2017年12月15日

モーリス・ベジャール・バレエ団【Bプロ】11月25日(土)昼・夜

モーリス・ベジャール・バレエ団2017年日本公演、Bプログラムの感想を書きました。自分のツイートを貼り付けて、それをちょっと広げただけですが、、、。私が見たのは11月25日(土)の昼と夜、2公演です。ベジャール作品は言うまでもなく、ジルの作品も以前より興味深く見られたし、何より個々のダンサーたちの魅力を発見できたことが嬉しかったです。

モーリス・ベジャール・バレエ団2017年日本公演 【Bプログラム】
2017年11月25日(土)13:30/18:00 東京文化会館

『ピアフ』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:エディット・ピアフ

『愛の言葉』:男性全員
『アコーディオン弾き』:クゥィンテン・ギリアムズ
『冷淡な美男子』(ジャン・コクトーの戯曲より):
  ファブリス・ガララーグ(昼)、アンジェロ・ペルフィド(夜)
『私の回転木馬』:ローレンス・リグ(昼)、スン・ジャユン(夜)
『道化師万歳』:ハビエル・カサド・スアレス
『あなたはきれいね、分かってるでしょ...』:男性全員
『私の友達リュシアン』:デミアン・バルガス(昼)、ドリアン・ブラウン(夜)
『水に流して』:男性全員

男性のみによる作品。ピアフの歌声に乗せ、群舞やソロが次々に展開します。ピアフは歌声だけでなく、ポートレート(大きなパネル)でも登場。とっても楽しかったです〜♪ ベジャールの世界観と、魅力的な男性陣の踊りを堪能しました! この『ピアフ』のおかげで、だいぶ男性陣がわかるようになったかも。みんなすごく素敵で、いいダンサーがいっぱい入ってきてるんだな〜と嬉しくなりました。

『アコーディオン弾き』のギリアムズは、今回の日本公演で一番気になったダンサー。陽気な中にも悲哀の漂う曲に乗せ、表情豊かに踊るギリアムズはとっても素敵でした。赤いタンクトップで踊る『冷淡な美男子』は、男っぽいソロ。薄情だけど忘れられない、そんな色男を想像。ガララーグもペルフィドも色気があって素敵でした。特にペルフィドの男臭い(褒めてます)というか、危険な香りのする雰囲気は魅力的。今あまり「男、男」したダンサーが少ない気がするので、気になる存在です。因みに『ボレロ』では、リズムの最初の2人のうち、上手のダンサーがペルフィドでした。
白のパンツに赤い靴で踊る『私の回転木馬』。リグとジャユンではソロの雰囲気が変わります。チャーミングなリグと、どこか歎美が漂うジャユンでした。シングルキャストだった『道化師万歳』のスアレスも魅力全開のパフォーマンス。それまでもいいダンサーだな〜と思って見ていたんだけど、こんな側面もあるのかと驚きました。彼もとても魅力的なダンサー。『道化師万歳』が終ると、おもむろに服を脱ぎ出すスアレスと群舞のダンサーたち。下着姿になると、「ハッ」とこちらの視線に気付いた様子で、慌てて服を丸めて退場します。ちょっと笑いが起こる場面。服を置いて再び登場すると、全員で『あなたはきれいね、分かってるでしょ...』。曲の間中、下手の舞台端に置かれた椅子にしなだれて座り、遠くを見つめるアントワーヌ・ル・モアル(ちょっと面白い)。逞しすぎず、綺麗な身体だな〜と。最後、上手の舞台袖に置かれたピアフのポートレートにキスをするモアル。そのポーズのままパネルがスルスルと袖に引っ込むと、重なっていた鏡が現れ、モアルは鏡に映った自分にキスをしている姿になります。全員が一斉に退場する際、座っていた椅子を自分でお方付けしてました。
『私の友達リュシアン』は、真っ赤なピストルのおもちゃ(?)を使ったソロ。ここまであまり名前を意識していなかったバルガスもブラウンも、とてもいいダンサー。どちらかというとブラウンのほうが気になるダンサーだったかも。続く最後の群舞『水に流して』は、『私の友達リュシアン』を踊ったダンサーがセンターで踊る流れ。最後の『水に流して』は力強い男性群舞が美しく、見応えがあり、とてもよかったです。全員でピアフのポートレートに敬意を表して頭を下げ、幕。ピアフが愛したかもしれない男性たちを思いながら鑑賞しました。

『兄弟』
振付:ジル・ロマン
音楽:
  モーリス・ラヴェル、エリック・サティ、吉田兄弟、美空ひばり、
  シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jB メイアー)

ガブリエル・アレナス・ルイス、リザ・カノ
那須野圭右、大貫真幹
ジャスミン・カマロタ、大橋真理
*出演順

アルゼンチンの伝奇作家ボルヘスの短編小説『侵入者』に着想を得て創作されたとのこと。

冒頭はサティで踊るガブリエル(サラサラヘアーは封印して、ペタっと固めてました)。下手に置かれているドレスのような着物のようなオブジェから、女性(リザ・カノ)が登場します。ここまではプロローグで、リザ・カノはドレスから生み出されたような印象でした。女性という形の中から彼女が生み出されたことで物語が始まったような感じ。
カマロタと大橋さんは、物語を進行する上での黒子のような存在。
仲良く眠る兄弟。最初は那須野さんが、続いて大貫さんが、互いが寝ている間にリザ・カノと踊ります。美空ひばりの『薔薇色の人生』のまろやかな調べに乗せ踊る3人。それぞれ互いの目を盗んで、女性と親密な空気を交わします。『薔薇色の人生』に時折入り込む不協和音。女性が眠っている間に、吉田兄弟の力強い三味線で踊る2人。ついに女性を殺してしまいます。消えた女性の魂と入れ替わるようにガブリエルが登場(確か)。
再び仲良く横たわる2人。しかし、大貫さんがゴロゴロと転がりながら袖に捌け、後方の幕の裂け目から登場して踊ります。先ほど女性のリザ・カノが踊っていたのと同じ動きが入った踊り。そして再び那須野さんと合流します。

最初は、同じ女性を愛した兄弟の話だと思って見ていたんですが、だんだんわからなくなってきました。
一人の男(那須野さん)の自己愛の物語だったのではないか、と。自己愛の強い一人の男が女性に恋をする。そうすると、自分の中のもう一人の自分(大貫さん)も彼女を愛するようになる。自分を一番愛していた男は、そのことに耐えられなくなる。自分の中のバランスが崩れるくらいなら、いっそのこと女を消してしまおうと考える、、、。もしかしたら、生身の登場人物は那須野さん演じる男だけで、女性すら生身の人間ではなく、男の作り出した存在で、結局のところ男は孤独の中から一歩も出ていないのではないか?という気もします。女性と対になる存在を、男性のガブリエルが演じていたことで、女性の存在も男の産物に見えたのかもしれない。いや、ガブリエルはもっと大きな存在で、彼が彼女を侵入させたのか?とか、いろいろ考えてしまいました。自己愛の物語ではなく、孤独な男の物語だったのかもしれません。
ボルヘスの『侵入者』が気になって調べたんですが、日本語訳が出ている様子がないんですよね、、。まあ、着想を得たということなので、あらすじは関係なのかもしれませんが。

遠からず引退を決めている様子の那須野さんが、最後になるかもしれない日本公演で、ベジャール作品を踊らなかったことが印象的でした。それがいいとか悪いとかではなくて。逆にこれまでジルの作品を踊る那須野さんを見たことがなかった気がします。少なくとも日本ではジル作品には出演していなかったはず。西宮の『ボレロ』では、急遽(?)リズムを踊ったそうなので、もしかしたら本調子ではなくて、『兄弟』以外の出演は控えていたのかもしれないですね。私も那須野さんのリズム、見たかったな〜。

とにかく、スレンダーな那須野さんの舞台姿の格好いいこと。キレのある踊りと気迫の佇まいで、この踊りにかける気持ちがビシビシ伝わってきました。大貫さんは豊かな表情と自在な踊りで多才ぶりを発揮。このあとのジルの『アニマ・ブルース』でのソロも空気が変わる鮮烈さで、ジル作品を踊る大貫さんもとっても素敵でした。

『アニマ・ブルース』

振付:ジル・ロマン
音楽:シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jB メイアー)

カテリーナ・シャルキナ、コナー・バーロー
リザ・カノ、ガブリエル・アレナス・ルイス(昼)/ハビエル・カサド・スアレス(夜)
ジャスミン・カマロタ、ジェイム・オエッソ
エリザベット・ロス、大貫真幹(昼)/クゥィンテン・ギリアムズ(夜)
キャサリーン・ティエルヘルム、ジュリアン・ファヴロー
アランナ・アーキバルド、ファブリス・ガララーグ

ユングが精神分析の用語として用いた、男性の中の女性性を意味する「アニマ」。そこから想を得たとのことで、「男性の中の女性性のブルース」という感じでしょうか。重なりあって立つ男女から、女性が分離していくようにして作品が始まります。シャルキナの分離した本体(?)は、上手の装置で雪が降り積もるまで休憩中。オードリー・ヘプバーンに似たシャルキナのソロを挟んで、パ・ド・ドゥが展開していきます。シャルキナのシーン以外はブルースが使われているので、その辺も見やすさの要因だったかもしれません。シャルキナの踊るシーンは効果音や台詞が使われていて、『マイ・フェア・レディ』の中の有名な台詞だけはわかりましたが、それ以外もやはりヘプバーンの台詞だったんでしょうか。

ダンサーが成熟したのか、ジルの振付が成熟したのか、ジルとダンサーの関係性が成熟したのか、そのすべてなのか。何故かはわからないけど、ダンサーと作品とがきちんと噛み合ってる感じがしました。振付家の独りよがりじゃないし、ダンサーにも「よくわからないけど踊ってます」感がなかった。ダブルキャストだったことも、実はちょっと意外でした。当て書きの部分もあるともうけど(特にシャルキナとか)、ダンサーを変えて上演できるというのは、ダンサーの資質に頼りきっていないというか、作品自体の強さもあったのではないかと思います。

とにかくダンサーたちが魅力的で、あれだけの資質を持ったダンサーたちが生き生きと、そしてバリバリ踊る姿は本当に格好よかったです。踊っていないときも周囲をウロウロ(ではない)しているんですが、それがまた格好いい♪ 特に、素肌にジャケットを羽織って正面を見据えるジュリアンとか本当に格好よくて、思わずオペラグラスでガン見。そのジャケットを脱いで、袴のような衣裳で踊るジュリアンがまた更に格好いいという。終盤、男性陣が整列して踊る場面で、一人ずつ順に列をはみ出して踊るんですが、そこで「ハーッ!」みたいな顔するジュリアンも格好よかったです。というかもう、格好いいしか言ってなくてすみません、、、。
大貫さんは短いソロがあってからの、ロスとのパ・ド・ドゥ。ロスと大貫さんの組み合わせは、ちょっと珍しいかも。個性は全然違う2人だけど不思議と有りだったし、ロスの存在感に全然負けてなかった。ソロを踊り始めるときの瞬発力というか、一気にトップギアで入る感じが、心奪われる瞬間でした。

最後、上手の装置に座っていたバーローが轟音とともに目覚め、身体中に降り積もっていた雪(真綿?)を振り払うと、シャルキナと最後のパドドゥを踊ります。舞台中央で回転するバーローの首にシャルキナが掴まり、足が浮いた状態でくるくる、くるくると回転しながら、暗転。わかりやすい幕切れで、拍手しやすいのも何気によかったです。それにしても、あの装置、なんなんでしょう? 椅子の頭上に筒状の装置があって、その筒が回転すると、中の雪(?)が筒に開いている穴から絶えずサラサラ、サラサラと降り続くんです。ああいう装置があるのか(何のために?)、ジルの創作なのか、ちょっと気になりました。

『アニマ・ブルース』を見ながら思ったのは、BBLは魅力的な男性ダンサーが印象的なわけだけど、同じくらい女性が元気じゃないと駄目なのかもしれなということです。それは、ベジャール作品でも同じかもしれません。あの男性陣の中に「降臨」できるくらいの存在感が必要なのかもしれないと思いました。『アニマ・ブルース』の女性たちはみんな格好よかったです。

昼も夜もキャスト表にアーキバルドとガララーグの名前がなかったのが気になりました。単純なミスでしょうか。書かない役どころということはないと思うんだけど、、。一応、彼らの名前も入れておきました。

『ボレロ』

振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

メロディ:エリザベット・ロス(昼)、ジュリアン・ファヴロー(夜)

リズム:
  アンジェロ・ペルフィド、ガブリエル・アレナス・ルイス
  ファブリス・ガララーグ、コナー・バーロー
  スン・ジャユン、ダニエル・ゴールドスミス、マッティア・ガリオット
  ミケランジェロ・ケルーチ、ヴィト・パンシーニ、ローレンス・リグ
  ハビエル・カサド・スアレス、フェデリコ・マテティッチュ、
  ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、ジェイム・オエッソ
  クゥィンテン・ギリアムズ、大貫真幹、
  ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ、アントワーヌ・ル・モアル

前回(2013年)の日本公演でも見たロスとジュリアンの『ボレロ』ですが、何故だか2人とも今回の踊りのほうが感動的でした。

ロスは、しなやかなのにシャープで勇壮。飾らないのにものすごく格好よくて、本当に素敵でした。なんだかあっという間の15分間で、こんなに短く感じたのは初めてかもしれません。以前はもう少し色気があったというか、思ったより女性らしいメロディなんだな〜と思った記憶があるんですが、今回は中性的というか、むしろ性を超越していたような気がします。どちらでもないシンプルな存在感で、何か余計なものが削ぎ落とされたような佇まいでした。
リズムは、最初の2人がガブリエル(下手)とペルフィド(上手)、次の2人がガララーグとバーローでした(上・下は忘れた、、、)。いやもう、リズムの男性陣が格好よすぎて、メロディとどちらを見ていいのかわからなくて困るという状態でした。14〜15にんになったところで、全員がこちらを向いた瞬間がゾワっとするほど格好いいんですよね〜。

ジュリアンも本当によかったです。4年前のほうが若さも体力もあったと思うんですが、今回のほうが格段によかったような気がします。胸が熱くなるようなメロディでした。ジュリアンの『ボレロ』も本当にあっという間で、もっとずっと見ていたかったです。密度の濃い15分間でした。
一つ一つの動きが丁寧で力強く、何より美しかったです。振付に真摯に向き合い、すべての意味を確認し噛み締めるような踊り。どこを切り取っても絵になるようで、すべての場面が印象的でした。終幕に向けて徐々に踊りは力強く、気迫に満ちながらも、神聖さを失わない佇まいに、深い感動を覚えました。ジュリアンはいつも美しい人だったけど、この日は神聖さすら漂わせていたんです。純粋で真っ直ぐで、余計なものが削ぎ落とされ、今の自分を嘘偽りなくさらけ出してくれているような神聖さでした。ジュリアンもまた、「男性的なメロディ」、「女性的なメロディ」というものを超越していたと思います。

ベジャールさんの死後、様々な葛藤や迷いや苦しみの中で、答えを見つけるためには、いや見つからなくても前に進むためには、踊るしかないのかもしれません。そうやってジュリアンが、一日一日を丁寧に過ごしてきた日々が感じられるような『ボレロ』でした。それは、ベジャールさんへの問いかけのようでもありました。日々迷うたびに、自分自身とベジャールさんに問いかけ続けていたのではないかな、と。そして踊ることで答えを探していたのかもしれないと思いました。そんな中で辿り着いたジュリアンの『ボレロ』が素晴らしかったことが、本当に素晴らしいなと思ったんです。きっとベジャールさんも褒めてくれるんじゃないかな〜と思いながら見ていました。
posted by uno at 14:39| Comment(1) | バレエ公演2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月10日

<ベジャール・セレブレーション>2017年11月22日・23日

先月の<ベジャール・セレブレーション>の感想を書きました。

モーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団の合同ガラ公演<ベジャール・セレブレーション>を2日間見てきました。
初日の11月22日は、ベジャールさんの命日でした。この日に日本でBBLの公演を見ることができたことに、感謝せずにはいられません。本当に特別な日になりました。
開演前には、<来日50周年記念>として、日本公演の記録映像を編集した秘蔵映像の特別上映がありました。あぁもう、記録用でいいから販売してくれ、、、と思わずにはいられない、貴重な映像の数々。いや、販売は無理だろうから、上演会を開催してくれ、、、と。自分の知らない時代の貴重な映像に釘付けになり、2000年を超えたあたりからは私にもとても懐かしい公演の数々が、、、。そして、最後に「ショー・マスト・ゴー・オン」。『バレエ・フォー・ライフ』のエンディングでダンサーを迎え入れるベジャールさんの姿が、ジルの映像に切り替わる演出は、胸に迫るものがありました。。。

モーリス・ベジャール・バレエ団 東京バレエ団 特別合同ガラ
<ベジャール・セレブレーション>
2017年11月22日(水)19:00
2017年11月23日(木・祝)14:00
東京文化会館

【第1部】 <テム・エ・ヴァリアシオン>

振付:ジル・ロマン
音楽:
  シティ・パーカッション(Thierry Hochstätter & jB Meier)によるライブ演奏
  ニック・ケイヴ&ウォーレン・エリスによるサウンドトラック

前半はジル・ロマン振付の「テム・エ・ヴェリアシオン」。音楽は、男性デュオ「シティ・パーカッション」による舞台上でのライブ演奏と、サウンドトラックです。「今を生きるBBLのダンサーたちの、亡き師ベジャールへの愛を込めた日記」(HPより)として創作された作品は、レッスンウェアのようなラフなスタイルのダンサーたちによるソロ、デュオ、そしてアンサンブルと、次々に場面が展開していきます。先に見た『魔笛』では深く知ることのできなかった新しいダンサーたちの魅力がよくわかる、いい作品だったと思います。ちょっと長かったような気はしますが、、。一番印象的だったのは、何よりもダンサーたちが生き生きと踊っていたことです。それは、ダンサーとジルとの間に信頼関係があったからではないでしょうか。

そうなんです。ジル振付の作品だけでなく、今回すべての上演を見て、ある当たり前の事実にようやく気付いたんです。現在、ベジャールさんを直接知るダンサーが4人しかいないということは、それ以外のダンサーたちは、ベジャールさんの不在を百も承知で入ってきているってことですよね。ということは、彼らの心の中には、ベジャールさんがいなくなったことへの喪失感とか、その点に関しての将来への不安とかがあまりないってことなのかな、と。もちろん、まったくないとは思いません。一ファンの私ですら喪失感はあったし、今後BBLはどうなるんだろうという不安もありました。ベジャール作品が好きで、踊りたくて入ってきた彼らにだって、様々な想いがあると思います。でも、それを承知で入ってきているというところが、これまでのダンサーたちとは大きく異なる点なのではないかと思ったんです。

そこでふと思い出したのが、ダンスマガジンに掲載された大貫真幹さんのインタビューです。BBLの魅力を問われた大貫さんが、「ジルと働けるということ」、「ジルから踊りを学べるということがぼくにとってはいちばん魅力的」と語っていたのが、とても印象的だったんです。そうだったのか、と。様々な理由で、様々な目標があってダンサーたちは入団してくるのだと思います。ジルの存在だったり、やはりベジャール作品だったり、ルードラやカンパニーの環境だったり。でも、ベジャールさんの不在を承知した上でベジャール作品を踊るために、全員が大貫さんのような気持ちではないかもしれないけど、それでもジルの元に集まってきているんだなと思ったら、ダンサーとジルとの信頼関係が増すのは当然だったんだなということに、ようやく気付いたんです。
そんな様々に変化し続ける状況や、葛藤の中で、これまで残っている4人には感謝しかないな、と。もちろん、退団していったダンサーたちを責める気持ちは一切ないです。本当にない。ただ、寂しさがあるだけで、、、。

ジルがダンサーの魅力を理解して創作し、ダンサーもジルを信頼して踊ることができる。その繋がりが、以前よりも強固になってきているんだろうなと思いました。だから、ベジャール作品でもジル作品でも、ダンサーたちは生き生きとしていたし、とても魅力的に見えたんだと思います。

あとは印象的だった場面などを。

冒頭は5人の場面。確か、ティエルヘルム、アーキバルド、カマロタ、ジャユン、オエッソだったと思います。最初は楽しげにワチャワチャしていたのが、男性同士がぶつかり合うような展開などもあり、日々起こる大小様々な人間関係を描いているような感じ。
ベンチを使った場面は、なんとなくロッカールームのような印象。確か、リザ・カノ、ガララーグ、スアレスの3人。女性を中心に展開しているのかと思いきや、最後は女性がするっと抜けて男性同士が寄り添うような形に。
ガブリエルと2人で踊っていた紫色のタンクトップの男性が素敵だったんだけど、おそらくヴィト・パンシーニではないかと。ジュリアンは男性3人の場面。確かガララーグとスアレスと3人だったような気がします。真面目に踊っている(当たり前だけど)ジュリアンが、なんかちょっと可愛いというか、楽しくて、そしてやっぱり格好よかったです。
ロスはソロ。オレンジ色(茶色?)のワンピースに、片方だけトウシューズをはいています。終盤でトウシューズを脱ぐんですが、それまで片方だと気付かないくらい自然で、鍛錬された裸足の爪先の美しさに、改めて驚かされました。パーカッションの男性との遣り取りなどもあり、とても楽しい場面。トウシューズを置いて去ろうとするロスに、演奏者の男性がもう一方のトウシューズを渡します。男性の頭をナデナデするロス。今度は2つのトウシューズを手にはめて踊り出します。ちょっとユーモラスで、滑らかなロスの腕の動きも印象的。ロスが本当にキュートでした。シャルキナはガブリエルとパ・ド・ドゥ。
バスローブを着て、頭にトウシューズを結びつけた女性たちによる群舞。何故、頭にトウシューズ(笑)。でも、顔の前に腕を持ってきて頭を振ると、そのトウシューズが踊っているようにも、ペン先のようにも見えてきます。そうか。踊ることがベジャールさんへの手紙になるのだとしたら、トウシューズがペンということになるのかもしれないと思いました。次第に彼女たちが日本風に見えてきたのは、きっとバスローブが着物に、トウシューズが髷のように見えたからかも。

最後は全員が舞台に登場し、空に向って手紙を書くように腕を動かす場面で終わります。初日は手紙を書いているように見えたんですが、2日目に見たら「違うかも・・・」と。いずれにしても、全員が天を仰ぎ見て、まるでベジャールさんにメッセージを送っているかのように見えるラストに、じんわりと感動しました。ジュリアンが舞台の中央に出てきて、手話のような動きをするんですが、あれはやっぱり手話だったんでしょうか。何と表現していたのかとても気になります。

ジルの作品は衣裳も気になるところなんですが、今回の衣裳も色がとっても綺麗でした。原色はほぼなくて、様々な青、紫、緑、そしてグレーやクリーム色、ボルドー、ベージュなどなど。何気ないレッスンウェアの装いだけど、ものすごく考え抜かれているんだろうな〜と思いました。

【第2部】 <ベジャール・セレブレーション>

ベジャールの没後10年のために作られた作品を、今回の合同公演のために特別に編成したとのこと。ジルが選び、構成したベジャール作品の数々が、BBLと東バの合同キャストによって次々に繰り広げられます。あっという間の1時間半で、本当に楽しかったです。パ・ド・ドゥを一緒に踊るということはなかったけど、最初と最後の「1789・・・そして私たち」の群舞は両カンパニーの混合で踊られました。特に最後の「第九交響曲」での混合の群舞は感動的で、作品の素晴らしさもあり、胸に迫るものがありました。この「1789・・・そして私たち」の全容を知らないんですが、どちらの場面も素敵だったので、是非復活上演してくれないかな〜と思ってしまいました(難しい部分とかがあるのかなぁ?)

「1789・・・そして私たち」のベートーヴェンに始まり、同じ「1789・・・」で終るという構成もよかったし、さらにそれを挟むように、イントロダクションと大団円にバーが登場するのがよかった。イントロダクションでバーレッスンをするダンサーが登場し、ジルを囲んだ大団円でも、ダンサーがバーを持ってきてレッスンを始めます。バーに始まりバーに終るといのが、なんともよかった。
前半の<テム・エ・ヴァリアシオン>ではトウシューズが印象的に使われていました。トウシューズとバー。そこがすべての始まりであり基本なんだな、と。ベジャールもノイマイヤーも、作品の中でトウ・シューズとバーへの深い敬愛を表現していますよね。


開演前(我々は休憩中)、まだ客席が明るいうちから、一人のダンサーが舞台上でバーレッスンを始めます。両日ともクゥィンテン・ギリアムズでした。しばらく続けると、ダウンを脱いで汗を拭い、また黙々とバーレッスンを続けます。その後、一度暗転したのか、そのまま本編が始まったのか、もう思い出せない・・・。来年の2月にWOWOWで<ベジャール・セレブレーション>の放送があるんですが、このバーレッスンの場面も使ってくれますよね、、。

『1789・・・そして私たち』より第一交響曲
メインのカップル2組(BBL)と、混合の群舞。全員が白の衣裳で、華やかで軽快な、幕開きに相応しい場面でした。それにしても、BBLと東バの面々が混ざって踊る様子は、妙に感動的でした。途中から男性ダンサーが一人登場して、ソロを担当(彼だけ上半身裸)。爽やかでいい踊りをするので気になっていたんですが、あとでギリアムズだったことが判明。BBLの日本人ダンサー大橋さんは明るさを持っていて素敵だったし、胸筋が美しいゴールドスミスも気になる雰囲気のダンサーでした。

『ヘリオガバル』より
アーキバルドとオエッソ、2人の美しくしなやかな身体に釘付け。アーキバルドの力強い眼差しも印象的でした。あとから登場した2人が、輪唱のように同じ踊りを最初から踊り始めます。最後、横たわっているオエッソをアーキバルドが足でゴロリと蹴飛ばすと、オエッソはそのままゴロゴロと退場。代わりに次の場面のジュリアンが登場。

『わが夢の都ウィーン』より「シャンブル・セパレへ行きましょう」
対峙するアーキバルドとジュリアン。そこへロスも現れる。途中まで「ヘリオガバル」のアーキバルドが残る繋ぎは、『愛、それはダンス』のときと同じだな〜と。同志のような信頼で結ばれたロスとジュリアンのパ・ド・ドゥを堪能。洒落た雰囲気がありながら、人間の強さや逞しさを感じさせるこのパ・ド・ドゥはとても好きです。

『ライト」』り「レジデンツ」
男性たちの踊り、女性たちの踊り、最後は一緒にという構成。真剣な顔で踊る男性陣に対して、女性たちはにこやか。岡崎さんは格好よかったし、杉山さんの「超」が付くほど(褒めてます)真剣な顔も印象的。にこやかな中川さんも可愛い♪ 

『アレポ』より
久々に踊る木村さんが見られて、しかもパートナーが奈良さんで、もう最高でした♪ 踊りは相変わらずキレがあって美しいし、ご本人も楽しそう(♪)。奈良さんもとっても素敵でした。でも、木村さんを見すぎて、2日間とももう一組はほとんど見られなかった、、、。

『わが夢の都ウィーン』より 「ウント・ゾー・ヴァイター」
かつてウィリアム・ペドロが踊ったソロ。ダンスマガジンのインタビューで踊る予定だと語っていた大貫さんですが、2日間ともペドロソが踊りました。大貫さんはどこか痛めていたんでしょうか、、、。ペドロソはテクニックもあるし、チャーミングだし、若そうなのに世界観を持っていてすごいなぁと。ただ、ウィリアム・ペドロが踊ったときに感じた、ほんの少しの狂気みたいなものがなかったかもしれません。そんなもの初めからこの作品にはなかったですかね(苦笑)。ペドロソは、たぶん彼の癖だと思うんですが、カーテンコールなどの素のときに少し顎が少し上がるんです。その状態で楽しそうに客席を見渡している様子が可愛かったです。

 『ディブク』より ハナンとレア
「ディブク」は東欧のユダヤ人社会で信じられている悪霊のことで、のちにユダヤ教と結びつくらしい(違ったらすみません)。そのディブクを主題に、男女の悲恋物語を重ねた演劇作品があるらしく、それが題材になっているのかな?と思ったりしました。ユダヤの伝統音楽に乗せた、民族的で、祈りの儀式のような踊り。ゆったりと進行する前半に対して、スピーディーなステップが展開する後半も面白かったです。全体がどんな作品なのか気になります。初日のカマロタは、濃い眉をした印象的な雰囲気のダンサー。他の作品でもフワフワの髪が目立つので、覚えやすかったです。結構あちこちで起用されている感じですね。パンシーニもちょっとエキゾチックな雰囲気で素敵。2日目のリザ・カノとスアレスもよかったです。

『バロッコ・ベルカント』よりパ・ド・シス
カラフルなレオタードに、イタリアのパレードのマスクを模したようなカラフルなメイク。秋元さんが以前見たときよりベジャールっぽかった気がする。でも、岸本さんが一番ベジャールを感じたかな〜。華やかな場面で、踊りも満載。みんな楽しそうに生き生きしていて、女性陣は可愛くて、とっても楽しかったです。

『パトリス・シェローが、三島とエヴァ・ペロンの出会いを演出する』より
緊迫感のあるパ・ド・ドゥ。ジャユンの鋭い空気感が印象的でした。大橋さんの活躍が見られたのも嬉しい。音楽の中にときどき日本語の台詞が出てくるんですが、意味がわかってしまうと逆に入り込めないこともあるんだなぁと思ってしまいました。

 『ハムレット』より ハムレットとその母妃
デューク・エリントンがシェイクスピアへのオマージュとして作曲した「サッチ・スウィート・サンダー」に乗せたパ・ド・ドゥ。1960年にこの曲でソロを踊ったベジャールが、1990年には全登場人物による作品に仕上げたとのこと。全編が気になります。『ハムレット』とジャズが意外にもマッチしていて驚きました。スリリングなパ・ド・ドゥ。赤いドレスのロスと、黒づくめのジュリアン。2人とも格好よかったです。

 『我々のファウスト』より パ・ド・ドゥ
水香さんはオレンジ色のレオタード。静謐な雰囲気のパ・ド・ドゥでした。

『バクチ』より 「バクチV」シヴァとシャクティーの踊り
シャルキナのシャクティーが格好よすぎました! 物語の中心となるような、綺麗(可愛い)どころの役を踊る彼女を見ることが多いけど、シャクティーみたいな踊りもすごくいい。パワフルで、全身からエネルギーを放出していて、踊りもキレッキレで、見る者を惹きつけるシャクティーでした。ガララーグの活躍も見られてよかった。ちょっと線が細いけど、いい表情だったし、やっぱり素敵。ガララーグのフレディ、見てみたいです。2日目のバーローも、体格がいいので迫力がありました。

