2019年07月24日

英国ロイヤル・バレエ団『ドン・キホーテ』6月23日

1ヶ月以上経ってしまいましたが、ロイヤル『ドン・キ』の感想を書いたのでUPしておきます〜。

英国ロイヤル・バレエ団『ドン・キホーテ』全3幕
2019年6月23日(日)13:00 東京文化会館

改定振付:カルロス・アコスタ/マリウス・プティパの原版に基づく
音楽:ルトヴィク・ミンクス
編曲:マーティン・イエーツ
美術ティム・ハットリー
照明デザイン:ヒュー・ヴァンストーン

【主な配役】
ドン・キホーテ:ギャリー・エイヴィス
サンチョ・パンサ(従者):フィリップ・モズリー
ロレンツォ(宿屋の主人):クリストファー・サンダース
キトリ(ロレンツォの娘):ローレン・カスバートソン
バジル(床屋の青年):マシュー・ボール
ガマーシュ(裕福な貴族):トーマス・ホワイトヘッド
エスパーダ(闘牛士):リース・クラーク
メルセデス(街の踊り子):クレア・カルヴァート
キトリの友人たち:ロマニー・パイダク、金子扶生
ジプシー(ソリスト):イツィアール・メンディザバル、ルカス・ビヨンボウ・ブランズロッド
ドリアードの女王:崔由姫
アムール(キューピッド):メーガン・グレース・ヒンキス
ドゥルシネア姫(第1幕):オリヴィア・カウリー
ファンダンゴ(ソリスト):ヘレン・クロフォード、ニコル・エドモンズ

街人たち、闘牛士たち、ジプシーたち、森の精たち:英国ロイヤル・バレエ団/他

指揮:マーティン・イエーツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ギター演奏(舞台):
  デイヴィッド・バッキンガム、トーマス・エリス
  フォーブス・ヘンダーソン、ナイジェル・ウッドハウス


英国ロイヤル・バレエ団日本公演『ドン・キホーテ』の公演を見ました。今回は『ドン・キ』1回だけ。カスバートソンとマシュー・ボールの回です。

いや〜、楽しかったです。アコスタ版を見るのは初めてでした。「これがマイ・ベスト!」というわけではないけど、特に嫌いでもないです。人形劇のカットは有りだと思うし、何よりよかったのは、ガマーシュにお嫁さんが見つかることです。何そのハッピーエンド、知らなかったんですけど〜♪ 確かにそこ、気が付いていませんでした。「やられた〜♪」という、なんとも嬉しい悔しさ。相変わらず勉強不足なんですが、他にもありましたっけ? ガマーシュにお嫁さんが見つかるヴァージョンなんて。アコスタは、長年『ドン・キ』を踊りながら、ガマーシュのことが気になっていたんでしょうか。アコスタの優しい演出に、図らずも感激してしまいました。

今のロイヤルの女性プリンシパルでは一番好きなカスバートソンと、一番気になる若手プリンシパルのマシュー・ボール。私にとってはこれ以上ない組み合わせでした。2人とも美しくて、掛け合いはチャーミング。『ドン・キ』の幸福感を存分に感じさせてくれました。
マシュー・ボールは期待通りの麗しさ。そして、予想以上に背が高かった。カスバートソンと身長のバランスも、品のあるエレガントな雰囲気も合っていたと思います。爽やかで、格好いいけど可愛くて、心くすぐるバジル。踊りの見せ場ではサービス精神もあり、それが嫌みがなくて好印象。なんていうか、いい子なんだろうな〜♪と思ってしまいました。

ローレン・カスバートソンは、もうその佇まいから好きなダンサーなので、登場しただけで込み上げるものがありました。そういうダンサーがいるって、幸せなことだなぁと。「好きなダンサー」って、見ていて「幸せな気持ちになるダンサー」のことなんだなって、当たり前のことを改めて感じた舞台でした。
とは言え、彼女を見るならキトリじゃなくても、、、と思う部分もあったんですが、全然そんなくとはなく、キトリもとっても似合っていました。美しくて明るくてチャーミングで、どこにいても何をしていても眩しくて、彼女が舞台の中心であることは間違いがない。気が強いところも可愛いんだけど、それよりも大らかさというか、すべてを受け止めるような器の大きさが印象的でした。それは、彼女の持つ大人の魅力だったのかなと。プリンシパルとしての存在感、そして舞台を引っ張る力は圧倒的で、彼女が輝くからこそ、周囲も舞台全体も輝く。それができるのが、プリンシパルなのかなと思いながら見ていました。
それにしても、やはりドゥルシネア姫のときのカスバートソンの美しいこと、、、。もう本当に、気品のある佇まいと、時折見せる伏し目がちな眼差し、そしてクラシックチュチュで典雅に踊る姿にウットリでした。空を切るジュテも軽やかで美しかったです。
3幕グラン・パ・ド・ドゥのグラン・フェテでは、ダブルと、確かトリプルも入れていたような。回転の後半は、1回転ごとに正面の向きを変えるフェッテ(名前がわからない)を披露。あれって、1.25回転ずつしてるんでしょうか? てっきりテクニック系の人ではないと思っていたんですが、そんなことないんですね〜。
まぁでも、キトリでもドゥルシネアでも、カスバートソンには品があって、そこが彼女の好きなところだな、と。

一つ大事なことを。物語のかなり終盤だったと思うんですが、舞台の中央で起こっていることを上手で見ている場面で、カスバートソンが背伸びして後ろからボールにギュッと抱きついて、ボールの肩に顎をちょこんと乗せたのが超絶可愛かった。あれが演出じゃないとしたら、可愛すぎます(♪)。

プロローグはドン・キホーテの部屋。極端に遠近法を用いたセットです。上手側にテーブル、下手側に天蓋付きベッド。舞台上の両サイド、緞帳よりも前に、照明が2つずつ置かれているのが、会場に入ったときから気になっていたんですが、プロローグで悪魔(?)の影を大きく映すのに使われていました。部屋の正面の扉やテーブルの下、ベッドの中から、三角帽子のKKKの黒バージョンみたいな人たちがワラワラと登場。両サイドの照明の効果で、ドン・キホーテよりも巨大な影が壁に映し出されます。彼らの実体が登場する前、巨大な影だけが映し出されたんだけど、あれはどこから映していたんだろうか、、、。
ドゥルシネア姫の幻影は、白いロマンチックチュチュに白いヴェール姿。ドン・キホーテは旅立ちを決意します。サンチョ・パンサが鶏を盗んで追いかけられてくる。テーブルクロスの中に隠れるも、お尻丸出しという一ネタ有り(笑)。
ドン・キホーテの旅支度を手伝うサンチョが、天蓋付きベッドの柱をバキっともぎ取った!! ヘニャっと崩れる天蓋、、、。び、びっくりした〜(笑)。絶対に立派な装置だと思ってたから、思わず声が出そうになるほどビックリしました。こういう新鮮な驚きって、初回しか味わえないんですよね〜。もう本当に愉快な気持ちになりました。舞台が進行しても、ちゃんと柱を持っていたのも楽しい♪

白い建物にオレンジ色の屋根。そして、真っ青な空。コントラストがはっきりしているせいか、空の存在感が印象的でした。下手側、手前から2つ目の装置がスライドして舞台に出てきたと思ったら、ガマーシュの家でした。玄関の扉が開いてガマーシュ登場。鍵を植木鉢に入れたような気がしたんだけど、気のせいかな。しかも、後でやんちゃボーイズがガマーシュの家の方へ入っていたんだけど、泥棒してないよね(笑)。ガマーシュがキトリに帽子を脱がされるシーンはなく。そういえば、お付きもいなかった。

闘牛士は3×3の6人。エスパーダのリース・クラークがデカい!! こんなに長身のダンサーとは知りませんでした。華奢でもないので、かなり存在感があります。体格がいいので、キレッキレで軽やかな踊りとうわけではないかもしれないけど、マント捌きもお見事だったし、なかなか格好良かったです。

ドン・キホーテとサンチョ・パンサの登場シーン。両袖の舞台装置がスライドするようにスススーっと動いて、道を作り出します。上手の装置は奥に行くほど舞台に侵入してきて、下手側は手前の装置のほうが舞台に侵入してくることで、下手奥から舞台の中央まで、道ができるんです。うまく言えない、、、。その道を歩いて、馬に乗ったドン・キホーテと、サンチョ・パンサが登場。馬は藁(?)で作られているわりには、筋肉の形までわりとリアルな馬。4輪の台車に乗っているんですが、それを押すスタッフの足も、藁で隠してあるので、なんか足が混雑してるぞ(笑)と。サンチョの音痴なトランペットのシーンは有り。胴上げは、布などは使わずに、男性陣が普通に胴上げしてました。サンチョを演じたフィリップ・モズリーが、ダンサーたちより年齢は上だし、たぶん本当にポッチャリ体型なので、からかわれて動き回るシーンでは顔が真っ赤になっていて、ちょっと心配しちゃいました。
ロレンツォのクリストファー・サンダースは長身で存在感のある人。一見怖そうだけど、よく見ると優しそう。フワフワのちょいロン毛で体格もいいので、ちょっとブルーザー・ブロディのようでした。
ギャリー・エイヴィスのドン・キホーテがとっても素敵でした。トリッキーさは控えめだけど、こうと思ったら猪突猛進な夢見る老紳士という感じ。そして、透き通るような大きなブルーの瞳がとっても奇麗でした。
バジルとキトリの友人の2人が一緒に踊るシーンがなかったな〜と(あの場面、わりと好き)。キトリの友人の金子扶生さんも素敵でした。踊りも佇まいも、華やかで存在感があります。大きく空間を切り取る踊りは、鮮やかで美しい。3幕でクラシックチュチュで出て来てくれるのを期待していたんですが、段々スカートの衣装のままで、ちょっと残念でした。というわけで、グラン・パ・ド・ドゥに挿入されるキトリの友人たちのヴァリエーションもなし。

2幕はジプシーの野営地から。風車は遠くに小さく見えていて、あれで大丈夫か?と。幕開きにキトリとバジルのパ・ド・ドゥがあるヴァージョン。どこかで聞いたことある音楽だったんだけど、『ラ・バヤ』でしょうか?(その辺、疎い)。人形劇は無し。その代わり(?)、焚火を囲んで戯れながら、ギターに合わせて踊ったりという場面がありました。なんだか、苦楽を共にしてきたジプシーたちの親密さが窺えるようで、ちょっと素敵でした。ギター奏者が4人出てきて、ジプシーたちと一緒に焚火を囲みます(舞台下手)。オーケストラと舞台上のギター奏者が一緒に演奏。ギターの音色がとても美しかったです。その間、ドン・キホーテの様子が変わり始める。上手側のスペースで、何やら不穏な空気を感じ、見えない敵と戦わんとしています。風車小さいけど、、、と思ってたら、巨大な風車となって迫ってきました。なるほど、最初から大きいより、巨大化したほうが何かしらの魔力的なものを感じるし、それがドン・キホーテだけに見えている幻想という感じもして、いいなと。

夢の場は、ガーベラの様な巨大な花が描かれた紗幕が立体的に重ねられ、奥行きのある空間に。花びらの、ベルベットの様な質感が印象的でした。色違いの衣装は、立体的な小花が全面に施されているので、ダンサーによっては胴回りが太く見えてしまうという面もありましたが、とても可愛らしい衣装でした。因みにキューピッドもクラシックチュチュ。
ドリアードの女王のユフィさんもよかったです。ヴァリエーションの最後、ピルエットから、軸足じゃないほうの足をスッとたたんで膝をついてポーズするまで、1mmのブレもなかった。ああいう瞬間って、本当に幸せな気持ちになります。

3幕は酒場から。キトリまでテーブルに乗って踊っちゃうヴァージョンは初めて見たような(それほどたくさん見てないくせに言ってますけど)。「いやいや、嫁入り前の娘が〜(汗)」と思ってしまった私は、女性に女らしさを求める前時代的な残念な人間なんだろうか、、、とか余計なことを考えながら見てしまいました。
狂言自殺は、実行する前にバジルがキトリに耳打ちして教えてあげるパターン。テーブルに上がり、髭剃り用のナイフで胸を突き刺すふりをしてバタンっと倒れると、その反動(かどうかわからないけど)で片方の足がピーンと上がってしまうバジル。「ダメダメ」と何度キトリが戻しても、またピーンと上がってしまいます。
ドン・キホーテの力添えもあり、ロレンツォに2人の仲を認めてもらいます。納得いかないガマーシュがドン・キホーテに決闘を挑むという場面。もちろんドン・キホーテには敵わないわけなんですが、その後に予期せぬ展開が。「お前さんは、ほら、あの娘と結婚しなさい。ほれほれ、指輪持ってるだろ」みたいなアクションをするドン・キホーテ。慌ててポケットを探して指輪を取り出し、娘さんにプロポーズ。「え?え?私?」みたいな感じだけどまんざらでもない様子でプロポーズを受ける女性。なんだか最初から尻に敷かれそうな雰囲気ではあるけれど、幸せそうだからいいか♪、と。女性がガマーシュのほっぺにチュッてしようとしたら、ガマーシュが女性のほうをクルッと向いたので、お口にチュッとなってしまったのが、本当にサプライズっぽくて可愛かったんだけど、ああいう演出なんでしょうか。

ファンダンゴも格好良かったし、何より『ドン・キ』のグラン・パ・ド・ドゥの音楽が始まると本当にワクワクします。先にも書いたんですが、キトリの友人たちは段々スカートの衣装のままで登場。合間のヴァリエーションはありませんでした(私が東バのワシーリエフ版を見すぎなのか?)。そういえば、グラン・パ・ド・ドゥの最中に、群衆から掛け声が入りました。それまでも賑やかな場面などで、場を盛り上げるような掛け声が取り入れられていたんですが、確かキトリのヴァリエーション中にいきなり女性の「フォー!」みたいな掛け声から始まったので、ちょっとびっくりしたのを覚えています。
最後はどうだったっけ、、、。また馬が登場して、ドン・キホーテとサンチョ・パンサが旅立つのを皆で見送ったような気がするんですが、ちょっと記憶が曖昧です。昔はもっと覚えてたんだけどな〜。年齢のせいじゃなく、すぐに感想を書かないのがいけないのかもしれませんね。とにかく、とっても楽しかったのは覚えているので、それでいいかな、と。
posted by uno at 19:12| Comment(0) | バレエ公演2019 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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