2006年12月26日

東京バレエ団『くるみ割り人形』12月7日

今日26日は、東京バレエ団の福岡公演でしたね。私はようやく東京2日目の感想を書き終えました。とりあえずこれを書かないと年を越せない。

東京バレ団 モーリス・ベジャール振付『くるみ割り人形』
2006年12月7日(木)18:30 ゆうぽうと簡易保険ホール


◆主な配役◆

<第1幕>
ビム:氷室友
母:高木綾
猫のフェリックス:松下裕次
M...(マリウス・プティパ、メフィスト、M...):中島周
妹のクロード、プチ・ファウスト:佐伯知香
光の天使:高岸直樹、平野玲
妖精:奈良春夏、田中結子
マジック・キューピ:飯田宗孝

<第2幕>
スペイン 闘牛士:高橋竜太、古川和則、鈴木淳矢
中国 バトン:高村順子
アラブ:中島周、西村真由美
ソ連:小出領子、大嶋正樹
フェリックスと仲間たち:松下裕次
パリ:井脇幸江、木村和夫
グラン・パ・ド・ドゥ:吉岡美佳、後藤晴雄

※男装の麗人(タキシードの女性):田中結子
※プチ・メフィスト:高橋竜太

ビデオ編集協力:GPA

東京バレエ団の『くるみ割り人形』2日目。大感動でした。
初役の皆さんもとても好かったし、M...の中島さんも2日目の方が全然余裕があって安心して見ていられました。こちらも2回目で慣れたし、向こうも一度舞台に乗せているのでやはり初日とは完成度が違うだろうし、私が初日に気になったバタバタ感もまったく感じませんでした。本当に、1回の本番がこれほど大事とはね〜。当日の雑感に書いたんですが、そういう意味では初役を2日目に持ってくるのは良い考えですよね。

プリンシパルやソリストやコール・ド、それらの違いというのは、世界を創る上手さ、空気を変える存在感だということを深く感じました。初役の皆さんも本当に好かったんですよ。フレッシュで、一生懸命だし、そこから生まれるパワーも計り知れないものがある。しかも私は東バファンなので、初役のダンサーへの応援の気持ちというのは大きくて、彼らが期待以上に良い舞台を見せてくれると妙に感動してしまったりもします(偉そうですみません…)。でもやっぱり、踊りではなくその存在の安定感や輝きが違うと感じさせる。自分の世界を創るのが上手いんですよね。

と言いつつ、この日は初役の皆さんがとっても素晴らしくて、舞台の完成度も増していて、初日より感情移入して見てしまいました。まんまとベジャールの世界に泣かされた。一度捕まってしまうともう逃れられなくて、舞台で繰り広げらる物語に心地よく心を揺さぶられてきました。母と子のパ・ド・ドゥで涙してからは、もう雪が降っただけで滂沱。あれだけ泣くと、もうなんか気持ち良くなっちゃうんですよね。

母役の高木綾さんが素晴らしかったです。
吉岡さんの、現実感のない母とはまったくの別物。高木さんは本当にお母さんのよう。暖かくて優しくて、涙が出ました。あの母性はどこから来るんでしょうか?この作品における母としては、少年の中で美しく神秘的に巨大化した、吉岡さんの母が正解なのかもしれないけど、私は高木さんの母に心を掴まれてしまいました。高木さんはもともと好きなダンサーなんですけど、断然大好きなダンサーになりました。細かい手先や足先なんかは、吉岡さんのほうがベジャールっぽいと感じさせたんですけどね。1幕終盤のビムとのパ・ド・ドゥでは、肌色のユニタードが綺麗。吉岡さんはちょっと痩せ過ぎなのが気になっちゃって、、。逆に2幕の白いドレスは吉岡さんの圧勝。って、勝負じゃないんですけど…。

氷室友さんのビムもとても好かった。彼のビムは本当に子どものようで、とても愛しい存在。守ってあげたくなるビムでした。全力投球で演じているのが全身から伝わってきて、そのひた向きさとビムの純真さがシンクロするようで、見ていて切ない気持ちにさせられました。そんな氷室さんと高木さんのパ・ド・ドゥは、母と子の健全なパ・ド・ドゥで、真正面からこちらに飛び込んできてしっかり心を掴まれてしまった。あんなにストレートに感動させてくれるとは。初日の吉岡&高橋ペアのパ・ド・ドゥもすごく好かったんだけど、全然別のものでしたね〜。どちらも本当に好かった。

猫のフェリックスの松下裕次さんも素敵でした〜。彼はなかなかのテクニックの持ち主で、軽やかな踊りとチャーミングな雰囲気がとても好きなんですが、加えて爽やかなところが素敵なんですよね〜。これ見よがしな感じがしない。大役の抜擢も、気負うことなく軽やかに演じてくれる。先が楽しみです。


初日、平野さんが眩しかったレッスン風景のシーンでは、同じ場所(最前列の上手寄り)に大嶋正樹さん。こちらもまた別格に輝いておりました♪ 最初に中央に出てきてソロを踊るのは、2日目も長谷川智佳子さん。そこへ加わる二人は大嶋さんと古川和則さんでした。初日の感想にも書きましたが、何気ないパートの安定感が高い。

「ファウストごっこ」のシーン。この日のプチ・メフィスト(赤い衣装の幼少時のベジャール)高橋竜太さんは、かなりの存在感。なんていうか、余裕があって楽しんで踊っている感じでした。表情も豊か。
「ファウストごっこ」からボーイスカウト、母の登場まで、慌しく感じた初日に対して、2日目はバタバタ感は無し。

2日目の光の天使は高岸&平野ペア。高岸さんは相変わらず楽しげ。平野さんも生き生きと軽やかに踊ってましたね〜。この2人だと身長差があるので、大きい変態と小さい変態(失礼…)のでこぼこコンビで可愛かった♪ 平野さんはカーテンコールでも頭を振り振り、楽しげでした。妖精は奈良春夏&田中結子ペア。奈良さんは弾けてましたね〜。思い切りの良い感じが彼女の魅力ですよね。現代の感覚があるというか、新しい空気を持ったダンサーだなという感じがします。

私的に2日目は感情移入して見ていて、ビムがマリア像を登る辺りからウルウルしてたんですが、高木さんの母が登場してからは、もう涙が止まりませんでした。痩せすぎない、柔らかくて優しいラインの高木さんがとっても綺麗でね〜。うつむき加減の瞳は慈愛に満ちて、そこはかとなく優しい存在感。そそて氷室さんのビムは、本当に子どものように純粋で無邪気で切ないんです。この日はビムよりも、母に感情移入して見ていたかも。母を慕う少年の気持ちではなく、母を失くした少年の心を想う母親の気持ちが、切なく伝わってきました。ビムと、そして舞台全体を包み込む高木さんの母の大きな愛に、心が洗われるような清々しい感動をもらいました。


この日のスペインは、高橋竜太&古川和則&鈴木淳矢。鈴木さんも好かったんだけど、やっぱり高橋さんと古川さんは存在感が違う。でも、目立たないけど鈴木さんも綺麗な踊りだったなと。
中国の高村順子さんがとっても好かったです。初日の佐伯さんも可愛らしくて踊りも申し分なかったんだけど、高村さんの中国を見たら吹っ飛びました。自分の世界を創り出す上手さは歴然の差。登場した途端に舞台の空気が、彼女の中国の踊りの世界にガラッと変わるのを感じました。バトン捌きも見事でしたね〜。短いシーンでしたが、手放しでブラボーでした。
ロシアの大嶋さんはこの日も好調。初日のグラン・パ・ド・ドゥでも感じたんですが、小出さんに良い押し出しの強さが身に付いたようで、見ていて頼もしかったです。いつも溌剌として軽やかだけど、なんか力強さが漲っていたな。大嶋さんと小出さんのペアも、悪くないですね。

「フェリックスと仲間たち」は、猫のフェリックスの長いソロ。松下さんの踊りはいいですね〜。踊りとしてどうのという前に、良い意味で肩の力の抜けた感じが好きなんです。驕りや気負いがなく、今できるすべてに真摯に取り組む真面目さを感じさせる。ニュートラルで、貪欲で、ストイック。って、ぜんぜん上手くまとめられないんですが、そんな感じです。松下さんの踊りを見つめる会場の雰囲気も印象的でした。期待をこめた緊張感と私は感じたんですけど、ハラハラしてる人もいたのかしら?踊り終わるまでジ〜ッと待って、ホッとして拍手みたいな、結構暖かい空気を感じました。

楽しみにしていた井脇さんと木村さんのパリ。
最高でした!相手が木村さんだと、井脇さんの可愛らしさがUP。木村さんのパリは名演でしたね〜。少しアンニュイでウェットな空気が、パリによく合っていました。何と言っても、手が美しくてね〜♪ 多分、木村さんは手のひらが大きいんですよ。伸ばした腕も然ることながら、少し折った手首がセクシーで、セクシーで。ウットリでした。井脇さんと木村さんで、ガラッと舞台の空気を変えてくれました。流石の一言。それにしても脇キャストを生き生きと楽しそうに踊る人ですね〜♪
慣れない社交ダンスのステップは難しいのか、2人が向き合って組むところは少しぎこちなかったです。腰が引けてるというか、何となく収まりの悪い感じでした。

吉岡さんと後藤さんのグラン・パ・ド・ドゥ。吉岡さんは絶好調ではなかったようです。破綻しないようコントロールして踏ん張っている感じは、ちょっと格好良かったかも。決して力を抜いているということではなくて、好調ではない中で最大限に綺麗に見せるために頑張っている感じがしたんですよね。当たり前っちゃあ当たり前なのかもしれないけど、、、。キラキラと輝く存在感は相変わらずで、素晴らしいなと想いました。後藤さんの方は、結構調子が良かったように思います。サポートやリフトはちょっとヒヤヒヤしたけど、ヴァリエーションはとても好かった。ときどき重たい感じのする後藤さんですが、それも感じなかったし、細かい足捌きも綺麗でした。

ベジャール版のグラン・パ・ド・ドゥには、タキシードの男性群舞6人が付きます。男性プリンシパルには冷ややかな目線、女性プリンシパルには賞賛の嵐を贈る、ちょっと笑いの起こる演出。男性のヴァリエーションの間も舞台にいて、「お手並み拝見しようじゃないの」みたいな冷たい空気。女性が登場するとみんなで駆け寄って「麗しい〜」「素晴らしい〜」の賞賛でお出迎え。2日目のタキシード部隊で面白かったのが、野辺誠治さんです。女性のヴァリエーション中もやっぱり舞台にいて、みんな身悶えしながらウットリと踊りを見ているんですが、野辺さんは遂に堪えきれずに2本の指を立てて誓いのマイム。それを隣の宮本さんが制してもまだ我慢ができず、左手の薬指を差して「結婚して!」アピール。あんなに乗りの良い人だったとは。最高でした。
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2006年12月25日

東京バレエ団『くるみ割り人形』12月6日

今更ですが、東バの『くるみ割り人形』の感想を書きました。何日かかったんだ…。世間が新国の『シンデレラ』とレニ国の公演で賑わっている中、痛む腰を堪えながら、コツコツと書いておりました。

東京バレエ団 モーリス・ベジャール振付『くるみ割り人形』
2006年12月6日(水)18:30 ゆうぽうと簡易保険ホール

◆主な配役◆

<第1幕>
ビム:高橋竜太
母:吉岡美佳
猫のフェリックス:古川和則
M...(マリウス・プティパ、メフィスト、M...):中島周
妹のクロード、プチ・ファウスト:高村順子
光の天使:高岸直樹、野辺誠治
妖精:井脇幸江、西村真由美
マジック・キューピー:飯田宗孝

<第2幕>
スペイン 闘牛士:氷室友、小笠原亮、松下裕次
中国 バトン:佐伯知香
アラブ:中島周、西村真由美
ソ連:長谷川智佳子、大嶋正樹
フェリックスと仲間たち:古川和則
パリ:井脇幸江、平野玲
グラン・パ・ド・ドゥ:小出領子、木村和夫

※男装の麗人(タキシードの女性):奈良春夏
※プチ・メフィスト:?(気になる…)

ビデオ編集協力:GPA


ベジャールの『くるみ割り人形』は、とても好きな作品です。もちろん映像でしか見たことがありません。東京バレエ団の上演を見るのも今回が初めて。スクリーンでの映像やダンサーの台詞はどうしているんだろうという疑問もすべて解決したのでスッキリしました。そして、東京バレエ団がこの作品をここまで演じきってくれたことに感激。初日はヒヤヒヤしながら見る瞬間もあったけど、あちゃ〜と思うことは一度もありませんでした(ヒヤヒヤしたのは、ほとんど台詞の場面)。流石にタキシードはちょっと着こなせていなかったけど、光の天使はお似合いでしたね♪(あそこまでコスプレすれば、日本人も何も関係ないか、、、)。

BBLの映像で使われていた天井からのスクリーンは、東バではテレビを上から吊るすことで代用していました。ベジャールのナレーションは、ベジャール自身による日本語吹き替えのテープ。ちょっと聞き取りにくいところもあって、字幕にしてくれればよかったのにと最初は思ったんですが、あれはあれで貴重だしこのまま使用するとして、プラス字幕があると分かりやすくてよかったと思います。M...、ビム、パリ(女性)のダンサーは台詞がありました。ソ連の大嶋さんも「雄叫び」有り。BBLの映像との違いは、飯田さん演じるマジック・キューピー。映像ではアコーディオン奏者のイヴェット・オルネが光の天使として登場し、素晴らしい演奏を聴かせてくれます。彼女の存在が素晴らしいんですよね〜。飯田さんのマジック・キューピーは、彼が完全に舞台から退いたら誰が踊るのだろうかと気になってしまいました。キューピーは、アコーディオン演奏の代わりに手品を連発。初日は手品が気になっちゃって、周りの踊りを見逃してしまいましたよ…。

【第1幕】
幕開き、M...と猫のフェリックスが見守る中、胡桃で遊ぶビム。何気ないシーンだけど、少年の孤独が切ない。そこに大きなクリスマスプレゼントの箱を持って登場する母、吉岡さん。白のスーツが本当によく似合う。彼女の美しさが際立っていました。吉岡さんの踊るベジャールは結構好きです。踊り慣れているのかもしれないけど、彼女の指先や足先までベジャールの動きが浸透している気がする。2日目の高木綾さんを見たらより一層そう思いました。2日間通して見て、「一番ベジャールっぽい」と思ったのが吉岡さんだったかも。古川さんの猫のフェリックスは、踊りは絶好調という訳ではなかったようだけど、とても好かった。古川さんは、こういうキャラクターが重要視される役を踊ると生き生きとしますね。同じベジャールでも、『M』の“シ”より猫のフェリックスの方が私は好きかも。
ビムの高橋さんは大好きなダンサー。こんなにずっと高橋さんを見ることができるなんて幸せでした。年齢をまったく感じさせない少年っぷりは流石。高橋さんは、こういう作品だと本当に生き生きと楽しそうに踊りますよね(もちろん、古典作品等で脇をしっかり固めているときの高橋さんもとっても素敵ですが)。クルクル変わる豊かな表情も素晴らしかったです。髪がもう少し短いとより少年らしくてよかったかもな〜。
中島さんのM...は格好良かった!お髭も似合うし、その佇まい、表情もとてもセクシー。ダークな雰囲気の役は珍しい中島さんですが、ダークサイドも十分いけますね。予想以上の存在感に驚きました。中島さんは素敵だしとても好きなダンサーなんですが、正直M...を踊ってあそこまで存在感が出せるとは思っていませんでした(すみません…)。だって、M...はジル・ロマンの映像で見ちゃってるから、多分誰がキャスティングされても期待できなかったと思う。ただ、ちょっと生真面目に取り組んでいる印象は拭えませんでした、特に初日。「頑張って」M...を踊っているという感じ。もう少し軽やかさやユーモアの部分に余裕が感じられると良かったなと思いました。クールなところや威厳を感じさせる部分はとても好かったです。踊りは文句無しだったのではないでしょうか?出ずっぱりでもスタミナは切れないし、細かい踊りをとてもクリアに綺麗に踊っていました。
欲を言えば、登場しただけで舞台の空気を変えるほどの存在感が欲しかったなと。踊っていなくても、そこにいるだけで舞台を支配する力が、もう一歩だったと私は思いました。中島さんも十分に場を支配する力を持つことが可能なダンサーだと思うので、期待しているという意味で。

暗幕が外されて、一気に明るいレッスン風景の場面へ。全員デザインの違う、赤と白で統一されたレッスンウェアがとっても綺麗。こういうベジャール作品の衣装のセンスがとても好きです。まず目に飛び込んできたのは、最前列の上手寄りにいた平野玲さん。大袈裟ではなく、そこだけキラキラ輝いていたんですよ〜!決して私が上手寄りに座っていたからではありません。なんてオーラを放つようになったんでしょうね♪ 踊りも申し分なく輝いておりました。最前列センターには長瀬直義さん。彼の綺麗な踊りもとても目を引きます。最初に中央に出てソロを踊る女性は、2日間とも長谷川智佳子さん。軽やかで可愛らしくて、パッと舞台が明るくなりました。長谷川さんの踊りに加わる2人の男性ダンサーが平野さんと長瀬さん(だったと思う)。舞台がパッと華やぐ、いい3人でした。こういう何気ないパートに安定感があると、東バファンとしてはとても嬉しくなりました。

初日の第1幕は、ややバタバタした印象がありました。それが気にならなくなったのは、ビムと母のパ・ド・ドゥの辺りから。場面が展開するので精一杯というか、慌しくシーンが流れていくような感じがして残念でした。「はい、次のシーン!はい、次のシーン!」っていう具合で、なかなか物語りに入り込めなかった。まあ、初日は向こうもこちらも色々慣れていないから、仕方ないと言えば仕方ないんですが…。

「ファウストごっこ」(と私が勝手に呼んでいるんですが)のシーンで、幼い頃のベジャールがメフィストの扮装をしている役「プチ・メフィスト(仮)」が、誰だか分からなくて気になりました。2日目は高橋さんだとすぐに分かったんですけど。高橋さんが踊っているということは、氷室さんとのダブルキャストだったのかな〜。どうも氷室さんより体格が良いような気がしたんですよね。あれだけ踊るし印象もある役なので、プチ・メフィストも配役に載せてほしかったです。

この辺りでは、中島さんの台詞(テープ)「マリウス・プ、ティ、パ〜」にドキドキしたり、ボーイスカウトのシーンでの中島さんの「ボーイスカウトは!」のタイミングが早いな〜と思いながら見ておりました。ファウストごっこからボーイスカウト、そこからマリア像が反転して母が登場する辺りまでが、一番バタバタしてたかな、、、。

やっと登場した光の天使。高岸さんは成りきり過ぎで面白かったです。何故あの人はあの役で水を得た魚のように踊るんでしょう?面白い人ですよね〜♪ 首を傾げる仕草が可愛かったです。踊りは大きくてとても綺麗。それにしてもお肌が白いですね。妖精の井脇さんがとっても綺麗でした。あのブロンドのウィッグが似合うのは井脇さんだけですよね。輝きと優しさがあって、金色の光で舞台を包むような暖かさがありました。西村さんもキュート!西村さんは結構乗りが良い人なんですよね。そこも好きなところなんだけど。井脇さんと2人、とても明るく楽しげな妖精で、踊りも空気感も安心して見ていられました。

ビムと母のパ・ド・ドゥは、吉岡さんと高橋さんだと、母と息子というよりは恋人のような空気がより強かったと思います。吉岡さんの母は本当に美しくて、まったく現実感がないんです。「この森の神殿で、思い出の女神となったぼくのおかあさんは、より偉大で、より美しく、神秘的な存在になった」という台詞のとおり、まさに少年の心の中で女神となった神秘的で巨大なマリア像のイメージそのままでした。吉岡さんは、この世のものとは思えない美しさを感じさせることがよくあって、加えてそこに得も言われぬ陶酔的で官能的な雰囲気を醸し出すことがあります。幼い頃に母親をなくした少年にとって、母親のイメージは神秘的なままで、永久に現実感を帯びることはないのかもしれない。「大きくなったら僕はママと結婚するんだ!」といつもそう言っていたビムにとって、7歳のときに死んでしまった母親は永久に恋人のまま。むしろそのイメージはより大きく神秘的になる一方で、それが行き着いた場所があのパ・ド・ドゥだったのではないかと。衣装を脱いだ(もちろん肌色のタイツ)2人は、互いに体中から溢れんばかりの愛で繋がっていました。そこには母と子という関係と、それを飛び越えた恋人のような関係と、更にそれも飛び越えた深い愛と慈しみと、もう様々なものが渦巻いていて、何とも言えない陶酔感、幸福感がありました。もしかしたら、ベジャールの創るこういう母と子のパ・ド・ドゥが「見ていて好かん!」という方もいるかもしれない。私はむしろそのくすぐったさも含めて、こういう形の愛のパ・ド・ドゥを創るベジャールがやっぱりすごいと思うんです。

そして雪の降りしきる中、マジック・キューピーの登場。スキンヘッドに白のタキシードの飯田さんは流石の存在感。初日はあまりに席が近かったので、飯田さんがマジックをする手元がはっきり見えてしまって、ちょっと残念。軽やかなステップを踏む飯田さんが素敵でした。ここで降る雪の量が半端じゃないんです!確か徐々に量が増えていったと思うんですが、ダンサーの足元が心配になるくらい、とにかく物凄い量で降る、降る!あれはいい効果でしたね〜。特に2日目は私自身、感情移入して見ていたので、あの雪の量作戦にまんまと泣かされてしまいました。
相変わらず降りしきる雪の中、中央に構えたM...と、その両脇で光の天使と妖精が忙しく踊る1幕の幕切れが、何故かとても好きなんですよね。

【第2幕】
2幕の冒頭のシーンがとても好きです。何故だかとても優しくて、美しい幕開け。10組ほどの男女のペアは、母と子のイメージ。男性は子どもというより赤ん坊のようで、女性陣はみんな母性的な空気がありました。ここでは私は、吉川留衣さんと宮本祐宜さんのペアばかり見ていました。なかなか良いペアだと思うんだよね〜。単に好きだからかもしれないけど。宮本さんの笑顔と無邪気な甘えっぷりにやられました。
舞台下手で母がビムを包み込むように横たわったところへ、M...が登場。二人にキスを贈ります。映像のジル・ロマンは、手のひらに乗せた愛を、フッと息を吹きかけて二人に届けるような優しいキスを贈ります。私のすごく好きなシーン。中島さんは、ありったけの愛を2人に投げるような力強いキスで、あれもすごく素敵でした。

残すはディベルテスマン。
白いドレスで登場した吉岡さんは、まるで少女のように無邪気。あの(今見るとちょっと時代おく…)ドレスが似合うのも吉岡さんしかいないだろうと思わせるメルヘンぶりは流石です。成長したビムの中で、成長しない母親は既に守るべき対象へと変わっていたのかもしれないと思いました。花のワルツで、男装の麗人(と私が呼んでいる、タキシード姿の女性)にキスをされて卒倒しそうになる姿は、吉岡さんにピッタリ。似合いすぎでした。

スペインに良いダンサーがいるな〜と思ったら、松下裕次さんでした。ますます2日目のフェリックスが楽しみになった私。
中国のバトンの佐伯さんは、オカッパ頭が可愛い。バトン捌きも申し分なく踊っていて、とても可愛らしかったんだけど、2日目の高村さんを見たら、その空気作りの上手さの差は歴然でした。
アラブ。中島さんのアラブスタイルも素敵。この辺りになると見ている私も慣れてきて、中島さんのM...の世界に少しずつ入ることができました。西村さんも安定感のある踊りと神秘的な雰囲気が素晴らしい。多少サポートが不安でも、西村さんの踊りと創り出した世界は崩れないんですよね。
ソ連の大嶋さんは、あの衣装がよく似合う〜♪ 2日間とも踊りも好調のようで、爽快でした。長谷川さんは、「超人的で、すごいテクニック」という、ここでのソ連のイメージとはちょっと違いました。可憐で、軽やかな風のような長谷川さんの踊りは素敵だったけど。
そしてパリ。初めて聞く井脇さんの声は、思ったより細くて可愛らしい声でした。井脇さんのパリは最高でしたね〜。とにかく世界を創るのが上手い。舞台の空気をサラッと変えて、見ている私たちを事も無げに別の世界に連れて行ってくれる。踊りはもちろんですが、あの笑顔が何とも言えず好きです。平野さんも素敵だった〜。大好きな2人が踊ってくれるのは、見ていて本当に楽しい。井脇さんと平野さんだと、若い男が年上のお姐さんの尻に敷かれている感じで面白かったです。
花のワルツではタキシードの男性陣に交じって、女性が一人タキシードで登場。初日は奈良春夏さんでした。彼女のサバサバした男っぽい感じが格好良くて、雰囲気はバッチリでした。ちょっとハイヒールが踊りにくそうに見えてしまったところが残念だったかも。美人で女性的な外見とは裏腹に、佇まいはとても男性的で、その奈良さんがメルヘンチックな雰囲気満載の吉岡さんにキスをするシーンは、倒錯的な雰囲気がとても良かった。

最後はグラン・パ・ド・ドゥ。中島さんの台詞はちょっと早口だったかな、、、。
初めて見る小出さんと木村さんのペア。ディベルテスマンの最初、白いユニタードで一度登場するんですが、2人ともオーラがある! 簡素な衣装が一層2人の輝きを増すように、キラキラと輝いていました。小出さんまで一回り大きく見えるほど。2人の相性は、完璧というほどではないけど、とても好かったのではないでしょうか。組むことも少ない2人だろうし、それにしては破綻なく綺麗に踊っていたと思います。なんて言うんでしょう、ちょっとくらいサポートがグラっとしても、2人のそれぞれの完成度が高いので、大きな乱れに繋がったりしないんですよね。なんか妙に安心して見ていられる。木村さんは相変わらず踊りが冴えていて、ヴァリエーションは見事でした。ちょっと衣装が大きい気がしたんですが、あれでいいのかしら?今回の嬉しい驚きは、小出さんです。良い意味でけれん味が出てきましたね。自分をきちんとアピールするのが上手になったというか。控えめだった小出さんが、良い押し出しの強さを持ち始めたように思いました。

グラン・パ・ド・ドゥが終わって、これまでのキャラクターが入れ替わり立ち代り登場するころになると、「終わらないで〜」と思う。ベジャールの全幕ものを見るといつも思う、この「終わらないで」という感覚(もちろんベジャール作品だけではないけど)。この感覚が、寂しいけどとても快感。こう思えたら、「勝ったな」と思うんです。それは、振付家や演技者に「負けた〜」という感覚。正確には「やられた〜」かな。この「やられた」と思う瞬間が、舞台芸術を見る側としては「いいもの見たな」という勝利の瞬間なんです。変なこと言ってすみません。もちろん、いつもそんなことを考えて見ている訳ではありません。見ているときはそんなことは考えずにただ感動しているんですけどね。
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2006年12月17日

マリインスキー・バレエ『白鳥の湖』8日/9日/10日

マリインスキー・バレエ『白鳥の湖』
2006年12月8日(金)18:30
2006年12月9日(土)18:30
2006年12月10日(日)18:30
東京文化会館

3回のキャストは一番下の「続きを読む」からどうぞ。

今回のマリインスキーの公演で一番楽しみにしていたのが、ロパートキナの『白鳥の湖』でした。噂に違わぬ、想像以上に素晴らしいオデット/オディールでした。大袈裟ではなく、この先これ以上の『白鳥の湖』に出会うことはないかもしれないと、今は本気でそう思います。

いわゆる「身体能力が高い」というのとはまったく別物の、揺るぎない踊り。彼女が真摯にバレエに向き合って築き上げてきた結晶を見るようで、それだけで感動的でした。決して押し付けがましかったり、テクニックが前に出てしまったりすることがないので、彼女の踊りを見ている最中に「今のジュテは〜」とか「今のピルエットは〜」とか、そういうことが頭に浮かばないんです。ただただ彼女の紡ぎ出す世界に感動する。そのフォルムの美しさに酔いしれる。彼女が登場すると、本当に舞台の空気が変わるんです。彼女の存在が舞台を支配する。
1幕2場。これまでに何度も聴いたオデット登場の音楽に、こんなにワクワクしたことはありません。彼女の持つ透明感と優しさが舞台をいっぱいに満たしていました。ロパートキナのオデットは、とても寛大な印象。彼女は自分の運命を嘆いている訳でも恨んでいる訳でも、諦めている訳でもないんです。ただ初めからすべてを許している。儚げでありながら凛としたその姿には、すべてを受け入れたオデットの強さが感じられました。何ものにも犯すことのできない聖域がそこにありました。呪いでオデットを白鳥の姿に変えたロットバルトでさえも、彼女の心まで犯すことはできなかったのではないでしょうか。ロットバルトまでも許しているように見えたのは私だけかしら?ロットバルトに対峙するときも、抗うのではなく、その身を差し出すように見えたんです。
大袈裟な演技や表情はしないんだけど、すべての感情が流れるようにスムーズで説得力があり、違和感なくストンと私の中に落ちてくる。オデットのときの表情がとても素敵でした。ほんのり悲しげで、それでいて凛とした強さがある。どんなに辛い境遇にあっても、その瞳はどこまでも透き通って輝いているんです。本当に綺麗だったな〜。
2幕のロパートキナは、格好良い!! 優雅で隅々まで丁寧な踊りはそのまま。そして足音一つさせません。決してジークフリートを「落とす」と意気込んではいない、「落ちて当然」という自信に満ち満ちたオディールでした。ただオディールは自分の魅力を最大限に発揮して優雅に踊る、そうすれば自ずと王子は愛を誓うとわかっているので、必要以上にオーバーなアクションはとりません。一番格好よかったのは、グラン・パ・ド・ドゥの最後。跪いた王子がオディールの手を取り、彼女が勝利を確信した瞬間、最後のポーズでロパートキナが顔を客席の方にパッと向けたんです。普通、客席に横顔を向けたまま上を向くことが多いと思うんです。彼女が勝利の確信に満ちた顔でこちらを見た瞬間、私まで王子と同じように彼女の手中に落ちたような感覚を味わいました。
3幕では、オデットの深い悲しみと、そして大きな優しさが舞台を包み込みました。ジークフリートに対しても、「もういいのよ」とでも言うように、そっと首を横に振ります。1幕2場と同様、彼女は初めからすべてを許しているんです。印象的だったのは、ロットバルトがジークフリートに襲いかかろうとしたとき、オデットが2人の間に割って入り、両手を広げてジークフリートを守ろうとしたシーン。そんなオデットは初めて見た気がして、本当にびっくりしました。ロパートキナのオデットの、限りない大きな愛に満たされた舞台でした。

ヴィシニョーワのオデットは妖艶。こんなに妖艶なオデットは初めて見ましたよ〜。メイクもいつもと違って、濃い目の青のアイシャドウ。物言いたげに薄く開いた唇が、とても美しかったです。そして、とても生命力に溢れたオデットでした。身体を最大限に伸ばして、柔らかくしなやかに、どこまでも広がるようにゆったりと踊っているのが印象的でした。
1幕2場の、ジークフリートとオデットが初めて見つめ合うシーン。コルプのジークフリートは「もう離さない」とでも言わんばかりに、しっかりオデットを捕まえます。今にもキスしそうな勢いのコルプがセクシー。2人のパートナーシップはやっぱり良い。それぞれに強烈な個性の持ち主である2人が、その個性を消し合うことなく、むしろ相乗効果でより粘りのある濃密な空気を生み出します。
コルプのジークフリートは、思っていたよりストレートな印象。もっと曲者なジークフリートかと思っていたら、彼の中でしっかりと消化されて説得力のあるジークフリートを演じていたと思います。心を満たすもののないジークフリートの、愛に対する渇望感が伝わってきて切なくなりました。オディールが彼に投げつけた白い花束は、オデットの心そのもののようで、砕けてしまった心の破片が、図らずも王子の腕の中に残るんです。それを呆然と受け止めるコルプ。あの瞬間にジークフリートの心も壊れてしまったのだと思います。こういうときのコルプの青い瞳は、あまりに綺麗で忘れられません。

イワンチェンコのジークフリートは、コルスンツェフ降板のショックが尾を引いていて、通常の精神で見られたかどうかわからないんですが、悪くなかったと思います。悪人フェイスだけど(ごめんなさい…)、登場するとちゃんと華もあるしノーブルだし、きちんと王子な感じがして素敵でした。身分の違いも感じられたし、かなり威厳のある王子でしたね〜。今回わたしが見た3人は、みんな若い王子には見えなかったな、、、。イエンチェンコは、花の冠が似合わないこと!明らかに違和感。でもそこがちょっと可愛かったです。まあ、コルプも花の冠は違和感がありましたけどね。

そういえば、ゼレンスキーは花の冠をすぐに外して、確か道化に渡してしまいました。
そのゼレンスキーですが、かなり踊りはセーブしている印象がありましたね、、、。1幕2場のリフトは省略していたし、3幕になると更に元気がなくなってきたように見えました。大丈夫なのかな〜、ゼレンスキー…。彼はとても好きなダンサーなので、無理をしないで、これからも踊る姿を見せてほしいです。
登場した時のオーラは流石! キラキラ輝いてました。そして、あのクシャッとした人懐っこい笑顔がとても好きなんですよね〜。威厳があって優雅な身のこなしも素敵でした。激しい踊りはセーブしている印象があるにしても、床をしなやかに捉えるシャープな踊りは健在で、ウットリすることができたし、大満足でした。
3幕のゼレンスキーは、ほとんどロットバルトと戦っている感じがしなくて、お疲れなのかと心配してしまった…。ちょっと面白かったのが、ロットバルトの羽をもいでからのゼレ。コルプやイワンチェンコが羽を振り回していたのに対して、のた打ち回って苦しむロットバルトを、その後ろに立ってただ見下ろすのみ。そして、息絶える瞬間にロットバルトの顔にパサッと羽を被せます。つ、冷たい。。。でも面白かった。
その後は、ロパートキナとゼレンスキーがゆっくりとポーズを作るのを、ただただ「あぁ終わらないで…」という思いで見つめておりました。ロットバルトが死んで、人間に戻った時のロパートキナがまた素敵なんです。派手な演技は一切せず、あの何とも晴れやかな表情がすべてを語っていました。オデットが心の底から解放されたようなあの表情は、忘れられないです。


3回通った『白鳥の湖』で印象に残ったのは、ダリア・スホルーコワ、エカテリーナ・オスモールキナ、クセーニャ・オストレイコーフスカヤ。
ダリア・スホルーコワは、オールスターガラの『薔薇の精』で可愛い♪と思って以来、印象的なお顔なのでどこで踊っていてもすぐに見つけることができました。時々、踊りが硬いかな?と思うこともあったんですが、ウットリと夢見心地な表情は雰囲気があるし、腕や脚の描くラインはまろやかでとても綺麗でした。
エカテリーナ・オスモールキナは、何故か目が行くダンサーでした。端正で安定した踊りは、安心感して見ることができました。女性らしい柔らかな雰囲気も好かった。
クセーニャ・オストレイコーフスカヤは、なかなか名前と顔が一致しなくて迷いました。たぶん私が気に入ったのはオストレイコーフスカヤであっていると思うんだけど、いまいち自信がない…。大きな白鳥や2羽の白鳥を踊る彼女を、ついつい目で追っていました。くっきりとした踊りで、いつもフォルムが綺麗。その安定感は素晴らしかったです。

王子の友人たちは、3回ともウラジーミル・シクリャーロフ。もう1人のマキシム・ジュージンも一度くらい見てみたかった。シクリャーロフは、やっぱりサポートは少々不安なんだけど、ヴァリエーションは伸びやか。もっと隅々まで神経が行き渡るようになるといいなぁと思いました。パ・ド・トロワは、いつも何となく3人の気持ちが微妙に合っていないような気がしてしまいました。私だけかしら…?それぞれが自分の踊りを踊っている感じがしたというか、、、。

民族舞踊では、ハンガリーの踊りのポリーナ・ラッサーディナとカレン・イワンニシャンがとても好かったです。完成された素晴らしい踊りを見せてもらいました。民族舞踊の衣装はどれも豪華で、いいですよね〜。ブーツの金具がきちんと鳴ると、本当に気持ちが良い。

ロットバルトのマキシム・チャシチェゴーロフは、とても高くて綺麗な跳躍が見事だったし(メイクは凄かったけど)、全公演踊り徹した道化のアンドレイ・イワーノフは毎回会場を沸かせたし、脇固めがしっかりしているのが良かったです。白鳥の群舞も美しかったし、4羽の白鳥の足音が静かなことにも感心したし。全体的に、ガラ公演よりも断然安定した舞台を見ることができました。

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2006年12月12日

マリインスキー・バレエ『オールスター・ガラ』12月4日

やっと書きました。『オールスター・ガラ』の感想です。もう感想というか、記憶がかなり薄れておりまして、「印象」程度のものになっている気がしますが…。
とにかく長い(バレエフェスほどではないけど)。手放しにブラボーという作品ばかりではなく、やや疲れたりもしたんですが、概ね楽しかったです。やっぱり、大好きなノイマイヤーの作品ということで楽しみにしていた『パヴロワとチェケッティ』が一番好かったかな〜。ロパートキナとコルプも素晴らしかったし。そういえば、いつの会場だったか忘れましたが、私の近くの年配の女性が、「シクリャーロフは、ポール・マッカートニーに似ている」と話しておりまして、なるほど本当だ〜と思ったりしました。

マリインスキー・バレエ『オールスター・ガラ』
2006年12月4日18:30 東京文化会館

指揮:アレクサンドル・ポリャニチコ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団

◆ 『レベランス』<20分>
音楽:ギャヴィン・ブライアーズ
振付:デイヴィッド・ドウソン

ダリア・パヴレンコソフィア・グーメロワヤナ・セーリナ
アレクサンドル・セルげーエフミハイル・ロブーヒンマキシム・チャシチェゴーロフ

衣装デザインは、現在はドレスデン・バレエにプリンシパルとして移籍している竹島由美子さんだそうです。黒・紺・深緑などの渋い色で統一したレオタードで綺麗でした。照明が暗くていまいちよくわからなかったけど。女性3人、男性3人の6人で踊られるコンテンポラリー作品。作品自体はですね、つまらなくはないけど、「おぉ〜!」という訳でもなく…。ただ、マリインスキーのダンサーたちがコンテンポラリーを踊ると、本当に柔らかくて優雅に踊るな〜と感心して見ておりました。女性は走って入退場するパターンが多かったんですが、おそらくヤナ・セーリナだと思われる女性が、まったくトウシューズの音をさせていなくて感動しました。反対にソフィア・グーメロワはカツカツすごかった。まあ、それがすべてではないですけど、トウシューズであれだけ走って無音というのは、それだけで私的には感心してしまいました。

◆ 『薔薇の精』<10分>
音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー
振付:ミハイル・フォーキン

ダリア・スホルーコワイーゴリ・コルプ

ダリア・スホルーコワがとっても可愛らしかったです。どことなくハンブルク・バレエのヘザー・ユルゲンセンに似た(似てないですか?)、黒髪の個性的な美人で、とにかく縦ロールがよく似合う!本当に愛らしくて、私のタイプでした。スラリと長くて細い手足が、とっても優雅に可憐に踊るんです。見ていてウットリしました。背も高いみたい。
コルプの薔薇の精は、やっぱりいいですね〜。前に見たときより少し薄いというか、ノーブルになっていたような気がしたんですが、こちらが慣れてしまったせいでしょうか?それでも十分、立っているだけで如何わしいセクシーな薔薇の精でした。しなやかで力強い肉体は、決して崩れることなく、跳躍でも回転でもとても綺麗なフォルムを創り出します。しっかりと床を捉えた着地は、とても柔らかくて無音。少女の夢に現れる薔薇の精は、本当にこんな感じなのかもしれないと思いました。表向きは颯爽と軽やかだけど、実はそこはかとなく力強くてセクシーで男性的。そして、あのコルプの透き通るようなブルーの瞳が、ウットリと遠くを見つめる瞬間に、完全にやられました。少女が座っていた椅子の向こうで、客席に背を向けて立っているだけで、只者ではない雰囲気がプンプンしてましたね〜。

◆ 『タリスマン』パ・ド・ドゥ<10分>
音楽:リッカルド・ドリゴ
振付:マリウス・プティパ

エカテリーナ・オスモールキナミハイル・ロブーヒン

サポートのミスがあって、女性が転びそうになってしまいました。すぐに立て直したけど、その後もオスモールキナは緊張の面持ちで、ポワントのところがドゥミ・ポワントになってしまったりと、見ていて可哀想になってしまった…。でも、そこはきちんと持ち直して、終盤のフェッテのころでは落ち着きを取り戻していました。オスモールキナはとてもキラキラしていて可愛らしく、踊りも派手さはないけど端正でハッキリしていて私は好きでした。ロブーヒンはテクニックも申し分ないし丁寧に踊っていたんだけど、私的にはやや印象が薄め。

◆ 『ロミオとジュリエット』バルコニーの場<10分>
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:レオニード・ラヴロフスキー

イリーナ・ゴールプウラジーミル・シクリャーロフ

とっても楽しみにしていたシクリャーロフのロミオだったんですが、サポートがヘナヘナでした〜。もうヒヤヒヤしちゃって大変でしたよ、、、。リフトが全然低いしね…。踊りは決して悪くないので、サポートがしっかり出来るようになるといいな〜。いや、悪く書いているようですが、私はシクリャーロフはとても気に入ってるんですよ〜。それにしても、ジャンプは高いし足はよく開くし、若々しくて伸びやかな踊りは見ていて清々しいですね。
イリーナ・ゴールプは、とても健康的な感じの女の子で愛らしく、既に貫禄というか「自分」を持って踊っている感じがしました。シクリャーロフのサポートにも負けずに軽やかに踊ってくれて、踊りも安定している印象。

◆ 『グラン・パ・クラシック』(オーベールのパ・ド・ドゥ)<8分>
音楽:ダニエル・オーベール
振付:ヴィクトール・グゾフスキー

ヴィクトリア・テリョーシキナレオニード・サラファーノフ

テリョーシキナもサラファーノフも本当に身体能力が高くて、安定した思い切りの良いテクニックを十分に堪能させてくれました。サラファーノフには、ただ身体能力が高いだけじゃない、天性の軽やかさがありますよね。羽でも生えてるんじゃないかと思うくらい軽やか。テリョーシキナもテクニックだけじゃなく、華やかさを備えた貫禄が既に滲み出ていて、キラキラと輝いていました。お顔がちょっと恐い系だけど(すみません…)、それもあまり気にならないですね〜。2人ともガラでは明るくてガンガン踊るものが多かったので、やっぱり彼らの『白鳥』も見たかったなぁと思いました。

◆ 『眠れる森の美女』第1幕のアダージオ<7分>
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ/改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ

ディアナ・ヴィシニョーワ

ピンクのクラシックチュチュの衣装を着たヴィシニョーワはとっても可愛らしかったです。お姫様然としたオーラも最高。途中でトウシューズの踵を直す場面がありまして、大丈夫だろうかとちょっとヒヤヒヤしながら見てしまいました。4人の王子の肩に順番に手を着いてアラベスク(?)するところで、最後の王子のときに振りを省略して直していました。みんなの不安をよそに、ヴィシニョーワの踊りはまったく危なげなく進行したけど。ヴィシのオーロラは好かったんだけど、四人の王子がどうも私としては頼りなくて、勿体無かったなと思ってしまった。サポートされてピルエットするところで、ヴィシの軸が傾くんだもの〜。

◆ 『パヴロワとチェケッティ』<8分>
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ジョン・ノイマイヤー

ウリヤーナ・ロパートキナイーゴリ・コルプ

実は、この日一番楽しみにしていた演目。素晴らしかったです!耳慣れた『眠れる森の美女』の音楽の中、何とも言えない幸福な時間が流れていきました。すべての動きが優雅と気品に彩られたロパートキナのパヴロワは、本当に溜息が出るほど美しくて、その柔らかさ優しさに涙が出そうでした。パヴロワを見つめ、時々指示を出したり手を取ったりするチェケッティ。花柄のベストにお髭のよく似合うコルプが、また素敵!言葉を交わさずとも、瞳を交わせばすべてが分かり合えるような、2人の間に静かに流れる信頼関係の絆が目に見えるようでした。それを作品として昇華させたノイマイヤーの才能と、余すところなく表現してくれたロパートキナとコルプに、感謝せずに入られませんでした。2人が次第に心を溶け合わせ、得も言われぬ高揚感に満たされていく。胸がいっぱいになりました。こんな作品を創るなんて、ノイマイヤーも憎いですよね〜。
カーテンコールでもコルプは役に入ったまま。レベランスするロパートキナを食い入るように見つめて、手を顎に持っていき、「う〜む、素晴らしい」というような小芝居をずっと続けていました。コルプ、最高でしたよ〜。

◆ 『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』<10分>
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン

オレシア・ノーヴィコワアンドリアン・ファジェーエフ

ファジェーエフはキラキラしたオーラがあって、とっても好かったんですが、ややお疲れ?な印象がありました。いや、十分申し分ない踊りだったんですけど、もっと華やかな人だと思うからさ〜。ノーヴィコワは悪くないんだけど、やや華がないような気がしました。ゆったりと踊る印象で、大人っぽいというか、落ち着いたチャイパドになっていたように思います。ノーヴィコワは、ヴァリエーションになるとちょっとバタバタして、音楽に着いていくので精一杯な感じもしちゃったな、、、。

ここで一旦カーテンコール。2部に登場したダンサーたちが出てきました。コルプがチェケッティのままロパートキナと登場してしまったせいか、ダリア・スホルーコワだけいませんでした。女性陣が一歩前へ出ている中で、ノーヴィコワだけ一歩下がったところにいて、控えめな人だな〜と思っていたんですが、あそこで前に出ちゃうとヴィシニョーワとロパートキナの間になっちゃうのよね。あれは出られないかもね〜。パートナー無しで登場したヴィシニョーワを、サラファーノフがちゃんとエスコート。素晴らしい〜!戻るときも手を出したけど気が付いてもらえませんでした。

◆ 『エチュード』<45分>
音楽:カール・チェルニー/編曲:クヌドーゲ・リーサゲル
振付:ハラルド・ランダー

アリーナ・ソーモワレオニード・サラファーノフウラジーミル・シクリャーロフ

マリインスキーの底力を見ました。すごい勢いとテンションとエネルギーで最後まで見せてくれた。最後の大団円の迫力は、本当に格好良かったなぁと。良い作品を最後に持ってきてくれましたね。ジュテで交差するところなんかは、ちょっと間隔が揃っていなかったり、開脚度が低かったりと、気になるところが無くはなかったんですが。
シクリャーロフも好かったです。サポートはやっぱりやや不安定なんだけど、ヴァリエーションは伸びやかで好いですね。彼はジャンプが高くて、軽やかというのとはちょっと違うけど独特の浮遊感があって、見ていてとても気持ちが良いです。細かいところはもっと頑張ってほしいシクリャーロフですが、それでもやっぱり先が楽しみなダンサーでした。彼を見ていると、若いって素晴らしいなと思いますよね。
サラファーノフはこれでもかと綺麗なテクニックを見せてくれました。「どうだ!」っていう、これ見よがしなところがないのがいいですよね〜。雑さもないし。事も無げに軽やかに踊って見せてくれる。圧巻でした。本当に天性の軽やかさがある人ですね。
アリーナ・ソーモワはほっそりとしていて、長い手足も印象的。でも、儚げというのとは違って、わりとバシバシ踊るタイプでしたね。はっきりとしたステップで、舞台を滑るように踊るのが印象的でした。ジュテが高くて好かったです。コール・ドのダンサーのジュテと、歴然と差がありました。フォルムが綺麗かと言われると、そういう訳でもないんだけど…。
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2006年12月08日

ベジャールのくるみ、2日目。

今日は東京バレエ団、ベジャールの『くるみ割り人形』の2日目に行ってまいりました。とっても楽しかったです〜♪ 2日目で少し落ち着いたのか、昨日感じたバタつきも今日はなかったし、初役の皆さんも本当に好かったし、どっぷりとベジャールのくるみの世界に浸ることができました。まあ、見る側の体調や気持ち的なものもあると思いますが、とにかく帰り道はくるみの音楽がグ〜ルグルと頭を回っておりました。

何十回、何百回という練習やリハーサルを重ねても、1回の本番には敵わないと言われるけど、本当にその通りなんですね。そういう意味では、初役を2日目に持ってくるのは良い考えかもしれない。でも、勿体無いですね。折角ここまで良い感じに仕上がったのに、また次は何年後かわからないなんて…。せめて今回初役を踊ったダンサーたちが、もう1度か2度くらい、同じ役を深めるチャンスがあるといいんだけど。中島さんがバリバリ踊れるうちに、是非再演を!…って、中島さんの心配はまだ早いですよね。彼のM...役が今回で終わるのだけは絶対に避けてほしい。『白鳥の湖』のように頻繁に上演してくれとは言わないまでも、もう少し定期的に上演してくれたら、もっと上の完成度を保つことができるのにと思うと、少し残念です。私はベジャールファンなので、古典の『くるみ』と交互に上演してくれても嬉しいんですけど、それは無理でしょうね…。そういえば、去年はギエムとのツアーがあったので『くるみ』は上演してないんですよね。

高木綾さんの母役がとっても好かった。今日は彼女に泣かされたようなものです。吉岡さんの母は、この世のものではない美しさがあって、まさに少年の心の中で女神となった神秘的で巨大なマリア像のイメージそのままなんだけど、高木さんの母は本当にお母さんのよう。暖かくて優しくて涙が出ました。吉岡さんより適度にお肉が付いているので(それでももちろん細いですけど)、肌色のユニタードを綺麗に着ていましたね。そして、氷室さんのビムが本当に子どもみたいで泣けるんだわ、、、。愛おしいビムでした。彼のビムもとても好かったです。
松下さんの猫のフェリックスも最高。彼は『真夏の夜の夢』のパックもとても好かったし、次は是非4月の『白鳥』で道化を披露してほしいですね。得難いキャラクターだわ。軽やかで、回転系が特に得意なようです。そして何よりチャーミング。

そしてそして、木村さんのパリですよ〜! もう最高でした。格好良いのなんのって♪ あの衣装も似合うし、何より帽子が素敵です〜。そういえば木村さん、中国の役人の帽子も似合ってましたよね。ところが、帽子を取ったら今日は七三分け!!素敵じゃん、七三分けも! パリのときだけ、怪しいくらいオペラグラスで見ちゃいました。もちろん踊りもとても好かったです。すっかり自分のものにしていました。やはり慣れていない社交ダンスのステップは難しいのかしら?2人が向かい合って組むところは、少しぎこちなかったですね(平野さんも木村さんも)。腰が不安定というか、、、。木村さんはパリでも腕が柔らかくて綺麗で、大きな手のひらはいつ見ても色気がある。いや〜、木村さんのパリ、名演でした。天晴れ!

他にも色々書きたいことはあるんですが、これ以上書くと止まらないのでこの辺で。

今日も席番によるクリスマスプレゼントの抽選がありましたが、もちろん当たりません。コメントで教えて頂いたんですが(ありがとうございます!)、昨日の終演後、上野さんとジョゼの『白鳥の湖』のDVDが売っていたということでしたので、今日は会場に入って早速チェック。買ってきました♪ 今見ながら書いてます。

余談ですが、今日は会場で後藤和雄さんをお見かけしました。素敵だった…。やっぱりまた踊るところが見たいわ、、。和雄さんのフェリックスって、どんなだったんでしょう。見てみたかったな〜。

■十市さんの日記も東バの『くるみ』の話題です。 → こちら
来週からは『中国の不思議な役人』のリハーサルに入るそうですよ〜。
■東京バレエ団News Blogより。産経新聞のENAKというところで、首藤さんと中島さんのインタビュー記事が読めます。
こちら
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2006年12月07日

スターダンサーズ・バレエ団『トリプル・ビル』12月3日

スターダンサーズ・バレエ団『トリプル・ビル』の感想をやっと書きました。私が行ったのは2日目、12月3日(日)の公演です。
空席がチラホラあって勿体無かったですね〜。なかなか良い公演だったと思います。スタダンでなければ組めないプログラムだし。

スターダンサーズ・バレエ団 2006年12月公演
『トリプル・ビル』
2006年12月3日(日)14:00 ゆうぽうと簡易保険ホール


『Approximate Sonata』(日本初演)
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:トム・ヴィレムス/歌:パンプキン(トリッキー)
ステージ/照明:ウィリアム・フォーサイス
衣装:スティーブン・ギャラウェイ
振付指導:ステファニー・アーンツ、アントニー・リッツィ
【初演:1996年1月20日 フランクフルト・バレエ団】

小山恵美、新田知洋
丸山香織、橋口晋策
小平浩子、福原大介
福島昌美、大野大輔

一応今回の私のお目当ては、日本で唯一フォーサイスの上演を許されているというスタダンの『アプロクシメイト・ソナタ』です。基本は4組の男女によるパ・ド・ドゥ。使用曲は決められておらず、本番にピアニストが何を弾くかわからない状態でスタートする、即興を含む作品です。コンテンポラリーがあまり得意ではない私でも(嫌いではないんですが)、最後まで面白く見ることができました。見るのが得意じゃないと言うよりは、感想を書くのが苦手なんだと思います。でも、私としては楽しめたので満足。どの辺りが即興で、どの辺りが振付どおりなのか、私にははっきりとは判別できなかったんだけど、2人の人間が作り出す動きがどれもとても面白くて、飽きませんでしたね〜。一番好かったのは、小山恵美さんと新田知洋さんのペア。身体が解放されて、生き生きと自分たちの動きを作り出しているのが感じられました。なんて言うんでしょう、コンテンポラリーを踊ると身体が生き生きとするダンサーっていると思うんですよね。逆に、「頑張ってコンテンポラリー踊ってます」というふうになってしまうダンサーもいる。小山さんはフランクフルトに留学していたそうで、しかも留学時に初演している作品だということもあって、やはり慣れているというか、違和感をまったく感じさず、別格の踊りでした。新田さんもとても生き生きと踊っていて印象的。あとは福島昌美さんが好かったです。

『リラの園』
振付:アントニー・チューダー
音楽:エルネスト・ショーソン(詩曲)
装置:眞木小太郎
衣装:ヒュー・スチブンソン
振付指導:サリー・ウィルソン
【初演:1936年1月26日ロンドン Mercury Theatre
スターダンサーズ・バレエ団による初演:1967年10月20日】

カロライン:小池知子
その愛人:福原大介
カロラインの婚約者:東秀昭
彼の過去の女:天木真那美
友だちと親戚:
新井千佳、佐藤万里絵、大岡直美、中里みゆき
橋口晋策、大野大輔、小濱孝夫、友杉洋之

時はエドワード王時代の1900年代。場面はリラの花咲く月明かりの庭。カロラインのお別れパーティー。彼女は強いられた結婚のために、愛してもいない男のもとへ嫁がなければならない。パーティにはカロラインの恋人、婚約者、その婚約者の過去の愛人も来ている。という物語らしい。劇的な展開がある訳ではなく、こんもりとリラに囲まれた薄明かりの庭で、それぞれの心理が交差していきます。

とてもいい作品だなと思いました。ダンサーたちもそれぞれに頑張っていて、好印象。ただ、ちょっと感情面は弱い気もしました。初めて見る作品なので何とも言えないんですが、おそらくこの作品は情熱的な表現に大感動するというより、抑えられた感情がじわじわと胸に迫って、もどかしさややるせなさにしみじみ感動するような作品じゃないかと思うんですよね。それは、下手をすると坦々とした印象になり兼ねない。スタダンの皆さんは概ね好かったんですが、もう少し胸に迫るものがあるともっと好かったなと思いました。
カロラインの小池知子さんはとても好かったです。ほっそりとした体のラインがとても綺麗で雄弁。しっとりとした女性らしいラインは、物語の世界観にとても合っていました。婚約者の東秀昭さんは、踊りは少ないんだけど存在感があって好かった。福原さんは、私的には一番印象が薄かったです。決して悪くはないんですけど、気が付くと目が追っていない、、、。感情面であまり訴えかけるものがなかったので、ノーマルな印象。甘い雰囲気は、ヒロインが思いを寄せている若者にピッタリでした。

『スコッチ・シンフォニー』
振付:ジョージ・バランシン
音楽:F・メンデルスゾーン「交響曲第3番 スコットランド」
振付指導:ベン・ヒューズ
【初演:1952年11月11日
スターダンサーズ・バレエ団による初演:1988年6月27日】

林ゆりえ、新村純一
松坂理里子
新田知洋、大野大輔
厚木彩、岩崎祥子、糸井千加子、三倉加奈
中里みゆき、黒田美菜子、・敍狡纏辧・彿歸直・換・
橋口晋策、友杉洋之、小濱孝夫、王益東、川島治、鴻巣明史

これもバランシンなんだ〜という感じの作品。男性は全員キルト。新村さんだけ黒の上衣に黒タイツ、赤いタータンチェックの布をウエストと、肩から腰に斜めに掛けています(上手く言えないんですけど、、、)。女性はロマンチックチュチュ。ストーリーはないけど、なんとなく役割はあります。
林ゆりえさんは、8月の『くるみ』で見たときほど伸びやかではなかったけど、しっかり踊り切ったと思います。やっぱりバランシンをメインで踊るのは、クララのときとはだいぶ違うのかもしれないですね。でも、あの歳で(確か18歳くらい?)あれだけ踊ってくれれば、先が楽しみではあります。「バランシンぽくない」と思うような変なアクセントも感じなかったし、丁寧に踊っていたと思います。新村さんもとても好かったです〜。エレガントで踊りの隅々まで丁寧。どこか暗い魅力があるところも素敵(褒めてます)。女性で唯一キルトの衣装を着ていた松坂さんは、とっても小柄で、最初に登場したときは子役が出てきたのかと思ってしまいました(すみません…)。それにしては踊りが達者だなと思ってよく見たら、松坂さんだった。軽やかで可愛らしかったです。男性では新田さんが素敵でした。
子供たちも結構来てたし、何も考えずに素直に楽しみやすい作品だったとは思うけど、バランシンを見たという感じはしなかったかも、、、。やけに和風のバランシンでした。『リラの園』とかはそんなに和風に感じなかったんだけど。
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2006年12月03日

マリインスキー・バレエ『ロパートキナのすべて』

11月30日、マリインスキー・バレエ『ロパートキナのすべて』を見てまいりました。
(ロパートキナ以外の感想を「続きを読む」に追記しました。)

マリインスキー・バレエ『ロパートキナのすべて』
2006年11月30日(木) 東京文化会館

指揮:アレクサンドル・ポリャニチコ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団

『パキータ』<40分>
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ

パキータ:ウリヤーナ・ロパートキナ
ルシアン:ダニーラ・コルスンツェフ
ソリスト:
エカテリーナ・オスモールキナ
ソフィア・グーメロワ
スヴェトラーナ・イワーノワ
ダリア・パヴレンコ
ヴィクトリア・テリョーシキナ

『ライモンダ』<45分>
音楽:アレクサンドル・グラズノーフ
振付:マリウス・プティパ/改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ

ライモンダ:ウリヤーナ・ロパートキナ
ジャン・ド・ブリエンヌ:エフゲニー・イワンチェンコ
マズルカ:エレーナ・バジョーノワ、フョードル・ロプホーフ
ハンガリーの踊り:ポリーナ・ラッサーディナ、イスロム・バイムラードフ
ヴァリエーション:イリーナ・ゴールプ
グラン・パ:
ヤナ・セーリナ、スヴェトラーナ・イワーノワ
エレーナ・ワシューコヴィチ、オリガ・アクマートワ
アントン・ピーモノフ、グリゴリー・ポポフ
アレクセイ・ネドヴィガ、ウラジーミル・シクリャローフ
クセーニャ・オストレイコーフスカヤ、ヴィクトリア・クテーポワ
ダリア・スホルーコワ、エカテリーナ・コンダウーロワ
アレクサンドル・セルゲーエフ、アレクサンドル・クリーモフ
デニス・フィールソフ、マキシム・チャシチェゴーロフ

『ダイヤモンド』<35分>
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(交響曲第3番 第2楽章〜第5楽章)
振付:ジョージ・バランシン

ロパートキナを見るのは初めて。感動の3時間でした。本当に美しくて優雅で気品があって、その揺るぎない存在と踊りのすべてが奇跡のようでした。クールビューティで凛とした魅力がありながら、冷たさは全くありませんでした。むしろとても暖かな印象。ヴィシニョーワの強烈な光を放つ個性とは対照的に、優しい白色の光が彼女の輪郭をポウッと照らしているんです。彼女が内側から光を発しているみたいに、彼女の周りだけ光に包まれていました。そして、魔法みたいに足音がしない。彼女だけ柔らかい絨毯の上を歩いているみたいで、それがまた夢のような気分に拍車をかけました。

ロパートキナが登場するとパッと舞台が明るくなります。柔らかくて明るい、清潔感のある空気に包まれて、良い意味で舞台全体に緊張感が出る。グッと引き締まるのを感じました。気のせいかもしれないけど、『ヴィシニョーワのすべて』よりもコールドに良い緊張感があったように思います。

すべての動きが完全にコントロールされて、神経の行き届いた踊りは本当に清々しい。明瞭で揺るぎないテクニック。でも、彼女の踊りを見ても、いわゆるテクニックには目が行かないんです。それよりも足の運びの優雅さ、つま先の心地良い位置、腕の美しさ、その描くライン、そして音のとり方、絶妙な緩急。そう、本当に腕が美しかったです。細くて長い腕の雄弁なこと。明確でありながら、何ともまろやか。本当に見とれてしまいました。彼女の緩急の付け方もとても好きでした。適度な溜めと、その後のパや振りへの滑るような移行。彼女ならではの完璧な絶妙さで、虜になる心地良さでした。
笑顔もとても素敵でしたね〜。あれは『ライモンダ』だったかしら?舞台の前方から、後ろにいるコルスンツェフの方へ振り返って走り寄るときに、こちらへ表情を残していくんですね(上手く説明できない…)。あのときの笑顔が何とも優しくてね〜。とっても可愛いんです。

え〜と、いくらこねくり回してもうまく書けた気がしません…。ただ、彼女が本当に一握りの選ばれた人間なんだ感じたんです。世の中には、こんな人間もいるんだな〜と深く思いました。

演目はどれも素晴らしくて、この3演目を選んでくれたことに感謝せずにいられませんでしたね〜。彼女的には(ヴィシニョーワも同じだと思いますが)、全幕踊るのと同じくらい、もしかしたらそれ以上に大変だったかもしれないですね。

『パキータ』も『ライモンダ』も素敵だったんですが、『ダイヤモンド』には感激でした。そんなに多くこの演目を見ている訳ではないんですが、「これが『ダイヤモンド』なんだ!」と思った。バランシンが創り出した世界は、正しくこれだったんだと。ストーリーのないバレエを踊るということ(見るということ)は、こういうことだったんだと思ったら、感動で胸がいっぱいになりました。そういうこと抜きに、今目の前にある美に感動した訳なんですが、その目の前にある美にただ感動できるという幸せに、本当に胸がいっぱいになったんです。今、舞台にいる1人の女性がその美を生み出している瞬間の、なんという永遠! この日の舞台を見ることができたことに、感謝せずにはいられませんでした。

続きを読む → ロパートキナ以外の感想はこちらで。
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2006年12月02日

マリインスキー・バレエ『ヴィシニョーワのすべて』

11月29日、マリインスキー・バレエ東京公演の初日『ヴィシニョーワのすべて』へ行ってまいりました。
パ・ド・ドゥや小品を並べたガラ公演とは違って、『シンデレラ』第2幕より<40分>、『バヤデルカ』第2幕<40分>、『ルビー』<20分>という見応えのある公演。しかも、自分のガラに自分で選んだ演目だけあって(まあ、彼女1人で決定したんじゃないだろうけども)、ヴィシニョーワは文句無く素敵でした。そしてなんと言っても最高だったのはコルプですよ〜。またやってくれましたね。次はどんな姿を見せてくれるんだろうかと楽しみになるダンサーです。見てしまうと、もっと見たくなる。それから、テリョーシキナもとても好かったです。いまいち印象に残らなかったソリスト陣の中で、頭一つ飛び抜けた感がありました。女性陣がスラッと長身でスタイルが良く、美人揃いなことには3年振りにやっぱり驚きました。足が細くて綺麗〜。ダンスマガジンのインタビューを読んで、その可愛いお顔が記憶に残っていたウラジーミル・シクリャローフが、やっぱり可愛かった。踊りもとても好かったです。

マリインスキー・バレエ『ヴィシニョーワのすべて』
2006年11月29日(水)18:30 東京文化会館


指揮:アレクサンドル・ポリャニチコ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団
ピアノ(ルビー):リュドミラ・スヴェシニコワ

『シンデレラ』第2幕より音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:アレクセイ・ラトマンスキー

シンデレラ:ディアナ・ヴィシニョーワ
王子:イーゴリ・コルプ
継母:エカテリーナ・コンダウーロワ
フディシカ(シンデレラの義姉):タチヤーナ・バジートワ
クブィシカ(シンデレラの義姉):ヴィクトリア・テリョーシキナ
妖精:エカテリーナ・オスモールキナ
ダンス教師:エカテリーナ・オスモールキナ、イスロム・バイムラードフ
四季の精
春:フェードル・ムラーショフ
夏:アントン・ピーモノフ
秋:マキシム・ジュージン
冬:ドミートリー・プハチョーフ

『バヤデルカ』第2幕
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
改訂振付:ウラジーミル・ポノマリョーフ、ワフタング・チャブキアニ

ニキヤ:ディアナ・ヴィシニョーワ
ソロル:レオニード・サラファーノフ
ガムザッティ:ヴィクトリア・テリョーシキナ
ドゥグマンタ:ピョートル・スタシューナス
大僧正:ウラジーミル・ポノマリョーフ
トロラグワ:アンドレイ・ヤーコヴレフ
舞姫たち:
イリーナ・ゴールプ、オレシア・ノーヴィコワ
ヤナ・セーリナ、スヴェトラーナ・イワーノワ
グラン・パ・クラシック:
クセーニャ・オストレイコーフスカヤ、ダリア・スホルーコワ
ヴィクトリア・クテーポワ、エカテリーナ・コンダウーロワ
ドミートリー・プィハチョーフ、アレクサンドル・クリーモフ
金の仏像:ウラジーミル・シクリャローフ
インドの踊り:ガリーナ・ラフマーノワ、イスロム・バイムラードフ、グリゴリー・ポポフ
子供たち:鈴木優、鈴木舞

『ルビー』
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー(ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ)
振付:ジョージ・バランシン

ディアナ・ヴィシニョーワ
アンドリアン・ファジェーエフ
ソフィア・グーメロワ
アレクセイ・ニェドヴィーガ
アントン・ピーモノフ
マクシム・フレプトーフ
フェードル・ムラショーフ

『シンデレラ』
懐かしかったです。そうそう、こんなだったよなと。ラトマンスキーの『シンデレラ』は3年前の日本公演で見ました。そのときはヴィシニョーワとメルクリエフ。そう、私がメルクリエフに落ちた記念すべき公演です。ラトマンスキーの『シンデレラ』は衣装は好きですが、振付はまあまあかな。変わった動きがあって、ちょっと面白いですけど。舞踏会の女性の衣装がとても綺麗なんですが、3年前と同様、女性陣がスラッと長身で美人なことに感心してしまいました。肘を横に張ってウエストをひねる動きはちょっと可愛い。
コルプが最高に面白かったです。面白いって変な感想ですけど、本当に面白かったの。王子なのに、真っ白な衣装着てるのに、悪い人にしか見えないんですよ〜。もしくは遊び人。踊りはとっても力強くて、しなやか。あの、力強さとしなやかさの見事なバランスが素晴らしかった。一見悪い人に見えたコルプの王子ですが、その後のシンデレラとのパ・ド・ドゥを見たら、そうじゃなかったんだと思えてきました。2人のパ・ド・ドゥは、そりゃあもうウットリと幸福感漂うものだったんだけど、シンデレラがいまだ夢見心地なのに対して、王子はもっと切実というか、やっと見つけた自分の心の隙間を埋めてくれるものを、切実に求めている感じがしたんです。あの一見遊び人のようで、人にも物事にも真面目に取り合わない斜に構えた感じは(ゆるい口元は演技じゃないのよね)、心を満たすものがない王子の、いつの間にか癖になってしまった防御策だったのではないかしら。と、色々考えて、王子に感情移入して見てしまったんですが、そういうことを一切抜きにしても、あの風貌だけで十分悪い人っぽかったですけどね〜。コルプが踊ると、ラトマンスキーの『シンデレラ』というより、コルプの『シンデレラ』になっちゃうところが面白かったです。褒めてます、もちろん。本当に格好よかったのよ〜。ラトマンスキーの『シンデレラ』は特にまた見たいとは思わないけど、コルプが踊ってくれるなら是非見たい!
ヴィシニョーワは最初に見た瞬間、「可愛い」と思いました。いつもは「美しい」と思うことが多いんだけど。少女のように目を輝かせて、好奇心もたっぷり。本当に可愛かったです。そうなることが決まっていたかのように、すんなりと恋に落ちていく。恋に恋する、まだ少女のようなシンデレラに、ヴィシニョーワの伸びやかな踊りがとてもよくあっていて秀逸でした。
ヴィシとコルプのペアって、確か私は初めてだったと思うんですが、二人のパートナーシップはとても好かったです。力強さとしなやかさが似ている。そして、独特の粘りがあるというか。あの粘着気質なところも合っていました(褒めてます)。どちらかが一歩引いてしまわない。それでいてお互いの個性を消してしまわない。いいペアでした。

『バヤデルカ』
私は初サラファーノフだと思います。とても細くて華奢な方なのですね〜。お顔は写真で見るより綺麗だと思いました。とにかくジャンプが高い!そして軽い!まるで苦も無く跳んでいるかのようで、見ていて気持ちが良かったです。ただ、ガムザッティと一緒に跳躍すると、高さとかフォルムがてんでバラバラになっちゃうのが残念。何かのインタビューでサラファーノフが、得意なのは技術を見せるものだと言っていたんですが、本当にその通りなんですね。跳んだり回ったりが得意なだけじゃなく、踊りに雑なところがなくて好かったです。若々しい伸びやかな踊りが印象的。
ガムザッティのテリョーシキナもテクニックが強い印象。とても身体能力の高い人なんですね〜。でもそれよりも印象的だったのは、その存在自体がキラキラと輝いていたことです。彼女が登場すると舞台がパッと明るくなるような気がする。イタリアン・フェッテが綺麗に決まって、その後の回転も◎。彼女には会場も大きな拍手を送っていました。
金の仏像のシクリャローフがとっても好かったです〜。ダンスマガジン7月号でインタビューに答えているんですが、まだ子どもみたいな可愛い顔してるんですよ。ところが、脱いだら超マッチョなのね。ベビーフェイスとアンバランスな逞しい身体に眩暈がした…。失礼しました…。サラファーノフのようなふんわり軽い跳躍ではないんだけど、重たい訳ではないんです。重量感のある身体がドサッと宙に浮いて、静かにスタッと着地するのは、見ていてとても気持ちが良かった。あのメイクをしても可愛い顔が判別できるのがすごいと思った。
2幕を丸ごと見られるので楽しかったし豪華だったんですが、肝心のヴィシニョーワの出番が少なめなのがやや残念。でも、2幕を踊るのは彼女自身の希望だったようですし、実際いい選択だったと思います。出番が少ないのは残念だけど、やっぱり私も2幕のヴィシニョーワの方が見たいかもしれない。そして最後に出てきた彼女の存在感は圧倒的です。しっとりと柔らかい上体は官能的ですらあって、バヤデルカがこんなにセクシーでいいのか、、、?という疑問はさて置き、その強い存在感と揺るぎない踊りは感動的。全身で泣いているかのような彼女の踊りに惹き込まれました。
なんとなく、ソロルとニキヤのドラマは噛み合っていないような気もしました。ニキヤが手にした解毒剤を落とすところも、ソロルのどの演技に反応したのか分かり辛い。いや、わかるんですけど、なんか響いてこなかったというか…。倒れたニキヤをソロルが抱きかかえて嘆く幕切れは、ちょっと慌しくて感動が薄れてしまった、、、。テリョーシキナのガムザッティはいい演技してたと思います〜。気位が高いお嬢様なんだけど、可愛らしくて憎めないところもある。嘆くソロルを冷ややかな横目で睨むんだけど、耐え切れずに父親にスッと手を差し出すのが可愛かった。

『ルビー』
全編は初めて見ました。去年の『エトワール・ガラ』でパリ・オペのエレオノーラ・アバニャートとバンジャマン・ペッシュがオープニングでパ・ド・ドゥを踊ったときは、悪くないんだけどオープニングに持ってくるには華がないなと思ったんですが、ヴィシニョーワの「ルビー」はとっても華やかでした。本当に、強烈な光を放っていた。バレエフェスでは「ダイヤモンド」を踊った彼女ですが、やっぱり「ルビー」が彼女の十八番であることは間違いないかもしれないですね。「ダイヤモンド」も私は好きですけど。とにかく格好良い。完璧なフォルムとテクニックで、バシバシ踊るヴィシニョーワは、水を得た魚のようでした。
パートナーのファジェーエフがまたとってもキュート!ヴィシニョーワとタイプは違うけど、彼も「ルビー」を魅力的に踊りますね。ちょっとコミカルな動きとかが本当に可愛いの。彼の甘い雰囲気はやっぱり素敵です。
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2006年11月26日

Kバレエカンパニー『二羽の鳩/三人姉妹』

少し遅くなりましたがKバレエの感想を書きました。

K-BALLET COMPANY Winter Tour 2006
『三人姉妹』『二羽の鳩
2006年11月14日(火)18:30 Bunkamuraオーチャードホール


『二羽の鳩』
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:アンドレ・メサジェ
見術:ジャック・デュポン

少女:吉田都
少年:輪島拓也
ジプシーの少女:松岡梨絵
愛人:ドゥ・ハイ
ジプシーの少年:アレクサンドル・ブーベル

友人:長田佳世、神戸里奈、小林絹恵、東野泰子、副智美
柴田有紀、中島郁美、中谷友香
ジプシー達/観光客:K-BALLET COMPANY ARTISTS

『三人姉妹』
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー
編曲/ピアノ:フィリップ・ギャモン
美術:ピーター・ファーマー

オリガ:松岡梨絵
マーシャ:ヴィヴィアナ・デュランテ
イリーナ:荒井祐子
ヴェルシーニン中佐:熊川哲也
クールギン(マーシャの夫):スチュアート・キャシディ
トゥーゼンバッハ:輪島拓也
ソリョーヌイ:芳賀望
アンドレイ・プローゾロフ(兄弟):ドゥ・ハイ
ナターシャ(アンドレイの妻):長田佳世
軍医チェプトゥイキン:イアン・ウェップ
アンフィーサ(乳母):高橋佳子
メイド:中島郁美
兵士:橋本直樹、田中一也、リッキー・ベルトーニ、ピョートル・コプカ

指揮:磯部省吾
演奏:Kバレエ シアターオーケストラ

14日に行ってまいりました。初Kバレエです。
見てもいないくせに熊川さんが苦手で避けていたカンパニーなんですが、吉田都さんが出演するということで、初めて一歩を踏み出した訳です。一言で言うなら、そんなに嫌いじゃなかった。熊川さんの踊り自体は、はっきり言ってあまりタイプではないです。でもやっぱりテクニックはすごい。大きな跳躍では着地がドスンドスンすごかったけど、回転は速いし軸は綺麗だしたくさん回るし、なるほど〜と思いました。
彼の踊りはタイプではないけど、でも踊る姿からは、バレエを好きで大切にしている気持ちが伝わってきたんです。私が思っていた程、「俺様」だけの人ではないのね。確かにそういう部分もあるんだろうけど、それさえも「愛すべき俺様」に思えてきました。カーテンコールでも独特の雰囲気がありますよね〜。そう、「独特」な人でした。そんなに嫌な感じはしなかったなぁ。むしろ面白かった。最後の最後に、やっと笑顔がこぼれたんですが、「あ、笑ってくれた♪」と思ってしまった自分がいた…。かと言って、じゃあまた熊川さん目当てで行くかと言うと、多分行かないと思う。チケットがもっと普通の値段だったら、時々は見たいかもしれません。
カンパニーとしては、どうもやっぱり女性が強い印象がありました。男性陣のコールドがちょっと物足りなかったです。あまり揃ってないし、よく見るとあまり踊れていないような気が…。皆さんパワフルでしたけど。とても好かったのは、女性も男性も足音が静かだったこと。
熊川さんを中心に、良いものを作っていくんだという気持ちが満ちている感じがして、なかなか良いカンパニーだなと思いました。ただ、やっぱり今のレベルではあのチケット代は高いですよね。って、またお金の話で申し訳ないんですが…。でも、Kバレエはこの価格を維持するんでしょうね。バレエはこういうものなんだという熊川さんの主張なのかもしれないと思いました。これくらいのお金を出す芸術なんだという。カンパニーがそのレベルに達しているかどうかは別として、、、。

『二羽の鳩』
この作品を見るのは初めてでした。いい作品ですね。都さんが可愛かった!そして、彼女の感情豊かな踊りに感激。クルクルとよく変わる少女の感情を、とても魅力的に踊っていたと思います。怒ったりすねたり、ムキになったりするところも可愛かったんだけど、少年に「行かないで」と懇願する場面や、少年が去ってしまった後の場面がとても好かったです。少女の悲しみが、見ている私の胸にもグッと迫ってくるのがわかる。そしてなんと言っても最後のパ・ド・ドゥがとっても素敵でした。『ア・ビアント』のときも思ったんですが、彼女の感情表現は丁寧で真っ直ぐで衒いがなくて、とても好きです。
それにしてもアシュトンの振付は大変そうだな〜と思う。都さんは難なく踊っていましたが。と言うか、大変さを感じさせなかった。他のダンサーは足捌きが大変そうに見えてしまう部分もありました。
パートナーの輪島拓也さんは、いつもお邪魔しているブログ「BALLET一色」のほみさんがご推薦ということで、楽しみにしていました。公演の前にチャコットに寄って、季刊誌(ですよね?)「DANCE MOVE」VOL.8をもらってきて輪島さんをチェック。輪島さんと松岡梨絵さんが表紙で、見開き1ページのインタビューが掲載されています。これは雰囲気がタイプだと認識。
で、実際の輪島さんは、素敵でした〜。踊りとサポートはまだちょっと不安な部分もあったんですが、エレガントで柔らかな雰囲気があって、なんだか期待できそう♪ おそらく若い方だと思うんですが、妙に落ち着いているというか、ギラギラしたところがないんですよね。そこが好きなんですけど。
松岡梨絵さんは、Kバレエがプッシュしているダンサーなんだという認識はあったんですが、もちろん見るのは初めて。ジプシーの娘という役柄は、私が勝手にイメージしていた彼女の雰囲気と違ったので驚きました。いい意味で押し出しが強そうなところが、いいじゃないですか〜。
ジプシーの男性陣に関しては、もっと頑張って〜という感じでした。ちょっと迫力不足。そのせいか、野営地の場面は少し長く感じてしまった。ジプシーの少年を踊ったアレクサンドル・ブーベルが好かったです。割と小柄だったので、キャラクターを踊る人なのかな?芝居も自然で上手だったし、軽やかでしなやかな踊りは見ていて気持ちが良かったです。
一番好かったのは、最後の少年と少女のパ・ド・ドゥですね〜。とても美しいパ・ド・ドゥでした。ちょっとジ〜ンとしちゃいました。私が見に行った日の鳩さん2羽は、ちょっと失敗してたのかしら…。少年が椅子の背もたれに止まらせた鳩さんは、途中で自ら椅子を下りて、テクテク歩いて上手に退場してしまいました。あれでいいの?最後に上手から2羽が放たれて、少年と少女の近くの床で仲良く寄り添っていましたが…。これは想像なんですが、本当は最初の1羽は椅子に止まったままで、そこへもう1羽が上手から飛んできて、仲良く椅子の背もたれに寄り添って幕、となるのではないでしょうか?まあ、本物の鳩さんだから、仕方ないですけどね。ん〜、正解が知りたい…。それにしても、何で本物の動物が出てくるとこんなに楽しいんでしょう?『ファラオの娘』で馬のケイコさんが登場したときもワクワクしちゃって、舞台そっち退け…。鳩も可愛かったな〜。

『三人姉妹』
この作品はとても好きなんですが、この日のKバレエの『三人姉妹』は、私としてはまあまあでした。
松岡/デュランテ/荒井の三人姉妹はとても好かったし、スチュアート・キャシディのクールギンもとても素敵だったし、輪島さんのトゥーゼンバッハも好かった。熊川さんは、ヴェルシーニン向きではないなぁとは思いましたが、熱演だったと思うし。何て言うんでしょう、、、各シーンがバラバラな印象があったんですよね。『三人姉妹』という作品全体を包み込む、と言うか作品に覆いかぶさる、何とも重苦しいあの閉鎖的な空気感が無かった。私の好きな決闘のシーンにも雰囲気がないし、最後に雪の中で三人が肩を寄せ合う場面も、舞い降りてきた雪に助けられた感有り。舞台に漂う行き場のない悲しみが感じられませんでした。案外カラッとした『三人姉妹』だったように思います。
そして、決定的に残念なのは、最後のマーシャとヴェルシーニンのパ・ド・ドゥにあまり心動かされなかったということです。二人の感情の迸りが私には感じられませんでした。2人のパートナーシップはとても良かったと思いますが。

松岡さんは化けますね〜。最初は「松岡さんがオリガって、イメージが違う…」と思ってたんですが、そんなことはありませんでした。素顔はとても可愛らしいし、古典の主役も映えるでしょうね。荒井さんのイリーナも意外に可愛らしくて好かったです(初めて見たくせに、失礼な言い方してすみません…)。どっちかって言うと、年齢的にも雰囲気的にも彼女がオリガで松岡さんがイリーナじゃないかと見る前は思ったんですが、違うんですね。輪島さんのトゥーゼンバッハがまた好くてね〜。髪をペッタリ撫で付けて、メガネをかけたモヤシくんが実によく合っていました(←褒めてます)。頼りないけど誠実そうで、結婚するならソリョーヌイより断然トゥーゼンバッハだよな〜と思いながら見ていました。驚きはスチュアート・キャシディのクールギン。とっても素敵だったんですよ〜。ダウエルで見ちゃってるから、こりゃ誰が踊るんだろ…と心配していたんですが、キャシディ・ブラボーでした。流石にちょっと若いクールギンでしたけど。

カーテンコールが何度も続きました。スタンディング・オベーションは妙に1階センターブロックに集中。あの辺りがファンクラブの席なのね、と思いながら見ていました。カーテンコールでも熊川さんは独特でしたね〜。なんか、「ふてぶてしいけど憎めない、ちょっと可愛い人」的なものなのかもしれない(←褒めてます)。ファンにはあれがたまらないのかもしれない、と思ったのでした。
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2006年11月24日

続・東京バレエ団『ドナウの娘』

東京バレエ団は次の海外公演に『ドナウの娘』を持って行くのでしょうか?ピエール・ラコットに振り付けてもらって、衣装・装置もすべて新調。ここまで時間とお金とその他にも色々かけたら、持って行かない訳がない気がします。他愛のないストーリーだけど、踊りが満載ということで、楽しんで頂けると良いな〜。

ストーリは他愛がないどころか、突っ込んだらきりがないという感じなんですが、まあそれは「お話」だし時代も違うからということで置いといて、私は結構楽しむことができました。好きなバレエ団じゃないと厳しいかもしれないですね。

木村さんを堪能しました。なかなか古典全幕を踊る機会は少ないですから。ベジャールを踊る木村さんも素敵ですけど、古典の主役は格別な喜びがあります。色々な木村さんを楽しませて頂きました。珍しいのは、やっぱり1幕のラブラブバカップルの木村さんですかね〜♪ あんなに溶けそうな笑顔や、スネる顔、フルールとヒシっと抱き合う姿や、極めつけの膝枕姿なんて、滅多に見られないから本当に幸せでした。そんなときでも、額にかかる黒髪がセクシーなんですよね。でもやっぱり素敵なのは、舞台の下手で1人、薬指の指輪を見つめてウットリしている姿とか、護衛に抑え付けられてもがく姿、2幕の冒頭で踊るソロとか、どちらかというとしっとり暗い系なんですよね〜。下手で指輪を見つめる姿なんて、幸せを噛み締めているはずなのに苦悩するジークフリートに見えてしまった。
ここ最近の木村さんの踊りは冴え渡っています。跳躍が本当に綺麗。高さと浮遊感があってフォルムが美しいです。着地も静かで、常に足音もほとんどしません。何より今回は、ラコットのあの過酷な足捌きを正確で美しく、クリアにこなしていて感動しました。
初めて東バを見たときから木村さんは好きだったけど、正直、年齢的にこれから下り坂なのかと思っていたんです(失礼なこと言ってすみません…)。実際、時々見るクラシックものはテクニックが不安なところも無くはなかったし。踊りの中にハッとするほど美しい瞬間と「惜しい!」という瞬間があって、勿体無いな〜と思っていつも見ていたんですが、その「惜しい!」の瞬間が無くなってきたんです。私が勝手に「これからが下り坂なのかな」と思ったのは大きな間違いで、私はまだ木村さんが完成される途中を見ていたのかもしれない。今この木村さんが来年のバジルを踊らないのが、やっぱり残念だと思ってしまいました。いつまで言ってても仕方のないことなんですけど、、、。

斎藤さんはやっぱり上手いなと思いました。好みが分かれる斎藤さんですが、私はわりと駄目じゃないんです。初役とは思えないほどすんなりと物語に馴染んでいるところが、斎藤さんのすごいところだなと。1幕の最後の方は体力が心配になりましたが、あの過酷なラコットの振付も難なく踊っているように踊ってくれたし。1幕の無邪気な(あれを一言で無邪気と言って良いのかは微妙ですが)フルールも好かったけど、2幕のオンディーヌになってからは流石と言うか、体力的には2幕のほうがキツイはずなのに、それを感じさせない生き生きとした存在感に脱帽。1幕の城のシーンも実に見事に演じていたなと。

意外にも吉岡&後藤ペアよりも、斎藤&木村ペアの方が恋人たちの熱々な感じが出ていたように思います(1幕)。見るまでは、斎藤さんと木村さんってあまり合わないんじゃないかと思っていたんですが、そうでもないんですね。吉岡さんと後藤さんは、若々しくて見目麗しいカップルでした。でも、初日の斎藤&木村の印象が強くて、私としてはやや薄味な印象が残ってしまった。
吉岡さんは城のシーンの演技も結構控えめ。ラコットの細かい足捌きはちょっと大変そうに見えるときもありました。後藤さんは、木村さんのシャープでクリアな踊りに対して、もっと輪郭の丸い甘やかな印象。時々ちょっと重たそうに見えるところもありましたが、すごく頑張っていて、彼も「惜しい!」の瞬間が本当に減ってきたよなと思いました。

パ・ド・サンクの4人がそれぞれに素敵で、嬉しくなりました。振付はそれぞれにハードそう。でも、皆さん優雅で可愛らしくて、見応えがありました。特に好きなのはやっぱり西村さんと小出さん。第3ヴァリエーションの西村さんは、胸のすくようなクリアな踊りを見せてくれました。複雑なステップも正確で丁寧、ごまかしがなくて余裕のある明快な踊り。そしてあの独特な優雅なオーラがとても好きです。小出さんの第4ヴァリエーションは、ゆっくりとしたテンポの優雅な踊り。難しそうなゆったりとしたテンポもしっかりと音を捉えて外さない、伸びやかで優雅な踊りにウットリでした。

男爵の中島さんは脚が綺麗!細くて、そしてシャープによく動くんですよ〜。丁寧に踊っているのが感じられて、とても好かったです。しつこいけどラコットの振付は、細かいステップがこれでもかこれでもかと続くんですが、中島さんは綺麗にこなしていました。もうちょっと背が高いか、身体がしっかりしていると、男爵らしい貫禄が出ると思うんですけどね〜。

井脇さんのドナウの女王は、優しい存在感でとっても素敵でした。彼女の笑顔って、可愛らしくて優しいんですよね〜。フワッと柔らかな踊りでニッコリ笑った瞬間、舞台の空気がパァ〜っと柔らかくなるような気がしました。ドナウの女王は踊りがやや少ないのが残念でした。田中結子さんが、またとっても好かったんですよ〜。嬉しい驚きでした。ドナウの女王のヴァリエーションでは気合の入った堂々たる踊りで、貫禄すら感じさせてくれました。細かいステップも軽快にこなして、清々しい踊りでした。健康的な明るさがあって好かったです。


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posted by uno at 02:53| Comment(6) | TrackBack(0) | バレエ公演2006 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする