2010年11月04日

<奇跡の響演>初日!

行ってまいりました、<奇跡の響演>。幸せでした〜。なんかもう、感激がいっぱいあって、何から書いていいのやら、という感じです。
BBLのメンバーが本当に日本に来てるんだなぁというのを実感。もう間もなく本公演が始まるのかと思うと、ワクワクしました(もちろん、明日の<響演>も楽しみですが)。2年ぶりの懐かしい顔がいっぱい。ジュリアン、本物だ〜♪(当たり前)とか、シャコン、4年ぶり〜(泣)、とか。わかっていはいたけど、実際に目にしてみると、初めて見るメンバーが想像以上に多いことに驚いた部分もあります。一瞬、寂しさに襲われたけど、みんないいダンサーだったので、すぐに気にならなくなりました。きっと、この後に続く本公演で、もっといろいろな表情を見せてくれて、そうしたらどんどん好きになるだろうと思うと、ワクワクしました。
「春の祭典」で若い娘を踊っていたキャサリン・ティエルヘルムは、この間届いたDVD(「ベジャール・バレエ パリ・オペラ座へ」)で、急遽の代役で「ウェーベルン第5番」を踊っていたダンサーですよね。彼女も素敵だったし、リーダーを踊っていたフェリペ・ロシャも可愛かった(最後、ちょっと間違えた?)。いや、可愛いという柄ではないんですが(笑)、なんか可愛かったんですよ。
高岸さんのリーダーのパワフルさに笑った♪ おそらく、いや間違いなく今日の公演の中で最年長ですよね? 若者たちに引けを取らないどころか、群舞にいても目立つ、目立つ。迫力あるわ〜。それは、日本の観客が高岸さんを知っているからなかなぁ? いやぁ、それにしても高岸さんの「春の祭典」は貴重でした。相棒のフェリペ・ロシャは比較的しっかりした体格の、褐色の肌をしたダンサー。カーテンコールなどを見ていると、年上の高岸さんへの敬いがあるというか、とても謙虚で好印象でした。で、笑顔がちょっと可愛いな、と。
若い男の那須野さんがすーごく格好良かった! すごく綺麗で力強い踊り。あの正確さというか美しさは、日本人ならではなのかな〜と思ったり。那須野さんの「春の祭典」を通しで見ることができてよかったと思いました。カーテンコールで那須野さんを立てている氷室さんも印象的でした。
BBLと東バのミックス群舞は、思ったより違和感はありませんでした。そりゃ、違いはあったと思います。でも、すごく面白かったから、それでいいや、と。こうして本家と東バが同じ作品を混合で踊れるなんて、素晴らしいじゃないか、と。ベジャールが生きていたら、なんて言ってくれただろうかとか、このアイディアを喜んでくれただろうかとか、ちょっと考えてシンミリしてしまいました。混合の「春の祭典」なんて今後見られるかどうかわからないし、しかもそれを生のオーケストラで見られるなんて、本当に奇跡だよなぁ、と。これで私が、ズービン・メータとイスラエル・フィルのすごさを知っていたら、もっと感動できたんだろうなと思うと、ちょっと悔しい(苦笑)。
シャルキナと長瀬さんのリフトもすべて上手くいってホッ、と。シャルキナは可愛いな〜、やっぱり。見るたびに美しくなりますねぇ。長瀬さんの生贄も板についてきた。あの、全身全霊で踊ってる感がいいですよね、彼は。ラスト、中央で抱き合う2人。先にシャルキナが長瀬さんの胸に頬を預けるようにすると、長瀬さんが彼女の温かみを確かめるようにゆっくりと背中を抱いたのが印象的でした。カーテンコールで幕前に登場したとき、シャルキナが長瀬さんにギュッと抱きついたのが可愛かった(♪)。長瀬さんの反応が薄かったのが残念だったけど(笑)。日本人はそういうの得意じゃないからで、嬉しくなかったわけじゃないと思いますが。シャルキナ的にとりあえず納得できるパートナーシップが築けたのかなぁと思って、私としては嬉しかったです。

しかしなんと言っても、「愛が私に語りかけるもの」がすごくよかったです。真っ白なレオタードのロスとジュリアンの美しいパ・ド・ドゥに、美しい音と藤村実穂子さんの美しい歌声。もう感涙でした…。舞台の下手(オーケストラピットの横辺り)に大人の合唱隊、上手に少年少女の合唱隊。 藤村さんは、下手の合唱隊の一番舞台寄りに登場して歌います。その登場する姿、退場する姿にまで、ただならぬ存在感。語りかけるような優しい歌声は、なんとも威厳がありました。
この作品を見ることができただけでも感激なのに、しかもそれを生のオーケストラと生の声で見られるなんて、幸せすぎて身震いしました。大好きな両カンパニーの、大好きなベジャールの作品を、奇跡と呼ぶに相応しい条件で見ている。あぁ、私が藤村さんとメータとイスラエル・フィルのすごさを知っていればもっと、、、。
第4楽章のジュリアンとロスのパ・ド・ドゥの美しさったら…。大袈裟ではなく、完璧な世界観を見せられているようでした。ロスはやっぱり特別な存在だし、何を踊っても素敵だけど、この作品はかなり好きなほうに入るかも。ジュリアンがさらに美しくなっていました。あのキラッキラしていた若い頃から、大人の男になったな〜という時代を経て、昨日のジュリアンの美しさはさらに一皮剥けた感がありました。実は前回は、ちょっと老けたなぁと思った瞬間もあったんですが、今回の彼には後から追いかけてくる若い子たちのキラキラに負けない重厚な輝きがあり、圧倒的だと感じました。もしかしたら、前回の来日の時にはベジャールの死から間もないこともあり、様々な重圧があったのかもしれないなんて想像してしまいました。
第5楽章は「子供たち」が登場する明るく美しい場面。黄色のレオタード(穴開き)の男の子たちと、ピンクのレオタード(穴開き)の女の子たちは、無垢な存在感。彼らが楽しそうに戯れる世界は、なんだか幸福で、現世ではないでした。新入団の大貫真幹さんが子ども役で登場。いや〜、堂々とした舞台姿でした。今年の9月のシーズンから入団したばかりとは思えない、安定した踊りと佇まい。若いけど、既に海外のいくつかのカンパニーで踊っているんですよね、彼は。テクニックが優れているのは、服部有吉くんの『ラプソディ・イン・ブルー』でわかっていたんですが、BBLの雰囲気にも馴染んでいたし、東洋人という個性も活きていて、これから何を踊るのか楽しみになりました。
第6楽章に登場するのは「大人たち」。最初にジュリアンと一組のカップル。その後は一人、また一人とダンサーが登場してきます。第5楽章よりも知っている顔が多くてワクワク。肌色のレオタード(男性はショートパンツ)の男女がパートナーやフォーメーションを変えてゆったりと踊る美しい場面です。男のジュリアンも、様々に相手を変えて交わっていきます。イワノワもさらに美しくなったような。少し細くなったかな〜と思ったのは気のせいかな。女性らしさが増したような気がして、格好良すぎるイワノワもいいけど、柔らかさの増したイワノワも素敵。そして出ました、クピンスキー〜♪ 相変わらず柔らか〜い身体。しなやかで美しい踊り。そして、そこはかとなく漂う色気…。踊りが進むにつれ、ブロンド髪がサラサラと顔にかかる様子まで美しい。髪も個性の一つというか、踊りの一部にもなり得ますものね。那須野さん、シャルキナ、デバルなどが次々に登場して、久々のBBLの面々に感激しきりでした。そして最後に(確か)オスカー・シャコンが登場。綺麗な褐色の肌に、カールしたフワフワの黒髪。4年前より身体がしっかりしたかな〜。やっぱり美しいダンサーです。
そして、再び子ども役の大貫さんが登場して、胸が震えるような美しく荘厳なラストが訪れます。その少し手前、大人たちに周囲を囲まれたジュリアンが、耳、目、口を左右の手で順々に塞ぎながら回転する場面がすごく好きでした。回転を止め正面を向いた男は、鳥の羽ばたきのように何度か大きく腕を回します。彼は現世でもがく男。そこへ、無垢の象徴のような、天使のごとき子どもが登場します。彼は愛そのもの。地に手を着いた男の傍らに女が立ち、少年のほうを毅然と指差す。男も大人たちも一斉に子どものほうへ向きます。ゆっくりと女と大人たちが消えると、舞台には男と子どもだけになる。背後には太陽のような真っ赤な円。やがて男と子どもは一つに重なり踊り始めます。2人が重なり、繰り返される一連の動きの、神秘的な響き…。やがて何か吹っ切れたような男は、子どもと2人、戯れるように向かい合って踊り続けます。そこへ女が現れる。舞台をパ・ド・ブレで一周するように移動して、重なり合う男と子どもの背後から、さらに彼女が重なり、言葉にならない美しい終幕を迎えます。舞台の冒頭にも登場した豪華な衣裳を着けた人物たちが、後ろから彼らをジッと見つめています。

『ペトルーシュカ』は、なんと言っても木村さんが楽しそうでした! この一言に尽きると言ってもいいくらい、本当に楽しそうだったんですよ〜。最初の演目『ペトルーシュカ』が始まった瞬間から、何度もオーケストラの音に鳥肌が立ちそうになりました。その音楽を誰よりも全身で楽しんでいたのは、木村さんだったんではないでしょうか。「嬉しい、嬉しい、嬉しい」、身体がそう叫んでいる、そんな踊りだったんです。少し髪も伸びていて、踊るたびに揺れる、揺れる(笑)。この日の木村さんの踊りには、あの揺れる髪が合っていました。踊りもキレッキレでした〜。生真面目なロボットマイムにも笑った(♪)。吉岡さんも軽やかで本当に可愛かったです。相変わらず、揺れる前髪にはやれれます(笑)。武尊さんの魔術師が素敵でした〜。ヒゲがよく似合う。目力もついてきたなぁ、と。後藤さんの青年は当たり役の一つ。昨日もよかったですよ〜。

最後になりましたが、やはりオーケストラがすごかったです。クラシックには相当に疎い私ですが、すごいと素直に思いました。厚みがあって豊かな音色。何度も鳥肌が立ちそうになりました。音が豊かだと、舞台の色彩まで鮮やかに感じる。それがすごく印象的でした。ズービン・メータがバレエの指揮を振るのは初めてなんですよね(イスラエル・フィルもかな?)。素人の私から見て、ダンスとの違和感はなかったと思います。とくに「愛が私に語りかけるもの」のマーラーでは、見事にすべてが一致していたように思いました。「春の祭典」の迫力もすごかった。改めてベジャールの「春の祭典」のすごさを見たような気がします。「ペトルーシュカ」を素晴らしい演奏で聴けたのも嬉しかったです。

<奇跡の響演 2010>
2010年11月3日(水・祝)15:00 東京文化会館

振付:モーリス・ベジャール

『ペトルーシュカ』
東京バレエ団
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

青年:後藤晴雄
若い娘:吉岡美佳
友人:木村和夫
魔術師: 柄本武尊
3つの影: 高橋竜太、氷室友、小笠原亮
4人の男: 松下裕次、梅澤紘貴、井上良太、岡崎隼也
4人の若い娘: 高村順子、佐伯知香、森志織、村上美香


『愛が私に語りかけるもの』
モーリス・ベジャール・バレエ団
音楽:グスタフ・マーラー(「交響曲第3番」より第4,5,6楽章)

彼:ジュリアン・ファヴロー
彼女:エリザベット・ロス
子ども:大貫真幹
子どもたち:ローレンス・ダグラス・リグ、ウィンテン・ギリアムス、ヘベルス・リアスコス、
ダニエル・サラビア・オケンド、エクトール・ナヴァロ、アドリアン・シセロン
オアナ・コジョカル、フロランス・ルルー=コルノ、キアラ・パペリーニ、
ジャスミン・カマロタ、コジマ・ムノス
大人たち: ダリア・イワノワ、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、ヴァランタン・ルヴラン
マルコ・メレンダ、キャサリーン・ティエルヘルム、那須野圭右
ダヴィッド・クピンスキー、カテリーナ・シャルキナ、ティエリー・デバル、
ポール・クノブロック、ポリーヌ・ヴォワザール、オスカー・シャコン


『春の祭典』
モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

生贄:長瀬直義
2人のリーダー: 高岸直樹、フェリペ・ロシャ
2人の若い男:那須野圭右、氷室友
生贄:カテリーナ・シャルキナ
4人の若い娘:
キャサリーン・ティエルヘルム、フロランス・ルルー=コルノ、小出領子、吉川留衣

指揮:ズービン・メータ
演奏:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:ラハヴ・シャニ(「ペトルーシュカ」)
メゾ・ソプラノ: 藤村実穂子(「愛が私に語りかけるもの」)
合唱:栗友会合唱団(「愛が私に語りかけるもの」)
児童合唱:東京少年少女合唱隊(「愛が私に語りかけるもの」)
posted by uno at 14:37| Comment(6) | バレエ公演2010 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ほんと、素晴らしい公演でしたね。
Unoさんの感想を読んでいると「うんうん、そうそう。」って何度も頷くんです。わたしみたいなのに言われると気を悪くされるかも知れないけれど、共感できるファン同士って気がして嬉しいです。
那須野さんステキでしたねー。BBLの単独公演のときに花束届けようかしらと真剣に思ってしまいました。
木村さんもオガさんも、みんなステキでした。惚れ直しましたー。
Posted by S.moie at 2010年11月04日 23:01
やっぱりナマ演奏はいいですね! しかも、音楽だけでも十分なほどの素晴らしい演奏で、至福のひとときでした。通常のバレエ演奏だと木管楽器がお粗末なことがよくあるので、木管楽器の上手さに感心、とりわけ「ぺトルーシュカ」でそれを強く感じました。いい演奏で「ペトルーシュカ」が聴けて私も嬉しかったです。
春の祭典での長瀬さんとシャルキナ、よかったですね。この組み合わせ、これまで何度か見ている中で一番のお気に入りになりました。終演後、長瀬さんに抱きつくシャルキナはかわいかったですね。長瀬さんはクールだったけど、逆にそれが恋人のように見えなくもなく?私の勝手な妄想でお似合いの2人に見えました〜。
Posted by にわく at 2010年11月05日 00:02
S.moieさん

本当に素晴らしかったです!
気を悪くなんて、そんなこと全然ないですよー! 共感していただけると、本当に嬉しいです。ブログをやっていて何が楽しいって、やっぱり同じ気持ちの方がいらっしゃったときだと思うんです。
那須野さん、本当に格好良かった♪ 花束!素敵です〜♪
どうしようもなく感動すると、花束、届けたくなりますよね。
那須野さんがこの後の本公演で何を踊ってくれるのか、楽しみですね。
東バのメンバーも本当によかった! 私も、みんな惚れ直しましたよ〜♪
Posted by uno at 2010年11月05日 22:34
にわくさん

本当に、やっぱり生演奏はいいですよね〜。
生のオーケストラで上演しないのはベジャールの意向とのことですが、上質な演奏が約束されるならやはり生演奏のほうが作品は際立つのだろうなと思いました。
素晴らしい演奏で、安心して(笑)見ていられるなんて、なんて贅沢なんだろうと思ってしまいました。
長瀬さんとシャルキナ、よかったですよね!
確かに、シャルキナが抱きついたときの長瀬さんのクールな感じが、男らしくて格好良かったかも!
「逆にそれが恋人のように見えなくもなく」
わかります〜! 私も妄想しちゃいました(笑)。
Posted by uno at 2010年11月05日 22:49
こんばんは。響演、いい公演になったようで何よりです。
イスラエル・フィルとメータはコンサート・ツアーの真っ最中なのですが、「春の祭典」は
演奏会の演目にも入っていますね。残念ながら私は聴けなかったのですが・・・。
マーラーはもちろんのこと、「春の祭典」もよく演奏会に取り上げられるメジャーな演目です。
でも、「春の祭典」のほうは本来はバレエ音楽なのに本来の形で観て聴いて、という機会は
なかなかないですよね。
普段はバレエを観ない人も興味を持って観に行かれていたみたいです。音楽としては
物足りなさもあったようですが、曲のイメージに合った振付でおおむね好評だったようです。

次の機会があれば、なんとか都合をつけて駆けつけたいと思いますが・・・どうでしょうね。
Posted by Odette at 2010年11月07日 02:03
Odetteさん、こんばんは。
とてもいい公演でした♪
自分は東バもBBLもベジャールもとても好きなので、それを一流の演奏で見られるなんて夢のような公演でした。
メータとイスラエル・フィルの演奏も、本当に素晴らしかったです。こういう演奏を聴くと、クラシックのコンサートも行きたいと思うんですが、やっぱりどうしても余裕がないんですよね〜。余裕ができたらできたで、やっぱりバレエの公演を増やしてしまうし(笑)。クラシック・ファンの方も同じなのかもしれないですね。

次も是非と思うけれど、あまり頻繁にやられると、懐が厳しいかも(苦笑)。
Posted by uno at 2010年11月07日 23:06
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: