヴァリエーション:崔美実
ソリスト:
  政本絵美−加藤くるみ
  中川美雪−榊優美枝
  伝田陽美−崔美実

【第2部】
<The Tokyo Ballet Choreographic Project U>
「The Door」
振付:岡本壮太
音楽:Ezio Bosso

秋山瑛、樋口祐輝

「Scramble」
振付:岡崎隼也
音楽:H ZETTRIO

伝田陽美
沖香菜子、崔美実、岸本秀雄、岡本壮太
岡崎隼也

【第3部】
「パリの炎」
足立真里亜、井福俊太郎

「ジゼル」
第1幕より パ・ド・ユイット:
  吉川留衣、岸本夏未、加藤くるみ、高浦由美子
  杉山優一、入戸野伊織、和田康佑、樋口祐輝
第2幕より パ・ド・ドゥ:渡辺理恵、秋元康臣

「エスメラルダ」
上野水香、柄本弾

<フィナーレ>
構成・振付:ブラウリオ・アルバレス

全員

「パキータ」

序盤、「ややコール・ドにバラつきが?」と感じたのは、『ラ・バヤデール』の完璧な2幕を見た後だからかもしれません(苦笑)。そう感じたのも一瞬で、すぐに気にならなくなりました。ヴァリエーションは昨年の<めぐろバレエ祭り>のときとまったく同じ3人(順番も同じ)。思えば、伝田さんは既に応援していましたが、中川さんと崔さんは、私の中ではちょうど1年前のこの「パキータ」で俄然注目度が上がった2人でした。去年もこの3人のヴァリエーションに感激したんですが、今年も本当によかった! 伝田さんは言うまでもなく、1年前に「落ち着いていてすごいなぁ」と思った中川さんと崔さんは、今年はさらに堂々としていて、一回りも二回りも大きくなった2人に大感激でした。弾むように軽やかなステップと、舞台がパッと明るくなるような空気を持った中川さんは、本当にチャーミング。軽やかさと抜群の安定感を持ったポワントが印象的です。インターバルなしの連続グランジュテの登場に始まり、胸の空くような踊りを見せてくれた伝田さん。3つのヴァリエーションの中で最も民族舞踊の要素のある第3ヴァリエーション。独特のポーズや肩の動きに色気を感じさせる崔さんは、艶やかで美しい。スタイルがよく、爪先までスラリと美しい脚。心地よい溜めがあり、緩急のある踊りが印象的です。
プリンシパルを踊った二瓶さんは、いつもソリストとして安定感のある踊りを見せてくれる人。威厳のある佇まいを演出し、踊り、空気感ともに素敵だったんですが、やや緊張が感じられたような気もします。やはり真ん中を踊る重圧というのがあるのかなと、思ったりしました。宮川さんは1年前の「パキータ」のときより、「パートナーと踊っている」という感じがしてよかったです。ヴァリエーションは相変わらず上手い。右腕を上げながらトゥールザンレールをして、着地のときに左右を入れ替えて、左腕をスッと上げるというテクニックを連続して披露。軸はぶれないし、着地は柔らかく5番に入るし、お見事でした。

<The Tokyo Ballet Choreographic Project U>
「The Door」
舞台の左右に、互いに背を向ける形で置かれたテーブルと椅子。照明によって世界は2つに割れています。上手に女性(秋山さん)、下手に男性(樋口さん)が座り、それぞれの心の中の部屋を表現したようなその空間で、苦悩し、葛藤する男女。やがてそれぞれの空間を出て、椅子を舞台中央に運び、パ・ド・ドゥを踊ります。照明も重なる。最後は椅子を引きずるようにして、それぞれの空間に戻っていきます。短いながらも要素がギュッと凝縮していてわかりやすく、構成がしっかりしているんだろうなという印象。何より、作品にも踊り手にも品があってよかった。しなやかに踊る2人は情感豊かで素敵でした。全員登場のフィナーレでは、振付した岡本さんも一緒に3人でレベランスをしてくれて、なんだか嬉しかったです。

「Scramble」
完成度高すぎ! すぐにでもどこかで上演できるのではないかと思うほど、完成されていました。お洒落でクールなんだけど、人間味があって温かい。素敵な作品でした。長袖のシャツを、第1ボタンまでピッチリ留めてるのがまた格好よかったです♪
自分でも何がそんなに響いたのか、よくわからないんですが、冒頭の伝田さんと岡崎さんのデュオから予期せず落涙。その後も涙が止まらず、終始爽やかに滂沱しました。実に清々しかったです。
伝田さんのコンテンポラリーが格好いいのは言うまでもなく、崔さんのコンテもいいですね〜。生き生きと踊るダンサーを見るのは気持ちがいいです。クラシカルな印象の岸本(秀)さんも、現代作品が似合います。姿勢のいいコンテというか、バレエダンサーが踊る筋のいいコンテンポラリーを見ているようで、とても好きです。岸本さんが持つ独特の憂いは、現代作品でも生きてくると思います。そして、自分の振付作品でソロを踊る岡崎さんが格好よすぎました♪ 振付か本人が一番格好いいという、私が思うコンテンポラリーあるあるでした。
照明もよかったです。スタジオパフォーマンスでは照明も組まれたようですが、野外ステージやスタジオではここまではできなかったかもしれないので、岡崎さんの思う存分やれたんじゃないでしょうか。

「パリの炎」
井福さんが炸裂! 解き放たれたかのように伸び伸びと踊っていました。跳躍、回転ともに、高いテクニックもあり、何より「やるぞ!」っていう気迫のこもった雰囲気がいいですよね〜♪  やや力任せな感じが無きにしも非ずでしたが、それは雑さではなく、勢いを感じさせるものでした。秋元さん、宮川さんとともにイレギュラーな時期に入団したので、気になる存在ではありましたが、活躍の場が設けられたのは嬉しいです。
足立さんが可愛い〜♪ もう笑顔がチャーミングで、見ていると幸せな気持ちになります。最後のフェッテではスタミナが切れてしまったようですが、安定したテクニックもあり、空気が柔らかく華やかになる雰囲気も持っていて、先が楽しみで仕方がないです。応援したくなる雰囲気を持っているのって、大きいですよね。彼女のオーロラも見てみたいな〜と思いました。

「ジゼル」
舞台には森の背景幕。パ・ド・ユイットが終わると一旦緞帳が閉じ、パ・ド・ドゥでは背景幕はそのままで、下手にジゼルのお墓が置かれました。パ・ド・ドゥだけでなく、東バの『ジゼル』ならではのパ・ド・ユイットも上演してくれたのが嬉しい。最近ちょっと『ジゼル』は上演していないので、久々に見ました。和んだ〜。
安定の吉川さん、岸本(夏)さんに、最近判別可能になってきた加藤さん、そして今回で浦さんを認識。すみません、、最近女子の判別に時間がかかるもんで・・・。去年の<めぐろバレエ祭り>で上演した『スプリング・アンド・フォール』で目を引いた樋口さんが、めきめきよくなってるな〜と(偉そうですみません)。サポートやリフトでバタバタする感じもないし。緑の衣裳の男性2人の足捌きのパートを見ると、いまだに大嶋さんと古川さんを思い出す自分にビックリ。あの個性のぶつかり合いは贅沢でした。

理恵さんのジゼルがただただ美しくてウットリでした。まさに幽玄の世界。秋元さんの美しいステップ、丁寧な足運び、上半身も安定していて美しいです。サポートも上手だし、素敵でした〜。

「エスメラルダ」
弾さんが楽しそうでした♪ 何度も組んでいる2人なので、パートナーシップにも親密感があっていいなぁ、と。弾さんのサポートが本当に上手なので、水香さんも伸び伸び踊っていたし、安心して見ることができました。水香さんはタンバリンを打ち損じることもなく、すべて綺麗に音を鳴らす余裕の踊り。ポワントでタンバリンを叩きながら前進する場面も、余裕の間とバランスで見せてくれました。弾さんもパワフルでいい踊り。すっかり頼れるプリンシパルに成長しつつある弾さんですが、昔から思わず応援したくなる空気を持っていて、それが今も変わらないのがいいなぁと思いました。明るくて素直で嫌味がなくて、そういうものが舞台姿に出ていると思います。

<フィナーレ>
この日登場したダンサー全員によるフィナーレは、ブラウリオ・アルバレスの構成・振付だそう。それぞれの作品に沿った踊りを順に披露。「パキータ」のコール・ドまで全員が舞台上に揃っての華やかなカーテンコールとなりました。作品ごとに前に出てレベランスする場面では、「The Door」を踊った2人が、振付をした岡本さん(「Scramble」の出演者として舞台上にいた)と3人で挨拶したのも、そして岡本さんが2人を立てて実に控えめなのも、なんだかとてもよかったです。

こういう形式の公演も、<めぐろバレエ祭り>のときだけでなく、ときどき上演してほしいな〜と思ったりしました。今後のChoreographic Projectも楽しみです。

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2017年08月16日

イングリッシュ・ナショナル・バレエ『海賊』2017年7月14日

イングリッシュ・ナショナル・バレエ団『海賊』の感想です。7月14日(金)の初日の舞台を見てまいりました。

イングリッシュ・ナショナル・バレエ団 2017年日本公演
『海賊』プロローグ付全3幕
2017年7月14日(金)18:30 東京文化会館

復元振付:アンナ=マリー・ホームズ(マリウス・プティパ、コンスタンチン・セルゲイエフに基づく)
音楽:
  アドルフ・アダン、チェーザレ・プーニ、リッカルド・ドリゴ
  ピョートル・ゲオルギエヴィチ・オリデンブルクスキー、ルドヴィク・ミンクス
  ユーリー・ゲルバー、ボリス・フィチンゴフ=シェーリ、アルバート・ザベル、J.ジビン
編纂:ラース・ペイン、ギャヴィン・サザーランド
台本:
  ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ
  ジョセフ・マジリエに基づくアンナ=マリー・ホームズ版
原作:バイロン『海賊』(1814)
装置・衣裳:ボブ・リングウッド
照明:ニール・オースティン

<主な配役>

メドーラ:タマラ・ロホ
コンラッド:イサック・エルナンデス
ギュルナーラ:ローレッタ・サマースケールズ
ランケデム:ブルックリン・マック
アリ:セザール・コラレス
ビルバント:ヨナ・アコスタ
パシャ:マイケル・コールマン

第1幕 市場(バザール)
パシャの従者:ジュヴェル・ディノット
村人の長:アデラ・ラミレス
オダリスク:金原里奈、アリソン・マクウィニー、カーチャ・ハニュコワ

第2幕 海賊が潜む洞窟
パ・ダクシオン:タマラ・ロホ、イサック・エルナンデス、セザール・コラレス

第3幕 パシャの宮殿
踊る花園:タマラ・ロホ、ローレッタ・サマースケールズ
薔薇:
  クリスタル・コスタ、アンジュリー・ハドソン、アリソン・マクウィニー、康千里
花のソリストたち:
  ジア・チャン、ジャネット・カカレカ、ユナ・チェ、ティファニー・ヘドマン

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

と〜っても楽しかったです♪ 複雑なことは考えずに楽しめる、豪華なスペクタクル。「カンパニーに勢いがあるとはこのことか!」という、エネルギッシュな舞台でした。若いダンサーたちの活躍も見ていて楽しい。異国情緒が漂う豪華な装置、眩いくらいに美しい衣裳。特に衣裳は本当に素敵で、思わずオペラグラスで衣裳を見てしまうほど。展開はスピーディで、踊りはこれでもかと満載。通常だと踊りが少ないコンラッドもたくさん踊ってくれるので、コンラッド、アリ、ランケデム、ヒルバントという4人の男性陣が大活躍でした。ロホの情熱を感じることができる舞台でした。

緞帳は下がっておらず、<海賊 バイロンの詩に基づく>というようなことが書かれた専用の幕が下りています。<船が難破し、海辺に打ち上げられたコランッドをメドーラが助け、2人は惹かれあうも、メドーラは奴隷市場にさらわれていく>という展開はバッサリとカット。コンラッドたちを乗せた船がメドーラを救出に向うところから物語は始まります。そしてすぐに奴隷市場。上手のパシャの館の2階からメドーラが姿を現し、コンラッドに薔薇の花を投げます。薔薇の花は2人の愛の象徴になる。ギュルナーラとランケデムのパ・ド・ドゥ、そして何故かオダリスクは1幕にあり、コール・ドの踊りの最中も後方でコンラッドとアリがメドーラ奪還に向けて動いている様子などが描かれ、スピーディに展開ながら、細かな演出も忘れていないのがいい。メドーラを救出し、隠れ家の洞窟へ。

2幕が始まると、程なくしてパ・ド・トロワ。着替えたメドーラとコンラッドのパ・ド・ドゥ。メドーラに財宝を譲り、彼女の頼みを聞いて女性たちを解放したコンラッドに対して、反旗を翻すビルバント。しかし、コンラッドとの戦いに敗れたため、ランケデムや仲間と結束してコンラッドを陥れようとします。薔薇の花に眠り薬をたらし、コンラッドに嗅がせようと企むビルバント。試しに、舞台の下手奥で客席に背を向けて立っている見張り番の海賊に嗅がせると、まるでコントのようにグニャリと倒れます。しかも、人の気配に気付いて退散するときに、その見張りをちゃんと担いでいくのがいい。見張りが倒れてたら、怪しまれますもんね。そういう細かい演出、好き〜。薔薇の花をメドーラに渡すのは女性。ビルバントに命令されて、嫌々メドーラに渡します。演出が細かい。2人の愛の象徴である薔薇を、何の疑いもなく喜んで受け取るメドーラ。薔薇に仕込まれた眠り薬で意識を失うコンラッド。そこへビルバントたちが黒いマントで姿を隠して登場。コンラッドの短剣を抜いて、ビルバントを切りつけるメドーラ。すかざず仲間がビルバントの腕を白い布で巻きます。その、コントみたいな準備の良さも嫌いじゃない。再びランケデムによってメドーラはさらわれ、アリの登場でコンラッドに止めを刺すことができなかったビルバントは、自分が謀反を起こしたことは隠して、コンラッドたちとメドーラ救出に向います。

3幕。黒いマントで姿を隠したコンラッドたち海賊が、パシャの宮殿へと向います。何故か最後尾のアリだけマントを被らず、そのままの格好。何故?(笑) 目立ちすぎますから〜。
パシャの宮殿へ連れてこられたメドーラは、ギュルナーラとの再会を喜ぶ。アヘンを吸ったパシャの夢の中で、メドーラ、ギュルナーラ、女性たちが踊ります。花園の場面は全員オフホワイトの衣裳。ウエストにピンクorブルーのリボンがついた衣装は、クラシックチュチュほどスカートがピンと張っていなくて、クラシカルというよりは、どこかラブリー。ちょっとプティ作品の衣裳を連想させる感じでした。
海賊たちが現れ、宮殿は騒然とします。混乱の中で、ビルバントの腕に巻かれた包帯に気付いたメドーラは、彼が裏切り者だと理解します。ビルバントの腕を指差し、彼に詰め寄るロホの強いこと。格好いいです。アリが渡したピストル(どこから出したんだ)で、コンラッドがビルバントを撃ちます。
舟に揺られ帰還するメドーラ、コンラッド、ギュルナーラ、アリ。嵐に遭うも、メドーラとコンラッドは助かり、抱きあいます。この場合、やはりギュルナーラとアリは助からなかったと考えていいんでしょうか。何も考えずに楽しめる『海賊』の中で、私が唯一引っかかるところは、ここです。アリとギュルナーラも助けてほしい、、。

というわけで、展開はスピーディーで、何故かオダリスクが1幕にあったりしたけど(私的には違和感なかった)、大筋は変わりません。第1幕45分、第2幕30分、第3幕30分。休憩を2回挟んでも2時間半。見やすかったです。

この日はコンラッドにイサック・エルナンデス、アリにセザール・コラレス、ランケデムにブルックリン・マック、ビルバントにヨナ・アコスタという、豪華なキャスト。今回の日本公演で見てみたいな〜と思っていた男性陣をほぼ見られるという、有り難いキャスティングでした。そして、この4人が凄すぎました〜。みんな身体能力が高い。そして、踊りも存在感もパワフルで勢いがあって、でも決して雑さはなくて、なんて清々しい若者たちなんでしょ〜♪と。中でもブルックリン・マックとセザール・コラレルは、搭載しているエンジンが違うのでは!?という凄さ。ランケデムという敵役でありながら、なんとも性格の良さそうなマック。すごい踊りを見せながらも、隅々まで神経の行き届いた踊りで、エレガンスさえ感じさせます。カルロス・アコスタの甥っ子であるヨナ・アコスタも、フレッシュでパワフル。こちらも人の良さそうで、ちょっと可愛い。イサック・エルナンデスはちょっとラテン系の甘いマスク。長身を生かしたダイナミックな踊りで、特にマネージュでは、長い足がパワフルに開脚し、勢いよく舞台を回ります。2幕のメドーラとのパ・ド・ドゥでは、サポートやリフトも上手だったし、ロホの情熱的な演技に応え、パートナーとして申し分なかった。小柄なロホを抱きしめる場面では、コンラッドとしての愛情と、エルナンデスとしての敬意が感じられて印象的でした。

そして、この日の終演後に舞台上でプリンシパル昇進が発表されたアリのセザール・コラレスは、久々にすごいもの見た〜!!という感じでした。踊っていないときも、独特の空気というか、存在感がある。それはアリという役柄上なのか、常に控えめでありながら、しかし常に神経を研ぎ澄ませた緊張感漲る佇まい。しなやかで俊敏な、獣のように隙のない佇まいでした。そして一たび踊り始めると、搭載しているエンジンが違うのか!?と思うほどの跳躍や回転の数々。そして放つ独特なオーラ。不敵なのに謙虚、謙虚だけどどこか不敵という、とても魅力的なダンサーでした。
コラレスのアリは、コンラッドに対してとても忠実。常に周囲に目を光らせ、コンラッドの指示を聞き、パシャの館に忍び込んだり、壁に張り付いて様子を窺ったり、その姿はまるで忍びの者のよう。しかし只者ではないオーラがありすぎて、忍びの者には向いていないかも(苦笑)。
そして2幕のメドーラとコンラッドとのパ・ド・トロワでは、会場がどよめくほどの踊りを見せてくれました。いや本当に、あまりにすごすぎて笑っちゃうほど。また彼の、「やるぞ」という全身に漲る空気感がいいんですよね〜。そして実際に踊ると本当にやってくれるという。回転はもちろんすごかったけど、ピルエットに入る前のプレパレーションのポーズも印象的でした。スッと伸ばした方の足の、爪先の強さと美しさ。そして、回転しているときの腕が、帆を張るように下向きに丸みを帯びているのも印象的。アリの回転のときだけなのか、いつもなのか、気になります。グラン・ジュテは、跳び上がった後にもう1段階フワっと浮かび上がるような高い跳躍。あの、空中でさらに浮かび上がるような跳躍は、おそらく跳躍の頂点で開脚することで引き上げているんだと想像するんですが、どうなんでしょう? いずれにせよ、跳躍力とコントロール力があってこそなんだろうなと思いました。
そして、この2幕のヴァリエーションの登場のとき、下手奥から上手の手前まで、一瞬何事かと思うほどの猛スピードで走ってきたんです。もう本当に、チーターか!っていうくらい、音もなく身体の上下運動もなく、シュタタタターっっっ!!って走ってきたんです。予想外の出来事に心はザワザワ・・・。あの時点で、既に彼の手中に落ちた気がしました。そして、もう足がどうなってるのか説明できないジャンプを繰り出し、最後はインターバル無しのトゥール・ザンレールを3回跳んで、倒れこんでポーズ! 「まいりましたー!」ってな気分でした。
マネージュで、前へ前へと進行方向に跳ぶジュテではなく、上へ上へとフワッと跳躍して回転するパターンがあると思うんですが(説明が下手でスミマセン、、、)、コラレスもブルックリン・マックもそれがとても綺麗で高さがあってよかったです。いつもは前へ前へのマネージュのほうが好きなんですが、これもいいなぁと思ったりしました。

そして、ロホです。やっぱりロホはロホでした。あぁ、やっぱり大好きだなぁ、と。相変わらず強靭なテクニック。輝くような存在感。情熱と知性を持った、意思のある眼差し。彼女の強さと美しさが大好きです。彼女が舞台に登場するだけで、華やかな『海賊』の世界がより一層輝いて、私は彼女に釘付けになってしまいます。何がそんなに好きかって、上手く言えないんですが、すべて好きというか、「タマラ・ロホという存在」、それに尽きるかなと。芸術監督としてENBをここまで勢いを感じさせるカンパニーに発展させ、ダンサーとしても、その技術も芸術性もスター性もトップを走り続けているロホ。彼女の興味が今どちらにより向いているのかはわからないんですが、私としてはまだまだ踊り続けてほしいです。

ギュルナーラのサマースケールズも、とても素敵なダンサーでした♪ まず登場して、「可愛い♪」と思ってしまった。そして顔が小さい! とても華があって、技術も高い。彼女を見るのが初めてでも、「あぁ、プリンシパルだな」いう空気がありました。ランケデムとのパ・ド・ドゥでは、ヴェールで姿が隠れていても気品を感じる佇まいで、「早く顔を見たい」という期待が高まります。そして、ヴェールが外された瞬間の、ハッとするほど清涼感のある美しさ。ランケデムを拒む仕草も可愛らしい。しかし踊りはバリバリに踊ってくれるところが頼もしいです。

パシャが可愛かった〜♪ 女の子大好きな、陽気なお爺さん。なんだかいつもルンルン、ホクホクしてる感じで可愛いんです。メドーラを見て卒倒する姿も可笑しい。身体を真っ直ぐ伸ばしたまま卒倒しそうになるパシャを、従者が支えます。また、このパシャの従者が楽しくて♪ 甲斐甲斐しくパシャの世話を焼く様子は、どこかコミカル。ガマーシュの従者を見ているようでした。

『海賊』は、そのほとんどのファージョンが複雑なことは考えずに楽しめるスペクタクルだと思うんですが、今回のENBの『海賊』でも、最後はメドーラとコンラッドしか助からないんですよね、、。嵐が収まると、アリとギュルナーラの姿はなくなっています。それだけが唯一悲しくて、最後は少し寂しい気持ちになります。どこかの海辺に辿り着いてたりしないかな〜、なんて、、、。
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2017年07月04日

東バ『ラ・バヤ』3日間。

東京バレエ団『ラ・バヤデール』、3日間の公演が終了しました。と〜っても楽しかったです。やっぱり3日間通うと楽しいですね〜。最近は東バの公演でも全日程は見ないこともあって、ゲスト−ゲスト無しーゲストという日程だったりすると、ゲスト日は1回だけにしたりしているので、なんか久々に「見たー!」っていう実感がありました。しかし、最近の私は感想を書くにはかなりの気合いが必要でして、時間はあっても取り組めないということが多かったりします。昔は次の日仕事だろうとバレエだろうと、夜中まで感想を書いていたんですが、もうそのエンジンがかからない、、。情熱がなくなったのではなく、吐き出す必要がなくなったのだと思いたいです。

3日目にガムザッティを踊る予定だった川島麻実子さんが怪我のため降板し、初日にガムザッティを踊った奈良さんが代役を務めました。前日のニキヤも、右足指の剥離骨折をおしての出演だったとのことで、ビックリしました。9月の『アルルの女』も楽しみにしているので、ゆっくり休んでほしいです。

ツイッターのほうで、1回の公演の感想を140字でまとめるという謎のチャレンジをしたので、それだけ載せておきます〜。好きなバレエ団の感想を1ツイートにまとめるのは難しい、、、、。

【6月30日】
東バ『ラ・バヤ』初日は、何と言ってもガムザッティの奈良さん。水香さんは流石。カマルゴは見る価値のあるダンサー。森川さんの大僧正の憎めない小者感。イチオシは中川さんの第1ヴァリ。入戸野さんのマグダヴェーヤもいい。最後まで音に正確な宮川さんの仏像(慌てて戻るのはヒヤヒヤします)。

【7月1日】
東バ『ラ・バヤ』2日目。すっかり頼れる弾さんは情熱的な演技も◎。大袈裟じゃないのに雄弁な川島さんのニキヤ。川島さんならもっと上を目指せる。伝田ガムザッティは踊りの強靭さを証明。彼女が踊ると3幕ソロが時々コンテに見えるから不思議。狡猾さを仮面の下に隠したアルバレスの大僧正もいい。

【7月2日】
東バ『ラ・バヤ』最終日。奈良ガムザッティは何度見てもいい。踊りも美しさも進化してます。熱い演技の岡崎マグダヴェーヤ。友人の和田さんが素敵。2幕、サポートでヒヤッとする場面あり。動じないどころか、その後は初日より安定した踊りを見せた水香さんは素敵。自分の娘にムネアツな木村ラジャ♪
posted by uno at 11:51| Comment(2) | バレエ公演2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする