2017年03月16日

東京バレエ団<ウィンター・ガラ>2017年2月23日

東京バレエ団<ウィンター・ガラ>2日目の感想です。世間ではもうパリ・オペの公演が終わり、まもなく次の公演ラッシュが来るというのに、まだ東バの感想を書いてます、、。
2日目のこの日も、とっても楽しかったです。3演目とも思う存分堪能しました。

東京バレエ団<ウィンター・ガラ>
2017年2月23日(木)19:00 Bunkamuraオーチャードホール

「中国の不思議な役人」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ベラ・バルトーク  

無頼漢の首領:森川茉央
第二の無頼漢―娘:入戸野伊織
ジークフリート:ブラウリオ・アルバレス
若い男:二瓶加奈子
中国の不思議な役人:木村和夫

「イン・ザ・ナイト」
振付:ジェローム・ロビンズ
音楽:フレデリック・ショパン  

沖 香菜子−秋元康臣
川島麻実子−ブラウリオ・アルバレス
上野水香−柄本 弾

ピアノ:松木慶子
  
「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

オレリー・デュポン

杉山優一  岸本秀雄 森川茉央 永田雄大


『中国の不思議な役人』

木村さんの役人がますます怪しい(最上級に褒めてます)。大好きすぎてやっぱり目が離せませんでした。これが最後だなんて言わずに、役人のように何度でも復活してほしいです、、、。
やっぱり絶対に深化してる気がします。当たり役だとは思ってたし、毎回すごいとは思ってたけど、今回も本当にすごかった(「すごい」しか出てこなくてすみません、、)。今回は以前にも増して心で踊っていたような気がするんです。それはもしかしたら、身体的な変化や衰えを感じるからこそ得られた境地なのかもしれません。今の自分に何ができて、何ができないか。できることを使って、どこまで表現できるのか。真摯に向き合い、本番ではすべてを捨て去る。出せるものはすべて出して、何も残っていない。そんな魂の踊りのような気がしました。
感情を感じさせない不気味な役人の娘への執着は、何かが弾けて恋する役人に変わり、異形と成り果てても復活を繰り返し、最後はピュアな存在になって果てていく、、、。カーテンコールでは乱れた髪をオールバックにし、抜け殻のような木村さんが、一歩前に出た瞬間に笑顔に戻ったのが印象的でした。

入戸野さんの娘がすごくよかったです〜。とにかく美しくて倒錯的。あんまり普通に綺麗で、異質さがもっとあってもよかったかもしれないけど、私的には久々に「お〜♪」って感じでした。自分の美しさを知っている若さゆえの傲慢さと、男たちを翻弄しながらもどこか背伸びをしているような危うさと、その両方が共存していて、未完成な青年っぽさがよかったです。宮川さんの娘よりも若い感じがしました。さらに、首領と「できてる」なと思わせるのも、入戸野さんと森川さんのペアでした。また森川さんの首領が、娘を道具として使っているだけという悪い奴で、いいんですよ〜。入戸野さんの娘は首領のためにやっているような雰囲気もあって、やや切ない。入戸野さんと弾さんだったらどんな感じになるのか、見てみたくなりました。神奈川は宮川さんの娘なので、入戸野さんはこの1回だけなんですよね。できればまた見たいです。
入戸野さんは髪型もよかった。マレーネ・デートリッヒじゃないけど、昔のドイツ映画に出てくる女性のような、ウェーブのあるボブというか(語彙力なくて申し訳ない)。確か、首藤さんが娘を踊ったときもそんな髪型をしてたと思います。

この日は群舞も印象的でした。初日が悪かったわけではないんですが、ソリストたちの作り出す場面と群舞がよりシンクロしていたのは、2日目だったような気がします。

『イン・ザ・ナイト』

2日目もやっぱりとても素敵でした。沖さんの、リフトされたときの(だけじゃないけど)空中でのアームスの美しさ。それだけでウットリです。沖さんはリフトされ上手だと思っていて、空中でのフォルムがとても綺麗なんです。最初のほうで、上手から下手に走ってきて、沖さんをスッとリフトする場面。両足と両腕を前方にスーっと伸ばした沖さんが本当に綺麗で、それを安定感のあるリフトでふんわりと見せる秋元さんが爪先立ちをしていることで更に浮遊感を感じさせます。そのときの秋元さんの、ガッツリ引き締まったお尻もすごい。両腕・両足を伸ばした沖さんの前方への力と、爪先立ちをする秋元さんの上方への力の、完璧なタイミングが生み出す極上の浮遊感でした。まるで、風に乗って飛んでいこうとする沖さんをスッと捕まえたみたいなリフトで、とても印象的でした。その後も常にふんわりと沖さんを運ぶ秋元さん。沖さんの体重をまったく感じさせないリフトでした。瑞々しくて爽やかな、始まりのパ・ド・ドゥでした。

川島さんとアルバレスは、気品ある大人のパ・ド・ドゥ。初々しい最初の2人に比べ、より関係性は深まり、愛は成熟し、穏やかな中にも情熱を感じさせます。エレガントで温かみのある空気を作り出す2人のパ・ド・ドゥは、本当に素敵でした。川島さんは自分の世界を作り出すのが本当に上手い。こう書くと技巧的な巧みさに聞こえてしまうかもしれないんですが、そうではなくて、本当に世界観を作れる人なんです。しかも、意外とこちらは構えていなかったりして、急にスッと持っていかれて心を掴まれてしまうことがあります。そんな川島さんの世界観に、優しく寄り添うようなアルバレスがまた素敵でした。カーテンコールで、6人全員で前に出てくる場面では、パートナーの女性の手をスッと離して送り出した後、アルバレスが一番後ろまで下がっていたのも印象的でした。この日のカーテンコールでは、川島さんの手にキスをする場面も♪ パ・ド・ドゥの中盤、2人がカウントをずらしながら同じ振りをするところがちょっと好きです。

最後の2人は、愛のすれ違いを、あるいはやがて来る愛の終わりを感じさせるパ・ド・ドゥ。決心をしながらも揺れ動く心の女性と、まだ決心できない男性、そんな感じがしました。水香さんはとてもドラマチックに踊っていて、もしかしたら彼女も、こういう表現をもっとしたいと思ってるんじゃないかな〜などと、勝手に思いながら見ていました。神奈川公演で川島さんがどんな風に踊るのか、とても楽しみになりました。

『ボレロ』

2日目もオレリーの『ボレロ』はとてもよかったです。カーテンコールでリズムと並ぶオレリーを見て、彼女って思ったより小柄なんだなぁと思ってしまった。孤独な円卓の上は頼るものが何もなくて、拠りどころになるのは自分自身だけ。そんな寄る辺なさと闘っている少女のようでもありました。でも、弱い部分も含めありのままの自分を見せるって、ある意味強さだよなと。だからやっぱり、一心に踊るオレリーの姿に、この日も感動してしまいました。
格好つけないことって、すごく難しいと思うんです。でも、円卓の上では格好つけても何も格好つかない。自分自身が出るとは言うけど、自分自身を出すのってすごく難しいことですよね。円卓の上で等身大の姿を見せるオレリーは何も格好つけてなくて、私はそんな彼女を格好いいと思いました。

最初の4人のリズムが円卓を囲んだとき、私の見間違いでなければ、一人(確か岸本さん)と目が合ったオレリーが微笑んだんです。これまでにも笑みを浮かべたメロディはいたけど、それは「対、誰か」ではなく、自然に沸き上がる笑みだったと思います。リズムと視線を交わした瞬間に自然と笑みが浮かんだオレリーが印象的でした。
posted by uno at 00:09| Comment(0) | バレエ公演2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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