2010年05月18日

『オネーギン』3日目。

というわけで、東京バレエ団『オネーギン』の東京公演が終了しました。いや〜、なんとも幸せな3日間でした。いろいろな意味で、2日目の公演は私にとって「特別」と感じるものでしたが、3日間それぞれに面白く、どの日も見に行ってよかったと思える舞台でした。まだ不十分な部分はあったかもしれないけど、いい初演になったと思います。是非、再演を重ねてほしいです。

最終日は田中さんと後藤さん。なんといっても田中さんの頑張りが印象的でした。これは素人の私の想像ですが、おそらく彼女のキャリア、というか現在までの主演舞台数では、タチヤーナを踊るのはとても大変だっただろうと思います。でも、彼女なら大丈夫、きっとやってくれるだろうという不思議な確信がありました。そして、見事にそれに応えてくれた。後藤さんも、グレーミンの森川さんもとてもよかったんですが、サポート面では3組の中では一番不安が残りました。しかし、田中さんは、そんなことには動じず、くじけない人なんです。リフトに失敗しても表情は変えず、すぐにタチヤーナに戻る。頼もしい舞台度胸だと思いました。田中さんファンの私としては、もっと安心して踊れるパートナーとやらせてあげたかったと思ってしまったんですが、きっと彼女はそんなことは考えていないんだと思います。与えれた状況の中で、最高のものを見せる努力をする。どんな状況でも努力をすることにはまったく変わりがないんだ、と。それは、運命を受け入れ、自分の人生を力強く生きていく(友佳理さん談)タチヤーナの姿に重なるようでした。
あまり同じ年の女の子たちと一緒にはしゃいだりはしない、本が好きな大人しい女の子。夢見がちというよりは、芯のしっかりした落ち着いた少女という感じでした。大人しい中にも、きらりと光る美しさや強さを感じさせていたのがとてもよかった。少女の心の揺れをよく表現していたし、クリアで溌剌とした踊りにも少女の初々しさが感じられました。若いうちにタチヤーナを踊るのも、悪くないなと思ったというか。ベッドでオネーギンを思う瞳の、ウットリとした美しさも印象的。赤いドレスの3幕も、とても綺麗でした。あのタチヤーナが年を重ねたらこうなるだろうという、地に足のついた美しさといいますか、落ち着いた大人の女性でした。だからこそ、オネーギンからの手紙をもらい動揺する様が活きてくるなぁ、と。激しいパ・ド・ドゥを踊っているうちに、葛藤の中から少女のタチヤーナが甦るような気がしました。それは、私がそう感じただけで、彼女が意図したことかどうかはわからないんですが。思わず髪を撫でそうになったときの泣き出しそうに歪んだ顔や、ラストに胸の前で両の拳を握りしめ、グッと上を向いて感情を押し殺した表情など、今は押し殺さなければならない感情がこぼれ出しそうなとき、大人びた女性の表情の奥に隠した変わらない情熱が垣間見えるようで切なくなりました。

後藤さんは、リフトなどで惜しいところがあったんですが、オネーギンとしてはとてもよかったと思います。ご本人の踊り自体は、調子もとても良かった。そしてやっぱり、あの甘いマスクは効くよな〜、と。後藤さんのオネーギンは、端っから退屈している男というのがわかりやすくてよかったです。鏡のパ・ド・ドゥでは、ちょっと最後にスタミナ切れ、、。リフトのミスなどもあったし、心身ともに大変だったのかもしれません。田中さんの度胸の良さに、ある意味救われたのかもな〜、と。 そういう意味でも、2人で頑張って作り上げたという感じがしました。


そろそろ出かけるので、この辺で。って、最近いつもそんな感じだな…。今日は『マラーホフの贈り物』です。楽しみ〜♪
posted by uno at 14:45| Comment(2) | バレエ日記2010 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする