2010年03月19日

ちょこっと初日(パリ・オペ『ジゼル』3/18)

初日の気になったところを簡単に〜。

ヒゲを蓄えた(もちろん付けヒゲ)ヒラリオンのジョシュア・オファルトが可愛い…(♪)。熱い演技ではないのでちょっと薄いかな〜という感じもしたんですが、彼なりの一貫したヒラリオンを演じている感じはしました。ジゼル大好き〜♪という感じは控えめだったかも。ちょっと粗野で、先のことを考えずに行動しちゃうタイプ。アルブレヒトの高圧的な態度にも怯まない、負けん気の強いヒラリオンでした。
アルブレヒトの正体を暴く場面で、無言で剣を差し出すところがよかった。ジゼルを胸に抱きながら、彼女の肩越しにジッとヒラリオンと睨み合うアルブレヒト。アルブレヒトが挑発に乗るまで、ただジッと無言で剣を差し出してるのがいいんですよ〜。ジゼルを押し退けて、ヒラリオンの挑発に乗るアルブレヒト。この場合、先に行動を起こしたほうが負けだよなぁ、と。ヒラリオンの長い無言の挑発の場面が、私のお気に入り〜。
狂乱の場面でもちょっと大人しかったけど、ジゼルが死んだあと、上手で一人悲しみを堪えている感じがよかった。まあぁなんていうか、ジョシュア・オファルトが可愛かったので、とても楽しかったです(結局それ…)。
2幕でやっと踊りを見せてくれるわけですが、跳躍も高いし、最後の長〜いシェネもとっても綺麗でした(ゲネプロのほうがシェネが長くて感動したけど)。

クールランド大公としては若すぎるよな〜というヤン・サイズですが、それは置いといて、とっても格好良かったです〜。ルテステュのインタビューによると、ジゼルは大公の「落としだね」ということらしいです。去り際、ひざまずいたジゼルの顔を上げ、意味あり気にジゼルとベルタを2度3度と交互に見やる大公。ジゼルは不審気に母ベルタの様子を窺うも、母は無言。

2幕のコール・ドもとてもよかったです。前回の日本公演のときのイメージよりも、踊り自体も揃っている印象でした。でも何より、ウィリとしての意志が揃っているのが、怖さを感じさせて印象的。踊りの部分とは別に、マイムの動きになると機械的でキビキビしているのが、人ならざるものの雰囲気が出ていて怖いんです。一人一人の意志が集まって、一つの大きな意志になっている。ウィリたちが一つの生き物のようで、すごくよかった。
ミルタのジロが美しかったです〜。静かな迫力のある踊り。特に、コール・ドがアラベスクで交差したあとにジュテで飛び込んでくる場面では、その圧倒的な迫力に、人ならざるものを感じずにはいられませんでした。
posted by uno at 14:24| Comment(0) | バレエ日記2010 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ちょこっと雑感、『ジゼル』初日(ルテステュ&マルティネス)

パリ・オペラ座バレエ団『ジゼル』の初日に行ってまいりました。なんだか会場がとっても賑わっていました。大入だったのかしら。
公演はとてもよかったです。装置はシンプルだけど、視覚にも面白い絶妙な作りではないか、と。1幕では、舞台中央奥から登場するときは、坂を降りてグルリと少し遠回りをしないと出てこられません。坂を横切った人物が一旦視界から消えて、やっと舞台に登場する感じ(上手く言えなくてすみません)。実際には狭い舞台だけど、一度ターンしないと出てこられないことで、坂の上は少し遠い場所に見せることができる。だから、ヒラリオンが呼び止めてもウィルフリードは気付かない、と。2幕でも、ミルタがパ・ド・ブレで袖に消えるときに、木立の合間にミルタの姿が何度か垣間見えるのが幻想的で素敵でした。くすんだ色で統一された衣裳も素敵だったし、貴族たちの衣裳もそれはもう豪華。ウィリたちのロマンチックチュチュは何枚も重ねられていて質量感があるのに、ふんわりと柔らか。装置にしろ衣裳にしろ、そしてダンサーたちのパフォーマンスも、上質なものを見たな〜という感じでした。先週の『シンデレラ』ほどではないけど、『ジゼル』でも人海戦術の効果大。特に1幕のペザントの場面は印象的でした。村人たちやジゼルの友人、そして貴族たちがグルリと囲み、舞台を賑やかに演出します。舞台上が人物で賑やか、しかも衣裳の質が良いって、豪華ですよね〜。流石だな、と。賑やかな場面を賑やかに見せるのって、お金がかかることなんだよな〜、などと思ってしまいました。

ルテステュのジゼルがすごくよかった。クールビューティーで、大人の女性の雰囲気が魅力の彼女なので、1幕のジゼルは似合わないんじゃ、、、と思っていたんですが、まったくそんなことはなく、とても可愛らしかったです。大人しくてちょっとシャイなところもあるけど、無邪気で純真なジゼル。その心は繊細で壊れやすく、悲しいことや辛いことには耐えられません。アルブレヒトとヒラリオンに険悪なムードが漂い、ヒラリオンがジゼルに跪いて愛を請うと、もう彼女はどうしていいかわからず、困惑というよりは混乱してしまいます。その、ちょっと何かあると混乱してしまう辺りも含め、どこかトリッキーというか、この先何かあったら心が壊れてしまうんじゃないかという張りつめた繊細さがあります。その繊細さに加え、彼女のほっそりとしたラインも手伝って、何か始めから不幸の陰を感じさせるジゼルでした。

でも、一番印象的だったのはルテステュの笑顔です。すごく幼い表情をして笑うんですよ〜。口を横に大きく引いて、なんとも幸福そうに笑うんです。普段のクールビューティーのルテステュからは想像もつかないような幼い笑顔。大袈裟でなく、あの笑顔には本当にビックリしました。また、そのいたいけな笑顔が、後で訪れる悲劇を思うと切ない、、。そして、笑ったときだけでなく、ちょっとした目の表情にも幼さが表れています。どういうふうに幼いのか上手く説明できないんだけど、例えば笑うときでも困ったときでも拗ねるときでも、そして誰かに視線を送るときも、その目には幼さや純真さが感じられるんです。すごいなぁ、と。ただ、それが狂気に近づくとき、例えば花占いの場面、自分の身体に異変を感じる場面、ウィリの話を聞かされる場面など、彼女の眼には暗い陰が宿り、その後の悲劇を予感させます。

昨日のゲネプロでも思ったんですが、ルテステュの(あるいはパリ・オペ版の)首飾りの捨て方が好き。アルブレヒトの態度にすべてを悟ったジゼルは、彼の頬に触れた自分の手を見つめ、半ば朦朧と首飾りを外すと、ポトッと手からこぼします。地面に投げつけるよりも、胸に迫るものがあるなぁ、と。
ルテステュの狂乱の場面も好きでした。やり過ぎず、表情も大きくは変えないんだけど、心が壊れて確実に向こう側に行ってしまった感じがする。舞台の中央で最初に顔を上げたとき、自分でも理解できない事態を把握しようとするかのように辺りを見回した彼女の、虚ろで少し怯えたような目が印象的でした。その後も、既に狂気に捕まった目と、それでも自分をくい止めようとするかのような困惑の目が入り混じり、大袈裟に表情を変えない分、心が悲鳴を上げているのが聞こえるようで、痛々しかったです。目の前にアルブレヒトがいても、「どなた…?」という感じ。誰かわからないというよりは、「私の愛したアルブレヒトではない」という感じだったのかもしれません。

2幕のルテステュもよかった。静かな表情で、生気を感じさせないジゼル。でも、決して冷たくはないんです。最初にアルブレヒトの前に姿を現し漂うときも、アルブレヒトとともに踊り続けるときも、大きな愛が彼を包んでいるのを感じずにはいられませんでした。

ルテステュの感想しか書けませんでしたが、この辺で〜、、、。続き、書けるかな…。
posted by uno at 04:17| Comment(0) | バレエ日記2010 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする