2008年02月17日

バレエTAMA公演vol.20『ドン・キホーテ』2月3日

バレエTAMA公演vol.20 プティパの遺産vol.2
『ドン・キホーテ』<全幕>

2008年2月3日(日)16:30 ルネこだいら大ホール

音楽:レオン・ミンクス
原作:ミゲル・デ・セルバンテス
台本・原振付:マリウス・プティパ
演出・振付:淺野正
(アレクサンドル・ゴルスキー改訂版振付による)

【主な配役】

キトリ(ドゥルシネーア姫):島田衣子(井上バレエ団)
バジル:石井竜一(フリー)
ドン・キホーテ:長瀬信夫
サンチョ・パンサ:山本秀典(東京シティ・バレエ団)
貴族ガマーシュ:山田秀明
ロレンツォ(宿屋の主人):田名部正治(岩田バレエ団)
マリア(宿屋の女将):松延まきこ
エスパダ:菊地研(牧阿佐美バレヱ団)
メルセデス(街の踊り子):武田直美

キトリの友人:今関綾香、橋綾乃
ロマの女:名嶋聖子、成舞香織
森の女王:若林美和(東京シティ・バレエ団)
キューピッド:金子優(下村由理恵バレエアンサンブル)
二人の妖精:塚本香織、渡辺明沙
ファンダンゴ:赤木貴子、菊地研

マタドール(闘牛士):
加藤剛、川口裕也(谷桃子バレエ団)、木村英樹、澤真吾(YUJI-SATO・ballet)
澤田展生(新国立劇場バレエ団)、チョ・ミンヨン(東京シティ・バレエ団)
廣瀬陽(NBAバレエ団)、李成洛(NBAバレエ団)


雪の振る中、小平まで行ってまいりました。小平は遠いなぁ…とちょっと憂鬱になっていたんですが、高田馬場から急行に乗れば20分くらいで着くんですね。ルネこだいらは駅から近いし、また行っても良いかもしれないと思いました。

公演はとても楽しかったです。主演の2人は言うことなし。以前に書いたんですが、とっても華奢で可憐なイメージの島田さんは、その容姿とは裏腹なシャープでキレのある踊りをします。隅々まで神経が行き届いた踊りは、どんなに音楽のスピードが上がっても崩れることがありません。清々しいほどクリアで安定したステップは、無駄がなく正確で、そして軽やか。意志を持った腕が鮮やかにキトリを描き出していきます。お転婆でちょっと悪戯っぽくて、とっても可愛かった。ガマーシュに対して、人差し指で口の端を引っ張って「イーッ!」ってやるのが可愛くて♪ で、お父さんに「イーッ!はやめなさい、イーッ!は」って怒られるのが面白い。ドゥルシネーア姫との演じ分けも見事でした。夢の世界でウットリと踊る島田さんも上手い。どちらの彼女も好きなんですよね。
石井竜一さんのバジルもとても好かったです。去年見たアルブレヒトも好かったけど、今回のバジルの方が格好良いな〜と思ったかな。テクニックも申し分ないし、何よりそれを余裕を持って涼やかに踊ってくれるのが好い。サポートやリフトも安心して見ていられるし、本当に頼もしいパートナーでした。2人の踊りもきちんと合っていて、見ていて気持ちが良かったです。2人がコンテンポラリーの作品で共演しているのは見たことがあるんだけど、古典は初めて。どれくらい共演しているかわからないんだけど、プロ意識みたいなものを感じました。ゲストで主役を踊るということ。舞台の空気を引っ張っていく力。共演数とか練習時間とかに関係なく、互いの空気を読んで最大限のパートナーシップを発揮するということ。2人の腕の角度がピタッと合うたびに、2人の心意気を感じるようで、心地良い幸福感に浸ることができました。

ゲストダンサーたちが脇のキャラクターをしっかりと固めて物語を支えていました。長瀬信夫さんは、悠然として存在感があり、ドン・キホーテを好演。山本秀典さんのサンチョ・パンサは可愛い。プロローグで食べていたのが本物のパンだったのがビックリ。舞台からはみ出しそうなくらい、思い切り弾けていました。ガマーシュは黒の巻髪ロングのお姉キャラ。クネクネしてて、気取り屋さんで、ちょっと可愛いかったです。田名部正治さんのロレンツォが最高。髭を蓄えたまん丸のお顔が可愛いんです。眉尻をギュッと上げたメイクで、ちょっと怒っってるみたいな顔なんだけど、よく見ると優しい顔してるんですよ〜。田名部さんは、小林恭バレエ団の『バフチサライの泉』でマリヤの父ポトツキーを演じていて、それもすごく好かったんですよね。いいキャラクター・ダンサーだなぁ、と。キトリの母マリアが登場するヴァージョン(以前どこかで見たんだけど、忘れちゃいました…)。ロレンツォと一緒にキトリたちを追って、ロマの宿営地にも登場します。

エスパダ(エスパーダではないらしい)はゲストの菊地研さん。菊地くんを見るのは8月の『アビアント』以来です。その前は3月の『ロメジュリ』。夏以来の菊地くんは、少し身体がガッシリとしたように見えました。エスパダの白い衣裳のせいかな?初めて『ピンク・フロイド・バレエ』で見たときはまだ身体が華奢で、もうちょっと身体ができてくると良いなあという感じだったんですが、最近ではそんな心配はなくなりましたね。私としては、もう少し線が細くてもいいかなぁ、、とは思いましたが。気合の入った踊りと、相変わらずの視線の格好良さで魅せてくれました。とりあえず登場しただけで、やはり空気が違うなと。カーテンコールでは最前列の端にいたんですが、とても控えめで、周りを立てているのが好印象でした。


ドン・キホーテとサンチョ・パンサが旅に出るプロローグがちゃんと付いてます。その辺にあるタライなどをトッテンカッテン叩いて、鎧や兜を作っているドン・キホーテ。ヌレエフ版で見たみたいな亡霊も出てくるし、ドゥルシネア姫の幻影も現れます。幻影のドゥルシネアがちょっとけつまづたときには驚きましたが(笑)。パンを盗んだ(?)サンチョ・パンサが女性たちに終われて登場。本物のパンを食べてました。ドン・キホーテに助けてもらって、2人は旅に出て行きます。

バルセロナの広場。流石にちょっと人数が少ないようで賑わいがいま一つでしたが、みんな生き生きと演技をしていて良かったと思います。街の娘達の衣裳がすごく可愛かった。デザインは同じで配色が3パターンあるんですが、どれも渋い色の組合せで本当に可愛かったです。その衣裳ですが、「Dance Square」でアップされている前田バレエ団の『ドン・キ』(ゲストはエフセーエワ)の娘達の衣裳と同じみたいなんですが、公演が同じ日なのでちょっと不思議な感じ。衣裳を貸し出しているところがあるんでしょうか?それとも何か関係のあるバレエ団なのかしら?
闘牛士の男性陣8人は、ゲスト勢がほとんど。どこも男性は不足なのかな…。踊りはあまり揃っていないけど、みんな気合たっぷりに格好良く踊っていました。エスパダの菊地くんが登場すると、流石に発する空気が違います。マントを捌く顔は、かなりの本気モード。マントの動きがとても綺麗に決まっていて格好良かったです。撫で付けた髪をヘアピンでとめてるのが、なんか可愛かったな〜(♪)と。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサが登場する瞬間は、全員がスローモーションになります。なんか動きが変わったぞ?と思ったら、2人が登場する下手の袖の方へ全員が集まると、その人だかりの向こうから2人が登場するという感じ。彼らの登場がクローズ・アップされる効果もあるし、微妙に違う2つの世界が混ざる瞬間のような効果もありました。何て言うんでしょう、現実の世界と物語の世界が重なる瞬間というか。
サンチョの胴上げは男性陣が素手で。上空でバタバタしたり、かと思いきや身体をビ〜ンと真っ直ぐ伸ばしてみたり、なかなか芸が細かいです。しかもサンチョ、娘達の後を追い回すのに、スカートをめくるどころかスカートの中に顔を突っ込んでましたよ〜。

キトリとバジルは駆け落ち。ロマの宿営地へやってきます。キトリが耳飾を外して彼らに渡し、バジルと2人かくまってもらいます。ドン・キホーテとサンチョ、ロレンツォとマリヤ、ガマーシュが2人を追ってくる。ロマの女の踊りは2人。群舞は男たちと女たちが一緒に踊ります。一人だけ回転とジャンプの見せ場のある男性がいました(プログラムに役名はなし)。人形劇は台車のステージで子役が演じますが、チャチャっと進行してしまって、話の筋がわかりづらい…。ドン・キホーテが台車をぶち壊し、風車に突撃!ヨロヨロのキホーテは紗幕の前で倒れこみます。助けを呼びに行く一行。紗幕が開き、夢の世界が始まります。

淡いグリーンのクラシック・チュチュがとっても可愛かったです。森の女王のイタリアン・フェッテはちょっと不安定でしたが、雰囲気は好かったのであまりその辺のことは気になりませんでした。キューピッドの金子さんは、下村由理恵さんのところのダンサーなんですね。安定した踊りでとても好かったんだけど、ちょっと落ち着きがあり過ぎて、妙にお姉さん的なキューピッドだったかな〜。ドゥルシネーア姫の島田さんは見事。キトリとの演じ分けも上手いし、クラシック・チュチュでしっとりと踊る姿・表情に、こちらもウットリ。ゆっくりと姿を消すまで、目が離せませんでした。

第3幕は酒場ではなく、<ロレンツォの宿屋のロビー>という設定。見た目は普通の『ドン・キ』の酒場となんら変わりはありません。面白かったのは、バジルの狂言自殺がキホーテ老人の助言だったということ。バジルに「ゴニョゴニョ」と耳打ちをします。「なるほど、それは良い」と一旦姿を消すバジル。マントを羽織り真剣な顔つきで颯爽と登場した石井さんが格好良い。ブスッと狂言自殺をした後は、涼し〜い顔してその場に倒れます。ロレンツォに結婚を認めてもらい、2人は着替えのために退場。その間はキホーテとガマーシュの決闘で場を繋ぐヴァージョンでした。ガマーシュのちょうちんパンツがズルリと落ちて、キホーテ老人の勝利。
グラン・パ・ド・ドゥの衣裳に着替えた2人が華やかに登場。本当に、舞台がパッと明るくなるような、華のある2人でした。舞台は転換せず、宿屋のロビーのまま最終章。島田さんと石井さんのパ・ド・ドゥは、“『ドン・キ』のパ・ド・ドゥを見た”という幸福感を感じさせてくれるものでした。片手リフトも、2回ともバッチリ。島田さんは、華奢な身体からは想像し難いパワーを発揮する人です。音楽が高まり、踊りのテンションが高まると、とてもいい表情をする。こちらまで胸がいっぱいになります。
最後は、ガマーシュが女装をして登場し、ドン・キホーテに仕返しの悪戯をするパターン。ドン・キホーテとサンチョ・パンサが新たな旅に立ち、物語は終わります。
最後の方は駆け足になりましたが、全体の流れはこんな感じでした。


ちょっと面白かったのは、プログラムの「あらすじ」。なかなか細かいのと、子供向けなのか表現が平易で面白い。「オヤジたち、今さら怒ることも出来ずメデタシとなる」とか、「かっこいい闘牛士たちに娘たちの血圧は上昇。魚河岸の兄たちは面白くない。」とか。因みに使われている写真は、2000年の『ドン・キホーテ』の舞台から、主演は田中祐子さんとイルギス・ガリムーリンでした。

今回がvol.2となった「プティパの遺産」シリーズ。来年はvol.3があるのかしら?また2月のこの時期ですかね。情報が出るのはまだまだ先だと思いますが、次の公演も面白そうだったら行ってみたいです。
posted by uno at 23:45| Comment(2) | TrackBack(0) | バレエ公演2008 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。初めて書き込ませていただきます。
気になりながらも行けなかったので、面白く読ませて頂きました。
キトリのお母さん登場版は確か、ニーナ率いる
グルジア国立バレエ団がそのバージョンだったと思います。
特に何をしたというわけではなかったと記憶していますが・・・

あの町の青年達は「魚河岸の兄ぃ」だったのですね!お嬢さんたちの
「血圧」といい、次回があれば是非見てみたいです。
Posted by とりもと at 2008年02月18日 12:55
とりもとさん、こんにちは!
コメントをありがとうございます♪
キトリのお母さんが登場したのは、グルジア国立バレエだったんですね。すっきりしました〜。ありがとうございます。ニーナの公演は私も見たのですが、思い出せませんでした…。そういえば今回のお母さんも、特に何もしていなかったような、、、。
そうなんです、「魚河岸の兄ぃ」なんだそうです(笑)。ちょっと面白い「あらすじ」だったので、見る前に読んでおけばよかったと、ほんの少し後悔しました、、、。
また遊びにいらして下さいね♪
Posted by uno at 2008年02月19日 17:19
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