『ロッシーニアーナ』よりティエポロのプルチネッラ
2人の道化のパ・ド・ドゥ。白のハーフパンツに、上半身は裸にレースのカラーを付けた2人。リグもギリアムズもとってもキュートで、とにかく楽しかった〜♪

『1789・・・そして私たち』より 第九交響曲
肌色のレオタードの男女による踊り。2組のカップル(BBL)に始まり、徐々に人数が増えていきます。とても壮大で、感動的な場面でした。確か初日は吉川−和田が先に出てきたと思うんだけど、2日目は渡辺−永田が先に出てきました。私の気のせいかな、、、。途中からカップルが増えていく中で、東バのダンサーが登場して一緒に踊り始めると、2つのカンパニーが合同で踊っているのがより強く感じられ、作品の素晴らしさも相まって、なんだか妙に感動してしまいました。

そしてフィナーレ。
これまでの登場人物たちがそれぞれの衣裳のまま登場し、一つの音楽の中で自分たちの作品を踊ります。そして、白のパンツに着替えたジュリアンが舞台の中央に登場。よく見たら、『我が夢の都ウィーン』のロスの相手は別のダンサーが務めていました(ちゃんとブルーの衣裳を着てた)。「お♪ジュリアンのソロがあるのかな?」と思ったんですが、それはなかった、、。このジュリアンの役は、冒頭の「1789・・・」でやはり白のパンツで登場したギリアムズと呼応しているのでしょうか。やがて全員がストップモーションしたところへ、ジルが駆け込んできます。ジルは愛おしそうに一組一組の身体にポンっと触れていきます。ジルに触れられたダンサーたちが動き始める。そして、登場人物全員が、中央のジルを基点にグルグルと舞台を周り始めます。するとそこへ、「ロッシーニアーナ」のギリアムズがバーを持ってくる。全員が見つめる中、同じく「ロッシーニアーナ」のリグがバーレッスンを始めます。終わりだけど始まりでもある。素敵な幕切れでした。

なんと言うか、感動を煽るような作りになっていないのがいいなと思いました。シンプルに、感動しました。そして、ベジャールは生きているなぁと思いました。最後にジルが登場したところで涙腺崩壊したけど、、。実に温かくて、実に爽やかなラストでした。

<主な配役>
※23日の『1789・・・そして私たち』より第一交響曲のキャストですが、コナー・バーローではなかったと思います。『バクチ』まで時間があるから踊るのは不可能ではないと思うけど。実際は誰だったのか気になります、、。

【第1部】 「テム・エ・ヴァリアシオン」

振付:ジル・ロマン
音楽:シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jBメイアー)によるライブ演奏
     ニック・ケイヴ&ウォーレン・エリスによるサウンドトラック

アランナ・アーキバルド、ジャスミン・カマロタ、キャサリーン・ティエルヘルム
スン・ジャユン、ジェイム・オエッソ
リザ・カノ、ファブリス・ガララーグ、ハビエル・カサド・スアレス
ガブリエル・アレナス・ルイス、、ヴィト・パンシーニ、ジュリアン・ファヴロー
マッティア・ガリオット、ローレンス・リグ、クゥィンテン・ギリアムズ、
ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、ミケランジェロ・ケルーチ、クレリア・メルシエ
キアラ・ポスカ、大橋真理、、フロリアーヌ・ビジョン、カルメ・アンドレス
ヴァレリア・フランク、オアナ・コジョカル、エリザベット・ロス、カテリーナ・シャルキナ
スヴェトラーナ・シプラトワ、コナー・バーロー
モーリス・ベジャール・バレエ団

【第2部】 「ベジャール・セレブレーション」

振付:モーリス・ベジャール  振付指導:ジル・ロマン

1. 『1789・・そして私たち』より 第一交響曲

  コナー・バーロー、スヴェトラーナ・シプラトワ、ダニエル・ゴールドスミス
  大橋真理、クゥィンテン・ギリアムズ、モーリス・ベジャール・バレエ団
  加藤くるみ、上田実歩、浦由美子、中島理子、榊優美枝、足立真里亜
  中村祐司、山田眞央、高橋慈生、安楽葵、岡本壮太、岡ア司

2.『ヘリオガバル』より

  アランナ・アーキバルド−ジェイム・オエッソ
  ポルシア・アダムズ(22日)、カルメ・アンドレス(23日)−アントワーヌ・ル・モアル
  
3. 『わが夢の都ウィーン』より 「シャンブル・セパレへ行きましょう」

  エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー

4. 『ライト』より 「レジデンツ」

  岸本夏未、二瓶加奈子、金子仁美、中川美雪、中島理子
  岡崎隼也、杉山優一、入戸野伊織、樋口祐輝、井福俊太郎

5. 『アレポ』より

  奈良春夏 ― 木村和夫
  伝田陽美(22日)、川島麻実子(23日) ― ブラウリオ・アルバレス

6.『わが夢の都ウィーン』より 「ウント・ゾー・ヴァイター」

  ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ

7. 『ディブク』より ハナンとレア

  ジャスミン・カマロタ、ヴィト・パンシーニ(22日)
  リザ・カノ、ハビエル・カサド・スアレス(23日)

8. 『バロッコ・ベルカント』より パ・ド・シス

  沖香菜子、三雲友里加、政本絵美
  秋元康臣、宮川新大、岸本秀雄

9.『パトリス・シェローが、三島とエヴァ・ペロンの出会いを演出する』より

  大橋真理、スン・ジャユン

10. 『ハムレット』より ハムレットとその母妃

  エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー

11. 『我々のファウスト』より パ・ド・ドゥ

  上野水香 ― 柄本 弾

12.『バクチ』より 「バクチV」シヴァとシャクティーの踊り

  カテリーナ・シャルキナ、ファブリス・ガララーグ(22日)、コナー・バーロー(23日)

13.『ロッシーニアーナ』より ティエポロのプルチネッラ

  ローレンス・リグ、クゥィンテン・ギリアムズ

14. 『1789・・・そして私たち』より 第九交響曲

  キャサリーン・ティエルヘルム ― スン・ジャユン、
  スヴェトラーナ・シプラトワ  ―  ダニエル・ゴールドスミス、
  モーリス・ベジャール・バレエ団
  渡辺理恵 ― 永田雄大、吉川留衣 ― 和田康佑
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2017年12月01日

モーリス・ベジャール・バレエ団『魔笛』11月17日〜19日【東京】/28日【西宮】

モーリス・ベジャール・バレエ団2017年日本公演、Aプログラム『魔笛』の公演に行ってまいりました。東京3日間と西宮です。リニューアルされ、日本では2004年以来13年ぶりの上演となりました。2004年の日本公演は、私がBBLを追いかけるきっかけとなった公演なので、個人的にちょっと思い入れが強いです。東京公演に感動して、横須賀の『魔笛』を急遽見に行ったんです。しかも、その日はラ・ラ・ラ・ヒューマン・スップスのチケットを取っていたにもかかわらず、です。結局ラ・ラ・ラの公演は一度も見ることなく解散してしまったので、ちょっと残念ではありましたが、、、。2004年の日本公演では、公演期間中にベジャールさんが帰国せねばならず、初日のカーテンコールだけ登場したと記憶しています。2006年の日本公演はドクターストップのため来日していないので、それが私が最後に見たベジャールさんの姿でした。
あのときに、「何これ!面白い!!」と思った『魔笛』を、またこうして見ることができるとは思いませんでした。今回の上演も本当に楽しかった! ベジャール・ワールドを堪能しました。この世界観がやっぱり好きです。

東京(×3)と西宮(×1)の、自分のツイッターの感想を貼り付けました! ほとんど自分のためです(苦笑)。あとで自分がどう思ったか確認したいときに、まとまってると便利なので。「ガブリエルはシャンプー何使ってんだ?」とか、省いてもいいかなと思ったんですが、一応全部貼り付けておきました。
誤字脱字は修正してますが、基本的には手を加えず、つぶやいた順に貼り付けているので、微妙に読みづらかったり前後の繋がりがおかしかったりしますが、ご了承下さい〜。


【ツイッターより】

<11月17日(金)19:00>

BBL『魔笛』初日終了! いやー、楽しかった♪ ベジャール・ワールド〜♪
ベジャール『魔笛』、古さは感じなかった。正直、どうリニューアルしたのかはっきりとはわからなかったんだけど、ほとんど変えてないような気がします。ただ、デジタルリマスターじゃないけど、一枚ヴェールが剥がれてクリアになった印象。細部を微調整することで全体の印象が新鮮になった感じ。
モノスタトスの風貌が変わったのはわかった。アフロじゃなかったっけ? あと、どうしても勅使川原さんプロデュースのモノスタトスが浮かんでしまって、何度も掻き消しました。
今日の『魔笛』に古さを感じなかったのは、今を生きているダンサーが踊っていたからかな、とも思いました。それはつまり、ジルが今のダンサーたちを見て作品を作り上げたからかな、と。ただ作品にダンサーをはめ込むだけでは歪みが生じてしまうかもしれない。
ベジャールさんがそうしたように、ジルもダンサーに合わせて作品を作っていったのだろうな、と。それにより作品に新たな息吹が吹き込まれたのなら、それはジルがダンサーに対して愛情をもって取り組んでいるからだろうなと思いました。
自分の記憶力のなさを棚にあげて言うのも何だけど、どこがどう変わったかはっきりわからないけど作品が新鮮に感じるというは、いいリニューアルと言えるのではないかと思いました。

弁者のガリオットは、ストリートのブレイク・ダンスからバレエの世界に入ったらしい(プログラムより)。柔軟で芸達者。舞台のサイドに座っていても、結構存在感ありました。
振付言語とか、よくわからないんだけど、ロスが肩をクイっと動かすだけで「あぁなんか、ベジャールだなぁ」と思います。
ジュリアンは今年40才なんですよね〜。13年前にザラストロを踊ったときはまだ20代だったんですね。キラキラと神々しいジュリアンも素敵だったし、今日の風格あるザラストロも素敵でした。というかやっぱり格好いい(♪)。あと、青い目が綺麗だった、、、。
パパゲーノのペドロソがチャーミングでよかった。大貫さんの変更の理由がわからないのだけど、明日以降、踊ってくれるといいんだけど、、、。シャルキナも相変わらず可愛い♪  リザ・カノのイシスもよかったな〜。

<11月18日(土)14:00>

BBL『魔笛』2日目終了。20代だった頃のジュリアンのザラストロは、「ブロンドで上半身裸でハーレムパンツの大僧正って、ネタかよ〜(♪)」ってくらいキラキラしてたんだけど、今のジュリアンのほうが正しくザラストロなのかもしれないと思いました。オペラの声にもとても合っていたと思う。

今日の夜の女王のシプラトワが決して悪かったわけではないんだけど、改めてロスのすごさを感じた気がします。昨日のロスも、以前のキレがないかな?と思う部分もあったんですが、それでもやはり圧倒的なものがありました。
昨日はロスの踊りを、「ベジャールだな〜」と思いながら見ていたんですが、今日のシプラトワの踊りを見ながら、「あ、今のところロスっぽい」と思っている自分がいて、ハッとしました。ロスの踊りが焼き付いてるんだな〜、と。というか、それくらいロスが踊りを自分のものにしているということか。

タミーノのスン・ジャユンもよかったです〜♪  昨日のガブリエルのほうが大人タミーノ。ジャユンは青年タミーノ。ちょっと小柄だけど軽やかで、端正で美しい踊り。でもよく見ると、その正確な踊りにとても豊かな感情を乗せて踊っているのがわかって、すごくよかった。
絶望し、自殺しようとするパミーナを三人の童子が止める場面で、ようやくパミーナの手からナイフを取り上げた童子が、小さくガッツポーズをするのが可愛くて、その優しさにちょっと癒されました。
ティエルヘルムは夜の女王もパミーナも、どちらも踊れると思うんだけど、彼女が夜の女王に回ってしまうと、シャルキナ以外にパミーナを踊る人がいなくなっちゃうのかな〜と思ったりしました。いや、私の勝手な想像ですが、、、。

<11月19日(日)14:00>

BBL『魔笛』、東京最終日が終了しました。今日もよかった〜。何て言うんでしょう、ずっとこの空間に身を浸していたい感じ。
というか、なんでガブリエルの髪はあんなにサラサラなんでしょう。シャンプー、何使ってんすかね。あと、今日はジュリアン、お団子じゃなかったです。

ジルは3日間、カテコに出てきてくれました。そして那須野さんは3日間、チケット売場に出てきてくれてた。スタイルよくて本当に格好よかったです。『魔笛』3日間が終了して今思うのは、ベジャールを受け継ぐって、過去と同じように踊るってことじゃないのかもしれないなってことです。今踊っているダンサーがワクワクして、今見ている私たちがワクワクする。もちろん変えちゃいけないものもあると思うけど、大事なのはそこなのかなと思いました。

初日とほぼ同じキャストだったんだけど、今日のほうがしみじみよかった。私の気持ちの問題かもしれないけど。自分やっぱり、ベジャールの全幕ものが結構好きかも。
ロスが格好よかったです〜。跳躍や回転が一切ない踊りであれだけ魅了するジュリアンもすごい。シャルキナの伸びやかな踊りとキュートな表情の数々。裸足の爪先も美しい。裸足っていうのは、どこかピュアの表現だったりするのかな?とか。
前回の日本公演でガブリエルの身体能力の高さはわかっていたんだけど、やっぱり踊れる人だった。あの柔軟さと強靭さと瞬発力。折り目正しさと爆発力を兼ね備えた踊りで、見ていて気持ちがいいです。そして、なんていうか、あの真面目さ。個性ですよね〜。あと、ちゃんと王子でした。

最初こそ、アリアと踊り手のシンクロに感心しながら見てるんだけど、だんだんと意識せずにその心地よさに身を委ねるようになる。そして終盤、別れを告げに来たタミーノとパミーナ、ザラストロの場面の、音楽とアリアと踊りの見事なまでの一体感に打ちのめされることになります。

初日を降板した大貫さんが無事にパパゲーノを踊ってくれました。昨日の踊りを見る限り怪我ではなさそうなんだけど、本調子でもないような気がしました。いや、す〜ごくよかったんだけど、『第九』での「なんか降りて来てるのか!?」ってくらいすごいときとかを見てるので、そう思ってしまったのかも。
大貫さんは、きっとジルにもベジャールさんにも愛されるタイプですよね〜♪
大貫さんのパパゲーノ。パパゲーナが老婆の服を脱いだときの、最初の「パァ〜♪」が面白くて、笑わせてもらいました。

<11月28日(火)19:00 西宮>

BBL『魔笛』西宮公演、終了しました。。た、楽しかった、、、。なんだか、ず〜っと見ていたかったです。終わるのが本当に寂しかった。<ベジャール・セレブレーション>、Bプロと見てきて、だいぶダンサーが判別できるようになったので、隅々まで楽しかったです。
東京のキャストと違ったのは、パパゲーナのカルメ・アンドレス。可愛かったです。子どもをたくさん作ろうとはしゃぐ場面、いいですよね〜。小さいパパゲーノ(?)の人形が可愛い♪

夜の女王のシプラトワが、東京よりよかったかも。正直、1幕のソロはまあまあだったんだけど、2幕でガラリと変わった印象。踊りも佇まいも力強さが増していました。
シプラトワ、1幕のソロがまあまあだと思ったのは、出力の問題かなと思いました。アリアは盛り上がっているのに、彼女の踊りの出力が変わっていない感じがしたんです。でも2幕では、あの有名なアリアのソロも、東京で感じた少々の物足りなさを感じませんでした。力強く踊っていてとてもよかった。
決してシプラトワがよくなかったわけではなくて、夜の女王がすごく難しいんだろうなと思いました。

ベジャール『魔笛』。大団円で、上手でワチャワチャしてる三人の童子のギリアムズが、一番端で踊っている群舞の女の子のポーズを、「こうかな? あれ、違うかな?」と真似していて可愛かった。真似されてる子も笑ってた(♪)。
それにしても、弁者のあのスフィンクスみたいな被り物の可愛いこと。三角錐の中に入って、クイッと首を傾げてタミーノのほうを見る姿がまた可愛い♪

【貼り付け終り】
posted by uno at 22:35| Comment(0) | バレエ公演2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月29日

西宮に行ってきました。/BBL『魔笛』西宮のキャスト。

BBLの『魔笛』、西宮の公演を見てまいりました。東京の3日間が終って、「これは西宮も見ておかないと後悔するかも。。。」と思い、急遽チケットを手配。今は、どうして『ボレロ/他』のチケットも取らなかったのかと後悔してます、、、。いや、チケットは当日券でも取れるんですが、これ以上は仕事を休めませんでした、、、。『第九』があったとはいえ、前回の日本公演から4年空いてるんですよね。あまり間を空けず、2年後くらいにはまた来てほしいな〜と。ダンサーも覚えたので、あまりメンバーも変わらないと嬉しい、、。そして、次こそ『バレエ・フォー・ライフ』が見たいです。

キャストを載せておきます。
東京の中日と近いキャストです。パパゲーナのカルメ・アンドレスが西宮のみのキャストでした。東京の『魔笛』ではメインのキャスト以外は判別できなかったんですが、<ベジャール・セレブレーション>とBプロのおかげで、だいぶダンサーがわかるようになったので、今回は隅々まで楽しかったです。ロスと比べてしまうとどうしても不利に感じてしまったシプラトワの夜の女王ですが、東京よりよかったと思います。タミーノのスン・ジャユンは踊りが綺麗。大きく腕を広げたときに、胸が語っていたのが印象的でした。ジュリアンはお団子無し(何のお知らせだ、、、)。「僕にはパパゲーナはいない」と言って泣くパパゲーノを、「辛抱して。神様がついているわ」(確か)とパミーナが慰めます。その後に続く2人の心温まるパ・ド・ドゥに落涙、、、。私は神様は信じてないけど、パパゲーノの寂しさとか、パミーナの優しさとか、そういう気持ちは宗教とか関係なく共通なんじゃないかな〜、と。何気にシングルキャストだったケルーチのモノスタトスもよかったし、弁者のガリオットの瞳が透き通るように綺麗だったのも印象的でした。今回は髭の弁者だったけど、別の雰囲気の役どころも見てみたいと思いました。

モーリス・ベジャール・バレエ団『魔笛』 【西宮】
2017年11月28日(火)19:00 兵庫芸術文化センターKOBELCO大ホール

弁者:マッティア・ガリオット
タミーノ:スン・ジャユン
パミーナ:キャサリーン・ティエルヘルム
ザラストロ:ジュリアン・ファヴロー
夜の女王:スヴェトラーナ・シプラトワ
パパゲーノ:ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ
パパゲーナ:カルメ・アンドレス
モノスタナトス:ミケランジェロ・ケルーチ
夜の女王に仕える三人の侍女:
  大橋真理、ヴァレリア・フランク、ソレーヌ・ビュレル
三人の童子:
  クゥィンテン・ギリアムズ、ローレンス・リグ、ドノヴァ―ヌ・ヴィクトワール
三人の僧侶:
  アンジェロ・ペルフィド、ダニエル・ゴールドスミス、ドリアン・ブラウン
三人の奴隷:
  アンジェロ・ペルフィド、ドリアン・ブラウン、アントワーヌ・ル・モアル
二人の武士:
  コナー・バーロー、ダニエル・ゴールドスミス
イシス:リザ・カノ
オシリス:ハビエル・カサド・スアレス
posted by uno at 22:30| Comment(0) | バレエ公演2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月28日

BBL<ピアフ/兄弟/アニマ・ブルース/ボレロ>11月25日昼・夜

BBLのBプログラムを見てまいりました。11月25日(土)の昼・夜2公演です。Bプロも楽しかったです〜♪ 山海塾の公演と重なっていなければ、26日(日)も見たかった、、。。

男性のみで、ソロあり群舞ありの「ピアフ」は、エディット・ピアフの巨大パネルを使用したりして、ベジャールらしいな〜と。『魔笛』と<ベジャール・セレブレーション>でダンサーの判別ができるようになってきたし、新たに魅力的なダンサーの発見などもあって、とても楽しかったです。
ジルの「兄弟」と「アニマ・ブルース」も面白かったです。前回までの「アリア」や「シンコペ」よりも入り込んで楽しめたかも。ダンサーが成熟したのか、ジルの振付が成熟したのか、あるいは関係性が成熟したのかわからないんですが、ダンサーと作品が噛み合っている感じがしたんです。振付家の独りよがりにならず、ダンサーにも「よくわからないけど踊ってます」という感じがなかった。ダンサーたちが生き生きしていたのが印象的でした。ダンサーたちの心の中に、ベジャール以外の作品を踊ることへの戸惑いがあったのだとしたら、それも少しずつ変化してきたのかもしれないと思いました。同じように、私の中にもベジャール以外の作品を踊るBBLに対する戸惑いがあったのかもしれません。
「ボレロ」は、ロスもジュリアンも、何故か前回よりもよかったです。どうしてなのかはわからないんだけど、どちらもすごくよかった。特にジュリアンの日は、かなり早い段階からスタンディングオベーションになりました。何度目かのカーテンコールのとき、ジュリアンが日本語で「アリガトー」と言ったのが印象的でした。もちろん声は聞こえないけど、多くの方が気付いたと思います。こちらこそ「ありがとう」と伝えたかったです。

とりあえずまた、キャストだけ載せておきます〜。「アニマ・ブルース」にはアーキバルドとガララーグも出ていたんですが、結局3日間、キャスト表には記載がなかったようです。単純なミスなのか、キャスト表に載せない役なのかは不明ですが、あの人数の作品なら、載せないってことはないと思うんだけどな〜。

モーリス・ベジャール・バレエ団2017年日本公演 Bプログラム
2017年11月25日(土)13:30/18:00 東京文化会館

「ピアフ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:エディット・ピアフ

『愛の言葉』:男性全員
『アコーディオン弾き』:クゥィンテン・ギリアムズ
『冷淡な美男子』(ジャン・コクトーの戯曲より):
  ファブリス・ガララーグ(昼)、アンジェロ・ペルフィド(夜)
『私の回転木馬』:ローレンス・リグ(昼)、スン・ジャユン(夜)
『道化師万歳』:ハビエル・カサド・スアレス
『あなたはきれいね、分かってるでしょ...』:男性全員
『私の友達リュシアン』:デミアン・バルガス(昼)、ドリアン・ブラウン(夜)
『水に流して』:男性全員

「兄弟」
振付:ジル・ロマン
音楽:モーリス・ラヴェル、エリック・サティ、吉田兄弟、美空ひばり、
    シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jB メイアー)

ガブリエル・アレナス・ルイス、リザ・カノ
那須野圭右、大貫真幹
ジャスミン・カマロタ、大橋真理
*出演順

「アニマ・ブルース」
振付:ジル・ロマン
音楽:シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jB メイアー)

カテリーナ・シャルキナ、コナー・バーロー
リザ・カノ、ガブリエル・アレナス・ルイス(昼)/ハビエル・カサド・スアレス(夜)
ジャスミン・カマロタ、ジェイム・オエッソ
エリザベット・ロス、大貫真幹(昼)/クゥィンテン・ギリアムズ(夜)
キャサリーン・ティエルヘルム、ジュリアン・ファヴロー
アランナ・アーキバルド、ファブリス・ガララーグ

「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

メロディ:エリザベット・ロス(昼)、ジュリアン・ファヴロー(夜)

リズム:
  アンジェロ・ペルフィド、ガブリエル・アレナス・ルイス
  ファブリス・ガララーグ、コナー・バーロー
  スン・ジャユン、ダニエル・ゴールドスミス、マッティア・ガリオット
  ミケランジェロ・ケルーチ、ヴィト・パンシーニ、ローレンス・リグ
  ハビエル・カサド・スアレス、フェデリコ・マテティッチュ、
  ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、ジェイム・オエッソ
  クゥィンテン・ギリアムズ、大貫真幹、
  ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ、アントワーヌ・ル・モアル
posted by uno at 00:54| Comment(0) | バレエ公演2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月24日

<ベジャール・セレブレーション>2日間。

BBLと東バの合同ガラ<ベジャール・セレブレーション>の公演に、2日間行ってまいりました。

11月22日。ベジャールさんの命日に日本でBBLの公演が見られたことに感謝です。

今回の日本公演をここまで見てきて思ったのは、やっぱりBBLが好きだな〜ということです。ずっと好きでしたが、実はここしばらく、どこかモヤモヤしたものを抱えながら見ていました。それが今回は感じなかったんです。ベジャールさんの死後、「新生BBL」と言われてきましたが、10年経った今、やっと本当に「新生BBL」としてのスタートを切ったのではないかと思いました。そりゃあ、そうですよね。あの大きすぎる存在のベジャールさんが亡くなって、すぐにすべてが上手くいくわけないですよね。ダンサーは絶えず入れ替わり、作品を模索し、何が正解かわからなくても前に進まなくてはいけない。この10年間、ジル・ロマンは絶えず止まらずに、BBLが進み続ける姿を見せてくれた。そしてまた改めて、やっぱりBBLが好き!と思わせてくれました。これからも困難な道が続くと思います。どのカンパニーだって、楽な道なんてないですよね。絶えず毎日が、「新生BBL」のスタートラインなのかもしれません。

もう一つ思ったのは、ベジャールを受け継ぐということは、過去とまったく同じように踊ることではないのかもしれないとういことです。今踊っているダンサーがワクワクして、今見ている私たちがワクワクする。もちろん、振付言語とか、動きに込められた意味とか、変えちゃいけないものもあると思うけど、大事なのはそこなんじゃないかなと思いました。実際、ダンサーは生き生きしてたし、見ている私はとてもワクワクしました。それがなければ、何も始まらないんじゃないかと思ったんです。今を生きることの大切さを感じたような気がします。もしかしたら、10年経ってやっと私自身が今のBBLを見られるようになったのかもしれない。問題は、私にもあったのかもしれません。

さらに、今回のジル作品「テム・エ・ヴァリアシオン」を見ながら、振付をすることって大事なのかもしれないと思いました。ベジャールさんがジルに振付をするようにと言ったことの意味がわかったような気がします。本当の意味でダンサーを見ること、知ること。そしてダンサーから得ること。振付という共同作業以上のコミュニケーションはないのかもしれないと思いました。芸術監督のジルが一番ダンサーをわかっていなければいけない。そのために、振付ほど大事なものはないんじゃないか、と。何があっても今のダンサーたちと前に進むために、振付をし続けることは大事なことなのかもしれません。「テム・エ・ヴァリアシオン」は、今のダンサーがよくわかるいい作品でした。『魔笛』だけではわからなかったダンサーの個性が見えてきた。それは、ジルがダンサーたちの個性をわかって作っているからではないかと思ったんです。振付作業の尊さを見た気がしました。

まだ日本公演は残っていますが、私の個人的な気持ちとしては、これからもBBLを追いかけたいと思えたことが、本当に嬉しかったです。というわけで、西宮の『魔笛』のチケットを取ってしまいました(笑)。仕事をどうやって休むかは、聞かないで下さい〜。

2日間のキャストを載せておきます。
ダンマガのインタビューで「ウント・ゾー・ヴァイター」を踊る予定と言っていた大貫さんですが、2日間ともペドロソが踊りました。「テム・エ・ヴァリアシオン」の群舞にはいましたね。やはり本調子ではないんでしょうか、、。大貫さんの「ウント・ゾー・ヴァイター」が見られなかったのは、ものすごく残念、、、。そして自分、クゥィンテン・ギリアムズがたぶんすごく好きなタイプのダンサーだということがわかりました。ベジャールが描くところの道化が似合いそうなダンサーに弱いんですよね〜。今回は道化の役ではなかったけど、首にレースのカラーを着けて踊った「ロッシーニアーナ」の雰囲気がすごく好きでした。と思いきや、幕開きの「1789・・・そして私たち」では爽やかなソロを踊ってたし、さらにその前のイントロダクションでは丁寧なバーレッスンを披露。あの役割を与えられるということに、ジルの信頼を感じると言ったら大袈裟でしょうか。大袈裟か(笑)。「ヘヴン・フォー・エヴリワン」を踊ってほしいな〜と思うんですが、2017年の映像を見る限り(Youtube)、踊っているのはギリアムズではないようです。というか、ガブリエルがジルの役どころを踊ってるんですね〜。そろそろ『バレエ・フォー・ライフ』が見たいです〜。

<ベジャール・セレブレーション>
2018年11月22日(水)19:00、23日(木・祝)14:00
東京文化会館

第1部 「テム・エ・ヴァリアシオン」

振付:ジル・ロマン
音楽:シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jBメイアー)によるライブ演奏
     ニック・ケイヴ&ウォーレン・エリスによるサウンドトラック

アランナ・アーキバルド、ジャスミン・カマロタ、キャサリーン・ティエルヘルム
スン・ジャユン、ジェイム・オエッソ
リザ・カノ、ファブリス・ガララーグ、ハビエル・カサド・スアレス
ガブリエル・アレナス・ルイス、、ヴィト・パンシーニ、ジュリアン・ファヴロー
マッティア・ガリオット、ローレンス・リグ、クゥィンテン・ギリアムズ、
ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、ミケランジェロ・ケルーチ、クレリア・メルシエ
キアラ・ポスカ、大橋真理、、フロリアーヌ・ビジョン、カルメ・アンドレス
ヴァレリア・フランク、オアナ・コジョカル、エリザベット・ロス、カテリーナ・シャルキナ
スヴェトラーナ・シプラトワ、コナー・バーロー
モーリス・ベジャール・バレエ団

第2部 「ベジャール・セレブレーション」

振付:モーリス・ベジャール  振付指導:ジル・ロマン

1. 『1789・・そして私たち』より 第一交響曲

  コナー・バーロー、スヴェトラーナ・シプラトワ、ダニエル・ゴールドスミス
  大橋真理、クゥィンテン・ギリアムズ、モーリス・ベジャール・バレエ団
  加藤くるみ、上田実歩、浦由美子、中島理子、榊優美枝、足立真里亜
  中村祐司、山田眞央、高橋慈生、安楽葵、岡本壮太、岡ア司

2.『ヘリオガバル』より

  アランナ・アーキバルド−ジェイム・オエッソ
  ポルシア・アダムズ(22日)、カルメ・アンドレス(23日)−アントワーヌ・ル・モアル
  
3. 『わが夢の都ウィーン』より 「シャンブル・セパレへ行きましょう」

  エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー

4. 『ライト』より 「レジデンツ」

  岸本夏未、二瓶加奈子、金子仁美、中川美雪、中島理子
  岡崎隼也、杉山優一、入戸野伊織、樋口祐輝、井福俊太郎

5. 『アレポ』より

  奈良春夏 ― 木村和夫
  伝田陽美(22日)、川島麻実子(23日) ― ブラウリオ・アルバレス

6.『わが夢の都ウィーン』より 「ウント・ゾー・ヴァイター」

  ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ

7. 『ディブク』より ハナンとレア

  ジャスミン・カマロタ、ヴィト・パンシーニ(22日)
  リザ・カノ、ハビエル・カサド・スアレス(23日)

8. 『バロッコ・ベルカント』より パ・ド・シス

  沖香菜子、三雲友里加、政本絵美
  秋元康臣、宮川新大、岸本秀雄

9.『パトリス・シェローが、三島とエヴァ・ペロンの出会いを演出する』より

  大橋真理、スン・ジャユン

10. 『ハムレット』より ハムレットとその母妃

  エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー

11. 『我々のファウスト』より パ・ド・ドゥ

  上野水香 ― 柄本 弾

12.『バクチ』より 「バクチV」シヴァとシャクティーの踊り

  カテリーナ・シャルキナ、ファブリス・ガララーグ(22日)、コナー・バーロー(23日)

13.『ロッシーニアーナ』より ティエポロのプルチネッラ

  ローレンス・リグ、クゥィンテン・ギリアムズ

14. 『1789・・・そして私たち』より 第九交響曲

  キャサリーン・ティエルヘルム ― スン・ジャユン、
  スヴェトラーナ・シプラトワ  ―  ダニエル・ゴールドスミス、
  モーリス・ベジャール・バレエ団
  渡辺理恵 ― 永田雄大、吉川留衣 ― 和田康佑
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2017年11月21日

BBL『魔笛』3日間。

行ってきました〜。BBL日本公演、Aプロの『魔笛』を3日間見てまいりました。その間、ブログ放置、、、。どうしてもコンディションを整えて臨みたくて、公演に集中してました。そうじゃなくても放置気味だけど、、。ツイッターのほうではちょこちょこつぶやいてます。とりあえず、3日間のキャストをまとめておこうと思います〜。あとで調べるときに便利なので。

弁者のガリオットとザラストロのジュリアンはシングル・キャストでした。セカンド・キャスト、あるいはアンダーキャストがいないわけはないと思うので、他に誰が踊るのか気になるところです。初日にHPで発表されたキャストでは大貫さんがパパゲーノを踊る予定だったんですが、直前で変更になったようです。変更理由は明かされていませんが、最終日に踊ってくれたので大きなアクシデントではなかったようです。那須野さんと踊る「兄弟」が控えてることもあるし、大事を取ったのかもしれません。代役で初日にパパゲーノを踊ったペドロソは、チャーミングでとってもよかったです。すっかり頼れる存在になりつつあるガブリエルも、初見のスン・ジャユンも、大好きなティエルヘルムも、とっても可愛いアーキバルドも、『魔笛』ではメインの役どころじゃなかっけどガララーグも、どこにいてもちょっと気になるローレンス・リグも、そしてこれからが楽しみで仕方がない大貫さんも、みんなみんなよかったです。でも、やっぱりロスとジュリアンとシャルキナは、ちょっと別格かな〜という感じがしました。長く踊っているからなのか、ベジャールさんと仕事をしたことがあるからなのか、答えはわからないけど、両方なのかもしれないと思いました。彼らと那須野さんの4人が、ベジャールさんと一緒に過ごしたことのある最後の4人なんですよね、、。その那須野さんは引退を決めているようだし、また寂しくなりますね。『魔笛』に出演しない那須野さんは、ホワイエのチケット売場に3日間とも姿を見せてくれました。背が高くて細くて、とっても素敵でした。スーツも私服も格好よかった〜♪ ジルは3日間カーテンコールに登場。後列のダンサーに前に出るように促すときに、頭をクイっと振って指示するのが格好よくてね〜♪ カーテンコールに出てきてくれるだけで有り難い。ジルは踊ってなくてもダンサーです(もちろん踊ってほしいけど)。

明日からの『ベジャール・セレブレーション』も楽しみです。

モーリス・ベジャール・バレエ団2017年日本公演 Aプログラム『魔笛』

11月17日(金)19:00
弁者:マッティア・ガリオット
タミーノ:ガブリエル・アレナス・ルイス
パミーナ:カテリーナ・シャルキナ
ザラストロ:ジュリアン・ファヴロー
夜の女王:エリザベット・ロス
パパゲーノ:ヴィクトル・ユーゴ―・ペドロソ
パパゲーナ:ジャスミン・カマロタ
モノスタナトス:ミケランジェロ・ケルーチ
夜の女王に仕える三人の侍女:
  大橋真理、ソレーヌ・ビュレル、ヴァレリア・フランク
三人の童子:
  クゥィンテン・ギリアムズ、ローレンス・リグ、ドノヴァ―ヌ・ヴィクトワール
三人の僧侶:アンジェロ・ペルフィド、ダニエル・ゴールドスミス、ドリアン・ブラウン
三人の奴隷:
  アンジェロ・ペルフィド、ドリアン・ブラウン、アントワーヌ・ル・モアル
二人の武士:
  ダニエル・ゴールドスミス、コナー・バーロー
イシス:リザ・カノ
オシリス:ハビエル・カサド・スアレス

11月18日(土)14:00
弁者:マッティア・ガリオット
タミーノ:スン・ジャユン
パミーナ:キャサリーン・ティエルヘルム
ザラストロ:ジュリアン・ファヴロー
夜の女王:スヴェトラーナ・シプラトワ
パパゲーノ:ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ
パパゲーナ:アランナ・アーキバルド
モノスタナトス:ミケランジェロ・ケルーチ
夜の女王に仕える三人の侍女:
  大橋真理、ヴァレリア・フランク、ソレーヌ・ビュレル
三人の童子:
  クゥィンテン・ギリアムズ、ローレンス・リグ、ドノヴァ―ヌ・ヴィクトワール
三人の僧侶:
  アンジェロ・ペルフィド、ダニエル・ゴールドスミス、ドリアン・ブラウン
三人の奴隷:
  アンジェロ・ペルフィド、ドリアン・ブラウン、アントワーヌ・ル・モアル
二人の武士:
  ファブリス・ガララーグ、ダニエル・ゴールドスミス
イシス:リザ・カノ
オシリス:ハビエル・カサド・スアレス

11月19日(日)14:00
弁者:マッティア・ガリオット
タミーノ:ガブリエル・アレナス・ルイス
パミーナ:カテリーナ・シャルキナ
ザラストロ:ジュリアン・ファヴロー
夜の女王:エリザベット・ロス
パパゲーノ:大貫真幹
パパゲーナ:ジャスミン・カマロタ
モノスタナトス:ミケランジェロ・ケルーチ
夜の女王に仕える三人の侍女:
  大橋真理、ソレーヌ・ビュレル、ヴァレリア・フランク
三人の童子:
  クゥィンテン・ギリアムズ、ローレンス・リグ、ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ
三人の僧侶:
  アンジェロ・ペルフィド、ダニエル・ゴールドスミス、ドリアン・ブラウン
三人の奴隷:
  ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、ドリアン・ブラウン、アントワーヌ・ル・モアル
二人の武士:
  ドリアン・ブラウン、アンジェロ・ペルフィド
イシス:アランナ・アーキバルド
オシリス:ジェイム・オエッソ
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2017年09月13日

東バ<20世紀の傑作バレエ>3日間。

東京バレエ団<20世紀の傑作バレエ>の公演に、3日間行ってまいりました。とっても楽しかったです♪ いいプログラムだった〜。ベジャールの「春の祭典」は何度見ても飽きないし、キリアンの「小さな死」は初めて全編を見たんですが、とてもいい作品でした。ダンサーたちのパフォーマンスもよかったし、是非再演してほしいです。プティの「アルルの女」は、正直、「水香さんのためにレパートリーに入れたんだろうな、、」なんて、ちょっとひねくれた見方をしていたんですが、実際そういう側面もあるとは思うけど、全編を見る貴重な機会になったし、作品としても面白かった。何より、川島さんのヴィヴェットと弾さんのフレデリを見ることができたのが嬉しかったです。登場人物が少ないので、全員がプティの作品に触れることができたかどうかはわかりませんが、新しい振付を踊ることで必ずやダンサーたちが成長できるに違いないという、友佳理さんの信念を信じたいと思いました。セットも比較的シンプルだし、登場人物も多くないし、抜粋でも上演できるし、全国公演に持って行きやすいんじゃないかな〜と思ったんですが、今はギエムのツアーがないから、東バが全国でガラを上演することって、あまりないんですよね、、。ボッレが来るまでは秋元さんが水香さんのパートナーとしてリハーサルに参加していたようなので、いつか秋元さんのフレデリも見られるかな〜なんて思ってしまいました。

とりあえず、ツイッターの字数制限の140字で感想いきます。サクッと書こうと思うと、どんどん止まらなくなっちゃうんだけど、じゃあちゃんと感想書こうと思うと止まっちゃうんですよね、、、。なので、作品ごとに140字で!(謎の縛り・・・)。

「小さな死」
流麗で美しい作品。1stキャストでは、ダンサーの充実を実感。今このメンバーで見られる幸せを噛みしめた。2ndキャストは所々ぎこちないところがありつつも、瑞々しくてよかった。ただ、2ndの中で唯一1stの崔&アルバレスが頭一つ出てる感はある。東バの女性陣は静謐な雰囲気の作品が合う。

「アルルの女」
ボッレの変わらぬ若々しさに、42歳と知り驚く。ファランドールは美しかった。水香さんは私的に苦手な部分が控えめでよかった。ぶりっ子しない彼女のほうがいい。川島さんのヴィヴェットが切なくて美しかった〜。弾さんはドラマチックで若さ溢れるフレデリ。ファランドールでは舞台を支配していた。

「春の祭典」
3日間、総じてGOOD! 奈良さんがすごくよかった〜。岸本さんは弱いというよりピュアな印象。伝田さんは若々しく生命力ある生贄で格好いい。入戸野さんの弱っちい(褒めてます)生贄もよかった。理恵さんの、表面張力のように張り詰めた空気が印象的。それがこぼれた後半がまたよかった。
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2017年09月08日

小林紀子バレエシアター第112回公演<マクミラン没後25周年記念公演>8月26日

8月の小林紀子バレエシアター<マクミラン没後25周年記念公演>の、初日の公演を見てまいりました。相変わらず期待を裏切らない、興味深いトリプル・ビル。それにしても、『The Invitation』、『ザ・レイクス・プログレス』、『マノン』、『アナスタシア』等、そして今回の『春の祭典』も、小林紀子バレエシアターの意気込みを感じる上演を見るのは本当に気持ちがいいです。

小林紀子バレエシアター第112回公演<マクミラン没後25周年記念公演>
2017年8月26日(土)17:00 新国立劇場オペラパレス

「バレエの情景」
振付:フレデリック・アシュトン
ステイジド・バイ:アントニー・ダウスン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
美術:アンドレ・ボールペール

  萱嶋みゆき
  アントニーノ・ステラ
  上月佑馬、冨川直樹、荒井成也、望月一真

LA FIN DU JOUR」(ラ・ファン・ドゥ・ジュール)
振付:ケネス・マクミラン
ステイジド・バイ:アントニー・ダウスン
音楽:モーリス・ラヴェル
美術:イアン・スパーリング

  島添亮子、高橋怜子
  アントニーノ・ステラ、ジェームス・ストリーター

ピアノ演奏:中野孝紀

「春の祭典」
振付:ケネス・マクミラン
ステイジド・バイ:アントニー・ダウスン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
衣裳デザイン:キンダー・アグジニー

第1部 大地の礼賛
第2部 生贄の儀式

  生贄:望月一真


「バレエの情景」

女性陣のモダンな衣裳が可愛い。プリンシパルは黄色、コール・ドは水色。どちらかというと水色の衣裳のほうが好みでした。萱沼さんは華やかな人。実は難しそうな振付を、サラサラてきぱき、そしてエレガントに踊っていきます。アントニーノ・ステラは陽性の雰囲気があって素敵。それにしても、男性プリンシパルの踊りの、ザンレールの多いこと。ステラの、スプリングのように弾むザンレールが印象的でした。
「バレエの情景」はフォーメーションが面白くて、見ているのが楽しい。男性のソリスト4人を、どうしてそこは3対1でわけたの?とか。いろいろと興味深かったです。4人のソリストのうち、一番背の高い彼が、この日「春の祭典」で生贄を踊った望月さんではないかな、と。
それにしても、小林紀子バレエシアターの女性陣はポワントの音がほとんどしません。使っているポワントの違いなのか、床の違いなのか。でも、他の会場で見てもいつも音がしないので、少なくとも床は関係がない。今回は男性陣の着地音が静なのも印象的でした。

「LA FIN DU JOUR」

なんだか不思議な作品でした〜。特に衣裳。というか衣裳。もし普通の衣裳で踊っていたら、印象は違ったんでしょうか?
タイトルの「LA FIN DU JOUR」(ラ・ファン・ドゥ・ジュール)は、「日の終り」とうい意味だそう。登場人物は、「1930年アールデコ時代の華麗なる有閑階級」の人たちです。そして衣裳は全員スポーツウェア。ゴルフ、テニス、水泳、etc。スポーツを楽しんだ後の一時、という感じ。スポーツにはお金がかかるわけで、当時はお金持ちの娯楽だったのかもしれません。最初は「なんでスポーツ?」と思ったんですが、つまり、スポーツウェアを着ているということが、イコール有閑階級とういことなんだなと思いました。でも、主演の女性陣2人の衣裳がちょっと謎でした。最初は水着だと思って見てたんですが、よく見ると水泳のキャップではなく、パイロットキャップ(ゴーグル有り)なんです。謎〜。私が無知なだけで、何かああいうスポーツがあるんでしょうか?
ラヴェルの音楽に乗せ、一部の特別な階級の人たちが、他と一線を引いた閉ざされた空間で、現実と切り離された時間を過ごしているような作品。優雅で華やかだけど、どこか儚くて、少し暗い。時代の閉塞感のような、やや陰鬱な空気が漂います。三方を高い壁のような装置で囲んだ舞台も、その閉塞間を表現していたのかもしれません。外へ繋がる唯一の扉は、しかし最後に女性の手によって閉められてしまいます。
5人の男性が一人の女性をリフトする場面などは、「マノン」を思い出させて、マクミランぽいな〜と思うところでもありました。もう一人のゲスト、ジェームス・ストリーターも陽性の雰囲気のダンサー。踊りはややステラのほうが丁寧だったような気がします。
しかし、どんな衣裳でも、「何か?」みたいに涼しい顔して踊りこなす(そして着こなす)小林紀子バレエシアターのダンサーたちは天晴れでした。

「春の祭典」

「LA FIN DU JOUR」も初演でしたが、やはり「春の祭典」が今回の見所と言っていいのではないでしょうか。
とにかく、群舞。群舞!群舞!群舞!です。実際、何人いたんだろうか? 圧倒的な量の群舞が主役と言ってもいいかもしれません。衣裳はロイヤルのオレンジ色のものではなく、黒いタイツに赤茶色の文様が縫い付けられている衣裳でした。ロイヤルの鮮やかなオレンジにスキンヘッドという異様な感じに比べると(写真でしか見たことないけど)、ややスタイリッシュだったかもしれません。群舞の踊りは、一人一人の動きが格好いいかと言ったら、そうではなく、やはり全員で動くから面白い、という感じでした。
ベジャールの野生ではなく、とても原始なイメージ。民族的な要素が強かったです。圧倒的な群舞と神秘的な儀式が、選ばれし者を生贄へと導くトランス状態のラストまで、目が離せませんでした。

前半は群舞。おそらく生贄の男性(翌日は女性でした)も混ざっていると思うんですが、人数が多くてメイクもしている上に、東バほどダンサーを認識していないので、どこにいるかは本気でわからず。それもまた面白い体験ではありました。顔を知っていると、「あ、あそこにいる」とか考えちゃったりするので。
後半は儀式。群舞が半円形に舞台を囲み、中央には儀式を取り仕切る3人の人物がいます。群舞とは衣裳が違い、踊ることもありません。この3人のお偉いさんが、ちょっと面白かったです。全員がグルリと周囲を囲んで見守る中、数人の男性が中央で踊ります。やがて、お偉いさん3人が歩み出てきて、一人の男性に手をかざし、音楽と光と手のひらの動きが融合し、彼が生贄に選ばれたことがわかります。翌日は女性が生贄を踊ったので、その場合、選ばれる前に数人の生贄候補たちが踊る場面は、全員女性なのかどうか、非常に気になりました。
ベジャールのように、強い、あるいは弱いといった「個性」で選ばれた生贄ではなく、神の意思とでもいうべきもので選ばれた生贄。儀式と踊りの中でもっともトランス状態に陥ったものが、神が降りてきたと見なされて選ばれたような、そんな感じでした。
生贄のソロがあり、再び群舞が躍動し、最後は舞台中央に倒れた生贄を群舞全員で掲げて、幕。
生贄は大役だな、と。群舞も見所とはいえ、やはり一人で踊る生贄の重圧はどれほどだろうか、と。思わず、生贄に化せられた重圧と注がれる視線を、ダンサーのそれと重ね合わせてしまいました。初日に生贄を踊った望月一真さんは、とてもよかったです。虚ろに見開いた目が印象的でした。
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2017年09月05日

東京バレエ団『ラ・バヤデール』全3幕 2017年7月2日

そして、3日目。東バの『ラ・バヤデール』の感想です。今週末の<20世紀の傑作バレエ>の前にUPしたかったので。初日と中日に関しては、公演後にある程度書いていたので記憶を辿りやすかったんですが、もう3日目に至っては何もメモがなかったので、感想と言えるほどのものは書けず、、、とりあえず、キャストだけでも残しておければな、と。

東京バレエ団 マカロワ版『ラ・バヤデール』全3幕
2017年7月2日(日)14:00 東京文化会館

ニキヤ(神殿の舞姫):上野水香
ソロル(戦士):ダニエル・カマルゴ
ガムザッティ(ラジャの娘):川島麻実子 → 奈良春夏

ハイ・ブラーミン(大僧正):森川茉央
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):岡崎隼也
アヤ(ガムザッティの召使):矢島まい
ソロルの友人:和田康佑
ブロンズ像:宮川新大

【第1幕】
侍女たちの踊り(ジャンベの踊り): 二瓶加奈子、三雲友里加
パ・ダクシオン:
  沖香菜子、岸本夏未、浦由美子、中島理子
  伝田陽美、三雲友里加、政本絵美、崔 美実
  宮川新大、ブラウリオ・アルバレス

【第2幕】
  影の王国(ヴァリエーション1): 足立真里亜
  影の王国(ヴァリエーション2): 伝田陽美
  影の王国(ヴァリエーション3): 政本絵美

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

3日間たっぷり堪能したので、終ってしまった寂しさが大きかったです。この日、ガムザッティを踊る予定だった川島さんは、右足指剥離骨折のため降板。代役は奈良さんでした。川島さんのガムザッティをとても楽しみにしていたので残念でしたが、奈良さんのガムザッティはこの日もとっても素敵でした。踊りも美しさも進化している気がします。イタリアン・フェッテのときの、なんとも晴れやかな笑顔が印象的。奈良さんはカーテンコールでもすごくいい笑顔をしていました。
舞台全体としては少し不安定な部分もあり、やや疲れが出たのかな〜と。一番ヒヤッとしたのは、2幕の水香さんとカマルゴ。サポートのタイミングが合わなかったのか、失敗とまではいかないけど、結構グラっとしたので、一瞬ヒヤリとしました。2幕のコール・ドは3日間ともバッチリでした。
熱い演技の岡崎マグダヴェーヤもよかったし、友人の和田さんも素敵だったし、宮川さんはこの日もブラボーだったし、ヴァリエーションの3人もフレッシュでとてもよかったです。そして何より、自分の娘(ガムザッティ)に胸熱な木村ラジャが最高でした♪ 自分の娘で酒が飲めるという。ソロルとのパ・ド・ドゥを見ながら、娘の姿に胸を熱くし、酒が進む、進む。3幕のパ・ド・カトル(と言っていいんでしょうか)でも、ガムザッティに対してのサポートや眼差しが優しくて、娘には本当に優しいパパでした。
posted by uno at 15:38| Comment(0) | バレエ公演2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする