2012年07月29日

第13回バレエフェスティバル全幕特別プロ『ドン・キホーテ』7月29日

第13回バレエフェスティバルの開幕公演、全幕特別プロ『ドン・キホーテ』に行ってまいりました。開幕に相応しい、楽しく賑やかで、素晴らしい舞台でした。ロホとマックレーは最高だったし、東バの面々もみんな気合が入っていて、本当によかったです。

とにかくロホが可愛かった〜。彼女は大好きなダンサーなので、久々に美しいロホを拝めて幸せでした。白い肌とぴっちり結った黒髪、静けさと情熱を湛えた深い瞳が美しかったです(今日のアイシャドウはほんのり紫でしたね〜)。相変わらず圧巻のバランスと回転。グラン・フェッテではダブルだけでなくトリプルも入れていました。
マックレーも素晴らしかった。本当に美しいつま先と、そこから繰り出される高速のステップのクリアなこと! やんちゃで悪戯っぽい表情もチャーミングで、とっても素敵なバジルでした。
本国ではわからないけど、日本では珍しいロホとマックレーの組み合わせでしたが、2人の息はぴったり。片手リフトは敬遠して両手でリフトしていましたが、その分安定感はあったし、ロホも思い切り開脚してポーズしていました。やはりここは片手にこだわらず、美しく見せてほしい。片手で頑張る姿も、それはそれでいいもんだったりするんですけどね。踊り終わりの最後のポーズがいつもぴったりと決まるのも気持ちよかった。ロホがどんなに多めに回ろうとも、マックレーと音楽(指揮者)がピタッと彼女に合わせていました。

東バの面々も気合が入っていてとってもよかったです。なんかセギディーリャの中に気合の入ったのがいるな〜と思ったら、岡崎さんでした。しかも、なんか気合の入ったジプシーがいるな〜と思ったら、またしても岡崎さんでした。いい顔して踊ってましたね〜。小笠原さんも(セギディーリャ)も格好よかったし、梅澤さん(闘牛士)も雰囲気のある踊りで目を引くようになったなぁ、と。第2陣で登場した(4人ずつ登場)闘牛士の先頭のダンサーが逞しいなぁと思ったら、こちらは宮本さんでした。なんか、踊りだけじゃなく佇まいにも貫禄が出てきたなぁ、と。貫禄といえば、プロローグから妙に貫禄があるドン・キホーテだったので、森川さん成長したな〜と思ってたら、闘牛士の中に森川さんが!? そういえば、ドン・キホーテは高岸さんだということを、すっかり忘れてました。やはり貫禄です。ガマーシュのお付きに、なんと氷室さん。ということは2日目は高橋さん!?と思ってプログラムを見たら、やはり2人のダブルキャストでした。ぎゃ〜、明日は見に行かないんだよ〜。高橋さんのお付き、絶対楽しいだろうな、、、。そんな高橋さんのサンチョ・パンサは相変わらず可愛いし、永田さんのロレンツォもすっかり堂に入ってるし、松下ガマーシュのおふざけは頃合いが調度よく、みんなメインを邪魔することなく楽しい舞台を演出していました。

木村さんのエスパーダも素敵でした〜♪ は〜、幸せだった。登場から気合の入った踊り。誰よりも高く、そして誰よりも遠くへ伸びる脚。そういえば、ベイサイドバレエの『ギリシャの踊り』の“若者の踊り”でも、その手はどこまでも遠くへ伸びていました。ただ伸ばすだけじゃなく、その先にあるものを感じさせる。そんな踊りでした。ご本人も楽しそうだったし、奈良さんとの雰囲気もよかったし、最後は胸の空くようなマネージュを堪能できたし、本当に幸せでした。
奈良さんのメルセデスはスマートで柔らかく、熱いというよりは温かなメルセデス。美しい彼女の持つ優しい雰囲気が最近とても好きです。キトリの友人の2もとてもよかったです。佐伯さんはチャーミング。吉川さんは美しい〜。終幕のグラン・パ・ド・ドゥ、ロホとマックレーのアダージオに送られる割れんばかりの拍手の後では、さぞ踊りにくかろうと思ったら、吉川さんはブルーの衣装そのままに涼やかな空気を運んできてくれました。跳躍の多い第1ヴァリエーションですが、彼女の跳躍は着地音もなく、ふわっと優しげでとてもよかったです。ドリアードの女王の渡辺さんは、やや緊張している様子ではありましたが、清楚でたおやかな佇まいと、伸びやかな肢体が美しく、とてもよかったです。ジプシーの娘の吉岡さんは相変わらずの美しさだったし、高村さんも文句なしのキューピッド。彼女のキューピッドは何度見ても見飽きるということがありません。細やかなステップも、キュートなポージングも、高く軽やかな跳躍も、安定感がありました。

グラン・パ・ド・ドゥが終わると、あまりに拍手が大きすぎたせいか、セギディーリャたちが踊り出しを躊躇するという場面も。拍手の音で音楽が聞こえなかったのか、音楽ではなく指揮者を見ているものなのか、その辺はよくわからないんですが、確かに見ているこちらも「もう一度拍手に応えるかな?」と迷う場面ではありました。

これから始まる本プログラムへの期待が高まる、素晴らしい舞台でした。

第13回世界バレエフェスティバル全幕特別プロ
『ドン・キホーテ』全2幕プロローグ付5場
2012年7月29日(日)15:00 東京文化会館

キトリ/ドゥルシネア姫:タマラ・ロホ
バジル:スティーブン・マックレー
ドン・キホーテ:高岸直樹
サンチョ・パンサ:高橋竜太
ガマーシュ:松下裕次
メルセデス:奈良春夏
エスパーダ:木村和夫
ロレンツォ:永田雄大

【第1幕】
2人のキトリの友人:佐伯知香‐吉川留衣
闘牛士:長瀬直義、宮本祐宜、柄本弾、梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、杉山優一、松野乃知
若いジプシーの娘:吉岡美佳
ドリアードの女王:渡辺理恵
3人のドリアード:西村真由美、矢島まい、川島麻実子
4人のドリアード:森志織、村上美香、岸本夏未、阪井麻美
キューピッド:高村順子

【第2幕】
ヴァリエーション1:吉川留衣
ヴァリエーション2:佐伯知香

協力:チャイコフスキー記念東京バレエ学校

指揮:ヴァレリー・オブジャニコフ
演奏:東京フィルハーモニック交響楽団
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2012年03月08日

モナコ公国モンテカルロ・バレエ団 Aプロ 3月6日

モナコ公国モンテカルロ・バレエ団、Aプロ初日の公演に行ってまいりました。とっても素敵でした。モンテカルロの舞台はとても好きなんですが、前回の日本公演は見逃しています。確か、かなり忙しい月に公演があったんですよね。東バとハンブルクと重なっていたので、諦めた記憶があります。そのとき見逃した「アルトロ・カント」をやっとみられたのは嬉しかったです。

Aプロはミックス・プロ。どの作品の40分ほどもある中品で、たっぷりとマイヨーの世界を堪能することができました。なんて贅沢なプログラムなんだろう、と。マイヨーの全幕も好きですが、こういった優れた中品をたっぷりと見せてくれるプログラムも素晴らしいと思いました。カーテンコールにはマイヨーも登場。もう、テンション上がりました〜♪ ベジャール、プティ、ピナ、ノイマイヤー、様々な振付家がカーテンコールに登場する姿を見ました。何度経験しても心躍る瞬間です。そんな中で、マイヨーは私にとって印象的な存在でした。バレエを見始めて間もない頃に見たモンテカルロの公演で、若い振付家が登場してきたのが印象的だったんです。幸運にもベジャールの姿を見ることはできましたが、ダンサーと一緒に走ることはありませんでした。若い振付家が登場し、ダンサーと一緒に走って前へ出てくる。それだけのことなのに、感動したんです。もちろんそれは、作品が素晴らしかったからです。舞台に感動していたところへ、振付家が登場。しかもまだ若く、これから先どんな素晴らしい作品を創り、そして見せてくれるんだろうと思うと、未来を感じさせる存在感に心躍ったのを覚えています。
そんなマイヨーの新作『LAC』は、『白鳥の湖』を題材にした作品だそうです。次の日本公演では是非この『LAC』を上演してほしいです。

モナコ公国モンテカルロ・バレエ団 2012年日本公演
Aプログラム 「シェエラザード」「ダフニスとクロエ」「アルトロ・カント1」
2012年3月6日(火)19:00 東京文化会館

「シェエラザード」
振付:ジャン=クリストフ・マイヨー(ミハイル・フォーキンへのオマージュ)
音楽:ニコライ・A. リムスキー=コルサコフ
美術・衣裳:ジェローム・カプラン
舞台装置部分:レオン・バクスト
照明:ドミニク・ドゥリヨ

愛妾ゾベイダ:小池ミモザ
シャリアール王:ジェローム・マルシャン
シャゼーマン (王弟):レアルト・デュラク
宦官長:サブリ・ガレム=シェリフ
金の奴隷:アレクシス・オリヴェイラ、ジェオルジェ・オリヴェイラ
お気に入りの奴隷:
   ステファン・ボルゴン、ジェローン・ヴェルブルジャン、ラファエル・ボシャール、アシエ・ウリアゼレカ
お気に入りのハーレムの女たち:
   モード・サボラン、アンハラ・バルステロス、カロリン・ローズ
奴隷:
   ラファエル・ボシャール、ステファン・ボルゴン、ピョートル・ツォボヴィッチ
   アシエ・エデソ、エディス・アルゴチ、ジュリアン・ゲラン、イアン・パーソンズ
   アルヴァロ・プリート、ステファン・スチュアート、ダニエレ・デルヴェッキオ
   ジェローン・ヴェルブルジャン、アシエ・ウリアゼレカ
ハーレムの女たち:
   エイプリル・バール、アンヌ=ラウラ・セイラン、クイン・ペンドルトン
   シヴァン・ブリッツォーヴァ、フランセス・マーフィ、ヴァネッサ・ヘンリケス
   ノエラニ・パンタスティコ、モード・サボラン、サラ・ジェーン・メドレー
   アンハラ・バルステロス、カロリン・ローズ、ガエラ・リウ
   ベアトリス・ウァルテ、レネケ・ヴォス、シモーヌ・ウェブスター

「ダフニスとクロエ」
振付:ジャン=クリストフ・マイヨー
装置、ドローイング:エルネスト・ピニョン=エルネスト
衣裳:ジェローム・カプラン
音楽:モーリス・ラヴェル

アンハラ・バルステロス−ジェローン・ヴェルブルジャン
ベルニス・コピエテルス−ガエタン・モルロッティ

「アルトロ・カント 1」
振付:ジャン=クリストフ・マイヨー
音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ、ビアジオ・マリーニ、ジョバンニ・ジローラモ・カプスベルガー
(演奏:アカデミア、指揮:フランソワーズ・ラセール)
衣裳:カール・ラガーフェルド
装置デザイン:ロルフ・サックス
照明:ドミニク・ドゥリヨ


「その憐れみは」 Et Misericordia 
カロリン・ローズ、小池ミモザ

「主は御腕にて力をあらわし」 Fecit potentiam
サラ・ジェーン・メドレー、シヴァン・ブリッツォーヴァ、アンハラ・バルステロス、エイプリル・バール
カロリン・ローズ、ベアトリス・ウァルテ、ノエラニ・パンタスティコ、小池ミモザ、モード・サボラン

「権力あるものをその座よりおろし」 Deposuit
カロリン・ローズ、小池ミモザ、ノエラニ・パンタスティコ、エイプリル・バール

「主は憐れみを忘れず」 Suscepit Israel
「われらの先祖に告げたまいしごとく」 Sicut locutus est
クリス・ローラント、ジェローム・マルシャン

「父と子と聖霊に栄光あれ」 Gloria Patri
「初めにあったように今もいつも」 Sicut erat
(以上、モンテヴェルディ「マニフィカト」より))
クリス・ローラント、ジェローム・マルシャン、ラモン・ゴメス・レイス

「シンフォニア・グラーヴェ」 Sinfonia Grave
(ビアジオ・マリーニ)
ジュリアン・ゲラン、ラファエル・ボシャール、ブルーノ・ロケ、ステファン・ボルゴン、アシエ・エデソ
ジェローン・ヴェルブルジャン、ジェオルジェ・オリヴェイラ、レアルト・デュラク

「今や天も地も」 Hor che'l il ciel e la terra
(カプスベルガー)
ベルニス・コピエテルス、クリス・ローラント、ジェローム・マルシャン、ジュリアン・ゲラン
ラファエル・ボシャール、ブルーノ・ロケ、ステファン・ボルゴン、アシエ・エデソ
ジェローン・ヴェルブルジャン、ジェオルジェ・オリヴェイラ、レアルト・デュラク

「コラシオーネ」 「トッカータ・アルペッジアータ」 Colascione et Toccata Arpeggiata
(カプスベルガー)
ベルニス・コピエテルス、ラモン・ゴメス・レイス

「他の者は軍神マルスのために歌う」 Altri Canti di Marte
(モンテヴェルディ)
ベアトリス・ウァルテ、ラファエル・ボシャール、小池ミモザ、ブルーノ・ロケ、カロリン・ローズ

ジェローム・マルシャン、クリス・ローラント、サラ・ジェーン・メドレー
シヴァン・ブリッツォーヴァ、アンハラ・バルステロス、エイプリル・バール、ノエラニ・パンタスティコ
モード・サボラン、レアルト・デュラク、ステファン・ボルゴン、アシエ・エデソ
ジェオルジェ・オリヴィエラ、ラモン・ゴメス・レイス

「さえぎられた希望」 Interrotte speranze
(モンテヴェルディ)
モンテカルロ・バレエ団


以前にも思ったんですが、マイヨーのところの男性陣は、皆スタイルがよくて格好良い。身長もあり、逞しく、男らしいダンサーが多いです。「シェエラザード」の幕開き、そんな男性陣の奴隷の群舞は静かにセクシーに始まり迫力を増していくまで、格好良くてワクワクしました。舞台はシンプル。ハーレムの天井を思わせる背景幕と、舞台の中央奥に設置された部屋のみ。天井の高さも強調された、スコンと広い舞台が印象的でした。
ゾベイダは小池ミモザさん。華やかな衣装の群舞に対し、ゾベイダは純白の衣装なのが印象的でした。小池ミモザさんの身体の、なんと迫力のあること! 長身で、腰のくびれが美しく、スタイルが良い。しかし、その視覚的な美しさも然ることながら、身体の持つ迫力みたいなものが圧倒的でした。そして、身体が語る、語る。長い黒髪をなびかせて踊る姿も素敵でした。同じゾベイダをコピエテルスはあのショートヘアで踊るんですよね。どちらも素敵だな〜、と。
金の奴隷は2人。名前から察するに兄弟かなと思ったんですが、同じ年に舞踊学校に入っているので、もしかして双子でしょうか。真相はわかりませんが、、。褐色の肌に黄金の衣装。もう格好良かった〜♪ ゾベイダと同じ衣装を着た分身のような女性ダンサーも登場し、2組のパ・ド・ドゥが重なる。2人のゾベイダ、2人の奴隷。あれはそれぞれの影、、、分身のようなものだったんでしょうか。
最後、シャリアール王の怒りに触れ、残虐に殺される金の奴隷。直接手を下すのは王弟シャゼーマンです(確か)。何度もなぶられ、背後から腕で首を絞められて殺される奴隷。あの、死の場面の残虐さや、苦しむ姿の生々しさがマイヨーらしくていいなぁ、と。何もできず、金の奴隷が殺されるのを見ながら、泣き叫びうろたえるゾベイダ。息絶える間際、有らん限りの力を振り絞り、ゾベイダのほうへ手を差し伸べる金の奴隷。ゾベイダも手を伸ばす。官能に溺れた2人。その間に愛があったわけではないと思います。ただ、同じ囚われの身。2人で官能に溺れた時間に、束の間の自由を感じたのではないでしょうか。2人は「同志」だったのではないか、と。金の奴隷が息絶えると、ゾベイダともう一人の金の奴隷が歩み寄り、2人は影のように寄り添い一つに重なります。金の奴隷の影が、ゾベイダと精神的に繋がったように見えました。シャリアールが金の奴隷の腹、身体のど真ん中に剣を突き刺します。実際には何も手に持っておらず、剣で差す仕種をするだけです。しかしそれは、鋭利な剣というよりは、何がもの凄く太い棒を刺したかのように重々しく、腹をえぐられるような痛みが奴隷の全身を駆け巡るのを感じずにはいられませんでした。実際には何も手に持っていなかったことで、その効果が得られたような気がします。奴隷を突き刺した剣は、彼と重なっていたゾベイダに貫通します。最愛の妾を失う悲しみに嘆くシャリアール。息絶えんとするゾベイは、金の奴隷の亡骸(最初に倒れたほう)のところまで這っていき、彼に重なります。なんだかものすごく悲しくて、でも空気の透き通ったラストでした。

「ダフニスとクロエ」の登場人物は2組のカップルのみ。それだけの人数で、あの濃厚な40分間を生み出していたことにまず感動しました。異性への感情に目覚めたばかりの若いカップル(アンハラ・バルステロス−ジェローン・ヴェルブルジャン)と、彼らに手ほどきをし見守り、ときにはけし掛ける、成熟したカップル(ベルニス・コピエテルス−ガエタン・モルロッティ)。舞台の奥、下手寄りに設置されたの真っ白なパネルに、エルネスト・ピニョン=エルネストによる男女の裸体を描いた素描が映し出されます。若いカップルの距離が近づくにつれ、素描の男女の距離も近づいていく。そしてラスト、装置に半分身を隠すようにして2人が交わる場面では、映し出された素描の男女も交わり、何枚かのカットがそれまでにない速いテンポでパッパッパッと入れ替わって映し出される。素描が映し出されるテンポは、音楽や作品のテンポ、若いカップルの昂りに呼応していました。そして最後には、男女が交わる数枚のカットが一気に映し出され、重なり合うラインは入り乱れ、ところどころで身体のラインが判別できる程度。非常に上手く作品に呼応していたと思います。
若いカップルが結ばれる歓喜の場面は、ご年配の方は大丈夫か?と思わなくもないくらいの表現で、そういえば『ル・ソンジュ』でも結構生々しい場面があったよなぁ、と。死の場面にしろ官能の表現にしろ、マイヨーのギリギリか、ギリギリをちょっと越えたくらいの生々しい表現は私は結構好きなんです。マイヨーが真摯に人間を見つめ、人という存在を愛しているからこそ辿り着く表現だと思うからです。そんな生々しい表現にしろ、ユーモアにしろ、彼はとても素直でときおり無邪気な、魅力的な人なんじゃないかな〜と思うんです。
若いカップルは初々しく、柔らかな肌を感じさせ、胸の高鳴りが聞こえてくるようでドキドキします。バルステロスが可愛い。コピエテルスは、もう登場しただけで釘付け。あの肩、表情、もうすべてに釘付けです。世の中に、あんな存在があるなんてと、見るたびに思ってしまいます。久々のガエタン・モルロッティもやっぱり格好良い。コピエテルスはバレエ・フェスで見たけど、ガエタン(こう呼ぶとちょっと可愛いな、、)は前々回の公演以来なので本当に久々でした。コピエテルス同様、やはり異彩を放っています。

「アルトロ・カント1」。そのあまりの美しさに、呆然と見つめるばかりでした。幕が上がると、薄暗い舞台に2人のダンサー。彼女たちの間には一本のロウソク。それが、スーッと上空へ昇っていくところから舞台は始まります。その後も場面に応じて様々な表情を見せるロウソク。一列にズラッと並んでいたかと思うと、その中の下手寄りの一本だけがスッと上へ上がる。最後には星空のように舞台いっぱいに広がる。ロウソクの灯りだけで踊られるような、薄暗い中にも暖かさのある舞台。原始的なようで、非常に洗練されてもいる。まるで祈りのような、静謐で、感動的な作品でした。
モンテベルディ/他の音楽が素晴らしくて、その音楽をひたすらに表現していく振付、そしてダンサーたち。かと言って、単なるアブストラクト・バレエではない気がする。ロウソクの灯りのもと、寛大な音楽の中で、心地良く存在するダンサーたち。彼らの全員がマイヨーの意図を汲み取り踊っているのが感じられ、振付家が率いるカンパニーの力強さを見た気がしました。
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2012年03月05日

東京バレエ団 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』3月4日 マチネ/ソワレ

東京バレエ団、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』、2日目の公演に行ってまいりました。今日も楽しかったです〜♪ 子どものためのバレエとはいえ、大人の(一応、年齢的には大人です)私も十分に楽しめました。とてもよくできたプロダクションだと思います。来年、2013年1月上旬には、ゆうぽうとホールで上演が予定されているそうで、そのときには全国公演もあるかもしれませんね。若手が舞台経験を積む、とてもいい場になると思います。そのときにはどんなキャストが組まれるのか、楽しみだな〜(♪)。

昼公演は、沖香菜子さんと松野乃知さん。まったくの未知数だった2人ですが、とってもよかったです♪ 客席からは、熱い拍手が送られました。それはもちろん、「よくやってくれた!」とか、「ここまでやるとは!」という、応援する気持ちや感激など、いろいろ込みだと思いますが。あと、もしかしたら、お知り合いの方も多かったのかな〜という気もします。
松野さんはたぶん逸材かも。今回の3人の王子の中で、おそらく身体能力は一番高いんじゃないかと思います。若さ溢れる、怖いもの知らずなジュテ・アントルラセ。勢いはあるけど雑さはなく、清々しいです。背も高いし、サポートも上手だし、ヴァリエーションもいいし、先が楽しみだ〜。沖さんは、とっても可愛らしくて、そしてなんとも初々しい。小柄な身体はとてもバランスがよく、踊りもハッキリしていてとてもよかったです。最初こそ緊張が感じられたものの、舞台が進むにつれてむしろ落ち着いていくのはすごかった。グラン・パ・ド・ドゥのヴァリエーションでは、伸び伸びと踊っているようにすら見えました。もちろん2人とも課題はあるとは思いますが、本当によくやってくれたと思うし、私は大満足でした。

楽しみにしていた氷室さんのカタラビュットも、とってもよかったです! 氷室さんも実に芸達者でした。柔らかな存在感というか、物腰が優しくて、可愛くて、氷室さんのカタラビュットも好き。なんかこう、氷室さんのこと知らないんだけど、人柄が出てるな〜と思ってしまいました。台詞も自然で落ち着いてるし、高橋さんといい松下さんといい、そして氷室さんも、なんでこんなになんでもできちゃうんだろう、と。
いつもの公演だったら、役のない日もフル稼働で働いてる3人ですが(「まさか高橋さん、群舞にいるとは!」とか)、今回の公演ではカタラビュットに専念していました。というか、隅から隅まで、本当に若手で構成されていた。だって、佐伯、長瀬、カタラビュットの3人以外、ソリストすら出てないですもんね。多くの若手にとって、これが本当にいい経験になればいいなと思いました。

リラの精は、昼・夜ともに二階堂さん。何度も言ってしまうけど、やっぱりスタイルいい。リラの精のヴァリエーションも素敵でした。昼は少し緊張していたようですが、夜には安定してました。早いテンポの踊りだと、長い脚を持て余しているように見えてしまうんですが、こういうゆったりした踊りは本当に綺麗。マイムをする腕も綺麗で、思わず見とれてしまいました。
昼のカラボスは伝田さん。矢島さんのカラボスが素晴らしすぎたけど、伝田さんもとてもよかったです。圧倒的に場数は少ないと思うんですが、空白を作らずあれだけ芝居ができるのは立派だと思いました。小物感が出ててよかったです。夜のカラボスは川島さん。追加公演を見に行かないと見られない役の一つが、この川島さんのカラボスでした。見に行ってよかった〜♪ 川島さんのカラボスは、とにかく美しくて、物腰が柔らかく上品。相手の考えてることなんてお見通しで、すべて彼女の手の平の上という感じです。自信に満ち、弱さなどそうそう見せない。格好良かった〜。なんか、ふと「女優だなぁ」と思ってしまった。

1幕。花のワルツの男性は、2パターン。初日のマチソワ組、2日目のマチソワ組という風にわかれていました。今日のキャストでは、吉田連さんと石田さんが気になりました。4人の王子は昼・夜ともに梅澤−柄本−安田−森川。サポート担当は両方とも弾さんでした。佐伯さんのオーロラとも悪くない雰囲気。沖さんのあまりの初々しさに、弾さんが相当頼もしく見えました。

いよいよ沖さんの登場です。これまで沖さんを舞台上で認識したことがなかったので、初めて見るような心境でワクワクしました。小柄だけど、身体のバランスが綺麗。お顔は愛らしく、大きな目が印象的です。あまりに大きな目をパチパチとさせるので、一瞬あざとく見えたりもしましたが。落ち着いて丁寧に踊っていたし、基本的に踊りはクリアで明るく、とてもよかったです。アチチュードのバランスも、プロムナードも、手は上まで上げませんでしたが、綺麗に見せてくれました。バランスにしろ、ピルエットにしろ、まだ男性陣の手を頼りにしている感じはしたけど、逆に一人で踊るところなどはしっかりと頑張っていました。そのどちらの様子も初々しくてさ〜。ポワントでくるくると回転するところが、後半ドゥミ・ポワントになっちゃったりしたけど、それを後に引きずらないのがすごかった。なんかもうドキドキ、ワクワクして、終わったときにはワッと拍手をしてしまいました。
短縮バージョンだけど、4人の王子の踊りがあるのが嬉しい。安田さんは結構好きなので、どこかでバッと弾けてほしいな〜と思ってるんですけどね。弾さんと森川さんが、いい芝居してます。オーロラが針で指を差してしまった瞬間、真っ先に駆け寄ってオーロラの手を取り、心配そうに覗き込む弾さんが印象的。他の王子からしたら、それ抜け駆けじゃないの〜?と。印象的といえば、小川ふみさんの王妃が、倒れたオーロラに寄り添う姿。本当に愛しい娘のように、オーロラの額に頬を寄せる姿が印象的でした。
今日の佐伯さんは安全策を取ったのか、プロムナードで手を上まで上げるのをやめていました。

2幕。松野さんもほとんど初見に等しい。袖から松野さんの第一歩が見えたとき、ハッとしました。ゆっくりと舞台に最初の一歩を踏み出す、美しい爪先が目に飛び込んできました。登場してからも、終始ゆっくりと美しく歩く松野さん。佇まいはおっとりとしていて、エレガント。表情も柔らかくて穏やかだし、育ちの良さそうな王子様でした。リラの精にオーロラの幻影を見せられた王子が、最初に踊りを披露する喜びのソロ。ここで、これはすごいかも!と。美しい最初のアラベスクから、高速のピルエット、そして高い高いジュテ・アントルラセ。身体能力が高いらしく、脚も柔らかくてよく開きます。よって、跳躍したときの空中のフォルムが綺麗。全体に緩急もあり、とてもよかったです。
このバージョンの王子は、自らの力でカラボスたちを追い払うのが印象的だと書いたんですが、二階堂さんのリラの精は、そんな王子を頼りにしているようにすら見えました。ハラハラと王子を見守っていたかと思ったら、カラボスに追い払われて袖に消えてしまいます。一人で闘う王子。そこへ、リラの精が剣を持って再び登場。王子に最後の頼みの綱を託すように、「これを!」と剣を手渡すリラの精が印象的でした。

フロリナ王女の三雲友里加さんは、大人っぽい雰囲気でとても素敵でした。オーロラの友人も踊っていて、ちょっと気になっていたんですが、フロリナ王女で三雲さんだと判明。スラリと綺麗な身体。踊りも安定していて、安心して見ていられました。昼の青い鳥は岸本秀雄さん。なかなかよかったです〜。落ち着いていたし、いい踊りでした。サポートも結構上手だった。梅澤さんのようがよっぽどテンパってたよ、ハハ、、。最近の若い子はすごいなぁ。夜の青い鳥は杉山優一さん。追加公演のみにキャストです。柔らかくていい踊り。着地がドスンな若手が多い中、杉山さんの着地は静かで感心しました。で、森川さんのおおかみが、とにかくデカイ! 留衣さんのシンデレラも綺麗だったし、フォーチュン王子の梅澤さんも落ち着いててよかったです。渡辺さんの白雪姫も綺麗だった〜♪

ここまで見てきて期待値が上がっていた、沖さんと松野さんのグラン・パ・ド・ドゥ。アダージオも、それぞれのヴァリエーションも、すごくよかった! ローズ・アダージオでは緊張が感じられた沖さんも、ここにきて落ち着いていました。2人で相当練習したんだろうなぁといのが感じられる、いい踊り。見た目も可愛らしい2人でした。松野さんのヴァリエーションは、ある意味、圧巻。現時点では文句なしでした。ジャンプは高いし、脚もよく開いて気持ちが良いし、マネージュの前半で見せる跳躍は、そんなに勢いよく跳んで大丈夫〜というくらい思い切り跳んでいたし、後半のジュテのマネージュもよかったです。ポワントを駆使したオーロラのヴァリエーションも、沖さんは伸び伸びと踊っていて、楽しそうにすら見えました。舞台が進むにつれて落ち着いていくっていうのは、すごく頼もしいし、応援していたはずのこちらが、何か励まされるような気持ちになります。

初々しいローズ・アダージオから気品のあるグラン・パ・ド・ドゥへと、オーロラの成長を感じさせてくれたのは佐伯さんだったかな〜と思います。やはり、そこまでの余裕があったのは彼女だったのだろう、と。


というわけで、かなり勢いで書きましたが、とにかく2日間4公演、どの舞台も本当に楽しかったです。若手をかなりチェックできたのも収穫。今度はオーケストラで『眠り』全幕を見たいな〜と思いました。


東京バレエ団 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』
2012年3月4日(日)13:00/16:00 めぐろパーシモンホール

13:00
オーロラ姫:沖香菜子
デジレ王子:松野乃知
リラの精:二階堂由依
カラボス:伝田陽美
カタラビュット(式典長):氷室友
王さま:佐藤瑶
王妃さま:松浦真理絵

<プロローグ・第1幕>

乳母:岸本夏未
優しさの精:吉川留衣
やんちゃの精:河合眞里
気前よさの精:加藤くるみ
のんきの精:古閑彩都貴
度胸の精:加茂雅子
4人の王子:梅澤紘貴、柄本弾、安田峻介、森川茉央
オーロラの友人:小川ふみ、河谷まりあ、政本絵美、三雲友里加

<第2幕>

宝石の精
  金:宮下加瑞
  銀:高浦由美子
  ダイヤ: 河合眞里
  サファイア:金子仁美
フロリナ王女と青い鳥:三雲友里加、岸本秀雄
白い猫と長靴をはいた猫:岸本夏未、岡崎隼也
赤ずきんとおおかみ:古閑彩都貴、森川茉央
シンデレラとフォーチュン王子:吉川留衣、梅澤紘貴
白雪姫:渡辺理恵


16:00】追加公演
オーロラ姫:佐伯知香
デジレ王子:長瀬直義
リラの精:二階堂由依
カラボス:川島麻実子
カタラビュット(式典長):高橋竜太
王さま:永田雄大
王妃さま:小川ふみ

<プロローグ・第1幕>

乳母:岸本夏未
優しさの精:吉川留衣
やんちゃの精:河合眞里
気前よさの精:加藤くるみ
のんきの精:古閑彩都貴
度胸の精:加茂雅子
4人の王子:梅澤紘貴、柄本弾、安田峻介、森川茉央
オーロラの友人:河谷まりあ、飯田鈴実、政本絵美、三雲友里加

<第2幕>

宝石の精
  金:宮下加瑞
  銀:高浦由美子
  ダイヤ: 河合眞里
  サファイア:金子仁美
フロリナ王女と青い鳥:三雲友里加、杉山優一
白い猫と長靴をはいた猫:岸本夏未、岡崎隼也
赤ずきんとおおかみ:古閑彩都貴、森川茉央
シンデレラとフォーチュン王子:吉川留衣、梅澤紘貴
白雪姫:渡辺理恵
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2012年03月04日

東京バレエ団 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』3月3日 マチネ/ソワレ

行ってまいりました。東京バレエ団、子どものためのバレエ『眠れる森の美女』、マチソワです。上演時間は予定の1時間半(休憩1回含む)をオーバーして、両公演とも2時間ほどかかりました。
とっても楽しかったです〜♪ 装置は簡素だけど効果的だったし(初日のせいか、バタバタしてましたが、、)、使いまわしの衣装もあったようで、統一感とまではいかないまでも違和感はなかったです。装置を移動するスタッフが、いつもなら黒の上下を着ているのに、今日は衣装を着せられてました。しかも、『ジゼル』の槍持ちたちが着ている緑の衣装。ちょっと笑っちゃいました(♪)。

カタラビュットが進行役として台詞を喋ると聞いていたので、どうなることかと思ったんですが、マチネの高橋さんもソワレの松下さんも、そりゃあもう達者でした!! ベジャール作品などで、時々ダンサーが台詞を言うのを聞くことがあるんですが、いつもちょっとヒヤヒヤしてたんですが、今のダンサーは違いますね〜。いや、高橋さんや松下さんが特別なのかも。とにかく落ち着いてるし、自然だし、滑舌はいいし、おまけに子どもの心も掴むし、文句なしでした。とくに高橋さんの芸達者ぶりは半端ないです。ある程度はダンサーに任せられているようで、マイムの説明などは少し違いがありました。私もまだ知らなかったマイムなどもあり、普通にへぇ〜と思ってしまった。

緞帳は下がっておらず、“東京バレエ団 ねむれる森の美女”などと書かれた、この作品用の幕が下りています。この幕がカーテンのように左右に開いて物語が始まります。

幕が開くと、寝巻き姿のカタラビュットが明日のパーティーの招待客のことで頭を悩ませています。ベッドとキャビネットと机が設置された、コンパクトなカタラビュットの寝室(もちろんキャスターで移動可能)。観客に気付いて、これはこれはといった感じで挨拶をするカタラビュット。まあ、子どもたちの反応のいいこと。「こんにちは」と言えば「こんにちはー」と返すし、「バレエを見たことがある人?」と問えば「はーい」と手を上げるし。彼らもやりやすかろう、と。本来のバレエ公演ではダンサーは台詞をいうことはほとんどありませんが、今回は王様の命令で私が…というような説明から始まり、事の起こり、そしてよく出てくるマイムの説明など、実に流暢に、そして笑いをとりながら進行していきます。大人の私も普通に楽しかった。
で、カタラビュットは明日のパーティーにカラボスを招待するかどうかで迷っているわけです。高橋さんのカタラビュットは、「明日、考えよう」と寝てしまい、おそらく朝にはすっかり忘れていたパターン。松下さんは、迷っているうちに「もうこんな時間!…あれ、何を悩んでたんだっけ? 寝よ寝よ」というパターン。カタラビュットがベッドに入ると音楽が始まります。その間も、マイクを通してイビキをかくという芸で子供たちの笑いをとるカタラビュット。すぐに朝になり、白い寝巻きを脱いで、カタラビュットの衣装に早変わりです。

貴族たちが登場し(4組8人くらいだったかな?)、オーロラを抱いた乳母、王と王妃が登場。そしてすぐに妖精たちの登場を迎えます。順に登場した妖精たちは、それぞれの贈り物(地球儀がパクッと割れたみたいなやつ)をオーロラ姫に捧げます。最後にリラの精が登場。妖精たちのヴァリエーションはバッサリとカット。リラの精のヴァリエーションとコーダのみ踊られます。
リラの精の渡辺理恵さんがとってもよかったです〜。たおやかで美しく、品がある。すらりと伸びた身体のラインの美しさが活かされた、大きくて丁寧な踊り。回転の軸がぶれないのも印象的でした。食ってかかってくるカラボスに対しても、険しい表情一つせずに威厳を示す。優しげだけどちゃんと存在感もあり、本当に素敵でした。
妖精たちの踊りが終わると、カラボス登場。舞台正面の出入り口を隠すように、暗い色調の幕が下りてきます。ゴソゴソと幕の向こうで何かがうごめく。幕が上がると、ソファーに腰掛けたカラボスと、手下(4人)が登場。東バの『眠り』はカラボスを女性が演じるんですが、こども版でもカラボスは女性でした。通常版と違うのは「踊らない」役ということ。リラの精はクラシック・チュチュで踊る役なのに対して、カラボスはドレスにキャラクターシューズという踊らない役でした。ソファーから下りると、客席に背を向けて立つカラボス。やがてゆっくりと振り向いた矢島まいさんの、怖くて美しいこと! 矢島さんのカラボスもとてもよかったです。弱さを持つが故の、気位の高さや、虚勢を張る様が、なんだか美しくすらありました。
カラボスに詰め寄られて、恐ろしさに思わずカタラビュットを指差して、彼に責任を負わせてしまう王妃。最初から「あいつのせいだ」と言うよりは、説得力があったし、憎めませんでした。
ソファーに座ったカラボスを、4人の手下が担いで退場。

プロローグが終了すると、場面転換の間、幕の前でオーロラの成長が描かれます。カタラビュットの台詞あり。成長を追って、オーロラ姫に扮した3人の少女が登場します。ちょっとハンブルク・バレエのノイマイヤー版を思い出しました。クマのぬいぐるみを持った少女が登場。上からもっと大きなクマのぬいぐるみが下りてきます。喜んで手に取ろうとするオーロラ。カタラビュットがチェックすると、糸紡ぎの針が出てきます。カラボスの差し金だったわけです。寸でのところでカタラビュットに阻止され、悔しがるカラボス。次にボールを持って登場したのは、もう少し成長したオーロラ。リラの精とキャッチボール。リラの精がボールを袖に投げ入れると、もっと大きなボール(風船)が返ってきます。不審に思ったリラの精がボールを割ると、中からまたしても糸紡ぎの針が出てくる。夜の回では、飛んできた風船が既にしぼんでいて、リラの精が割ろうとしても割れず、針が出てこないアクシデントも。次に登場したのは、大きく成長したオーロラ。読書に夢中です。この辺もちょっとノイマイヤー版と重なりました。本の形をした箱が出てきて、パカっと開くと中は本棚になっています。一際魅力的にキラキラと光る一冊を手に取るオーロラ。カタラビュットがそれを開くと、やはり中から針が。悔しがるカラボス。「こうしてオーロラはみんなに守られて成長しました」的なカタラビュットの台詞があって、1幕、オーロラ姫の16歳の誕生日のパーティーを迎えます。

オーロラの友人4人と、花のワルツの踊り有り。その後、4人の王子が登場。それぞれ趣の違う衣装を着ているんだけど、、、、あれ?、と。なんとなく見覚えのある衣装があり。そういえば、それ以外にも見覚えのある衣装があるような気がしてきて、どうやら上手く使いまわしていたようです。それにしても、長身の男子が増えてきたな〜、と。昼は弾さん(サポート担当)、梅澤さん、杉山さん、森川さん(登場順)。夜は森川さん(サポート担当)、梅澤さん、杉山さん、永田さん(登場順)。花のワルツが小柄だったので、男子は大変だな、、、と。
4人の王子の登場の後、すぐにオーロラ姫の登場に。佐伯さんは本公演でも差し支えないのでは?という素晴らしさ。踊りは音楽的で、正確で丁寧、加えてチャーミング。とても魅力的なオーロラでした。ローズアダージオのプロムナードでは、一度かかとをついて仕切りなおす場面があり、そこだけが惜しかったけど、それ以外は文句なしだったと思います。あれに関しては、サポートする男性陣の不慣れも関係なくないのではないかと思いました。もしかしたら、ちょっとスタミナが切れかけてたかな?という気もして、もっとたくさん踊らなければならない通常バージョンを踊るプリンシパルたちは、やっぱりすごいんだなぁと思ったりもしました。
二階堂さんもとてもよかったです。長い足が扱いづらそうだったけど(笑)。彼女には舞台が狭かったよな〜、と。もっと思い切り踊らせてあげたかった気もします。まあ、彼女に限らず、ちょっと舞台は手狭そうでしたが。目を瞠るようなプロポーション、長い脚、柔らかな腕。そして彼女のおっとりとした雰囲気は、見るものを幸せな気分にさせます。アチチュードで王子の手を順に取る場面では、離した手を頭上まで上げず、すぐに次の王子の手を取っていました。プロムナードでも同様。今できないことは、バランスを崩してまでやらない。そういう判断だったのだと思います。ちょっと寂しくはあったけど、美しさを壊してはいなかったので、これはこれで今はありかな、と。長身の男性を集めても、二階堂のサポートは大変そう。森川さんも頑張ってました。
オーロラの友人4人が等間隔に並んで、オーロラが彼女たちの肩に手をついてアラベスク(?)をしていく場面で、一人一人親しげに視線を交わす佐伯さんと友人たちが印象的でした。佐伯さんならではの心遣いなのかと思ったら、二階堂さんのときも同じように親しげに視線を交わしていたんです。そういう演出だからと言ったらそれまでだけど、それが印象的に響いたということは、全員が気持ちを合わせてこの公演を作り上げてきた証なのではないかと思いました。

4人の友人の先頭を踊っていた河谷まりあさんが可愛かった〜♪ 彼女が気になる存在になったのは、神奈川県民ホールに斎藤友佳理さんの講演を聞きに行ったころからです。彼女、来てたんですよね。お手伝いで来ていたのか、友佳理さんの話しを聞きたくてプライベートで来ていたのかはわかりません。でも、「今日、若い子で来てくれてる子がいる」と語ったときの友佳理さんが本当に嬉しそうで、私の中で河谷さんの株が上がったんです。だって、友佳理さんの話しを聞きたいと思うなんて、素敵すぎる。今回、オーロラの友人とサファイアで、じっくりと彼女を見ることができました。音楽にスッと馴染むような、柔らかくて品のある踊りと、優しい存在感。またいろいろ踊ってほしいな〜。もう一人、ちょっと気になっていたのが、上沼さんだと判明。彼女は白雪姫を踊っていたので判別しやすかったです。昼の王妃と、夜の白雪姫を踊った小川ふみさんも可愛いし。楽しみだな〜♪

その後の展開は通常通り。カラボスが手渡した赤い花束の中に、糸紡ぎの針。全員がストップモーションの中、ゆらゆらと踊るオーロラ。そこへカラボスが人垣を分けて現れ、彼女が倒れるのを見届けます。オーロラが倒れたところで、やっと動き出す人々。リラの計らいで、皆眠りにつきます。
閉じた幕の前で、カタラビュットの台詞。「100年間お待ち下さい」とか、「100年間の休憩です」などの台詞で、またしても笑いをとります。「あ、皆様には15分くらいに感じると思いますが」と言い残して、幕の間に消えていきます。いや〜、よくできてるよ、と。


2幕、狩りの場面。狩りの一行(と言っても4にんくらいだっけ)が登場し、すぐにデジレ王子も登場。あまりに普通に現れたので、一瞬王子だと思わなかった。だからなのか、少し遅れて拍手が起こる。すぐに、浮かない様子で人々を下がらせる王子。リラの精が登場して、「何を嘆いているの?」、「愛する人はいるの?」、「いいえ、、、」というような遣り取りがあり、リラの精がオーロラの幻影を見せます。幻影の場面はオーロラ、王子、リラの精だけで、コール・ドは無し。森を描いた幕の中に入っていく王子とリラの精。その幕が右から左へと移動し、場面が変化していきます。茨に覆われた城に続いて、蜘蛛の巣が張り巡らされた背景に変わる。印象的だったのは、王子が自らの手でカラボスと手下たちを倒していったことです。もちろん、そこにはリラの精の力が働いているのだと思います。でも、ときどき何もしないでリラの精に守られてる王子っているじゃないですか。今回の王子はそうではなくて、襲い掛かる手下たちを、自らの力で振りほどいていくんです。そして、リラの精に手渡された剣によって、カラボスたちの呪いを断ち切る。

王子が剣を振ると、幕に描かれた蜘蛛の巣が切り開かれ、王子はオーロラのもとへと分け入っていくんですが、昼の回では最初から一箇所、蜘蛛の巣が破れていたんですよね。そういう演出なのかと思ったら、本当は全部塞がっていなきゃ駄目だったみたいです。夜はちゃんと閉じてたんですが、左右から引っ張って蜘蛛の巣を破るスタッフがちょっと失敗したみたいで、幕が大きく横に移動してしまい、慌てて隙間から王子が入っていくという…。初日のせいか、ちょっとバタバタしたところもありました。
王子のキスで目覚めたオーロラ。すぐに結婚式です。結婚式の前にカタラビュットの解説が入ります。まず宝石たちが踊り、おとぎ話の登場人物がお祝いに駆けつけて踊ります、というような説明があって、いよいよ結婚式です。

宝石の踊りは、それぞれのヴァリエーションはカットでした。皆よかったけど、サファイアの河谷さんが印象的。ついつい彼女を見てしまった。白い猫の森さんは可愛い。彼女は「のんきの精」もおどっていたけど、流石の安定感です。長靴をはいた猫の吉田蓮さんが、表情豊かに楽しげに踊っていて、とてもよかった。着地音が気になったけど、それはこれから頑張れ、と。赤ずきんとおおかみの場面では、4本の木が登場。後ろでダンサーが持ってます。もう1本、変な木が増えたと思ったら、カタラビュットでした。しかもパカっと穴が開くようになっていて、そこから顔を出してまたしても笑いをとる。フロリナ王女と青い鳥がアダージオのみなのは、ちょっと残念でした〜。時間短縮を考えたら仕方ないのかな…。留衣さんや梅澤さんのヴァリエーション、見たかったな〜。アダージオだけとはいえ、梅澤さんの本格的なパ・ド・ドゥを見るのは初めてじゃないかしら。危なっかしいところもあったかもしれないけど、十分頑張りましたよ〜。リフトも安定してたし。梅澤さんに限らず、女性のほうが舞台値が高いせいか、女性が引っ張っている印象があるよな〜、と。なかなか本格的なパ・ド・ドゥを踊る機会って、ないですもんね。
シンデレラの村上さんが素敵でした。最初は地味な衣装で登場。手には靴。続いてフォーチュン王子が登場。靴を手に、シンデレラを探しています。すれ違う二人。他の登場人物たちがシンデレラを隠すと、サッと早着替えをして(どうりで、ぶくぶくしてると思った)、白と金のドレス姿に。優しげでエレガントで、村上さん素敵だったな〜。
白雪姫と七人の小人が登場。小人は子どもたちが演じていました。昼の上沼さんは優しいお姉さんという感じで、チャーミングでとてもよかった。夜の小川さんは、すらりと伸びた身体が印象的。綺麗なお姉さんという感じ。清潔感があってよかったな〜。白雪姫と小人たちが退場するんですが、一人だけバケツが重たくてなかなか退場できません。見かねたカタラビュットが小人をバケツごと担いで退場します。

オーロラ姫とデジレ王子のグラン・パ・ド・ドゥ。佐伯さんは小柄だし、本人の踊りが安定しているので、意外と誰と踊っても上手くいきます。4人の王子とも上手く踊っていたし。長瀬さんとのパ・ド・ドゥでは、フィッシュダイブが少しヒヤヒヤしたけど、雰囲気がすごくいい。ちょっとくらい安定を欠いたとしても、長瀬さんとは踊りやすそうに見えました。オーロラ姫を慈しむように支え、さらに表情豊かに踊っていた長瀬さんが印象的。以前からあんなに表情豊かに踊ってたっけ〜。音楽や踊りの緩急に、表情がよく合っていました。ヴァリエーションは伸び伸びと踊っていて楽しそうだったし、ちゃんと「見せる」ということを考えて踊っているように見えました。佐伯さんのヴァリエーションも安定していてキラキラしてて、とてもよかった。

他の多くのペアが、女性が引っ張っているように感じるのに対して、弾さんの場合は彼が引っ張っているように見えました。それは、二階堂さんが超若手だからということもあるかもしれないけど、それにしても弾さんのサポート力はすごい。身体がしっかりしてるのでリフトは安定感があるし、若いのにサポートも上手い。しかも、踊りもどんどんよくなってます。今日もさらに柔らかな踊りになっていて感心しました。5番に下りるのは得意だし、破綻しそうになったときに、綺麗にフォローするようになった気もする。あとは跳躍のときのフォルムの美しさとか、シェネの綺麗さとか、その辺かな、と。偉そうにすみません…。長い(身体が)二階堂さんを相手に、フィッシュダイブも見事に見せてくれました。
2人ともおっとりしてるというか、なんとなく雰囲気が似てる部分があるんですよね。若い2人が懸命に、そして堂々と、『眠り』のグラン・パ・ド・ドゥを踊る姿には、なんていうか、大物感が漂っていました。抜擢されるっていうのは、いろいろ大変なこともあると思うんです。でも、一番大変なのは、自分の踊りに対する責任なんじゃないか、と。それを頑張って乗り越えていっているんですよね、彼らは。しかもそれを、あのおっとりとした空気が隠しているんです。
弾さんはちょっと脚が太いかな〜という気がするけど、王子の雰囲気もどんどん出てきてるし、二階堂さんはちょっと長い脚を持て余してるかな〜という気がするけど、おっとりキラキラとして堂々たるヴァリエーションを見せてくれたし。伸び盛りでキラキラした2人を見るのは、なんだかとても幸せでした。
佐伯さんと長瀬さんも、二階堂さんと弾さんも、『眠り』の幸福感を存分に味わわせてくれました。

最後は全員でフィナーレ。キラキラと紙吹雪が舞い落ちる中、幕が下りました。
最後に幕の前に登場したカタラビュットは、杖をついて、すっかり白髪のおじいさんになっています。「またどこかの劇場で、別の物語でお会いしましょう」と残して、幕の隙間に消えていきました。

東京バレエ団 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』
2012年3月3日(土)13:00/16:00 めぐろパーシモンホール

【13:00】
オーロラ姫:佐伯知香
デジレ王子:長瀬直義
リラの精:渡辺理恵
カラボス:矢島まい
カタラビュット(式典長):高橋竜太
王さま:永田雄大
王妃さま:小川ふみ

<プロローグ・第1幕>

乳母:森彩子
優しさの精:村上美香
やんちゃの精:岸本夏未
気前よさの精:大塚怜衣
のんきの精:森志織
度胸の精:阪井麻美
4人の王子:梅澤紘貴、杉山優一、永田雄大、森川茉央
オーロラの友人:上沼千尋、河谷まりあ、飯田鈴実、政本絵美

<第2幕>

宝石の精
  金:縫谷美沙
  銀:大塚怜衣
  ダイヤ:森彩子
  サファイア:河谷まりあ
フロリナ王女と青い鳥:吉川留衣、梅澤紘貴
白い猫と長靴をはいた猫:森志織、吉田蓮
赤ずきんとおおかみ:阪井麻美、安田峻介
シンデレラとフォーチュン王子:村上美香、杉山優一
白雪姫:上沼千尋


【16:00】
オーロラ姫:二階堂由依
デジレ王子:柄本弾
リラの精:渡辺理恵
カラボス:矢島まい
カタラビュット(式典長):松下裕次
王さま:佐藤瑶
王妃さま:松浦真理絵

<プロローグ・第1幕>

乳母:森彩子
優しさの精:村上美香
やんちゃの精:岸本夏未
気前よさの精:大塚怜衣
のんきの精:森志織
度胸の精:阪井麻美
4人の王子:梅澤紘貴、杉山優一、永田雄大、森川茉央
オーロラの友人:小川ふみ、上沼千尋、河谷まりあ、政本絵美

<第2幕>

宝石の精
  金:縫谷美沙
  銀:大塚怜衣
  ダイヤ:森彩子
  サファイア:河谷まりあ
フロリナ王女と青い鳥:吉川留衣、梅澤紘貴
白い猫と長靴をはいた猫:森志織、吉田蓮
赤ずきんとおおかみ:阪井麻美、安田峻介
シンデレラとフォーチュン王子:村上美香、杉山優一
白雪姫:小川ふみ
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2012年02月02日

ボリショイ行きました。

昨日、ボリショイの『スパルタクス』に行ってきました。中日はワシーリエフじゃない日(っていう言い方もどうかと思うが)。アレクサンドロワをメインに予定を組んだのでこうなったんですが、ドミトリチェンコのスパルタクスもすーごくよかったです! アレクサンドロワは言うまでもなく。というか、凄すぎた!! バラーノフのクラッススも駄目っぷりが可愛かったし(そういう役ではないと思うけど)、ニクーリナのフリーギアも踊り、容姿ともに美しかった。これほど男性群舞が活躍する全幕の古典作品ってないんじゃないかしら? 男性群舞は踊りまくるし、メインの4人の踊りも多くて見応えがありました。オーケストラもすごかったです。初見だったので出だしの音楽を知らなかったんですが、いきなり大音量でバーンと始まったので、ビックリしちゃいました(笑)。物語は複雑ではないし、構成もシンプル。シンプルというか、場面転換に一定の形式あるので、それが様式美にすら感じてしまいました。見る前は、踊りの迫力がメインの作品なのかと思っていたんです。もちろん、その魅力もあったんですが、とてもドラマティックな舞台に感動しました。作品がドラマティックだったのか、昨日の4人がよかったのか、迷うところではありますが、ドミトリチェンコ、バラーノフ、ニクーリナ、アレクサンドロワが見せた舞台は、踊りだけでなく登場人物の感情が濃厚に描かれ、そこにも惹き込まれるものがありました。
どうでもいいことですが気になるのは、クラッススのバラーノフの目の下の「くま」が、メイクなのかどうかということです。あれがまた、イッちゃってる目を際立たせていてよかったんですよね〜。

ツイッターに毛の生えたような短い感想ですが、一応書いてみました。

今日は『エトワール』のBプロに行きます。Aプロは行かなかったので、やっと参戦という心境。しかし今日が最終日なのよね。滑り込み参戦だ〜。何と言ってもペッシュのプティが楽しみです。
posted by uno at 12:33| Comment(2) | バレエ公演2012 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月19日

<ニジンスキー・ガラ>1月13日(2日目)

<ニジンスキー・ガラ>2日目(1/13)は、マラーホフの出演演目に合わせ、上演順が変わりました。まずマラーホフの『レ・シルフィード』。休憩を挟んで第2部、『薔薇の精』と『牧神の午後』はマラーホフの出番はなし。休憩後の第3部、再びマラーホフが『ペトルーシュカ』を踊りました。

『レ・シルフィード』では、マラーホフの相変わらず足音のしない着地に感激しました。もう何度も体験しているはずなのに、見るたびに感動します。踊りのほうは、年齢的なものなのか、それとも調子が良くないのかな?と思わせる部分もありました。とはいえ、「以前のマラーホフに比べれば」というレベルの話で、全然踊れているわけですが。詩人やペトルーシュカの衣装ではわからなかったけど、牧神の衣装では体型の変化も気になったかも、、。でも、やっぱりマラーホフが舞台に登場すると幸せな気分になるし、それがクラシック作品なら尚更です。あのロマンチックな佇まいや、甘やかなエレガンス。マラーホフのクラシックを見るのは、やはり格別な喜びがあります。その幸福感の一端を担っているのが、あの無音の着地ではないかと思うんです。「人がジャンプをすれば、着地をしたときにドスンと音がする」というふうに、体験から来る感覚として我々は知っているわけですが、その着地音がしなかったとき、フワッというなんとも言えない感覚に襲われるんです。それが何度も続くと陶酔感に変わってくる。クラシックを踊るマラーホフは、いつでも雲の上を歩くようにフワフワと柔らかで、なんとも言えない幸福感を与えてくれます。カーテンコールで、ペトルーシュカの扮装にもかかわらず、両手でゆっくりと投げキッスをしてくれるマラーホフは、愛の人だわ〜と、また幸せな気持ちになりました。
マラーホフと美佳さんが一緒に踊る姿を久々に見られたのも嬉しかった。やっぱり素敵♪ 美佳さんをフワッと踊らせるのも絶品です。もう無理かもしれないけど、また2人の『眠り』とか見たいな〜、、。


「薔薇の精」の少女は高村さん。相変わらず驚異的な可愛らしさです。というか、私が東バを見始めた頃からあの可愛らしさは全っ然変わらない。そこが高村さんのすごいところだよな〜、と。タマズラカルの怪しさは、やっぱりあの裸みたいな衣装のせいもあるよな〜と、改めて。あと、彼の「踊れる」マッチョな体型。彼の健全さと、両性具有的という役柄が相まって、妖しいではなく怪しい雰囲気を醸し出しているのかな〜と思ったりしました。


井脇さんのニンフが美しすぎました。以前この役を踊ったときも本当に綺麗だな〜と思ったけど、今回は更に磨きがかかったような、曰く言い難い圧倒的な美しさがありました。透き通るような清潔感があるのに、ほのかな色気が漂う。何かこう、何人にも汚されない、絶対的な領域を持っていました。
後藤さんのお顔立ちは、牧神に合ってるなぁ、と。なかなか美しい牧神でした。井脇さんのニンフとの雰囲気もよかったし。NHKの『ニューイヤー・オペラ・コンサート』の放送を見たときにも思ったんですが、後藤さんの牧神の衣装は妙に茶色が多いな〜、と。あれが東バの衣装ということでしょうか。マラーホフは自前の衣装だったんですね。首藤さんのときはどうだったっけ…。


「ペトルーシュカ」では、思ったより脇キャストにも変更有り。御者に長瀬さん。松下さんのときよりお腹が出てなかったような気が? 詰め物してたのかなぁ、あれでも。長瀬さんは馬丁のほうが合ってたかも。あの長瀬さんの酔っ払い馬丁が好きなんです。前日に御者だった松下さんが馬丁に。2日目は森川さんがムーア人(初役)だったので、お祭好きの商人を別のダンサーが演じていたんですが、結局誰だったのかわかりませんでした。気になる〜。ジプシーの田中さんと奈良さんの弾けっぷりが楽しい♪
森川さんのムーア人は大健闘!! ちょっと慎重になってるかなという部分もあったと思いますが、とってもよかったと思います〜。パートナーが小出さんというのも安心できてよかったな、と。ヤシの実に祈りを捧げるところとか、垂直になるくらいまで倒立してたりして、よかったです。いや〜、森川さんにも頑張ってほしいなぁ♪


東京バレエ団<ニジンスキー・ガラ>
2012年1月13日(金)19:00 東京文化会館

「レ・シルフィード」
プレリュード:吉岡美佳
詩人:ウラジーミル・マラーホフ
ワルツ:佐伯知香
マズルカ:奈良春夏
コリフェ:矢島まい-川島麻実子

「薔薇の精」
薔薇:ディヌ・タマズラカル
少女:高村順子

「牧神の午後」
牧神:後藤晴雄
ニンフ:井脇幸江

「ペトルーシュカ」
ペトルーシュカ:ウラジーミル・マラーホフ
バレリーナ:小出領子
ムーア人:森川茉央
シャルラタン:柄本弾

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ:尾崎有飛(「ペトルーシュカ」)

※「ペトルーシュカ」のその他のキャスト。発表されているわけではないので、私の判別によるものです。あしからず〜。

宮廷の御者:長瀬直義
乳母:高木綾
馬丁:松下裕次、宮本祐宜
ジプシー:奈良春夏、田中結子
お祭り好きの商人:?
町の踊り子:高村順子、佐伯知香
悪魔:小笠原亮
posted by uno at 01:55| Comment(2) | バレエ公演2012 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月14日

とりあえず、その他キャストを。

<ニジンスキー・ガラ>3日間が終了しました。今日も楽しかったですー。とりあえず、忘れないうちに2日目と今日のその他のキャストを書いておこうかと。自分メモみたいなもんです。

(1/13)
宮廷の御者:長瀬直義
乳母:高木綾
馬丁:松下裕次、宮本祐宜
ジプシー:奈良春夏、田中結子
お祭り好きの商人:?
町の踊り子:高村順子、佐伯知香
悪魔:小笠原亮

(1/14)
宮廷の御者:松下裕次
乳母:高木綾
馬丁:長瀬直義、梅澤紘貴
ジプシー:奈良春夏、田中結子
お祭り好きの商人:森川茉央
町の踊り子:高村順子、河合眞里
悪魔:宮本祐宜

乳母と踊る女性8人は、2日目と3日目は同じだったみたい。初日は確認せず。
たぶん、
青:吉川留衣、渡辺恵理、矢島まい、小川ふみ
赤:二階堂由依、加茂雅子、川島麻実子、乾友子
(順不同です。というか、出てきた順に急いで覚えた順)

御者とか馬丁とかいう役名は、自分の過去の日記から拾ってきたんですが、自分がどこでそれらを知ったのかわからなくて、モヤモヤしてしまいました。当時のキャスト表にもないし、プログラムにも出てない。いろいろ探した結果、アッサンブレから届いたメールにお知らせが出ていたことが判明。しかも、現在のメルマガじゃなくて、その前に来てたやつです。は〜、スッキリした。

2日間「悪魔」を踊った小笠原さんは、今日は宮廷の御者の手下(?)に入ってました。バラライカを弾いているのは佐藤瑶さんだと思うんだけど、ちょっと自信なくなってきたな〜。今日やっと松野さんを認識できたかも。沖さんを探せず、、。
posted by uno at 23:16| Comment(2) | バレエ公演2012 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月13日

<ニジンスキー・ガラ>初日

昨日(1/12)、<ニジンスキー・ガラ>初日の公演に行ってまいりました。楽しかった〜♪ マラーホフはもちろん、久々の「レ・シルフィード」も、「ペトルーシュカ」も、とっても楽しかったです。「ペトルーシュカ」はやっぱり楽しいな〜、と。好きなカンパニーだと、隅々のダンサーまで気になっちゃって大変ですが(苦笑)。細かいキャストも出してくれないかなぁ、、、。日毎じゃなくてもいいから、誰が日替わりで踊ってるのかだけでもプログラムに乗せてくれれば、判別もし易くなるんだけど…。

とくかく「レ・シルフィード」にウットリでした。というか、吉岡さんと木村さんのパ・ド・ドゥにウットリだった。いや〜なんか、久々に夢見心地。気が付いたら口開いてました。木村さんの、あのメランコリックな風情と、すべてがスローモーションのような柔らかでゆったりとした大きな踊り。跳躍も、ダイナミックなのに柔らかい。愁いのある表情で踊っているんだけど、時折りフッと表情が華やぐ瞬間に、さらに心掴まれます。爪先も手も、堪能しました。詩人が耳に手を当てる姿は、何かが聞こえたのではなく、何かを聞きたくて静寂に耳を傾ける、木村さんだとそんな風に見えました。
プレリュードの吉岡さんは永遠(無敵)のシルフィード。ロマンティックで清潔感のある佇まいと、その美しさに胸締め付けられるような切なさが好きです。彼女の吐息が詩人や森を包んでいるようでした。マズルカの田中さんはダイナミックさと繊細さを兼ね備えた踊り。華が増したようで、とても美しかったです。ワルツの高木さんも柔らかくて丁寧な踊りでとてもよかったし、ソロで舞台を支配する力もありました。コリフェの乾さんも綺麗だった〜♪

「ペトルーシュカ」では、あっちもこっちも気になって、目が足りませんでした。これだけいろいろなキャラクターがあると、東バ好きとしては楽しくて仕方がなかったです。今回もモブの雰囲気はよく出せていたと思います。
発表されていないキャストは、こんな感じかな、と。

宮廷の御者:松下裕次
乳母:高木綾
馬丁:長瀬直義、宮本祐宜
ジプシー:奈良春夏、田中結子
お祭り好きの商人:森川茉央
町の踊り子:高村順子、佐伯知香
悪魔:小笠原亮

長瀬さんの酔っ払いっぷりが結構好きです〜。そして、跳躍の開脚度がすごい。御者はお腹がでっぷりと出た役なんだけど、松下さんの踊りのキレること、キレること。ジプシーの2人も思い切り弾けてて可愛いし、商人の森川さんも楽しげ(ムーア人も頑張ってね〜!)。トライアングルを持った踊り子が高村さん。ブリッジをするのが佐伯さん。バラライカを弾いてたのは、たぶん佐藤瑶さんじゃないかな〜、と。悪魔の小笠原さんは、もうキレすぎってくらいキレのある踊りで、とってもよかったです。
後藤さんのムーア人はやっぱり好き。あの単細胞っぷりがたまらないです(褒めてます)。以前よりも表情を使うようになったのかなぁ? コミカルな表情が印象的でした。小出さんのバレリーナもパワーアップ。したたかで可愛いです〜(♪)。パキパキした人形ぶりも見事。シャルラタンの弾さんは、横笛を吹いているように見えないのが惜しかった(笑)。いや、吹いてないのは皆知ってるけど、もう少し吹いている雰囲気があるとよかったかもな〜、と。

マラーホフは、哀れを誘うペトルーシュカでした。静かで、哀しみを湛えたペトルーシュカ。その姿は、ジワジワと胸に迫るものがありました。マラーホフが大事にしていたのは「心」だったと思います。道化に宿った(宿らされた)「心」の存在を強く感じました。

水香さんのニンフは、なんとなく表情に現実感があったというか、いつもの水香さんの表情だな〜、と。グロス艶々だし(笑)。もう少しほのかな色気とかが立ちのぼるとよかったな〜と思いました。水香さんのニンフとマラーホフの牧神の距離が近いのが印象的でした。キスせんばかりの顔の近さ。ああいうのは二人で相談して決めるのかな〜とか、無言の空気なのかな〜とか考えながら、面白く見ました。

薔薇の精を踊ったタマズラカルも怪しい雰囲気があってよかったです。色気がある(妖しい)というか、わりと健康的ではあるんだけど、どこか怪しい。タイツの色が肌の色に近い部分があって、ちょっと裸っぽいところも怪しい雰囲気に拍車をかけていたかも。しかも、すごい胸が開いているタイツで、両性具有的に踊りながらも逞しい胸が覗いているという。官能美と言えるのかわからないけど、目が離せない怪しさがありました。
少女の吉川さんは、ラブリーな衣装がとっても似合って可愛かったですー。

東京バレエ団<ニジンスキー・ガラ>
2012年1月12日(木)19:00 東京文化会館

「薔薇の精」
薔薇:ディヌ・タマズラカル
少女:吉川留衣

「牧神の午後」
牧神:ウラジーミル・マラーホフ
ニンフ:上野水香

「レ・シルフィード」
プレリュード:吉岡美佳
詩人:木村和夫
ワルツ:高木綾
マズルカ:田中結子
コリフェ:乾友子-渡辺理恵

「ペトルーシュカ」
ペトルーシュカ:ウラジーミル・マラーホフ
バレリーナ:小出領子
ムーア人:後藤晴雄
シャルラタン:柄本弾

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ:尾崎有飛(「ペトルーシュカ」)
posted by uno at 12:18| Comment(2) | バレエ公演2012 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする