2007年03月11日

牧阿佐美バレヱ団『ロメオとジュリエット』3月10日

牧阿佐美バレヱ団の公演を見るのは久しぶり。とても楽しかったんですが、「ロメオとジュリエット」を見たー!という感じは、何故かあまりしませんでした。この演目を見ると結構重たく残るんだけど、それがなかったかな〜。いや、基本的には楽しんできたんですよー。

牧阿佐美バレヱ団『ロメオとジュリエット』全幕
2007年3月10日(土)15:00 ゆうぽうと簡易保険ホール

【キャスト】
ジュリエット:伊藤友季子
ロメオ:逸見智彦
キャピュレット夫人:田中祐子
キャピュレット卿:本多実男
乳母:諸星静子
ティボルト:菊地研
パリス:京當侑一籠
モンタギュー夫人:千葉るり子
モンタギュー卿:加茂哲也
マーキューシオ:小嶋直也
ベンヴォーリオ:今勇也
ヴェローナの大公:京谷幸雄
ロレンツォ神父:保坂アントン慶

道化:佐藤朱実、塚田渉、邵智羽、中島哲也、清瀧千晴

ジュリエットの友達:吉岡まな美、笠井裕子、坂梨仁美、加藤裕美、海寳暁子、坂本春香

指揮:デヴィッド・ガルフォース
演奏:東京ニューシティ管弦楽団

中盤まであまり感情移入できなかったんですが、後半は少しずつ引き込まれて、最後にはちょっと泣いておりました。最後の演出が変わっていて、これって珍しいと思うんですが、どうなんでしょうか?ジュリエットが死んだと思い込み、毒を飲むロメオ。彼が苦しむ最中、ジュリエットが目を覚まします。まだ意識のあるうちに、もう一度2人は会うことができるんです。束の間、抱き合う2人。ここで私は思わずポロポロと泣いてしまいました。ほんの少しだけど救いのあるラストにやられました。

伊藤友季子さんのジュリエットはとても可愛らしくて、本当に少女のようでした。ただ、結局最後まで少女のままだったかも。恋をして、愛を知り、大人の女性へと変化していく様子があまり見られなかったのが残念。まったく変化がなかった訳ではないんです。終盤には凛とした強さを見せ始めたし、パリスを拒絶するところや、両親にすがるところなんかは好かった。逆に前半の、舞踏会でロメオに出会うところや、バルコニー、ジュリエットの寝室でのロメオとのパ・ド・ドゥあたりは、ちょっと感情が伝わってこなかったし、変化があまり感じられませんでした。舞踏会で、ジュリエットとロメオが初めて視線を交わしたときの、こちらまでドキドキするような高揚感がなくて残念、、、。
踊りはやや元気がよくて、スパスパと勢い良く足を上げるのがちょっと気になりました〜。でも、雑という感じはしないんですけどね。最後のシーンで、確かロメオが息絶えた後、思い切りジュテで跳ぶところがあったんですが、あそこは高さと勢いがあって、ジュリエットの感情がバッと弾けるようですごく好かったです。

なんか、悪く書いちゃった気がするんだけど、伊藤さんは嫌いではないんですよ〜。ちょっと勢いがあったけど、踊りはフォルムが綺麗だし、爽やかな清潔感があって、結構好きなダンサーなんですけどね。

逸見智彦さんは、やっぱり情熱系のロメオではなかったです〜。ふんわりした踊りに、ロマンティックな雰囲気。キャーキャー言う感じじゃないけど、しみじみ素敵だな〜と思いました。王子と呼ぶに相応しいお方です。そう考えると、東京バレエ団には正統派王子と呼ぶに相応しいお方がいないような気がする…。新国は山本隆之さん?彼も少し影があるような、、、。すみません、余談でした。
逸見さんは私にとって、踊りの技術や美しさに惚れ惚れするというよりも、あのノーブルでロマンティックな雰囲気そのものをを堪能する存在かもしれない。伊藤さんのジュリエットよりだいぶ年上だし、迸る恋の情熱はそれほどなかったし、おっとりしていて落ち着いている優しいお兄さんという感じでしたが、十分満足でした。

楽しみにしていた小嶋直也さんのマーキューシオ(マキューシオではないらしい。チラシはマキューシオになってるけど)は、えらい格好良かったですね〜。キレがあって揺るぎない踊りは、別格の空気すら漂わせていました。特に回転系が綺麗ですね。スピードがあって軸が真っ直ぐなので、見ていて本当に気持ちが良い。彼が回転すると、空気がグッと詰まって、上に向かって力が働く感じがするんです。ん〜、意味不明ですかね…。
マーキューシオの断末魔は意外とあっさり。これは小嶋さんではなく、演出のせいなんでしょうね。ただ、終盤で小嶋さんが振り向いたとき、その目が本当に据わっていてすごかった。人が死ぬ直前って、本当にこういう具合に目が据わるんじゃなかろうかと思わせるものがありました。

死ぬ直前がすごかったと言えば、菊地研さんのティボルトです。ロメオに刺されたティボルトは、まずキャピレット夫人の方へ手を伸ばします。それから180度振り向いて、ロメオに掴みかかろうとするかのように、あらん限りその腕を伸ばして2歩3歩ロメオに歩み寄ります。その、ロメオに向けた目が怖いのなんのって(褒めてます)。とにかくものすごい形相で、ロメオは後味悪いだろうなぁと。あのティボルトの憎しみが、なんだか宙に浮いていて、虚しいんです。彼自身、モンタギュー家に恨みがある訳ではないのに、ずっと続いている両家の確執が、若い彼らにまで無条件で受け継がれている。本当は友人になれたかもしれないはずの若者たちが、「何故?」とも思わずに憎しみ合って、若い命を落としているんです。ティボルトだって、きっといい奴なんだよね…、誰が悪い訳でもないんだよね…と思ったら、少し悲しくなりました。菊地くんのあの凄まじい形相が、争いの虚しさを感じさせてくれた気がします。
それにしても、菊地くんは黒の衣装が似合いますね〜♪ 正直、ダークサイドの菊地くんの方が好きな気がする(もしくはバリバリ踊ってくれるコンテンポラリー系)。あの不敵な面構え(褒めてます)が最高でした。

最近よく主役を踊っている京當侑一籠さんを初めて見ました。うぅ、いい男だ…。背も高いし結構ノーブル。東バの中堅〜若手にはこれくらいの長身ノーブル王子はいないな…。伊藤さんとの雰囲気も悪くなくて(この場合パリスなんで、伊藤さんは拒絶反応起こしてるけど)、2人の主演で全幕も見てみたいなと思いました。
キャピレット夫人の田中祐子さんが美しい〜。喪に服した黒のドレスがまた美しかったです。田中さんと森田さんの『眠り』って、どんな感じなんだろう。やっぱり興味あるな〜。そうそう、会場では6月の『眠り』の予約を受け付けていたようです。
posted by uno at 23:40| Comment(2) | TrackBack(1) | バレエ公演2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この舞台について他の方の話も聞きましたが、
キャストさんへの感想がunoさんとほとんど同じでびっくり(^o^)
まったく同じ意見っていうのもなかなかないですよね。
それだけハッキリしてたってことでしょうか!?
小嶋マキューシオが観たかったです!!
菊地ティボルトも興味ありますが、どうせなら菊地ロミオも観たいです。
それに逸見ティボルトっていうのはどうでしょう!?

ロミジュリも版によって演出も味わいも様々ですね。
ここのプリセツキー版は割と淡白な方だと思いますが、
ロミオが死ぬ間際に一瞬ジュリエットに会えるというのは、
一番悲しい泣けるパターンですね(;_;)
Posted by chelsea at 2007年03月12日 05:07
chelseaさん、こんにちは〜。

>キャストさんへの感想がunoさんとほとんど同じでびっくり(^o^)
そうなんですね〜。それはちょっと珍しいですね。私もいくつかブログを回って感想を読んでみたんですが、確かに同じ印象を抱いていらっしゃる方が多かったです。小嶋マキューシオは格好よかったです〜♪ たくましい足が素敵でした。私も、演目が発表されたときに、実は菊地くんのロミオを期待していたんです。いつか踊ってほしいですね。逸見ティボルト!彼がティボルトだったら、心底ジュリエットのためを思ってした行動が、裏目に出てしまう、優しいお兄さん系になりそうですね〜。でも、外見が麗しいので、冷たい非情男にもなれるかもしれない。ん〜、想像が膨らみます。

>ここのプリセツキー版は割と淡白な方だと思いますが
確かに、あまり版に詳しくないんですが、なんだかサクサク進むというか、淡白な印象がありました。最後は本当に泣けましたよ〜。プログラムを読んで展開は頭に入れておいたんですが、予想以上にやられてしまいました。
Posted by uno at 2007年03月12日 17:53
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Tracked: 2007-03-16 12:46