2008年11月14日

今更な感想…牧阿佐美バレヱ団『アビアント』

今更な感想を「球面三角Stage」のほうにアップしました。去年の牧の『アビアント』です。途中まで書いて放ったらかしにしてたんですが、なんとなく書く気になったので、、、。同じように途中まで書いたまま放置されている感想がたくさんあります…。どうしたもんかな〜。

→球面三角Stage
 高円宮憲仁親王殿下の五年式年祭にあたり
 牧阿佐美バレヱ団『ア ビアント だから、さよならはいわないよ』
 2007年8月25日(土)15:00 新国立劇場オペラ劇場

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2008年03月17日

国立モスクワ音楽劇場バレエ『白鳥の湖』12月29日

『くるみ』に引き続き、昨年のモスクワ音楽劇場バレエ『白鳥の湖』の感想です。こちらは最近急いで書き上げたので、既に記憶が怪しい、、、。特に最後は駆け足になってしまいました(いつものことだ…)。

国立モスクワ音楽劇場バレエ
ブルメイステル版『白鳥の湖』プロローグ/エピローグ付き 全4幕

2007年12月29日(土)12:30 東京国際フォーラム・ホールC

【キャスト】
オデット/オディール:タチヤーナ・チェルノブロフキナ
ジークフリート王子:スタニスラフ・ブハラエフ
王妃:イリーナ・ベラヴィナ
悪魔ロットバルト:アントン・ドマショーフ
道化:ウラジーミル・ドミートリエフ
パ・ド・カトル:
    ヴァレリヤ・ブハーノワ、ユリア・ベローワ
    セルゲイ・マヌイロフ、ドミトリー・ペトローフ
アダージオ:オクサーナ・カルダシュ
三羽の白鳥:オリガ・シズィフ、マリーヤ・セメニャーチェンコ、ナターリヤ・クレイミョーノワ
四羽の白鳥:
    アンナ・アルナウートワ、ガリーナ・イスマカーエワ
    ユリア・ゴリュノーワ、キーラ・ブリニュシナ
スペインの踊り:ダリア・ダリエンコ
ナポリの踊り:アンナ・ヴォロンコーワ
ハンガリーの踊り:
    クリスティーナ・ゴロヴァチョーワ、ドミトリー・ロマネンコ
    オリガ・クジミナ、セルゲイ・マヌイロフ
マズルカ:インナ・ブルガーコワ、エリマール・クガートフ

指揮:ゲオルギー・ジェムチェージン
演奏:国立モスクワ音楽劇場管弦楽団

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2008年03月16日

国立モスクワ音楽劇場バレエ『くるみ割り人形』12月24日

昨年末に見た、モスクワ音楽劇場バレエの感想を上げてみました。実は99%は年内に書き終わっていたのですが、『白鳥の湖』と一緒に上げたいと思ってたら、遅くなっちゃった。「今年」とか言ってるところを、微妙に修正したりしました。『白鳥』の方も後ほど上げる予定です〜。

国立モスクワ音楽劇場バレエ
ワイノーネン版『くるみ割り人形』エピローグ付き 全2幕

2007年12月24日(月・祝)12:30 東京国際フォーラム ホールC

【キャスト】
マーシャ:ナターリヤ・レドフスカヤ
王子:ミハイル・プーホフ
ドロッセルマイヤー:セルゲイ・ゴリュノーフ
ねずみの王様:ニキータ・キリーロフ
人形:アンナ・アルナウートワ
ムーア人:デニス・アキンフェーエフ
道化:アレクサンドル・ダシェフスキー
フリッツ/くるみ割り人形:キーラ・ブリニュシナ
少女マーシャ:ヴァレリヤ・ムハーノワ
パ・ド・トロワ:ユリア・ゴリューノワ、キーラ・ブリニュシナ、ウラジーミル・ドミートリエフ
スペインの踊り:エカテリーナ・ガラーエワ、ドミトリー・ロマネンコ
東洋の踊り:ダリア・ダリエンコ
ロシアの踊り:インナ・ブルガーコワ、イリーナ・ベラヴィナ、デニス・トゥリグーブ
中国の踊り:ガリーナ・イスマカーエワ、イリヤー・ウルーソフ

指揮:ウラジーミル・バシラーゼ
演奏:国立モスクワ音楽劇場管弦楽団

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2008年02月02日

東京バレエ団『カルメン』12月15日【神奈川】<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>

神奈川の東バの『カルメン』の感想です。『白鳥』と『Push』はAプロ・Bプロで書いたので省略しました。『カルメン』も感想というほどではないですけど、印象的だった場面などを簡単に。

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>東京バレエ団全国縦断公演
『シルヴィ・ギエム、進化する伝説』 Cプログラム
2007年12月15日(土)15:00 神奈川県民ホール大ホール

『白鳥の湖』第2幕より
振付:
マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
アレクサンドル・ゴールスキー、イーゴリ・スミルノフ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

オデット:シルヴィ・ギエム
ジークフリート王子:ニコラ・ル・リッシュ
四羽の白鳥:森志織、村上美香、岸本夏未、河合眞里
三羽の白鳥:西村真由美、乾友子、田中結子
ほか、東京バレエ団

『カルメン』
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン

カルメン:斎藤友佳理
ホセ:木村和夫
エスカミリオ:高岸直樹
ツニガ:後藤晴雄
運命(牛):奈良春夏
女性ソリスト:小出領子-高村順子
ほか、東京バレエ団

『Push』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム、ラッセル・マリファント


『カルメン』

神奈川は斎藤さんのカルメンと大嶋さんのホセで発表されていましたが、直前の東京公演で大嶋さんが怪我をしたため、急遽木村さんがホセを踊りました。木村さん以外のキャストに変更はなし。ホセだけが入れ替わった急編成のキャスティングだった訳ですが、もちろんそんなことは微塵も感じさせない舞台でした。斎藤さんのカルメン、高岸さんのエスカミリオ、後藤さんのツニガは何度も踊っているメンバーだし、初役とは言え木村さんだし、もしかしてバランス的には一番良いんじゃないか?という組合せでした。斎藤-大嶋、上野-木村のように年齢差を感じさせないので、その分ある種の危うさみたいなものは薄まりますが、ある意味一番真っ当で対等なカルメンとホセだったと思います。加えて、慣れた高岸エスカミリオと後藤ツニガなので、一番安心して見ていられたかも。


ホセとカルメンの最初の対面の場面から、、、。11日の感想とあまり変わらない部分もあったりするんですが、一応その日に自分が書いたメモを頼りに、気になったところを書いていこうと思います。

下手に正面を向いて立つホセ。背後からカルメンが登場。吸い寄せられるように2・3歩近付いた木村ホセは、気の迷いだと自らに言い聞かせるように首をブンブンと振り、元の位置に戻ります。やはり斎藤さんのカルメンは、接近してきたホセの胸に手を当てて制止します。上野さんはやってなかったな、と。そして大嶋さんは、その自分の胸に手を当ててみるんですが、木村さんはやっていませんでした。いろいろ違うもんですね。
カルメンに制止されたホセは、困惑を隠しきれない様子でヨロヨロと下手の壁まで歩いていき、壁に手をかけてもたれ掛かるポーズ。その姿が綺麗で…。そして今度は、客席に背中を向けて立ちます。カルメンの太腿に触れた自分の手をジッと見つめ、もう一方の手でそれを狂おしく握りしめる姿には、見ているこちらまで切なくなりましたよ…。
すみません、この辺りの動作の順は、ちょっと自信がないです。印象的だったことは覚えてるんだけど、順番は忘れちゃって…。
去り際、ホセがカルメンの手首を掴むと、やはり斎藤さんは余裕の眼差しで真っ直ぐにホセを見つめます。これが格好良い。そしてホセの手を、振り払うというよりは引き剥がして退場。

そしてこの日も木村さんは、帽子をポトッ…と落として踊り始めました。思いを断ち切るように、気のせいだと自分に言い聞かせるようにスタスタと歩き出し、振り向き様、後方に腕を伸ばし踊り始めます。その腕は、カルメンが消えた方向へと確実に狂おしく伸ばされていました。ソロの終盤でも、下手の方へ腕を伸ばす振りが繰り返されるところがあるんですが、あの手が確かにカルメンを求めているのが感じられて、無性に切なくなりました…。しかも、木村さんのあの手だからなぁ、、、。
11日もすごく好かったんだけど、2回目のこの日は更に深化した落ち着いた踊りになっていました。いや、11日が落ち着いていなかった訳ではなく、流石に2回目の方が踊りを自分のものにした感があったな、と。同じようにカルメンを想い、万感を込めて踊る中に、よりしっとりとした静けさが漂っていました。あの、木村さんの中に漂う情熱と静けさの共存した空気がとても好きです。


この日も女性ソリストをサポートするのは、松下さんと宮本さん。またしても高村‐宮本ペアが微妙な瞬間あり…。あそこの踊り、結構難しいのかなぁ、、、。小出さんの表情に色気が出てきて◎。いつもの可愛らしい高村さんとは違う、キリリとした表情もすごく好かった。高村さんにも、少しイメージと違う役も踊ってみてほしいなと思ってしまった。結構、ハッキリした役どころもハマるんじゃないかなぁ?上手いし、色気も出せるはずだし。

エスカミリオの高岸さんは、東京よりも調子が良さそうでした。エスカミリオに挑みかかるカルメンは、2人の女性ソリストを押し退けて、エスカミリオの前に進み出ます。斎藤さんは、「あんた達は下がってなさい」という姐御タイプ。上野さんは、「お待ち、私の獲物だよ」(もののけ姫)というライバルタイプ。続くカルメンとエスカミリオのパ・ド・ドゥの場面は、音楽が結構好きかも。特に終盤、静かにゆっくり高まってきた音楽に、ゾクゾク・ワクワクしました。

カード占いの場面。斎藤‐木村‐高岸‐後藤の4人が登場すると、流石に場のオーラが違います。その中で、奈良さんの運命がやや薄くなってしまいのは仕方がないのかもしれないな、、、。彼女もとても好かったんですけど、運命の絶対的な存在感がまだ足りなかったなと想いました。運命の残酷さや非常さ、抗えない押し寄せる陰になるにはもう一歩というところ。このカード占いの場面で、ホセがカルメンを刺し殺す最後の場面が演じられているということに、今回初めて気が付きました(遅い…)。運命の手によって舞台中央で2人が対峙し、ホセの見えない剣にカルメンが倒れるまでが、最後と同じように演じられていました。なるほど〜と、今更感心。

そして、最後。
カルメンを刺した直後、真っ直ぐに空を見つめるホセ。そして、彼女が力尽きるまでの間、泣き出しそうな不安な顔をしてカルメンを見つめる木村さんが印象的でした。顔を歪めて、まるで子どもみたいに不安そうな顔をしているんです。斎藤さんは木村ホセの髪をかき上げ、顔を覗き込み、「いいのよ」と力なく首を横に振ります。ホセの腕の中でグニャリと事切れたカルメンの肩をそっと撫で、彼女の腕を自分の首に回すホセ。そして彼女の手を愛しそうに握りしめます。更にもう一方の腕もゆっくりと首に回し、本当に大事そうにカルメンを抱きしめていました。カルメンをその腕に抱きしめたホセは、幸福そうにウットリとした表情を浮かべていました。彼女が死んでしまったことをわかっていないような、あるいはわかることを拒否しているような、そんな様子のホセ。我に帰るのは、カルメンが自分の手を完全に離れたときです。ズルズルと崩れ落ちていったカルメンが、ついにホセの手を離れる。その瞬間ハッとして、自分の手が空っぽであることに気が付きます。そして、その手をギュッと握りしめて嘆きます。虚ろな表情で立ち尽くすホセに、次第に感情が込み上げ、ギュッと瞳を閉じて真上を向いたところで、幕。


この日のカーテンコールでは、感激した表情の斎藤さんが印象的でした。彼女のカーテンコールっていつも好きなんですけど、やはり地元の神奈川ということもあったのか、この日は東京で見たときよりも感極まったという表情をしていました。今回はアクシデントもあったし、無事に舞台が終わって彼女もホッと胸を撫で下ろしたのかもしれないですね。私も精一杯の拍手を送ってきたんですが(浮かない程度に)、私の両サイドはまったく拍手をしていなくて、なんだか悲しい気持ちになり、少し残念でした。
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2008年01月31日

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』12月27日【川口】

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』、川口公演の感想です。川口リリアへ行くのは2度目。前回もギエムのオン・ステージ・ツアーでした。埼玉と言っても川口なら東京からすぐだし、リリアは駅を出ると目の前にあるので、なかなか便利です。1階席の前方の傾斜が緩いことを除けば、良いホールなんですが…。

『Push』の感想はAプロとBプロで書いたので、省略…。『白鳥』は初ムッル。東バの『テーマとヴァリエーション』も、私はこの1回だけでした。


<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>東京バレエ団全国縦断公演
『シルヴィ・ギエム、進化する伝説』 Dプログラム

2007年12月27日(木)19:00 川口リリアメインホール

『白鳥の湖』第2幕より
振付:
マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
アレクサンドル・ゴールスキー、イーゴリ・スミルノフ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

オデット:シルヴィ・ギエム
ジークフリート王子:マッシモ・ムッル
四羽の白鳥:佐伯知香、森志織、福田ゆかり、阪井麻美
三羽の白鳥:西村真由美、高木綾、奈良春夏
他、東京バレエ団

この日はオペラグラスが要らないくらい前方の席で見ていたので、これまでとは少し味わいが違いました。幕が開いて一番に飛び込んできたのは、コール・ドの吉川留衣さん。ちょうど私の席の近くにいたので目が行ったんだと思いますが、彼女の肩から腕にかけてのラインが、ピンと緊張感があってとても綺麗でした。彼女は、コール・ドなどのある程度の人数の中にいると思わず目が行くことが多いんですよね。三羽の白鳥の西村真由美さんの踊りを間近で見られたのも、すごく嬉しかった。やっぱり綺麗です。

私にとっては、今回のギエムツアーで唯一のマッシモ・ムッル。いつもにも増して細く見えたんですが、痩せたのかしら?あの物静かで情熱的な佇まいはやっぱり素敵です。そのサポートは限りなく優しんだけど、力強くてどこか色気がありました。ギエムのオデットは、まだ恐れを抱いた表情で、王子を遠巻きに窺いながら登場。パタリと上体を折り曲げて白鳥の体勢になると、様子を窺うように顔を上げようとする。しかし王子の気配を感じてもう一度顔を伏せてしまいます。この辺りの細やかな演技が好かった。差し出された王子の手を見る。続いて王子の顔を見上げる。王子がもう一方の手を差し出すと、その手を見てから、またゆっくりと王子を見上げます。王子の手→顔→もう一方の手→顔というふうに、恐る恐る順に見つめるギエムが印象的でした。
ムッルはと言うと、とても物静かで優しいんだけど(王子としてもパートナーとしても)、抑えた情熱と色気がありました。ニコラも情熱的だし、限りなく優しげなんだけど、少し違うんですよね。ニコラの情熱は外に向かっている感じがするんだけど、ムッルは内に向かっている印象があります。ニコラは、かけがえのないものを壊れないように大切に包み込む温かな包容力と、初めて心ときめく人に出会ったという喜びが感じられる王子。ムッルの王子は、大切なものを愛しく思うがゆえに、強く抱きしめて壊してしまいそうな危うさがあって、本人がまたその自分の強い感情に気が付いているからこその切なさがありました。舞台の上手、辺りを窺うような仕草をするオデット。その背後に立ち、大きく両腕を広げて後ろから覆うように抱きしめようとする王子。オデットはすぐに気が付いて、サッと身をかわします。ムッルは、両腕を広げてから抱きしめるまでの間に、ほんの少し“溜め”があるんです。あの一瞬の絶妙な「間」に、何とも言えない色気がありました。コール・ドが舞台を斜めに区切るように一列に並ぶと、上手の奥に向かって逃げようと駆け出すオデット。その行く手を阻むように両腕を広げて制止するムッルは、やはり色気があります。ほんの少しだけ、愛するが故の強引さがあって、そこが色気に繋がるのかもしれません。
オデットだけでなく、王子の物語を感じるアダージオになっていたと思います。ジークフリートにこそ、このオデットという存在が必要だったのだと思わせるものがありました。
ゆっくりと確かに手を取り、視線を交わしながら踊るギエムとムッルの間には、オデットとジークフリートとしての空気が流れていました。それは静かだけどとても濃密な空気。
この日ギエムは、サポート付きのピルエットで一度だけ大きく傾く場面がありまいしたが、ムッルがギュッと支えているので不安はありませんでした。ギエムとのパートナーシップに関しては、ニコラもムッルもどちらも変わらない確かさがあるなと思いました。

『テーマとヴァリエーション』
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー

吉岡美佳、高岸直樹
乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子
平野玲、松下裕次、長瀬直義、横内国弘
他、東京バレエ団

久しぶりに見る『テーマとヴァリエーション』でした。とっても楽しかったです。コール・ドに関しては、もっともっと良くなってほしいという段階だったと思いますが、それでもやっぱり楽しかった。最後に全員が整列して踊る場面では、後ろのダンサーから端のダンサーまで全員の気合が感じられ、なんだか嬉しくなりました。舞台が狭いようで、やや踊りにくそうなのが気の毒でしたけど、、、。

暗転の状態で幕が上がり、照明がつくとプリンシパル2人と女性陣が全員でポーズをしているところから始まります。男子は後半で投入。最後はプリンシパルを中心に、全員が整列して華やかに踊ります。高岸さんが吉岡さんを肩にリフトしたポーズで終了。吉岡さんのバシッと気合の入ったラストのポーズが印象的でした。

なんと言っても、吉岡さんの輝きに尽きるかなと。やはり彼女は、中央で踊るということを心得ている人だなと思いました。何て言うんでしょう、テクニックは勿論なんだけど、それよりもプリンシパルとして中央で踊るということはこういうことなんだなと、彼女を見てると思うんです。ある程度は場数も関係あるのかなぁとは思います。だからこそ、若手のダンサーにも早く主役を躍らせてあげたいんですよね。でも、吉岡さんの舞台を見ると、彼女にはまだまだ中心で踊ってほしいと強く思います。そう思わせてくれる人なんです。
調子も良さそうでした。相変わらずの透明感が全てのステップ、全ての動きに行き届いていて、「指の先から頭の先まで吉岡さん」という感じ。細かいステップは軽やかで、音楽と溶け合うような心地良い柔らかさがあります。そして、吉岡さんの腕がとても好き。スッと腕を伸ばすとき、最後の指の爪の先まで絶対に気を抜かないんです。そしてそれが音楽にピタッと寄り添っている。彼女の腕の中、身体の中を旋律が流れているような、音楽の中を彼女が漂っているような、そんな心地良い感覚をもらうことができます。

高岸さんもツアー序盤よりも調子が良さそうでした。芸監をやりながら、おそらく予定外の登板も増え、きっと大変なツアーだったと思います。「お疲れ様〜」と言いたい気持ちになりました。
吉岡さんと同様、中央で踊ることが板についている人です。きちんとノーブルで、ダイナミック。最近は一緒に踊るのことは少ないのかな?少なくとも私はあまり見たことがなかったんですが、吉岡さんと高岸さんの並びも素敵でした。ただ、これは言っても仕方のないことなんですが、もしパートナーが木村さんだったら…という考えがチラついてしまいました、、、。もちろん高岸さんは申し分のないパートナーなんだけど…。これは高岸さんのせいではなくて、私の問題です。あの『バレエ・インペリアル』で見た吉岡さんと木村さんの世界を、もう一度見たいと思ってしまったんです…。なんつって、大袈裟ですかね、、、。木村さんが『テーマ〜』にあの雰囲気を持ち込むかどうかはわかりません。作品の雰囲気も違うし。でも、もしこれが木村さんだったら、もっと優しく吉岡さんに触れるんだろうなぁとか、吉岡さんの身体が木村さんの手を離れる瞬間の訳もない切なさとか、そういうものを思い出してしまったんですよね、、、。高岸さんはとても好きなんですよ。ただ今回ばかりは、もしかしたら川口は木村さんだったかもしれないという思いがあったばっかりに、こんな感想になってしまっただけなんです。あしからず〜。

男性4人のソリストでは、流石に平野さんの上手さが目立ちます。頭2つくらい出ている印象。松下さんがクラシック演目仕様の七三分けにしていているのが楽しい。長瀬さんの踊りにも自然と目が行くなぁ、と。東バの中では比較的長身で細身、シャープな踊りで脚なんかもよく上がるので、目に入るのかも。横内さんも良い感じなんだけど、ノーマルすぎるのか、印象が薄くなってしまうときがあります。もっと長瀬さんみたいに、押し出しの強さがあればいいのにな〜と思うんだけど、それがないのが横内さんのいいところでもあるんですよね。難しいもんだな、、、。女性陣は、乾、奈良、高木、田中の安心ソリスト。男子よりも頼りがいがあるな、と。全員安心して見ていられます。

コール・ドも悪くはないんだけど、もっと余裕が出るといいなと思いました。私は東バのファンだから楽しかったんですけど。宮本さん(の笑顔)確認とか♪ 鈴木さんチェックとかね。コール・ドが左右にザーッと分かれて両袖に整列するところで、一人遅れ気味の男子が慌てて走っていったんだけど、まさか野辺さんではあるまいね…? 最後に全員が踊るところで、最後列の男子が一人、踊りが遅れていたんだけど、まさか野辺さんじゃあるまいね…。う〜ん、野辺っちに見えたよ…。最後に関しては、舞台が狭くて最後列の人は気の毒なくらいだったので、ちょっと仕方ないかなと思います。
この日のコール・ドで目を引いたのは、男子ではやっぱり高橋さんとか小笠原さん。彼らは、どの演目で何を踊っていても目が行く筆頭です。女性では、森紫織さんを結構見てました。四羽の白鳥で愛着が出てきたのかも。小柄だけどピシッと気合の入ったいい踊りをしていると思います。あと渡辺理恵さんも最近ときどき目が行くかも。

『Push』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム、ラッセル・マリファント

…省略…
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2008年01月30日

東京バレエ団『カルメン』12月11日<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>

東バの『カルメン』、12月11日の感想です。10日の『カルメン』とギエムBプロの感想も下↓の方に別枠でアップしてありますので、よろしければどうぞ〜。

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>Bプログラム
2007年12月10日(月)18:30 東京文化会館

東京バレエ団『カルメン』
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン

カルメン:上野水香
ホセ:木村和夫
エスカミリオ:後藤晴雄
ツニガ:平野玲
運命(牛):高木綾
女性ソリスト:長谷川智佳子‐西村真由美
ほか、東京バレエ団

今回の『カルメン』は、大嶋さん木村さん共にホセ初役という上演でした。首藤さんがホセを踊らなくなって以来、初の『カルメン』。嫌でも首藤さんのホセが頭を過ぎるかと思いきや、とんでもない!大嶋さんも木村さんも、素晴らしいホセを見せてくれました。それぞれの完成度は実に見事。本当にエキサイティングな2つの『カルメン』でした。

初日に大嶋さんのホセを見たときは、首藤さんとだいぶ違うなと思いました。でも木村さんのホセを見た後では、木村さんよりは首藤さんに近かったかもしれません。いや、首藤さんと比べている訳ではないんですが、皆さんが想像する手助けになればと思って、、、。
大嶋さんは、ストイックな中に漂う香るような色気が印象的。そう、感情を抑えている感じが印象的なんですが、木村さんは感情の起伏がもっと素直に表面に出ていたと思います。そして、その感情の流れと踊りが分かち難く融合して、途切れることなく豊かに物語を紡いでいきます。抑えているはずの感情が、自分でも「あれよあれよ」という間にこぼれて、カルメンという出口に向かって注がれていく。彼女に出会った瞬間から急速に臨界点を超えていく様が絶品でした。

静かな鐘の音で始まる音楽は、物語の最後のような印象を受けます。全てが終わった後に、回想が幕を開けるのを見るような感覚がある。
牛の幕が上がると、上野さんのカルメンの登場。流石にプロポーションが綺麗なんですが、今回ちょっと彼女のポワントが気になりました。おそらくポワントの底を折っているか、切り取っているかしていると思うんですが、グニャっと折れ曲がりすぎてラインが綺麗ではありませんでした。「カルメンは脚!」みたいな感じで、いつもより余計に手を加えたんでしょうか?いつももっと綺麗なのにな〜と、少々残念…。
まあポワントはさて置き、踊りは序盤のソロからとても良かったです。前日の斎藤さんに比べると、やはり踊りが軽くキレがあります。そしてなんと言っても可愛い。ただなんて言うか、可愛すぎて“カルメン”じゃないんですよね、、、。むしろ、キトリ。運命の女という感じが弱かったのが残念でしたが、とても可愛くはありました。そして、どうやら木村さんとの相性は悪くないようです。荒川で『バクチV』を見たときも「悪くないな〜」と思ったんです。しかも、荒川も今回も、カーテンコールの2人が満足気なのが印象的なんですよね。

ツニガ初役の平野さんも好かった。何を初めて踊っても、「初役とは思えない」と思わせる人です。平野さんの正確で綺麗な踊りが、ツニガの直線的なピシピシした踊りにも合っていました。序盤で木村さんのホセと2人で踊られると、どちらを見ていいか困ってしまいましたよ。2人とも脚が綺麗なんだ、これが。
今回ちょっと、真面目な顔して踊る平野さんにニヤッとしてしまいました。たぶん私がまだ『真夏の夜の夢』のライサンダーを引きずっているんだと思いますが、「あのライサンダーが」と思うと妙に楽しい。カルメンとエスカミリオのパ・ド・ドゥの場面で、背後の壇上にツニガが現れるんですが、2人を見つめる顔が格好良いんだけど、思わずニヤッとしちゃう。その含むもののある顔が面白くて。いや、上手いからこそ面白いんですけどね。本人も生き生きしてるし。一歩外側から登場人物たちを観察しているようなツニガは、目に力のある平野さんに合っていました。ただ、平野ファンの私も、ここはまだ後藤さんのツニガに一票かな、と。後藤さんのツニガは本当に敵役。私としては平野さんにはホセを踊ってほしいんですが、世間的にはホセのキャラじゃないのかなぁ…。

舞台の下手に立つホセ。背後から現れたカルメンに、吸い寄せられるように腕を伸ばします。木村さんのホセは比較的、立ち位置から動いていたと思います。2・3歩はカルメンの方に歩み寄ってた(と思う)。腕も伸ばすし、わりと動きがある。だから、感情が表に出ているように感じたのかもしれません。
正面を向いているホセの、視線だけがカルメンの方へじーっと移動する。やがて顔を向け、またパッと正面を向く。思わず身体ごと吸い寄せられる。雑念を振り払うようにブルブルっと頭を振って、元の位置に戻る。壁に手をつき苦悶する後姿が美しいです、、、。その、押し寄せる何かにどうしようもなく心乱される様に、見ているこちらまでハラハラと胸が苦しくなるようでした。
それが、「ジャン!」という音楽の始まりで弾ける。10日の感想でも書いたんですが、木村さんは「ジャン!」で気を付けの姿勢。つまり手を腿の側面に当てます。それに対して大嶋さんの手は、もっと内側に入っていたように見えました。単純に体勢だけ見ても、手が内側の方が、心のはたらきが自分自身に向かっているような感じがします。大嶋さんのホセの場合、解放どころか更に内に向かっていくような危うさがあったんですが、木村さんは狂おしいほどに正直に、その感情がカルメンへと向かっていきました。カルメンに惹かれれば惹かれるほど、内へ内へと向かっていく大嶋さん。それに対して木村さんは、カルメンへカルメンへと向かっていく、その狂おしさ…(♪)。大嶋さんは、自分の中で渦巻いているものが出口を求めているホセ。木村さんは、自分の中に空いている穴を埋める何かを探し求めていたホセ。そんな感じかなぁ、、、。

去り際、カルメンの腕を掴むホセ。誘惑するような悪戯っぽい眼差しが可愛い、上野さんのカルメン。私としては、挑みかかるような眼差しの斎藤さんが格好良くて好きでしたが、、、。
ホセの手を振り解いてカルメンが退場。木村さんは、カルメンの腕を掴んだ自分の手の平を見つめる仕草はしませんでした(たぶん)。もう半ば呆然としながら帽子をとる。そしてその帽子を…!! 脱いだ帽子をきちんと舞台袖に置いた大嶋さんに対して、木村さんはそれを万感極まって無意識にそうするように、ポトッと手から落としたんです(あれきっと、暗転して退場するときに、自分で拾ってったんだろうなぁ)。もう、帽子ポトッ…にやられました。その瞬間、私が感情移入したのは、木村さんの手から離れたあの帽子です。私もあの帽子になりたい。そして木村さんの手から落とされたい…(変態)。

帽子をとったホセは、思いを断ち切るかのようにスタスタと舞台の中央まで歩いてきます。「気のせいだ」と自分に言い聞かせるように…。しかし、見えない力に引き戻されるように、今カルメンが消えた方向に腕を伸ばし、踊り始めます。背後に腕を伸ばすとき、木村さんは綺麗に背中から振り向くんです。単に後ろに手を伸ばすのではなく、見えない力に背中を引き戻される感じ。その背中が綺麗でさ、、、。
カルメンを思い出す。彼女を心に描くだけで、ホセの心を歓喜が襲います。少年のような無邪気な足取りで走り出し、さっき彼女の腕を掴んだシーンを繰り返してみる。そして、あの甘やかな瞬間を反芻します。戸惑いから始まったソロは、苦悶を経て、歓喜へと上りつめていく。その後半の、感情が溢れんばかりの表情がたまらなかった、、、。一体誰が、恋しい人を想ってこれほど甘い幸福に酔うことができるでしょうか。
木村さんの大きな手は、相変わらずセクシーで存在感があり、そして今回は切ない。目はもちろん心を語るけど、手もすごく感情が出るパーツですよね。ここでも木村さんの表情のある手が活きていました。手をスッと差し出す。何かを求めるように伸ばす。自分自身へ引き戻す。握りしめる。太腿に添わせる。そして空間を舞う。

この日の女性ソリストは長谷川さんと西村さん。前日の小出‐高村に引き続き、両日とも安心のキャスティングでした。長谷川さんも西村さんも問題なく上手いので、とにかく安心して見ていられます。キリリとした表情も格好良くて、でも可愛い。この日も彼女たちをサポートするのは松下‐宮本の2人組。女性2人の踊りはバッチリなのに、サポートが難しいらしい…。前日は宮本さん(‐高村)が、2日目は松下さん(‐長谷川)がオタオタ。長谷川さんが1回だけ踵をついてしまいました。

やっぱり、あのエスカミリオのソロは難しそうだなぁ、、、と。不格好に見える危険性あり。後藤さんは見た目はエスカミリオに合っていて格好良いし、ちょっと危ういところもあったけど踊りきってくれたので、私は好かったと思ったんですが、やっぱりツニガの方が断然格好良いなぁ…と。今の東バでエスカミリオを高岸さんから引き継ぐのは、後藤さんしかいないかもしれない…。でも、やっぱり高岸エスカミリオと後藤ツニガの組合せがベストだよな〜。いつかは誰でも踊らなくなる訳だから、メンバー交代は仕方のないことなんですけどね、、、。
ソロは好かったんだけど、運命(牛)との踊りが上手くいかない…。最後の闘牛場の場面は、前日の高岸‐奈良以上にヒヤヒヤもんでした…。本当に危なかったな〜。踊り慣れているせいか、上野さんのカルメンとの相性は良かったです。

白シャツに着替えたホセとカルメンのパ・ド・ドゥ。2人の雰囲気はとてもよかったし、サポートやリフトなど踊りも上手くいって、とっても素敵でした。斎藤さんの場合、最初はからかうように振舞う様子が印象的なんですが、上野さんはわりと始めから愛のパ・ド・ドゥになっていた気がします。上野さんがなかなかいい表情をするようになってきたなぁ、と。恋に燃える、しっとりと艶やかな表情が好かった。2人の感情がすれ違わずに、一緒に高まっていくのが感じられました。特に2人が並んで正面を向くところでは、彼らの気持ちが通じているのを感じて、ちょっとジ〜ンとしてしまった。ああいう、パ・ド・ドゥの中の踊らない瞬間っていうのかな、フッと時間が止まるような瞬間がいいですよね。もう終盤の木村さんは、すーごい笑顔♪ 若い水香ちゃん相手にもう夢中なホセで(現実と物語の区別がつかなくなってる私…)、あんなに前髪振り乱して白シャツ震わせて、そんなに嬉しそうに踊らないでくれ〜(いや、踊ってくれ)。
最後、グッと顔が近付くけどキスはしていなかったように見えました。地べたに座りヒシっと抱き合った2人を、牛の幕が下りてきてそっと隠します。まるで夜の闇が2人を包み込むように。

カード占いの場面。ここでも上野さんの表情が良い。影のように付きまとう運命(牛)に、振り切ろうと毅然としつつも、恐怖しているのがわかります。運命が背後から彼女を捕まえた瞬間、思わず“カルメン”という女の仮面が外れ、一人の女が姿を現します。目を見開き、恐怖に捕まったような表情の上野さん。こういうときは上野さんの大きな瞳が効果的です。木村さんと平野さんの迫力の攻防も、見ていて楽しい。

最後の闘牛場の場面。上でも書きましたが、エスカミリオの後藤さんと運命の高木さんの絡みがどうもうまくいかない…。前日の高岸さんですら危うい場面もありました。あまり詳しくないのでわからないんですが、難しそうな踊りではあります。まず音楽が、闘牛の軽快で明るい音楽と、運命を暗示するような暗い音楽が交互に忙しく切り替わります。忙しいわ、リフト・サポートは多いわで、結構大変な場面なんだと思いますが…。

カルメンを刺し殺す直前、ちゃんと腰からナイフを抜く仕草をする木村ホセ。運命がカルメンの手を引っ張り、ホセが握りしめたナイフ目掛けて投げ出します。ホセは下手から、カルメンは上手から走り寄って、中央でブスリ。あれは、運命がカルメンを死へ導いていたのね〜(気付くのが遅い)。刺された瞬間、遠くへ真っ直ぐ伸ばした上野さんの腕が、とても綺麗で表情があり印象的でした(彼女の腕を綺麗と書いたのは、初めてな気がする)。
上野さんのカルメンは客席の方に顔を向け、少し笑ってみせます。まるで、「呆れた人ね」と言っているようでした。「仕方がないわね」と優しく笑った上野さんは、なかなかの包容力を感じさせていました。ホセの頬にそっと触れ、「いいのよ」と首を横に振り、グニャリと事切れる。
ぐったりしたカルメンを抱きしめるホセ。客席に背中を向けた状態で綺麗に崩れ落ちていくカルメンを、ゆっくりゆっくり地面に下ろします。彼女が自分の手を完全に離れた瞬間、我に帰る木村ホセ。あぁ自分は永遠に“失った”のだと気が付く…。その恐ろしい喪失感が彼を襲い、一瞬だけ顔を「ウワァ」と歪めます。その後は遠くを見つめ呆然…。その一瞬込み上げた「ウワァ」が、私の心にも果てしない喪失感となって襲ってくるようでした。大嶋さんの抜け殻状態とは少し違う、自分のしたことを深く理解しているかのような佇まい。彼はその瞬間、全てが終わったことを理解したのだと思います。


この日はカーテンコールが印象的でした。2人とも満足のいく舞台だったようで、なんだかもういい感じ♪ 木村さんは満面の笑み(♪)。上野さんも少し甘えるような可愛らしい眼差しを向けていました。距離は近いわ、見つめ合うわ、もう面白い。なんと言っても一番面白かったのは、2人が向かい合ってお辞儀をするところ。跪いた上野さんがなかなか立ち上がらず、両手を差し出して可愛らしく待ってるんですよ〜。それを見た木村さんは半ば小走りで迎えに行き、両手で彼女の手を取って立ち上がらせます。なんだ、なんだ、その面白い感じは〜!! もう見ている私もニヤッニヤですよ。はぁ〜、楽しかった♪(こんな結びでみみません…)
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2008年01月29日

東京バレエ団『カルメン』12月10日<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>

昨年の東バの『カルメン』、12月10日の感想です。12月11日の感想はまた別枠で。

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>Bプログラム
2007年12月10日(月)18:30 東京文化会館

東京バレエ団『カルメン』
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン

カルメン:斎藤友佳理
ホセ:大嶋正樹
エスカミリオ:高岸直樹
ツニガ:後藤晴雄
運命(牛):奈良春夏
女性ソリスト:小出領子-高村順子
ほか、東京バレエ団

なんと言っても大嶋さんのホセが素晴らしかった!まずはこの一言に尽きます。全身から発せられる、あのウェットな色気。問いかけるような静かな眼差しも、そこはかとなく色気があります。斎藤友佳理さんのカルメンは何度か見たことがあり、とても好きな役なのでこの日も堪能。普段の斎藤さんのイメージとは少し違う役柄に、何だか惹かれるんですよね。踊りはちょっとキレがなくなってきたような気がします。でも、今よりシャープな踊りを見せていたときの情熱的なカルメンも素敵でしたが、より湿度と温かみの増したカルメンは更に母性を感じさせるようになり、とても素敵でした。
全体的には、ややバタついた印象がありました。高岸さんの不調が痛かったかな…。奈良さんの運命もとても好かったんだけど、最終幕のエスカミリオとの絡みが上手くいかなくてちょっとヒヤヒヤしました。

印象的な牛の幕が上がると、舞台中央でポーズするカルメン。冒頭はカルメンのソロです。斎藤さんは、紛れもなく“カルメン”でした(正確には“斎藤友佳理のカルメン”なのかな、やっぱり)。情熱的で自信に満ち、俗っぽさと気高さ、魔性と母性を併せ持った女です。迂闊に近付けば身を滅ぼしかねない予感と、それ以上に男の全てを包み込んでくれそうな大きな愛。エスカミリオが身を滅ぼさなかったのは、彼が大人でしかも遊びだったからかな。ホセが身を滅ぼしたのは、彼がまだ青年でありしかも本気だったからかな、、。そんなホセだからこそ、カルメンも自分の命の終わりを理解しつつ身を任せたのかもしれないなと思いました。

後藤さんのツニガが好調。丁寧でキレのある踊りは、とても綺麗で大きさを感じさせました。以前見たときよりも、断然存在感があります。あの衣裳が様になって格好良いし、何より表情、特に目つきが格好良くて(♪)。後藤さんは、『中国〜』の首領やオベロン、そしてツニガのような、何か企んでいるような風情も似合います。あ、あと『白鳥』のスペインも企んでるか。

カルメンやエスカミリオの登場に比べると、ホセの登場は微妙に拍手がし辛い…。ツニガの導きで下手に登場するホセ。大嶋さんのホセは静かな中に大きなエネルギーをみなぎらせていて、それが出口を求めて渦巻いている感じがする。舞台の空気を変えるほどの吸引力がありました。厚い胸板と、たくましい脚、綺麗な爪先。帽子に隠れて表情がなかなか見えないのが良いんです(♪)。あの帽子の下で一体どんな表情をしているんだろうかと、想像が膨らむ。大嶋さんのシャープな顎のラインと、時折見える静かに伏せた瞳がなんとも色気がありました。とか言って、本当は「え〜い!帽子が邪魔だ!」とか思いながら見ているんですが、後から考えるとそのもどかしさが良いなぁと。
この日は踊りも好調。一つ一つの振りが本当に綺麗で、隅々まで神経の行き届いた踊り。そして、気迫すら感じる集中力。回転なども全て綺麗に決め、最後まで充実した踊りを見せてくれました。

ホセとツニガが2人で踊る場面は、ちょっと面白くて好きです。この日は大嶋さんも後藤さんも踊りが好調。全く違う個性の2人が、同等に存在感を発揮しつつ踊る様は見ていて楽しかったです。
背後からカルメンが登場。手を後ろに組み、正面を向いて舞台下手に立つホセ。堅物の男をちょっと翻弄してやろうくらいのカルメン。こういうときの斎藤さんは思い切り奔放で、憎めない可愛らしさがあります。吸い寄せられるように思わず歩み寄るホセ。ホセの胸を手で制止するカルメン。自分の胸の、正に彼女が触れた部分に手を当て、その甘やかな感覚に戸惑いすら覚えるホセが切ない。
時折カルメンに吸い寄せられながらもなかなか陥落しないホセに、カルメンが遂に本腰を入れて誘惑する(ように見える)ところで、音楽が「ジャンっ!」と切り替わります。その「ジャンっ!」で(すみません、こんな表現で…)、大嶋さんは太腿の付け根辺りに両手を持っていきます(私の席からは限りなく股間付近に手を持っていったように見えたんですが、あれは脚の付け根でしょう)。その瞬間の大嶋さんが妙にセクシー。そしてその手をゆっくり下ろし、太腿を這わせて膝を抱えるような体勢になる。翌日の木村さんは、「ジャンっ」で両手を身体の側面にピタッと沿わせていたと思います。つまり「気を付け」の姿勢。

カルメンが去る間際、ホセが彼女の手首を掴んで引き止めます。斎藤さんのカルメンは余裕綽々。自信たっぷりにホセを真っ直ぐ見つめます。自分の眼差しがどれだけ男を誘惑するかを心得ている。静かにホセの手を振り払い退場します。またしても、今彼女の腕を掴んだ自分の手の平をジッと見つめるホセが切ない。

帽子を脱ぎ、それを舞台袖に置いて、ゆっくりと舞台中央の定位置に歩いてくる大嶋さん。その無音の数秒間の、なんと張り詰めて甘やかなこと。ホセの陶酔と、大嶋さんの集中力が伝わってくるようでした。
首藤さんの深遠でストイックな、胸掻きむしられるようなホセとは違い、なんともウェットで、むせるような色気のあるホセ。そして、一つ一つのポーズの華やかなこと!一瞬の溜めを通過して、バッと大嶋さんが身体を開くと、真っ青な夜空に真紅の花が開くような艶っぽい華やかさがありました。首藤さんは完璧にコントロールされた美しい踊りの中に、極限まで感情を閉じ込めたストイックさがあり、それがとても切なくてセクシーだったんですが、もちろん大嶋さんもとてもストイックなんだけど、なんかもう抑えきれずに溢れちゃってた。見ているこちらまで胸を焦がすような、とても胸に迫るホセでした。でもやっぱり、ストイックで色気のあるという意味では、どことなく首藤さんに似ているかなぁ。
伏し目がちな色っぽい眼差しと、絶えず溜息をついているような薄く開いた唇。額にかかる濡れた髪までもセクシーでした。

ソリストの小出さんと高村さんがとっても可愛い。踊りは文句ないし、2人ともピシッと気合の入った空気がとても好かったです。小出さんは松下さんが、高村さんは宮本さんがサポート。高村・宮本の方がちょっと上手くいかなくて、高村さんが大きく傾いてしまいました。ズレたタイミングを取り戻すまで、少し時間がかかったようで、小出さんとの踊りに微妙なズレが生じていました。
高岸さんがやや不調で、いつもよりキレがない感じ。エスカミリオのちょっと個性的な動きが、不思議な踊りに見えてしまっていたかも…。あれを格好良く見せるのは難しそうですね。でも、真っ白な衣裳に身を包んだ高岸さんは、相変わらず太陽の男。登場しただけで、舞台の空気を明るく輝かせる力を持っていました。

斎藤さんと高岸さんはとても大人のパ・ド・ドゥ。カルメンも、エスカミリオに対しては始めから本気で挑みます。本気のゲームをする2人は、惹かれ合うというよりは対等なライバルのような雰囲気。ジッと絡み合う視線と、絡ませた足先の絶妙なタイミング。ピンと張った隙のない空気を作り出すのが上手い。東バやダンサーのファンじゃない人には、ちょっと長く感じるパ・ド・ドゥかもなぁとは思いました。私としては、斎藤さんと高岸さんが踊っているというだけでちょっと嬉しいんですけど。あと、音楽が好いなぁと思いました。特に後半。

白シャツに着替えたホセとカルメンのパ・ド・ドゥも好かったです。ホセに対しては、始めはからかうように振舞うカルメン。しかし、あまりに真剣で真っ直ぐな、切迫感すらあるホセの眼差しに戸惑いを覚えます。やがて、その眼差しに身を任せる心地良さに身も心も浸されていくカルメン・・・。それにしても大嶋さんは、なんて切ない目でカルメンを見るんでしょうか(♪)。流石のカルメンも心乱されないわけがない!しかも、どう見ても大嶋さんは年下の男なので、その辺の危うさも相まって秀逸。大嶋さんの若く情熱的で艶やかなホセが、斎藤さんの濃さを凌駕してしまいそうで、それはそのままカルメンの心にホセが入り込んでいく様と重なるようでした。最後には2人とも笑顔になって、若者のように無邪気に絡み合う姿が印象的。牛の幕が下りてきて、抱き合う2人をそっと隠します。

運命の奈良さんはとてもスレンダーで、シャープな踊り。最近の若い人は、全身タイツを着ても違和感がなくなってきたなぁと感心。オペラグラスでよく見ると、鋭い良い目をしているんだけど、それが遠くだと伝わりにくい。踊りはとても好かったけど、存在感がちょっと軽やか過ぎたかなと…。もっと運命の残酷さや非情さが、全身から漂うようになると良いなぁと思いました。シャープでスパスパ踊ってくれて、好かったんですけど。

最終幕の闘牛場の場面で、高岸さんと奈良さんの絡みが上手くいかなくてちょっとヒヤヒヤしました。そこは高岸さん、パワーで何とか持っていってくれますが、ややバタバタしていました。
ホセの剣に刺されたカルメンは、刺された腹部を触り、手に付いた血を確認します。運命から逃げないことを決めたときから、彼女はホセを許していたんじゃないかな…。死を待つ恐怖が終わりを告げ、むしろホッとしているような雰囲気すらありました。あとはホセの苦しみを思うだけ、、、。虚ろな眼差しのホセの優しく覗き込んで、ホセの前髪をそっとかき上げます。その手の優しいこと…。あの斎藤さんが、あの大嶋さんの、あの濡れた髪をかき上げるんですから、もう私は軽く興奮気味。「いいのよ」と言うように力無く首を左右に振るカルメンは、笑っていました。どうして、斎藤さんのカルメンはあんなに優しいんだろうか…。見ている私が何か許されたみたいな気持ちになるほど、胸にジンワリと伝わってくるものがありました。でも、同時に最後の最後まで「女」なんですよね。母親であり、恋人であり、という。所謂「色気がある」というのとは違うかもしれないけど、あの独特の湿気と粘着質(褒めてます)、そして大きな母性と少女のような無垢は、やっぱりノーマルではない。ノーマルではないものにはやはり、色気というか「性」が宿りますよね。

正面を向いて毅然とポーズをとった後、グニャリと崩れ落ち事切れるカルメン。そのカルメンを抱き起こし、彼女の動かない腕を自分の首に絡みつかせるホセが切ない…。ホセに抱きしめられ、こちらに背中を見せた状態でズルズルと崩れ落ちていくカルメン。死んでもなお意思を持っているかのような背中が格好良かった。虚ろな目をして呆然と立ち尽くすホセを残して幕が下ります。
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2008年01月28日

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』Bプロ 12月10日/11日

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』Bプログラムの感想です。『カルメン』は別枠で後日アップします(たぶん)。

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>東京バレエ団全国縦断公演
『シルヴィ・ギエム、進化する伝説』 Bプログラム
2007年12月10日(月)18:30 東京文化会館
2007年12月11日(火)18:30 東京文化会館

『カルメン』
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン

カルメン:斎藤友佳理(10日)/上野水香(11日)
ホセ:大嶋正樹(10日)/木村和夫(11日)
エスカミリオ:高岸直樹(10日)/後藤晴雄(11日)
ツニガ:後藤晴雄(10日)/平野玲(11日)
運命(牛):奈良春夏(10日)/高木綾(11日)
女性ソリスト:小出領子-高村順子(10日)/長谷川智佳子-西村真由美(11日)
ほか、東京バレエ団

感想は別枠で。

『椿姫』第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
ピアノ演奏:高岸浩子

シルヴィ・ギエム、ニコラ・ル・リッシュ

去年バレエフェスで見たときは、「良くも悪くも“ギエムはギエム”」という偉そうな感想を書いておりました…ははは、、、。いや、今でも「ギエムはギエム」と思うことはあるんですが、「それでいいじゃない」と思うことができる今回の『椿姫』でした。彼女が変わったのかもしれないし、私が変わったのかもしれない。丸くなったという表現はしっくりこないんだけど、「丸みを帯びた」というか(一緒ですかね…)。女性らしい柔らかさが少し増したような気がします。
ニコラとのパートナーシップは言うまでもなく完璧。流れるようにスムーズなサポートやリフトは、力みがなくて心地が良いです。ギエムの描くフォルムも無駄がなくて美しい。でも、以前見たときよりも、少しサポートにモタつきが見られました。と言っても、本当にほんの少しですけど。ギエムのポワントにも乱れがあったような…。あまりに完全無敵のマルグリットよりも、人間味があって良いかもな〜なんて思いましたけど。2日目には改善されていました。
ニコラのアルマンも素敵でした。黒いタイツの脚が真っ直ぐでとても綺麗。後半の情熱的なニコラも好かったけど、私としては序盤のニコラが好きでした。感情が弾ける前の、あのせめぎ合い。平然と振舞いながら彼女のヴェールを取り、椅子にかける(床に置いたっけ?)。咳き込む彼女を見て、思わず駆け出して抱きとめる。でも、彼女と目が合うと、クルっと身をかわして彼女から離れます。今あの目に見つめられたら、自分は正気を保てなくなってしまう…。毅然と振る舞いながらも、一瞬の陶酔、一瞬の動揺、偽りの態度…。それらのせめぎ合いが見事でした。

『シンフォニー・イン・D』
振付:イリ・キリアン
音楽:ヨーゼフ・ハイドン

【10日】
井脇幸江、長谷川智佳子、西村真由美、乾友子、佐伯知香、高木綾、田中結子、阪井麻美
中島周、高橋竜太、古川和則、平野玲、松下裕次、野辺誠治、小笠原亮、宮本祐宜
【11日】
井脇幸江、小出領子、高村順子、奈良春夏、森志織、田中結子、前川美智子、吉川留衣
大嶋正樹、中島周、松下裕次、鈴木淳矢、氷室友、長瀬直義、横内国弘、梅澤紘貴

一応10日がファーストキャストでしょうか。名前だけ見ると、「かろうじて10日がファーストかな〜」という感じなんですが、実際に見てみるとやはり差は感じます。当たり前ながら、細部が全体を作るんだよな〜と思いました。11日の若手メンバーも頑張っていたし、とても好かったんですよ。表情豊かに芝居っ気たっぷりに演じてくれて、こういう若い子たちまで演じるということが浸透しているのが、東バの良いところだと思います。でもやっぱり10日の方がワンステージ上にいる感じがするんですよね。笑いの起こり方も違う。11日は、「あ〜、ここで笑いが起こってほしかったな、、、」と残念な場面もあり…。ただ、11日は途中でアクシデントもあったので、彼らもテンションを保つのは相当大変だったろうし、同じことが観客にも言えたと思います。そんな中で、最後まで笑顔で、この作品の楽しさを損なわずに見せてくれたダンサーたちには、感謝の気持ちでいっぱいになりました。カーテンコールの中央で、みんなの気持ちを引っ張るかのように最高の笑顔をしていた井脇さんには、感動すらした…。

衣裳は、男性は黒、女性も黒で胸のところだけ黄色。男女ともキャップを被り、男性は膝に黄色のサポーターをしています。明るく軽快な音楽に乗せて、次から次へと愉快な場面が展開して目が離せません。下品に、滑稽に、そしてやり過ぎにならないように、それでいて笑いを誘うのは結構難しいと思うんですが、東バはこの作品をなかなか上手に踊っていると思います。
メインのカップルは井脇&中島で両日とも共通。ほっぺたを赤くしてそばかすを描き、おさげをピンと跳ねさせた“おてもやん”は田中結子さんが両日とも演じました。井脇さんがとっても綺麗で、そしてキュート。最近の井脇さんは、美しさだけでなく可愛らしさにも磨きがかかっている気がします。コミカルな中島さんがとても好かった。私は中島さんのキャラクター寄りのものが結構好きなんですが、あまり彼に合わないものもあると思うんです。でもこれは好き。初日の西村&平野のペアが最高。同じパートを2日目は奈良&横内。流石に芸達者の西村&平野が上をいきます。前回この作品を見たときは(確か2005年のギエムツアー)、西村さんが“おてもやん”でした。可愛いお色気が出ていてすごく好かったんだよな〜。田中さんもとても好かったんだけど、個性豊かな面々に囲まれると、少しキャラが弱いかなと思いました(そこが彼女の良いところでもあると私は思っているんですが)。初日の男性陣では、高橋さんの気合の入った踊りが格好良い。表情豊かで芝居も上手いし、高橋さんはいつでも要だよな〜と。「えーん、えーん」と泣いている女の子(初日は長谷川さんだったかな…?)を指差して、「ちょっと、泣いてるよ〜、どうすんの?」みたいな芝居が面白い。2日目は高橋さんの位置に氷室さん。ちょっとホワンとした優しい雰囲気がありますよね。泣いている小出さん(可愛い!)に対して、どうしていいかわからず手を焼いている感じが、優しさが出ていていいなと。あと、初日は古川さんの存在が大きい。踊りも演技もしっかりしているし、明るい空気を振りまいてくれます。何より本人が楽しそうなのが最高。
あとは、佐伯さんが可愛いな〜とか、高木さんは大人っぽくて綺麗だな〜とか。高木さんは踊りに品があるので好きです。吉川留衣さんはコンテが良いかも。案外(?)何を踊らせても様になる長瀬さん。

2日目のアクシデントについても書いておこうと思います。作品の中盤、場面の終盤で大嶋さんが怪我をするというアクシデントがありました。左右の男性の肩を借りて、走りながらポーンポーンとジュテのようにするところがあるんですが、何度目かの跳躍のときにバチンという音とともに大嶋さんが崩れるように屈み込みました。ケンケンして何とか袖に入り、そこで崩れ落ちるのが私の席からも見えた…。しばらく舞台は無人のまま音楽だけが鳴り続け、暗転。次の場面は途中まで男性が一人不在の状態で踊られました。パートナーなしで頑張ったのは奈良さん。一旦退場した男性陣が再び登場すると、人数が足りてる。よく見ると、小笠原さんが代役で入っていました。帽子はかぶっていましたが、膝のサポーターは無しという姿。微妙にタイミングがずれる場面もありましたが、完璧に踊りきってくれた小笠原さんに感動。もちろん小笠原さんだけでなく全員に、今でも感謝したい気持ちでいっぱいです。
大嶋さんは2日目の中でも抜群の存在感を放っていたので、是非最後まで見てみたかったです。

『TWO』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム

これは何度見ても格好良い。ずるいくらい格好良いなあと思います。見終わってすぐ「もう一度見たい!」と思う(これは昔十市さんが言っていて、良いこと言うなあと思った表現ですなんですが)。
何度も踊られてるので説明するまでもないと思うんですが、舞台の中央前面に立つギエムに上からスポットが落ちています。跳躍も回転もなく、彼女はその1.5m四方(予想ではそのくらいかと、、、)から出ることなく、1点に立って踊ります。最初はゆっくりと、次第にスピードを上げ、最後には両腕・両脚の軌道が鮮やかな残像を描きながら踊る。終盤にはスポットが変化し、中央のギエムには当たらず、その周りを囲むように光の壁ができます。ギエムが踊るたびに、その手や足先が光の中を通過しながら閃きます。マリファントは面白いこと考えたよなあ、と。ボルテージが最高潮に達したところでカットアウト!あの盛り上がったところでスパッと終わるのがまた、観客のドーッという拍手に繋がるんだろうな。しかも、スピードが上がり切ってからが案外長いんです。盛り上がったと思ったら終わり、というのと違うから、ちゃんと満足感が残ります。カーテンコールは2日間とも、ホールが振動するような喝采に包まれました。

2日目は、この前の『シンフォニー・イン・D』でアクシデントがあったため、私の集中力は途切れがち…。特に前半は音楽が静かなので、袖で対応に追われているらしい声が客席まで届いていて、様々な考えが頭の中を渦巻きました。なんら変わることない集中力で踊り、最後には大喝采をもたらしてくれたギエムが格好良いと思うと同時に、彼女にもありがとうという気持ちになりました。

※あとでプログラムを読んだら、あの照明は1.2m四方だそうです。

『Push』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム、ラッセル・マリファント

音楽は『TWO』と同じアンディ・カウトン。機械的と神秘的の両方の空気を持っていて、とても格好良い。場面毎に少しずつ音楽は変化して、水面に雫が落ちて波紋が広がるようなイメージの音楽になったり、重低音が心地良い、迫り来るような響きの場面もあって面白かったです。川口か神奈川だったか忘れたんですが、重低音に会場が振動して「ジジジジ…」と音がしていましたよ…。場面毎に暗転しますが、音楽は消えないので間違えて拍手が起こることはありませんでした(そんなこと心配してるの、私だけか?)。

リフトした状態から始まり、ギエムはマリファントの身体をゆっくりと滑るように体勢を変えながら下りてきます。その間、マリファントはゆっくり回転しながら前進してくる。床の上で2人が離れ離れに同じ方向を向いて座ると暗転。次に照明が点くと、また先ほどと同じ場所からリフトした状態で始まります。あの冒頭の繰り返しが、なんとも格好良い(私の隣のご夫人は「あら?」と言ってましたが…)。果てしなく続いていく悠久の時間を垣間見るような、そんな感覚に襲われる瞬間があります。暗がりの向こうから浮かび上がるように姿が現れ、ゆっくりとこちらへ向かってくるのが格好良くて、イメージを掻きたてられるんです。後半でも同じように、今度は暗がりの向こうへ消えていくところがありますよね。2人の姿が消えそうになると次の照明が点く。また消えそうになると、その次の照明が点くという場面。下手の上空から差すように降り注ぐ照明がまた格好良いんです。
モダンでありながら原始的でもあり、緩やかでありながら緊張感のある時間と空気が流れる作品。あの感じのコンテンポラリーで30分は長いかなと思う部分もあるんですが、あの感覚を受け取るには必要な長さだったのかも、、、。
この作品での2人の人間の関係性は、ギエムとムッルで見たときは男女の空気感があって官能性を生んでいました。後半には少し挑戦的というか、対立の要素も感じた。マリファントが相手だともっと深い根源的な繋がりを感じました。シャープな感じも少し薄れたかな。マリファントの持つ雰囲気もその原因の一つかもしれません。マリファントは1961年生まれということなので、ギエムより少し年上、ほぼ同世代だと思うんですが、なんとなく「お父さん」な感じがしたんです。一緒に踊っているギエムが可愛く見えたんですよね。マリファントは大きなオーラを持った、ちょっと不思議な魅力のある人でした。

私が好きだった場面の一つは、中盤、舞台中央で向き合う2人に真上からオレンジ色のスポットが落ちる場面です。全体的にオレンジ色の照明で踊られる場面なんですが、中央で向かい合って踊っていた2人が、踊りながら徐々に円状に広がっていくと、オレンジの照明も少しずつ広がっていきます。
この辺りから頻繁に取り入れられる振付の一つに、ギエムが下肢の回転で体勢を変える動きがあります。ギエムが直立した体勢のままスーッと倒れると、マリファントがそれを身体のどこかでサッと受け止める。そうするとギエムが、膝をクルっと回転させて身体を反転させるんです。正確には膝ではなくて爪先で回っているんだろうけど、膝から回転しているように見えて格好良かった。説明が難しいんですが、おそらく印象的な動きの一つだったと思います。
あと印象的だったのは、背中合わせの状態でマリファントが屈んで、その背中の上をギエムが開脚して通り過ぎるところとか、かな。スパッと空間を切り取るギエムの脚が綺麗。そして、反動を利用しているようでいて、実はギエムの完璧なコントロールのもとに身体が動いているのが格好良いな、と。それはギエムだけじゃなく、マリファントにも、そして全ての動きに言えることだと思いました。
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2007年12月17日

井上バレエ団『くるみ割人形』12月16日(日)

井上バレエ団の『くるみ割人形』を見てまいりました。今年は金平糖の精を初役の2人が務めました。1996年以来、金平糖の精はずっと島田衣子さんと藤井直子さんが踊ってこられたんだそうです(島田さんのデンマーク研修中を除く)。今日の金平糖の精は田中りなさん。ほっそりとした身体でメリハリのある踊りをする、とても可愛らしい人でした。そしてゲストはオーストラリア・バレエ団の藤野暢央さん。藤野さんは、香港バレエ団プリンシパル時代の2005年に、井上バレエ団の『くるみ割人形』にゲスト出演をしたのが日本デビューなんだそうです。藤野さん、良いダンサーじゃないですか〜♪ なんと言っても色気がある!暗い色気じゃなくて、明るい色気。適度に男臭くて、十二分に爽やかで、ダイナミックな踊りと柔らかなポーズ。そして、色気(しつこい…)。日本人であの色気は、なかなかいないですね〜。アダージオで田中さんを支える姿は頼りがいがあり、とても素敵でした。


井上バレエ団 12月公演 『くるみ割人形』
2007年12月16日(日)15:00 文京シビックホール

【主なキャスト】

金平糖の精:田中りな
王子:藤野暢央
雪の女王:西川知佳子
雪の王子:井上陽集
ドロッセルマイヤー:堀登
ねずみの王様:大倉現生
クララ:飯塚瑞月
フリッツ:アクリ瑠嘉
おとうさん:原田秀彦
おかあさん:福沢真理江
兵隊人形:荒井成也
コロンビーヌ:越智ふじの
ハレーキン:桑原智昭

スペイン:大島夏希、瀬木陽香、加藤健一
アラビア:小絵美子
中国:田川裕梨、中武啓吾
トレパック:吉本奈緒子、市川玲、石丸美奈、桑原智昭、近藤徹志、荒井成也
あし笛の踊り:嶋田涼子、仲秋亜実、野澤夏奈
ギゴーニュおばさん:馬渕唯史
花のワルツ:鈴木直美、中尾充宏

振付:関直人
美術・衣裳:ピーター・ファーマー
指揮:堤俊作
演奏:ロイヤルメトロポリタン管弦楽団
合唱:ゆりがおか児童合唱団

  【プロローグ】
緞帳が上がると、ピーター・ファーマーのデザインによる幕。道行きはドロッセルマイヤーのみです。手にはくるみ割人形。プルッと寒そうに歩いてきて、「お前も寒かろう」とでも言うように、自分のコートにくるみ割人形を入れてあげるのが心憎い。ドロッセルマイヤーが消えると、幕が開いてシュタルバウム家のクリスマスパーティーの場面に。

フリッツ役のアクリ瑠嘉くんという男の子が、ちょっとすごかった。他の男の子役は、全て女の子が演じていたようです。そのアクリ瑠嘉くんですが、跳躍は高くて綺麗だし、ちょっと目を離した隙にピルエットを何回転もしてるしで、目が離せない。そして、踊りの綺麗さ上手さは然ることながら、なんと言っても表情豊かで役者でした。目が生き生きしてて、思わず追いかけてしまう。クララの飯塚瑞月さんは、ちょっとルース・ミロのような印象的なお顔立ちで、可愛かった。

11月に見た小林紀子バレエシアターの『ジゼル』で、ヒラリオンを踊っていた中尾充宏さんがボーイを演じていたんですが、ピシッとしていてエレガントで素敵でした。ハレーキンを踊った桑原智昭さんは、バレエTAMAの公演で気になったダンサーです。今回も、ハッキリした力強い踊りが好かったです。

堀登さんのドロッセルマイヤーが格好良かった。どこか陰のあるダンディな中年。マント捌きもバッサバッサと格好良かったです。大人たちが踊っている中、舞台の上手に一人佇み、グラスを傾けて物思いに耽るドロッセルマイヤー。何故彼はどこか寂しそうにしていたんでしょうか…?ドロッセルマイヤーの過去が気になってしまいました。あらすじを読んでも、「クララとフリッツの名付け親」としか書かれていません。向こうからクララが手を振ると、自分に振っていると勘違いして、思わず嬉しそうに手を振り返しそうになる。しかしクララはフリッツに手を振っていて、ドロッセルマイヤーはまた寂しそうに手を引っ込めるんです。何、何?どんな過去があるのよ〜。彼には何か、少女と人形にまつわる悲しい思い出でもあるのではなかろうかと勘ぐってしまいました。

  【1幕1場】
井上バレエ団は、全体的におっとりしていて上品な印象があります。優雅で好きなんだけど、迫力がなくなってしまうときもある。プロローグの兵隊人形とか、2幕のディベルティスマンとか。でも、ねずみと兵隊の戦いは、これぐらいおっとりしていても、ファンタジーだから良いかな〜と和みながら見ていました。子役が演じている子ねずみが2匹出てくるんですが、彼らが可愛くて可愛くて。ねずみと兵隊が戦っている最中に、ウロチョロしてるの。後ろを回ってクララのところまで来て、「えいっ、えいっ」ってちょっかいを出してるんです。で、ドロッセルマイヤーに簡単に追っ払われちゃう。なんか全体的に可愛かったです。最初にズドーンと一発(火薬は使わず、演奏で表現していました)ねずみが撃たれるんだけど、倒れた一匹に「大丈夫か〜」とねずみがワラワラ集まる姿は妙に笑える。
ドロッセルマイヤーのマントから、魔法のようにパッと登場したくるみ割人形の王子は中武啓吾さん。彼もシャープで良い踊りでした。2幕で中国も踊っていて、なんか見覚えのある顔だなぁと思っていたら、彼もバレエTAMAの公演で踊っていました。桑原さんと同様、バレエTAMAのときに好いなと思ったダンサーの一人です。

クララが投げたスリッパで、ねずみの王様が弱っている隙に、くるみ割人形の王子が剣でブスリ。クララを残して、全てが消えていきます。

  【1幕2場】
藤野さんの王子の登場。くるみ割人形が王子に姿を変える、とても好きなシーンです。井上バレエ団は、王子が舞台の中央にうつ伏せているバージョン。真っ暗な舞台の中央に照明が当たると、そこには王子がうつ伏せています。下手にクララ。上体を起こし、ゆっくりと立ち上がるまでの藤野さんのセクシーなこと!そこから続くポーズの一つ一つが大きく綺麗で、艶がある。いや、こんなに色気のあるダンサーだとは思いませんでした。そればっかり言ってると、それだけみたいに聞こえてしまっては困るんですが、踊りはとてもしっかりしているし、雰囲気もあるし、本当に素敵なダンサーでした。

雪の女王は、今回が初役の西川知佳子さん。とっても可愛らしくて、優しい雰囲気と、まろやかな華やかさのある女性でした。可憐な笑顔がとても可愛い。ちょっと緊張していたかなという感じもしましたが、踊りも丁寧で柔らかい空気感がありとても好かったです。雪の王子は井上陽集さん。前回の井上の公演でとても気になった人。やっぱり素敵でした〜。踊りは今日はちょっとバランスを崩す場面もあり勿体無かったんですが、あのソフトな空気は得難い。「ノーブル」とか「エレガント」でもいいんだけど、一番しっくり来るのは「ソフト」。あぁ、素敵だった…。

雪の場面は合唱付。とても素敵でした。

  【第2幕】

紗幕の向こうに、2幕の登場人物たち。その中央にリフトされた金平糖の精がいます。リフトしているのは花のワルツの中尾充宏さん。2幕の最後も、紗幕の向こうに中尾さんが金平糖の精をリフトする姿が浮かび上がり、終わります。

ディベルティスマンは、やっぱり全体的におっとりと上品な感じ。アラビアの小絵美子さんは、ゆったりとした動きも破綻がなくて、とても綺麗。4人の女性が薄絹を持って一緒に踊ります。トレパックの桑原智昭さんは爽快な踊り。回転で会場を沸かせました。彼が一番拍手を受けていたのは、最後かも。グラン・パ・ド・ドゥも終わって、最後に登場人物たちが順番に出てきて踊るところで、インターバルを入れない見事な開脚ジャンプを披露。何回跳んだか覚えられないくらい、綺麗な200度の開脚で跳んでくれました。あし笛の踊りの女性3人は、みんな背が高くてスレンダー。あし笛は衣裳が可愛かったです。ブルーのクラシックチュチュで、チュチュの裏と髪飾りがゴールド、袖は紗の生地の長袖です。黒のチョーカーがアクセントになっていて◎。ギゴーニュおばさんは、大きなスカートの中に子どもたちをたくさん入れて登場。スカートの下は台車のようになっていて、中で一人動かしている人がいたようです。カラフルな衣裳の子どもたちが、可愛さを振りまいていきました。花のワルツの中尾充宏さんは、11月に小林紀子バレエ・シアターの『ジゼル』でヒラリオンを踊る姿を見たばかり。あのときとは全く雰囲気が違うのでびっくり。笑顔がキラキラと輝いて、とってもエレガントでした。身体がというよりは、着地が柔らかい。軽やかにポンっと下りるので、その足取りは終始軽やか。とても素敵でした。花のワルツは衣裳が可愛かった。メインの鈴木直美さんはクラシックチュチュ、コール・ドは膝丈くらいのロマンチック・チュチュです。色はエメラルドグリーンで、スカートの部分がチューリップみたいになっているのが可愛いんです。

金平糖の精と王子のグラン・パ・ド・ドゥ。田中りなさんは、小柄で華奢な女性。でも、その踊りはテキパキとしてとても力強いです。指先まで神経の行き届いた優雅な踊りと、シャープでスピード感のある踊りは、メリハリがあって好かったです。そこはもうちょっと丁寧に踊ってほしい…と思う部分もあったけど、、、。キラキラしたオーラもあるし、舞台の空気をギュッと引き締める吸引力もある。何より、気合の感じられる、ピシッと筋の通った雰囲気は好感が持てました。
そして、藤野さんがとにかく支える。傾きそうになる田中さんを、スッと引き寄せる場面も何度か見られました。サポートも上手だったと思います。ちゃんと女性を引き立たせて、その影で正確にサポートをし、自分の存在感も感じさせる。2人が空気を合わせて踊っているのが伝わってくる好いアダージオでした。終盤には徐々に情熱的になる藤野さんが印象的。情熱的というか、音楽の高まりとともに感情を高まらせていくのが感じられて、とても好かった。そこがまたちょっと色気があるんですけどね。アダージオの最後のポーズでは、2人の顔が近い。ドキドキしました〜。
跳躍は高くて着地も決めるし、大きな空間を使った回転も、とてもダイナミック。マネージュもゆったりと大きくて、音楽にピッタリ合っているのが好かった。日本人には珍しく、迫力のある踊りをします。ダイナミックだけど、指先から足の先まで丁寧で綺麗だし、ポーズも優雅で華がある。そして、しつこいけど好い具合に艶もある。最後まで女性をしっかりと支え、支えつつもリードしているようなところもあり、とても頼もしくて素敵でした。

  【エピローグ】
応接間のソファーで眠っているクララを両親が抱き上げ、くるみ割人形をソファーに置いて出て行くと、舞台中央にドロッセルマイヤーが浮かび上がります。マントをバッサバッサと思い切り翻しながら前進してくるのが格好良い。そして、最後に白い蜘蛛の糸(歌舞伎で使うあれです)をバッと出して、終わり。ドロッセルマイヤーがやっぱり格好良かったなぁと思う幕切れでした。

カーテンコールの後、オーケストラがクリスマス・ソングを演奏する中、ダンサーたちが全員キャンドルを手に持って再び舞台に登場。キャンドルと言っても、本物ではなくライトですけど。藤野さんが最後に登場して、思い切りテクニックを披露して踊ってくれました。着地でオットットとヨロけてしまったのはご愛嬌。ダンサーがグルッと囲んでいたので、あの狭さであれだけ踊るのは大変だったと思います。ヨロけた瞬間には、リラックスした素の笑顔が見られて、ちょっと得した気分。藤野さんには、また是非日本で踊ってほしいなと思いました。
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2007年12月10日

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』Aプロ 12月8日/9日

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>東京バレエ団全国縦断公演
『シルヴィ・ギエム、進化する伝説』 Aプログラム

2007年12月8日(土)14:00
2007年12月9日(日)14:00
東京文化会館

『白鳥の湖』第2幕より
振付:
マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
アレクサンドル・ゴールスキー、イーゴリ・スミルノフ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

オデット:シルヴィ・ギエム
ジークフリート王子:ニコラ・ル・リッシュ
四羽の白鳥:
佐伯知香、森志織、福田ゆかり、阪井麻美(8日)
森志織、村上美香、岸本夏未、河合眞里(9日)
三羽の白鳥:
西村真由美、高木綾、奈良春夏(8日)
西村真由美、乾友子、田中結子(9日)
ほか、東京バレエ団

幕が上がると、コール・ドの白鳥たちが綺麗なフォーメーションを組んでいます。なかなか良い幕開き。上手から王子のニコラ・ル・リッシュが登場。久しぶりに見たけど、やっぱり素敵です。髪がいつも王子っぽくないのは、もう気になりません。そしてギエムのオデットが登場。「アダージオとコーダ」と発表されていた通り、本当にアダージオとコーダのみ。三羽と四羽の白鳥も踊らなくて残念だと思ったのは、東バのファンだけかな?時間にして20分と、本当に短くアッという間に終わってしまいました。
ギエムのオデットはとても綺麗でした。ゆっくりと丁寧で、余計なものが削ぎ落とされた、揺るぎない踊り。思わずその軌跡を追いかけてしまいそうな腕。肩から二の腕にかけての筋肉がたくましかったけど、私はあまり気になりませんでした。そしてやっぱり脚が綺麗。踊っているときだけでなく、止まったときの真っ直ぐな脚も印象的でした。感情表現は控えめで、ほんのり悲しげな表情をしています。悲しげというか、少し諦めの境地に見える。既に半ば自分の運命を諦めていたのに、そこへ王子が出現し、戸惑いを覚えているようなオデット。ときどき王子を見上げる眼差しは、それでも「もしかして」と期待してしまう気持ちが感じられて切ないです。
初めからわかっていたけど、ニコラはサポートのみで見せ場がないのが残念。でも素敵なんですよね、やっぱり。とてもとても丁寧に優しくギエムをサポートする姿にウットリします。王子がオデットを見つめているように、ニコラもギエムをずっと見つめているんですよね。それは、瞳も心もです。ギエムがスッと伸ばした腕に、ピッタリと合わせて腕を伸ばすニコラが素敵でした。サポートは初日の方が良かったかも。2日目は、ギエムが少し傾くのをグッと戻す瞬間が何度か見られました。それはどちらの調子が悪いのか、私にはわからないんですが、、、。

コール・ドも三羽も四羽も、ほとんど踊らず。初日は2階席で見ていたので、いつもとフォーメーションの印象が違いました。やっぱり西村さんの白鳥が素敵。一緒に踊っている他のダンサーの方がスタイル的には綺麗なのかもしれないけど、西村さんの白鳥は全身から醸し出す空気が違います。

『ステッピング・ストーンズ』
振付:イリ・キリアン
音楽:ジョン・ケージ、アントン・ウェーベルン

井脇幸江-小出領子-長谷川智佳子-奈良春夏(8日)
木村和夫-後藤晴雄-中島周-平野玲(8日)

佐伯知香-高木綾-田中結子-吉川留衣(9日)
大嶋正樹-松下裕次-長瀬直義-横内国弘(9日)

世界初演は1991年、シュツットガルト・バレエ団。東京バレエ団による初演は、1994年です。私はもちろん見るのは初めて。すごく面白かったです。ただ、この手の作品が苦手だったり、さらにダンサーに興味がなかったりすると、辛いかもしれない(何でもそうか…)。ピンと張った空気と、悠久のように緩やかに流れる時間が同時に存在する、独特の緊張感が面白い。踊りも面白かったし、ダンサーも好かったし、オブジェも照明も効果的で、とにかく格好良かったです。

舞台の下手奥には、全身、半身、胸から上の3体の猫の彫像。エジプトの神々の一つだと思われます(すみません、名前がわからない…)。天上からは、中央に丸い穴の開いた巨大な三角形の平板オブジェが吊るされています。その三角形オブジェは上下移動、反転もできて、作品中にゆっくりと動き出すのが格好良い。そして照明と絡んで効果的。反転した三角オブジェに、大きな照明が下りてきて、中央の穴から舞台を照らすのが格好良かったなぁ〜。ダンサーたちは全員が一つずつオブジェを持っています。踊るときは持っていないけど、ときどき持って踊ったりもしてました。あまりよく見えなかったんですが、何かマスクや壷のようなものが象られていたようです。

初日がファーストキャスト、2日目はほとんどが若手というキャストでした。初日のキャストは流石の出来。でも、若手もすごく頑張っていたし、若々しい鋭さがあるのが好かったです。
最初に男女のデュオ。下手にはオブジェを手に直立する男女2人。照明はオブジェにだけ当たっています。上手の奥に横たわる残りの4人。初日、最初のデュオは長谷川さんと後藤さん。長谷川さんがすごくいい動きをしていて驚きました。ノイマイヤーの『スプリング・アンド・フォール』を踊る長谷川さんも素敵だけど、キリアンも良いかも。素人の私には、振付言語とかってよくわからないんです。「あ、キリアンっぽい」とか、「この動き印象的だな」とか思う程度。振付が活きてる人、いい動きをしている人、空気に乗っている人を、私なりに感じることしかできません。後藤さんがですね、これまたすごく格好良かったです。2日目は同じ位置に松下裕次さんがいたんですが、かなり違う印象。後藤さんは良い重力感があって(踊りが重いという意味ではありません)、落ち着いた大人の踊り。フォルムの細部まで神経を行き渡らせる余裕があるので、独特のフォルムがちゃんと印象的に映ります。松下さんは、「やるぞ」っていう意気込みすら感じる出だしの回転からして、とってもシャープ。軽やかで、良い意味で気持ちが前のめりな踊りが好かったです。流石に後藤さんに一票。

舞台に女性が一人だけになる場面があります。初日の奈良さんは、ギュッと空気を締めてくれました。2日目の高木さんも好かったんだけど、ちょっと空気が優しかったな〜と。
初日、バーっと走りこんできて短いソロを踊った中島さんが、ものすごく格好良かった。本当に中島さん?と、気持ち的に身を乗り出すほど力強い踊り。舞台の空気を思いっきり動かしてくれました。2日目は大嶋さん。調子は悪くなさそうだったけど、中島さんの突き抜けた踊りの方が印象が強かったです。とは言っても、2日目のキャスト陣の中では大嶋さんが別格の安定感と存在感でした。冒頭、オブジェを手に立っている大嶋さんが、暗くてよく見えないけどそこはかとなく色気がありました。
男性が4人で踊るところは、初日の4人が流石の迫力で格好良い。入れ替わるように女性3人が登場して、順に短いソロを踊ります。初日の井脇さんが、踊りも存在感も別格。彼女が踊り始めると、空気がガラッと変わるのを感じました。そして、その踊りの鮮烈なこと。振付言語に疎い私でも、「これなのか!?」と。
その井脇さんと木村さんが2人で踊る場面があります。いやぁ、もう楽しかった。真剣な顔して踊る木村さんが相当素敵でした。そして、男性陣はショートパンツのみなので、その脚とか腹筋とかを堪能。今回の木村さんは大人の男の踊り。そして、端正なキリアン。なんだそれって感じですが、ん〜、やっぱり端正なキリアンでした。格好良かった〜(♪)。
最後は全員登場。オブジェを足元に置いて、等間隔に立ちます。男女が1組ずつ順に踊る。4組が踊り終わると、三角オブジェがゆっくりと下がる中、全員が基本のバーレッスンのような腕の動きをします。徐々に照明が落ちて、終わり。

ベテラン勢のファーストキャストと若手のセカンドキャストではこうも違うか、、、と思った2日間でした。若手も好かったんだけど、どうしても少し一生懸命感が出てしまったり、キリアンっぽくなくなってしまう瞬間があったと思います。でも、若手も結構良い完成度だったんじゃないかな。

『優しい嘘』
振付:イリ・キリアン
音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ、カルロ・ジェズアルド、グレゴリオ聖歌

シルヴィ・ギエム、ニコラ・ル・リッシュ

確か前々回のバレエフェス以来、久しぶりに見ました。何度見ても格好良い。けど、何度見ても短い…。本当にアッという間に終わります。紫のトゲトゲの付いた衣裳が可愛いくて好きです。ニコラの衣裳は紫の透ける素材。胸筋がすーごかった。休憩を挟んで第2部はキリアン2作品の上演だったわけですが、東バのキリアンの後にギエムが踊ると、歴然と動きの鮮烈さが違う。東バは東バで好かったんだけど、ギエムの動きはやはり鮮やかでした。ギエムの腕や脚が鮮やかに空間を切り取るのが、残像を伴って目に飛び込んでくる瞬間の気持ち良さ。そして、ニコラとの揺るぎないパートナーシップがあってこその高みなのだと思います。

『Push』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム、ラッセル・マリファント

前回はマッシモ・ムッルと踊った『Push』を、今回は振付家本人のマリファントが踊るというのが、公演の売りの一つでした。ムッルと踊った『Push』とは、だいぶ違う作品になっていたような気がします。どちらが良い悪いということではなくて。ムッルのときは色気があって、後半どんどん2人の間に緊張感が生まれていく様がスリリングだったんですが、今回はそうではなかった。後半のギエムの動きも、前回の方がシャープで、やや挑戦的な感じがしたんだけど、今回はもう少し緩やかな連続性がありました。振付家本人のマリファントと踊っているのだから、今回の踊り方が本来のものなのかなと思ったりしました。
マリファントは大きなオーラのある不思議な人。「大らか」とか「優しげ」とはちょっと違う、包み込むというよりは乗っかることのできる安心感のある人でした。マリファントと踊ると、ギエムがちょっと可愛く見えてくるのが不思議。リフトなどに関しては、ムッルの方が安定感があったかもしれません。
『Push』は結構好きな作品です。寝不足で見るのは辛いけど。スローモーションのようにゆっくりとした動き。まるで重力なんて存在しないかのようなリフト。どうしてその体勢でゆっくり動けるんだと感心してしまいます。あまりに事も無げに踊るので、その大変さに一瞬気が付かないんです。でも、よく考えたらすごい動きだよなぁと思うと、もう目が離せなくなってしまうんです。
posted by uno at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ公演2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする