2017年05月15日

フィンランド国立バレエ団『たのしいムーミン一家』<北欧バレエ・ガラ>4月25日

4月に初来日公演を行った、フィンランド国立バレエ団の感想を書きました。

2作目にして日本初演となったバレエ『たのしいムーミン一家〜ムーミンと魔法使いの帽子〜』と<北欧バレエ・ガラ>というプログラムです。いろいろ面白かったです〜♪ 長身の男性が多いな〜という印象。プログラムによると、芸術監督のケネス・グレーヴも身長が196cmあるそうです。大きいんですね〜。カーテンコールに出てきてくれるかと思って期待してたんだけど、出てきませんでした。ちょっと見てみたかったです。
第1部が<北欧バレエ・ガラ>、第2部がムーミンでした。

フィンランド国立バレエ団2017年日本公演
バレエ『たのしいムーミン一家〜ムーミと魔法使いの帽子〜』<北欧バレエ・ガラ>
2017年4月25日(火)13:00 Bunkamuraオーチャードホール

第1部 <北欧バレエ・ガラ>

『白鳥の湖』第3幕より
振付:ケネス・グレーヴ(レフ・イワーノフ、マリウス・プティパ版に基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

オディール:アリーナ・ナヌ
ジークフリード王子:デニス・ニェダク
ロットバルト:ガブリエル・ダビッドソン
スペインの躍り:レベッカ・キング
ハンガリーの躍り:イーガ・クラタ、ニショラス・ツィーグラー
ロシアの躍り:松根花子

各国の踊りと、王子とオディールのグラン・パ・ド・ドゥという構成。幕が上がると全身黒づくめの衣裳の男性と王子が登場。最初わからなかったんですが、黒い衣裳の彼がロットバルトでした。ロットバルトが王子に「この中から結婚相手を選ぶように」と左手の薬指を指差すんですが、そこにいるのは民族舞踊のダンサーたち。クレーヴ版は花嫁候補は出てこないんでしょうか? なので、各国のソリストたちは王子を誘惑するように踊ります。スペインのソリストはクラシックチュチュ。最後にグラン・フェッテを披露します(ダブルも織り交ぜてました)。ハンガリーの女性が王子に言い寄ろうとすると、パートナーの男性が手を引っ張ってやめさせようとするという具合に、2人の間でちょっとした小競り合い。2人は男女の関係なの? ロシアの踊りは日本人ダンサーの松根さん。ロシアなんだけど、衣装がセパレートのハーレムパンツで意外でした。ロシアの彼女も思い切り王子を誘惑します。王子も彼女のサポートをしたり、リフトに加わったりと、踊りに参加。ロシアの音楽を聴いてたら、マーフィー版『白鳥』でルシンダ・ダンが踊る伯爵夫人が思い出されてしまいました。
GPDDでのロットバルトは、オディールに耳打ちしたり、王子を制したりと、ときどき絡む程度で踊ることはありませんでしたが、ガブリエル・ダビッドソンがちょっと素敵でした(オディールのヴァリエーションのときだけマントをつけてきました)。アリーナ・ナヌもデニス・ニェダクも初めて見たんですが、とてもいいダンサーだったと思います。オディールのグラン・フェッテはすべてシングルでしたが、きっちり32回転していました。

公演の前に、グレーヴ版『白鳥の湖』の意外な設定をTwitterのほうで知りました。王子の友人ベンノは、王子が結婚をしたら、自分が王子を失うことを恐れていて、王子とオデットが恋に落ちると、ロットバルトと手を組むことに決めたというのです。そして、ロットバルトがベンノをオディールへと変身させます。ロットバルトに利用されていたことに気付いたベンノは、自らが犠牲となって湖に飛び込み王子を助け、王子とオデットはハッピーエンドを迎えるとのこと。衝撃でした〜。ベンノが友人として王子を失うのが怖いのか、恋心を抱いているのかまではわからないんですが、まだその解釈が残ってたか、と。『白鳥の湖』、懐深すぎです。
このオディールはベンノなのか〜と思いながら見ると、なんだか妙に切なくなってきました。全幕で見たらもっと面白いのかもしれませんね。

『レンミンカイネン組曲』より”トゥオネラの白鳥”
振付:イムレ・エック
音楽:ジャン・シベリウス

トゥオネラの白鳥:ティーナ・ミュッリュマキ
レンミンカイネン:ヤニ・タロ

シベリウスはフィンランドの作曲家とのこと。単独で上演されることが多い「トゥオネラの白鳥」は、『レンミンカイネン組曲』の第2曲なんだそうです(全4曲)。『レンミンカイネン組曲』はフィンランドの民族叙事詩『カレワラ』を題材に作曲された楽曲で、今度その『カレワラ』をケネス・グレーヴがバレエ作品化することが決定していて、フィンランドの独立を祝う記念作品になるとのこと。『カレワラ』全幕、ちょっと気になります。暗く幻想的で、美しい音楽に乗せて、男女が踊るパ・ド・ドゥ。白鳥と英雄レンミンカイネンのパ・ド・ドゥなんですが、女性の衣裳が真っ黒なのは死をイメージしているのでしょうか。幻想的で美しいパ・ド・ドゥでした。

『シェヘラザード』よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:ケネス・グレーヴ
音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ

シャリアール王:ジョナタン・ロドリゲス
シェヘラザード:ハ・ウンジ

ゾベイダと奴隷ではなく、シェヘラザードとシャリアール王とのパ・ド・ドゥでした。シェヘラザードを踊ったハ・ウンジがとっても素敵。優しげな笑顔が印象的な、とても美しい人でした。キラキラしたゴールドの衣裳も下品にならず、美しかったです。官能的な雰囲気はなく、なんだかとても愛のあるパ・ド・ドゥ。と思ったら、グレーヴ版はフォーキン版のその後の物語を描いているんだそうです。愛する女性に裏切られた怒りから、若い娘と結婚しては初夜の夜明けに娘を殺害するということを繰り返していたシャリアール王。繰り返される悲劇に胸を痛めたシェヘラザードが自ら志願して王と結婚し、毎夜シャリアール王に心躍る物語を語り聞かせ、やがて王は穏やかな心を取り戻していくというストーリーの方に焦点を当てているそうです。どうりで、穏やかな空気に包まれた愛あるパ・ド・ドゥでした。シャリアール王のジョナタン・ロドルゲスも、褐色の肌の素敵なダンサーでした。男女の群舞付き。群舞の女性の衣裳が、クラシックチュチュの下にハーレムパンツをはいていて、ちょっと面白かったです。

バレエ『悲愴』より
振付:ヨルマ・ウオティネン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(交響曲第6番 作品74「悲愴」)

ソロ:アンティ・ケイナネン

スキンヘッドの男性がロマンチックチュチュのようなスカートで踊るソロ。肩を丸めて、周囲の視線を気にするようにオドオドと踊る男性は、ユーモラスなんだけど、どこか切ない。全編では7人の男性ダンサーが踊る作品らしく、全体像が気になりました。

『ドン・キホーテ』第3幕より
振付:パトリス・バール、ホセ・デ・ウダエータ(ファンダンゴ)
音楽:レオン・ミンクス

キトリ:サッラ・エーロラ
バジル:ミハル・クルチュマーシュ
メルセデス:小守麻衣
エスパーダ:ニショラス・ツィーグラー
キトリの友人:レベッカ・キング、松根花子

ファンダンゴまであって、華やかでした。『白鳥』のときも思ったんだけど、背景の照明の色が変わるだけで、舞台装置が何もないのが少し寂しかったかも。ちょっとした袖幕とか、シャンデリアとか、少しでも何かあるともっと華やかだったと思うんですが、ガラなので仕方がないか、、。でも、そういえば『シェヘラザード』のときは背景があったんですよ。あれは背景幕ではなくて、映像だったのかもしれません。楽しく見たんですが、キトリのサッラ・エーロラがちょっと太めなのが気になっちゃって気になっちゃって、そればかり考えてしまって、ちょっと集中できませんでした。太いというか、「しっかり」しているというか。でも、バジルのミハル・クルチュマーシュはまったく重そうにはしていなくて、プロフェッショナルだなと。いや、重くないのかもしれないけど、、。
エスパーダの人を見て、「あ、さっきのハンガリーの人だ」と。ニショラス・ツィーグラーは大人の男の色気があって、なんだか素敵。気になる存在でした。

第2部 『たのしいムーミン一家〜ムーミと魔法使いの帽子〜』

原作:トーベ・ヤンソン
振付:ケネス・グレーヴ
音楽:トゥオマス・カンテリネン

ムーミントロール:フローリアン・モーダン
スノークのおじょうさん:小守麻衣
ムーミンパパ:キンモ・サンデル
ムーミンママ:イラ・リンダール
スニフ:ルアン・クリグフトン
スナフキン:ジュゼッペ・マルティーノ
ちびのミイ:エミリア・カルミッツァ
モラン:ヴィッレ・マキ
黒豹:イェヴゲニア・プレシュコヴァ
飛行おに(魔法使い):ニショラス・ツィーグラー
ルビー:松根花子

楽しかったです〜♪ のほほんとしてたな〜。ちょっとだけ話が伝わりにくいというか、プログラムを読んでいなくてもここまでわかったかな〜と思う部分はあったかもしれません(ムーミンのバレエに限ったことじゃないか)。先にプログラムでストーリーを読んでおいてよかったなと思いました。

オープニングは映像。遠くの眼下に見えるムーミンの家に、カメラ(我々の視点)がどんどん寄っていきます。舞台にはダンサーがスタンバイしているのがわかる。徐々に大きくなるムーミンの家。やがてその窓にミーがいるのが見えてきます。ミーがアップになったところで映像が終わり、舞台上のミーが踊り始めるという感じのオープニングで、このオープニングは結構好きでした。
春の群舞たちの、緑とピンクのグラデーションの衣装が素敵でした。全員同じじゃなくて、少しずつ色合いが違うんです。緑が多い衣装もあれば、ピンクが多めの衣装もあるし、ピンクの濃さや色合いが違ったり。開きかけた蕾のような衣装で、とても素敵でした。ルビーの衣装も好き。宝石のカットのようなチュチュ部分が可愛かったです。
ルビーを踊った松根さんは、エレガントで情感があり、ルビーらしい情熱的な雰囲気も感じさせて、とても素敵でした。魔法使いが素敵だな〜思ったら、またしてもニショラス・ツィーグラーでした。

ムーミン谷に春が来て、冬の眠りから覚めたムーミンたちが活動を始める。不思議な帽子を見つけて、ルビーをめぐる騒動があり、やがて帽子は持ち主の魔法使いの元に戻って、めでたしめでたし。ものすごく大雑把に言うとこんな感じかな、と。

エンディングもよかったです。客席に背を向けて、ベンチに腰かけるムーミンとスノークのおじょうさん。互いに寄り添う2人の手には、大きな大きなピンクのハートの風船が揺れています。寄り添う2人を夕闇が包んで幕。とっても素敵な幕切れでした。


ケネス・グレーヴ版『白鳥』全幕と、同じくグレーヴが手掛ける『カレワラ』がとっても気になります。
posted by uno at 14:40| Comment(0) | バレエ公演2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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