2019年12月29日

東京バレエ団×勅使川原三郎『雲のなごり』/『セレナーデ』『春の祭典』10月26日

少しでも年内に感想を上げたい!ということで、駆け込み感想UPです。今年も全然感想書けなかったな〜、、、。とりあえず、10月の東バのトリプル・ビルの感想を書いたので、残しておきたいと思います〜。

東京バレエ団創立55周年記念委嘱作品 世界初演『雲のなごり』
『セレナーデ』『春の祭典』
2019年10月26日(土)14:00 東京文化会館

『セレナーデ』
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

上野水香、川島麻実子、中川美雪
秋元康臣、ブラウリオ・アルバレス

三雲友里加、金子仁美、涌田美紀、上田実歩、浦由美子、安西くるみ
榊優美枝、足立真里亜、最上奈々、中沢恵理子、菊池彩美、酒井伽純、工桃子
和田康佑、岡ア司、鳥海創、南江祐生

『雲のなごり』
演出・振付・照明・美術:勅使川原三郎
音楽:武満徹
   「地平線のドーリア」
   「ノスタルジア ーアンドレイ・タルコフスキーの追想にー」
演出助手:佐東利穂子

沖香菜子、三雲友里加
柄本弾、秋元康臣、池本祥真、岡崎隼也
佐東利穂子(KARAS)

ソロ・ヴァイオリン:戸澤哲夫

『春の祭典』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

生贄:樋口祐輝
2人のリーダー:柄本弾、ブラウリオ・アルバレス
2人の若者:岡崎隼也、杉山優一
生贄:伝田陽美
4人の若い娘:沖香菜子、岸本夏未、金子仁美、秋山瑛

指揮:ベンジャミン・ポープ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

10月、東京バレエ団による世界初演、勅使川原三郎振付『雲のなごり』を含むトリプル・ビルを見ました。いやぁ、よかった〜。すごくいい公演でした。磨きがかかってこの上なく美しい『セレナーデ』、1回では消化しきれないけど、ひたすらに格好よく、ダンサーの動きに目が釘付けな『雲のなごり』、そして何度見ても大好きな『春の祭典』。しかも、それらをすべてオーケストラの演奏で見られるという、なんとも贅沢な公演でした。

『セレナーデ』

『セレナーデ』は、幕開きの美しさにいつも心打たれます。「掴みはOKとはこのことか」という素晴らしい幕開き。名作は、必ずと言っていい程幕開きから心を掴むような気がします。音楽の美しさと、月明かりの明るい夜に佇んでいるような女性群舞の静謐さ、ぴったりと揃った動き。一斉にポワントをパカっと開く瞬間がとても好きだったりします。全員のポワントが床を擦る音が、一つに聞こえるほどの一体感。彼女たちの流れに逆らうように登場するソリストの女性。揺らぐチュチュが、見えない空気まで感じさせる、、、。もう、どのシーンもひたすらに美しく、ただただ作品に身をゆだねる幸せを味わってまいりました。群舞はすごく揃ってるんだけど、無機質ではないんですよね。それこそ全ての音符が繋がって音楽を奏でているように、有機的に音楽を表現していたように思います。
物語はないはずなのに、様々な感情が漂う不思議、、、。川島さんの美しさが、それを一層助長させているような気がします。もう本当に、毎度同じことばかり言ってるんですが、見るたびに深化しているのではないかと思うほど、この日も神々しい程に美しかったです。髪をほどいた後の、どこか懐かしさや切なさを感じさせる美しさも印象的です。ナチュラルで軽やかな空気を運んでくる中川さんも、やっぱり素敵♪ 彼女がこの作品のファースト・キャストに選ばれたことが本当に嬉しいし、彼女にしか出せない空気をちゃんと持っているなぁと思いました。秋元さんも相変わらず正確で美しい踊りと、完璧なサポート。アルバレスも安定の佇まいでした。
川島さんが3人の男性にリフトされるラスト(1人の肩の上に立ち、あとの2人が足を支える)。両腕を広げ、前に倒れるように身体を反らせ、一筋の道を進んでいくような幕切れのリフトは、いつもより安定感がり、川島さんも思い切り身体を倒せているように見えました。

『雲のなごり』

勅使川原三郎さん振付の『雲のなごり』もとてもよかったです。なんていうか、格好よかった〜。勅使川原さんの美意識が隅々まで行き渡っているのを感じる舞台でした。音楽、装置、移り行く照明の美しさ、衣装の色合いの妙。そして思わず釘付けになるダンサーたちの動き。初めて見るコンテ作品って、思わず意味を考えてしまうんですよね。ただただ作品に身を委ねることのなんと難しいこと、、、。でも、意味を考えることも、また楽しかったりすんですけど。1回で消化するのは難しかったけど、もしかしたら、それはダンサーも同じなのかもしれません。初めて本番の舞台に乗せることで理解できることや発見があるのかもしれない。大切に育ててほしい作品だなと思いました。

衣装の色は、佐東さんが白、沖さんがピンク、三雲さんがベージュ(黄色?)。弾さんが黒、岡崎さんが紺、秋本さんがこげ茶、池本さんが黄土色でした。女性陣は3人とも長いワイドパンツ。男性陣は弾さんと岡崎さんが足首までのパンツ、秋本さんと池本さんは膝丈のタイツでした。男性陣の色合いが好きだったな〜。

佐東さんと沖さんは板付き。三方向を幕で囲まれたセットで、袖がありません。あとのダンサーはどこから出てくるんだろうと思ったら、舞台の一番手前の袖から出てきて、幕に沿うように舞台に入っていきました。舞台は四角い照明で切り取られていて、幕沿いは照明が当たっておらず、四角い影の通路ができています。中央で踊っていないときは、その照明の当たっていない幕沿いに立って待機していたり、行ったり来たりを繰り返していました。あの動きにも、ちゃんと規則性というか、決まりがあるんだろうなぁ、と。
板付きの佐東さんと沖さんの踊りは、同じ振付なのに、本当に個性が違うことに驚きます。佐東さんは流石としか言いようがない。バレエがベースの沖さんの滑らかな動きも新鮮な輝き。その違いが本当に面白かった。沖さんの新しい面を見ることができた気がします。

この日はプレトークがあったんですが、小沼純一さんが、最後にとても素敵なことを仰っていました。人と音楽、人と空気との関りは人それぞれ違うし、一人一人が持っている時間も違う。今回の武満さんの音楽は、いわゆるカウントでリズムを取るようなものではないかもしれない。だからこそ人それぞれの呼吸で聞くことになる。だからこそ違いが生まれるし、そうやって人とずれているということが、人が生きているということに繋がるのではないか、というようなことを仰っていて、正にそのことを感じる舞台でした。それは、山海塾でも同じだなぁ、と。因みに小沼さんは山海塾のアフタートークも行っています。
  「人とずれていることが、人が生きているということ」
なんて素敵な言葉なんだ、と。
音楽畑の人間ではないので(バレエ畑と言うほどバレエも詳しくないけど)、小沼氏のプレトークはとても面白かったし、ためになりました。その小沼氏の語る音楽と舞踊の関わりもすごく腑に落ちたし。ストラヴィンスキーと武満徹さんの話とか、へぇ〜♪と。ストラヴィンスキーが日本に来たときに、武満さんの『弦楽のためのレクイエム』(1957年)を聞いて絶賛した話なんて、全然知らなかったのでワクワクしました。
プレトークが鑑賞の助けになるという、いい経験をしました。

公演前に急遽出演が決まった岡崎さんですが、プログラムに名前がなかったので、本当にギリギリで決まったんだな、と。もしかしたらアンダーで練習していたのかもしれないし、アシスタント的に参加していたのかもしれないけど、それにしても馴染みすぎ♪ 流石の表現力でした。
秋元さんがすごくよかったです。踊り出すと一気に空気が変わる鮮烈さ。中央に出て踊り始めるときの、滑らかだけど鮮やかなスイッチオンが印象的でした。

そして、当たり前かもしれないけど、佐東さんの動きが流石すぎました。細かなステップを踏みながら中央に出てきてソロを踊り始めたときに感じた高揚感。「おぉぉぉ〜」と心の中で震えました。これか、と。今後、国内外で上演する際、佐東さんのパートをどうするのかということが、ひたすら気になります。佐東さんが参加してくれるのか、アンダーの女性がいるのか、そこに岡崎さんが入ったりは、、、、しないですかね(苦笑)。

『春の祭典』

何度見てもやっぱり好き。冒頭の男性群舞ではいつもワクワクします。俊敏な動き一つ一つにキレがあり、全体に緊張感のある空気が行き渡っていてとてもよかった。続く女性陣の場面の、生贄を中心とした「共同体」感もとてもいい。全体的には、うまく言えないんだけど、優しいというか、しなやかなハルサイでした。野性味よりは一体感。何が正解かはわからないんだけど。終盤、白い背景幕がスパーン!と降りてくるところは毎回ワクワクします。
生贄の日本デビューだった樋口さんも、とてもよかったです。あの、弱さの中に秘めた精悍さや、失われない目の輝きなどは、生贄にぴったりだなぁ、と。まあ、生贄の数だけ個性があるので、何がピッタリかはわからないわけですが、、。ただ、東バの正統な流れを汲んだ生贄という気がしました。
そして、伝田さんの生贄がもう素晴らしくて〜♪ 前回もすごくよかったけど、格段に自分のものにしたなぁという印象でした。しなやかで力強く、瑞々しい。もし、次に女性の『ボレロ』が誕生するとしたら、伝田さんか?と思ってしまいました。
posted by uno at 12:08| Comment(0) | バレエ公演2019 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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