2008年01月31日

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』12月27日【川口】

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』、川口公演の感想です。川口リリアへ行くのは2度目。前回もギエムのオン・ステージ・ツアーでした。埼玉と言っても川口なら東京からすぐだし、リリアは駅を出ると目の前にあるので、なかなか便利です。1階席の前方の傾斜が緩いことを除けば、良いホールなんですが…。

『Push』の感想はAプロとBプロで書いたので、省略…。『白鳥』は初ムッル。東バの『テーマとヴァリエーション』も、私はこの1回だけでした。


<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>東京バレエ団全国縦断公演
『シルヴィ・ギエム、進化する伝説』 Dプログラム

2007年12月27日(木)19:00 川口リリアメインホール

『白鳥の湖』第2幕より
振付:
マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
アレクサンドル・ゴールスキー、イーゴリ・スミルノフ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

オデット:シルヴィ・ギエム
ジークフリート王子:マッシモ・ムッル
四羽の白鳥:佐伯知香、森志織、福田ゆかり、阪井麻美
三羽の白鳥:西村真由美、高木綾、奈良春夏
他、東京バレエ団

この日はオペラグラスが要らないくらい前方の席で見ていたので、これまでとは少し味わいが違いました。幕が開いて一番に飛び込んできたのは、コール・ドの吉川留衣さん。ちょうど私の席の近くにいたので目が行ったんだと思いますが、彼女の肩から腕にかけてのラインが、ピンと緊張感があってとても綺麗でした。彼女は、コール・ドなどのある程度の人数の中にいると思わず目が行くことが多いんですよね。三羽の白鳥の西村真由美さんの踊りを間近で見られたのも、すごく嬉しかった。やっぱり綺麗です。

私にとっては、今回のギエムツアーで唯一のマッシモ・ムッル。いつもにも増して細く見えたんですが、痩せたのかしら?あの物静かで情熱的な佇まいはやっぱり素敵です。そのサポートは限りなく優しんだけど、力強くてどこか色気がありました。ギエムのオデットは、まだ恐れを抱いた表情で、王子を遠巻きに窺いながら登場。パタリと上体を折り曲げて白鳥の体勢になると、様子を窺うように顔を上げようとする。しかし王子の気配を感じてもう一度顔を伏せてしまいます。この辺りの細やかな演技が好かった。差し出された王子の手を見る。続いて王子の顔を見上げる。王子がもう一方の手を差し出すと、その手を見てから、またゆっくりと王子を見上げます。王子の手→顔→もう一方の手→顔というふうに、恐る恐る順に見つめるギエムが印象的でした。
ムッルはと言うと、とても物静かで優しいんだけど(王子としてもパートナーとしても)、抑えた情熱と色気がありました。ニコラも情熱的だし、限りなく優しげなんだけど、少し違うんですよね。ニコラの情熱は外に向かっている感じがするんだけど、ムッルは内に向かっている印象があります。ニコラは、かけがえのないものを壊れないように大切に包み込む温かな包容力と、初めて心ときめく人に出会ったという喜びが感じられる王子。ムッルの王子は、大切なものを愛しく思うがゆえに、強く抱きしめて壊してしまいそうな危うさがあって、本人がまたその自分の強い感情に気が付いているからこその切なさがありました。舞台の上手、辺りを窺うような仕草をするオデット。その背後に立ち、大きく両腕を広げて後ろから覆うように抱きしめようとする王子。オデットはすぐに気が付いて、サッと身をかわします。ムッルは、両腕を広げてから抱きしめるまでの間に、ほんの少し“溜め”があるんです。あの一瞬の絶妙な「間」に、何とも言えない色気がありました。コール・ドが舞台を斜めに区切るように一列に並ぶと、上手の奥に向かって逃げようと駆け出すオデット。その行く手を阻むように両腕を広げて制止するムッルは、やはり色気があります。ほんの少しだけ、愛するが故の強引さがあって、そこが色気に繋がるのかもしれません。
オデットだけでなく、王子の物語を感じるアダージオになっていたと思います。ジークフリートにこそ、このオデットという存在が必要だったのだと思わせるものがありました。
ゆっくりと確かに手を取り、視線を交わしながら踊るギエムとムッルの間には、オデットとジークフリートとしての空気が流れていました。それは静かだけどとても濃密な空気。
この日ギエムは、サポート付きのピルエットで一度だけ大きく傾く場面がありまいしたが、ムッルがギュッと支えているので不安はありませんでした。ギエムとのパートナーシップに関しては、ニコラもムッルもどちらも変わらない確かさがあるなと思いました。

『テーマとヴァリエーション』
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー

吉岡美佳、高岸直樹
乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子
平野玲、松下裕次、長瀬直義、横内国弘
他、東京バレエ団

久しぶりに見る『テーマとヴァリエーション』でした。とっても楽しかったです。コール・ドに関しては、もっともっと良くなってほしいという段階だったと思いますが、それでもやっぱり楽しかった。最後に全員が整列して踊る場面では、後ろのダンサーから端のダンサーまで全員の気合が感じられ、なんだか嬉しくなりました。舞台が狭いようで、やや踊りにくそうなのが気の毒でしたけど、、、。

暗転の状態で幕が上がり、照明がつくとプリンシパル2人と女性陣が全員でポーズをしているところから始まります。男子は後半で投入。最後はプリンシパルを中心に、全員が整列して華やかに踊ります。高岸さんが吉岡さんを肩にリフトしたポーズで終了。吉岡さんのバシッと気合の入ったラストのポーズが印象的でした。

なんと言っても、吉岡さんの輝きに尽きるかなと。やはり彼女は、中央で踊るということを心得ている人だなと思いました。何て言うんでしょう、テクニックは勿論なんだけど、それよりもプリンシパルとして中央で踊るということはこういうことなんだなと、彼女を見てると思うんです。ある程度は場数も関係あるのかなぁとは思います。だからこそ、若手のダンサーにも早く主役を躍らせてあげたいんですよね。でも、吉岡さんの舞台を見ると、彼女にはまだまだ中心で踊ってほしいと強く思います。そう思わせてくれる人なんです。
調子も良さそうでした。相変わらずの透明感が全てのステップ、全ての動きに行き届いていて、「指の先から頭の先まで吉岡さん」という感じ。細かいステップは軽やかで、音楽と溶け合うような心地良い柔らかさがあります。そして、吉岡さんの腕がとても好き。スッと腕を伸ばすとき、最後の指の爪の先まで絶対に気を抜かないんです。そしてそれが音楽にピタッと寄り添っている。彼女の腕の中、身体の中を旋律が流れているような、音楽の中を彼女が漂っているような、そんな心地良い感覚をもらうことができます。

高岸さんもツアー序盤よりも調子が良さそうでした。芸監をやりながら、おそらく予定外の登板も増え、きっと大変なツアーだったと思います。「お疲れ様〜」と言いたい気持ちになりました。
吉岡さんと同様、中央で踊ることが板についている人です。きちんとノーブルで、ダイナミック。最近は一緒に踊るのことは少ないのかな?少なくとも私はあまり見たことがなかったんですが、吉岡さんと高岸さんの並びも素敵でした。ただ、これは言っても仕方のないことなんですが、もしパートナーが木村さんだったら…という考えがチラついてしまいました、、、。もちろん高岸さんは申し分のないパートナーなんだけど…。これは高岸さんのせいではなくて、私の問題です。あの『バレエ・インペリアル』で見た吉岡さんと木村さんの世界を、もう一度見たいと思ってしまったんです…。なんつって、大袈裟ですかね、、、。木村さんが『テーマ〜』にあの雰囲気を持ち込むかどうかはわかりません。作品の雰囲気も違うし。でも、もしこれが木村さんだったら、もっと優しく吉岡さんに触れるんだろうなぁとか、吉岡さんの身体が木村さんの手を離れる瞬間の訳もない切なさとか、そういうものを思い出してしまったんですよね、、、。高岸さんはとても好きなんですよ。ただ今回ばかりは、もしかしたら川口は木村さんだったかもしれないという思いがあったばっかりに、こんな感想になってしまっただけなんです。あしからず〜。

男性4人のソリストでは、流石に平野さんの上手さが目立ちます。頭2つくらい出ている印象。松下さんがクラシック演目仕様の七三分けにしていているのが楽しい。長瀬さんの踊りにも自然と目が行くなぁ、と。東バの中では比較的長身で細身、シャープな踊りで脚なんかもよく上がるので、目に入るのかも。横内さんも良い感じなんだけど、ノーマルすぎるのか、印象が薄くなってしまうときがあります。もっと長瀬さんみたいに、押し出しの強さがあればいいのにな〜と思うんだけど、それがないのが横内さんのいいところでもあるんですよね。難しいもんだな、、、。女性陣は、乾、奈良、高木、田中の安心ソリスト。男子よりも頼りがいがあるな、と。全員安心して見ていられます。

コール・ドも悪くはないんだけど、もっと余裕が出るといいなと思いました。私は東バのファンだから楽しかったんですけど。宮本さん(の笑顔)確認とか♪ 鈴木さんチェックとかね。コール・ドが左右にザーッと分かれて両袖に整列するところで、一人遅れ気味の男子が慌てて走っていったんだけど、まさか野辺さんではあるまいね…? 最後に全員が踊るところで、最後列の男子が一人、踊りが遅れていたんだけど、まさか野辺さんじゃあるまいね…。う〜ん、野辺っちに見えたよ…。最後に関しては、舞台が狭くて最後列の人は気の毒なくらいだったので、ちょっと仕方ないかなと思います。
この日のコール・ドで目を引いたのは、男子ではやっぱり高橋さんとか小笠原さん。彼らは、どの演目で何を踊っていても目が行く筆頭です。女性では、森紫織さんを結構見てました。四羽の白鳥で愛着が出てきたのかも。小柄だけどピシッと気合の入ったいい踊りをしていると思います。あと渡辺理恵さんも最近ときどき目が行くかも。

『Push』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム、ラッセル・マリファント

…省略…
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2008年01月30日

東京バレエ団『カルメン』12月11日<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>

東バの『カルメン』、12月11日の感想です。10日の『カルメン』とギエムBプロの感想も下↓の方に別枠でアップしてありますので、よろしければどうぞ〜。

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>Bプログラム
2007年12月10日(月)18:30 東京文化会館

東京バレエ団『カルメン』
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン

カルメン:上野水香
ホセ:木村和夫
エスカミリオ:後藤晴雄
ツニガ:平野玲
運命(牛):高木綾
女性ソリスト:長谷川智佳子‐西村真由美
ほか、東京バレエ団

今回の『カルメン』は、大嶋さん木村さん共にホセ初役という上演でした。首藤さんがホセを踊らなくなって以来、初の『カルメン』。嫌でも首藤さんのホセが頭を過ぎるかと思いきや、とんでもない!大嶋さんも木村さんも、素晴らしいホセを見せてくれました。それぞれの完成度は実に見事。本当にエキサイティングな2つの『カルメン』でした。

初日に大嶋さんのホセを見たときは、首藤さんとだいぶ違うなと思いました。でも木村さんのホセを見た後では、木村さんよりは首藤さんに近かったかもしれません。いや、首藤さんと比べている訳ではないんですが、皆さんが想像する手助けになればと思って、、、。
大嶋さんは、ストイックな中に漂う香るような色気が印象的。そう、感情を抑えている感じが印象的なんですが、木村さんは感情の起伏がもっと素直に表面に出ていたと思います。そして、その感情の流れと踊りが分かち難く融合して、途切れることなく豊かに物語を紡いでいきます。抑えているはずの感情が、自分でも「あれよあれよ」という間にこぼれて、カルメンという出口に向かって注がれていく。彼女に出会った瞬間から急速に臨界点を超えていく様が絶品でした。

静かな鐘の音で始まる音楽は、物語の最後のような印象を受けます。全てが終わった後に、回想が幕を開けるのを見るような感覚がある。
牛の幕が上がると、上野さんのカルメンの登場。流石にプロポーションが綺麗なんですが、今回ちょっと彼女のポワントが気になりました。おそらくポワントの底を折っているか、切り取っているかしていると思うんですが、グニャっと折れ曲がりすぎてラインが綺麗ではありませんでした。「カルメンは脚!」みたいな感じで、いつもより余計に手を加えたんでしょうか?いつももっと綺麗なのにな〜と、少々残念…。
まあポワントはさて置き、踊りは序盤のソロからとても良かったです。前日の斎藤さんに比べると、やはり踊りが軽くキレがあります。そしてなんと言っても可愛い。ただなんて言うか、可愛すぎて“カルメン”じゃないんですよね、、、。むしろ、キトリ。運命の女という感じが弱かったのが残念でしたが、とても可愛くはありました。そして、どうやら木村さんとの相性は悪くないようです。荒川で『バクチV』を見たときも「悪くないな〜」と思ったんです。しかも、荒川も今回も、カーテンコールの2人が満足気なのが印象的なんですよね。

ツニガ初役の平野さんも好かった。何を初めて踊っても、「初役とは思えない」と思わせる人です。平野さんの正確で綺麗な踊りが、ツニガの直線的なピシピシした踊りにも合っていました。序盤で木村さんのホセと2人で踊られると、どちらを見ていいか困ってしまいましたよ。2人とも脚が綺麗なんだ、これが。
今回ちょっと、真面目な顔して踊る平野さんにニヤッとしてしまいました。たぶん私がまだ『真夏の夜の夢』のライサンダーを引きずっているんだと思いますが、「あのライサンダーが」と思うと妙に楽しい。カルメンとエスカミリオのパ・ド・ドゥの場面で、背後の壇上にツニガが現れるんですが、2人を見つめる顔が格好良いんだけど、思わずニヤッとしちゃう。その含むもののある顔が面白くて。いや、上手いからこそ面白いんですけどね。本人も生き生きしてるし。一歩外側から登場人物たちを観察しているようなツニガは、目に力のある平野さんに合っていました。ただ、平野ファンの私も、ここはまだ後藤さんのツニガに一票かな、と。後藤さんのツニガは本当に敵役。私としては平野さんにはホセを踊ってほしいんですが、世間的にはホセのキャラじゃないのかなぁ…。

舞台の下手に立つホセ。背後から現れたカルメンに、吸い寄せられるように腕を伸ばします。木村さんのホセは比較的、立ち位置から動いていたと思います。2・3歩はカルメンの方に歩み寄ってた(と思う)。腕も伸ばすし、わりと動きがある。だから、感情が表に出ているように感じたのかもしれません。
正面を向いているホセの、視線だけがカルメンの方へじーっと移動する。やがて顔を向け、またパッと正面を向く。思わず身体ごと吸い寄せられる。雑念を振り払うようにブルブルっと頭を振って、元の位置に戻る。壁に手をつき苦悶する後姿が美しいです、、、。その、押し寄せる何かにどうしようもなく心乱される様に、見ているこちらまでハラハラと胸が苦しくなるようでした。
それが、「ジャン!」という音楽の始まりで弾ける。10日の感想でも書いたんですが、木村さんは「ジャン!」で気を付けの姿勢。つまり手を腿の側面に当てます。それに対して大嶋さんの手は、もっと内側に入っていたように見えました。単純に体勢だけ見ても、手が内側の方が、心のはたらきが自分自身に向かっているような感じがします。大嶋さんのホセの場合、解放どころか更に内に向かっていくような危うさがあったんですが、木村さんは狂おしいほどに正直に、その感情がカルメンへと向かっていきました。カルメンに惹かれれば惹かれるほど、内へ内へと向かっていく大嶋さん。それに対して木村さんは、カルメンへカルメンへと向かっていく、その狂おしさ…(♪)。大嶋さんは、自分の中で渦巻いているものが出口を求めているホセ。木村さんは、自分の中に空いている穴を埋める何かを探し求めていたホセ。そんな感じかなぁ、、、。

去り際、カルメンの腕を掴むホセ。誘惑するような悪戯っぽい眼差しが可愛い、上野さんのカルメン。私としては、挑みかかるような眼差しの斎藤さんが格好良くて好きでしたが、、、。
ホセの手を振り解いてカルメンが退場。木村さんは、カルメンの腕を掴んだ自分の手の平を見つめる仕草はしませんでした(たぶん)。もう半ば呆然としながら帽子をとる。そしてその帽子を…!! 脱いだ帽子をきちんと舞台袖に置いた大嶋さんに対して、木村さんはそれを万感極まって無意識にそうするように、ポトッと手から落としたんです(あれきっと、暗転して退場するときに、自分で拾ってったんだろうなぁ)。もう、帽子ポトッ…にやられました。その瞬間、私が感情移入したのは、木村さんの手から離れたあの帽子です。私もあの帽子になりたい。そして木村さんの手から落とされたい…(変態)。

帽子をとったホセは、思いを断ち切るかのようにスタスタと舞台の中央まで歩いてきます。「気のせいだ」と自分に言い聞かせるように…。しかし、見えない力に引き戻されるように、今カルメンが消えた方向に腕を伸ばし、踊り始めます。背後に腕を伸ばすとき、木村さんは綺麗に背中から振り向くんです。単に後ろに手を伸ばすのではなく、見えない力に背中を引き戻される感じ。その背中が綺麗でさ、、、。
カルメンを思い出す。彼女を心に描くだけで、ホセの心を歓喜が襲います。少年のような無邪気な足取りで走り出し、さっき彼女の腕を掴んだシーンを繰り返してみる。そして、あの甘やかな瞬間を反芻します。戸惑いから始まったソロは、苦悶を経て、歓喜へと上りつめていく。その後半の、感情が溢れんばかりの表情がたまらなかった、、、。一体誰が、恋しい人を想ってこれほど甘い幸福に酔うことができるでしょうか。
木村さんの大きな手は、相変わらずセクシーで存在感があり、そして今回は切ない。目はもちろん心を語るけど、手もすごく感情が出るパーツですよね。ここでも木村さんの表情のある手が活きていました。手をスッと差し出す。何かを求めるように伸ばす。自分自身へ引き戻す。握りしめる。太腿に添わせる。そして空間を舞う。

この日の女性ソリストは長谷川さんと西村さん。前日の小出‐高村に引き続き、両日とも安心のキャスティングでした。長谷川さんも西村さんも問題なく上手いので、とにかく安心して見ていられます。キリリとした表情も格好良くて、でも可愛い。この日も彼女たちをサポートするのは松下‐宮本の2人組。女性2人の踊りはバッチリなのに、サポートが難しいらしい…。前日は宮本さん(‐高村)が、2日目は松下さん(‐長谷川)がオタオタ。長谷川さんが1回だけ踵をついてしまいました。

やっぱり、あのエスカミリオのソロは難しそうだなぁ、、、と。不格好に見える危険性あり。後藤さんは見た目はエスカミリオに合っていて格好良いし、ちょっと危ういところもあったけど踊りきってくれたので、私は好かったと思ったんですが、やっぱりツニガの方が断然格好良いなぁ…と。今の東バでエスカミリオを高岸さんから引き継ぐのは、後藤さんしかいないかもしれない…。でも、やっぱり高岸エスカミリオと後藤ツニガの組合せがベストだよな〜。いつかは誰でも踊らなくなる訳だから、メンバー交代は仕方のないことなんですけどね、、、。
ソロは好かったんだけど、運命(牛)との踊りが上手くいかない…。最後の闘牛場の場面は、前日の高岸‐奈良以上にヒヤヒヤもんでした…。本当に危なかったな〜。踊り慣れているせいか、上野さんのカルメンとの相性は良かったです。

白シャツに着替えたホセとカルメンのパ・ド・ドゥ。2人の雰囲気はとてもよかったし、サポートやリフトなど踊りも上手くいって、とっても素敵でした。斎藤さんの場合、最初はからかうように振舞う様子が印象的なんですが、上野さんはわりと始めから愛のパ・ド・ドゥになっていた気がします。上野さんがなかなかいい表情をするようになってきたなぁ、と。恋に燃える、しっとりと艶やかな表情が好かった。2人の感情がすれ違わずに、一緒に高まっていくのが感じられました。特に2人が並んで正面を向くところでは、彼らの気持ちが通じているのを感じて、ちょっとジ〜ンとしてしまった。ああいう、パ・ド・ドゥの中の踊らない瞬間っていうのかな、フッと時間が止まるような瞬間がいいですよね。もう終盤の木村さんは、すーごい笑顔♪ 若い水香ちゃん相手にもう夢中なホセで(現実と物語の区別がつかなくなってる私…)、あんなに前髪振り乱して白シャツ震わせて、そんなに嬉しそうに踊らないでくれ〜(いや、踊ってくれ)。
最後、グッと顔が近付くけどキスはしていなかったように見えました。地べたに座りヒシっと抱き合った2人を、牛の幕が下りてきてそっと隠します。まるで夜の闇が2人を包み込むように。

カード占いの場面。ここでも上野さんの表情が良い。影のように付きまとう運命(牛)に、振り切ろうと毅然としつつも、恐怖しているのがわかります。運命が背後から彼女を捕まえた瞬間、思わず“カルメン”という女の仮面が外れ、一人の女が姿を現します。目を見開き、恐怖に捕まったような表情の上野さん。こういうときは上野さんの大きな瞳が効果的です。木村さんと平野さんの迫力の攻防も、見ていて楽しい。

最後の闘牛場の場面。上でも書きましたが、エスカミリオの後藤さんと運命の高木さんの絡みがどうもうまくいかない…。前日の高岸さんですら危うい場面もありました。あまり詳しくないのでわからないんですが、難しそうな踊りではあります。まず音楽が、闘牛の軽快で明るい音楽と、運命を暗示するような暗い音楽が交互に忙しく切り替わります。忙しいわ、リフト・サポートは多いわで、結構大変な場面なんだと思いますが…。

カルメンを刺し殺す直前、ちゃんと腰からナイフを抜く仕草をする木村ホセ。運命がカルメンの手を引っ張り、ホセが握りしめたナイフ目掛けて投げ出します。ホセは下手から、カルメンは上手から走り寄って、中央でブスリ。あれは、運命がカルメンを死へ導いていたのね〜(気付くのが遅い)。刺された瞬間、遠くへ真っ直ぐ伸ばした上野さんの腕が、とても綺麗で表情があり印象的でした(彼女の腕を綺麗と書いたのは、初めてな気がする)。
上野さんのカルメンは客席の方に顔を向け、少し笑ってみせます。まるで、「呆れた人ね」と言っているようでした。「仕方がないわね」と優しく笑った上野さんは、なかなかの包容力を感じさせていました。ホセの頬にそっと触れ、「いいのよ」と首を横に振り、グニャリと事切れる。
ぐったりしたカルメンを抱きしめるホセ。客席に背中を向けた状態で綺麗に崩れ落ちていくカルメンを、ゆっくりゆっくり地面に下ろします。彼女が自分の手を完全に離れた瞬間、我に帰る木村ホセ。あぁ自分は永遠に“失った”のだと気が付く…。その恐ろしい喪失感が彼を襲い、一瞬だけ顔を「ウワァ」と歪めます。その後は遠くを見つめ呆然…。その一瞬込み上げた「ウワァ」が、私の心にも果てしない喪失感となって襲ってくるようでした。大嶋さんの抜け殻状態とは少し違う、自分のしたことを深く理解しているかのような佇まい。彼はその瞬間、全てが終わったことを理解したのだと思います。


この日はカーテンコールが印象的でした。2人とも満足のいく舞台だったようで、なんだかもういい感じ♪ 木村さんは満面の笑み(♪)。上野さんも少し甘えるような可愛らしい眼差しを向けていました。距離は近いわ、見つめ合うわ、もう面白い。なんと言っても一番面白かったのは、2人が向かい合ってお辞儀をするところ。跪いた上野さんがなかなか立ち上がらず、両手を差し出して可愛らしく待ってるんですよ〜。それを見た木村さんは半ば小走りで迎えに行き、両手で彼女の手を取って立ち上がらせます。なんだ、なんだ、その面白い感じは〜!! もう見ている私もニヤッニヤですよ。はぁ〜、楽しかった♪(こんな結びでみみません…)
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2008年01月29日

東京バレエ団『カルメン』12月10日<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>

昨年の東バの『カルメン』、12月10日の感想です。12月11日の感想はまた別枠で。

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>Bプログラム
2007年12月10日(月)18:30 東京文化会館

東京バレエ団『カルメン』
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン

カルメン:斎藤友佳理
ホセ:大嶋正樹
エスカミリオ:高岸直樹
ツニガ:後藤晴雄
運命(牛):奈良春夏
女性ソリスト:小出領子-高村順子
ほか、東京バレエ団

なんと言っても大嶋さんのホセが素晴らしかった!まずはこの一言に尽きます。全身から発せられる、あのウェットな色気。問いかけるような静かな眼差しも、そこはかとなく色気があります。斎藤友佳理さんのカルメンは何度か見たことがあり、とても好きな役なのでこの日も堪能。普段の斎藤さんのイメージとは少し違う役柄に、何だか惹かれるんですよね。踊りはちょっとキレがなくなってきたような気がします。でも、今よりシャープな踊りを見せていたときの情熱的なカルメンも素敵でしたが、より湿度と温かみの増したカルメンは更に母性を感じさせるようになり、とても素敵でした。
全体的には、ややバタついた印象がありました。高岸さんの不調が痛かったかな…。奈良さんの運命もとても好かったんだけど、最終幕のエスカミリオとの絡みが上手くいかなくてちょっとヒヤヒヤしました。

印象的な牛の幕が上がると、舞台中央でポーズするカルメン。冒頭はカルメンのソロです。斎藤さんは、紛れもなく“カルメン”でした(正確には“斎藤友佳理のカルメン”なのかな、やっぱり)。情熱的で自信に満ち、俗っぽさと気高さ、魔性と母性を併せ持った女です。迂闊に近付けば身を滅ぼしかねない予感と、それ以上に男の全てを包み込んでくれそうな大きな愛。エスカミリオが身を滅ぼさなかったのは、彼が大人でしかも遊びだったからかな。ホセが身を滅ぼしたのは、彼がまだ青年でありしかも本気だったからかな、、。そんなホセだからこそ、カルメンも自分の命の終わりを理解しつつ身を任せたのかもしれないなと思いました。

後藤さんのツニガが好調。丁寧でキレのある踊りは、とても綺麗で大きさを感じさせました。以前見たときよりも、断然存在感があります。あの衣裳が様になって格好良いし、何より表情、特に目つきが格好良くて(♪)。後藤さんは、『中国〜』の首領やオベロン、そしてツニガのような、何か企んでいるような風情も似合います。あ、あと『白鳥』のスペインも企んでるか。

カルメンやエスカミリオの登場に比べると、ホセの登場は微妙に拍手がし辛い…。ツニガの導きで下手に登場するホセ。大嶋さんのホセは静かな中に大きなエネルギーをみなぎらせていて、それが出口を求めて渦巻いている感じがする。舞台の空気を変えるほどの吸引力がありました。厚い胸板と、たくましい脚、綺麗な爪先。帽子に隠れて表情がなかなか見えないのが良いんです(♪)。あの帽子の下で一体どんな表情をしているんだろうかと、想像が膨らむ。大嶋さんのシャープな顎のラインと、時折見える静かに伏せた瞳がなんとも色気がありました。とか言って、本当は「え〜い!帽子が邪魔だ!」とか思いながら見ているんですが、後から考えるとそのもどかしさが良いなぁと。
この日は踊りも好調。一つ一つの振りが本当に綺麗で、隅々まで神経の行き届いた踊り。そして、気迫すら感じる集中力。回転なども全て綺麗に決め、最後まで充実した踊りを見せてくれました。

ホセとツニガが2人で踊る場面は、ちょっと面白くて好きです。この日は大嶋さんも後藤さんも踊りが好調。全く違う個性の2人が、同等に存在感を発揮しつつ踊る様は見ていて楽しかったです。
背後からカルメンが登場。手を後ろに組み、正面を向いて舞台下手に立つホセ。堅物の男をちょっと翻弄してやろうくらいのカルメン。こういうときの斎藤さんは思い切り奔放で、憎めない可愛らしさがあります。吸い寄せられるように思わず歩み寄るホセ。ホセの胸を手で制止するカルメン。自分の胸の、正に彼女が触れた部分に手を当て、その甘やかな感覚に戸惑いすら覚えるホセが切ない。
時折カルメンに吸い寄せられながらもなかなか陥落しないホセに、カルメンが遂に本腰を入れて誘惑する(ように見える)ところで、音楽が「ジャンっ!」と切り替わります。その「ジャンっ!」で(すみません、こんな表現で…)、大嶋さんは太腿の付け根辺りに両手を持っていきます(私の席からは限りなく股間付近に手を持っていったように見えたんですが、あれは脚の付け根でしょう)。その瞬間の大嶋さんが妙にセクシー。そしてその手をゆっくり下ろし、太腿を這わせて膝を抱えるような体勢になる。翌日の木村さんは、「ジャンっ」で両手を身体の側面にピタッと沿わせていたと思います。つまり「気を付け」の姿勢。

カルメンが去る間際、ホセが彼女の手首を掴んで引き止めます。斎藤さんのカルメンは余裕綽々。自信たっぷりにホセを真っ直ぐ見つめます。自分の眼差しがどれだけ男を誘惑するかを心得ている。静かにホセの手を振り払い退場します。またしても、今彼女の腕を掴んだ自分の手の平をジッと見つめるホセが切ない。

帽子を脱ぎ、それを舞台袖に置いて、ゆっくりと舞台中央の定位置に歩いてくる大嶋さん。その無音の数秒間の、なんと張り詰めて甘やかなこと。ホセの陶酔と、大嶋さんの集中力が伝わってくるようでした。
首藤さんの深遠でストイックな、胸掻きむしられるようなホセとは違い、なんともウェットで、むせるような色気のあるホセ。そして、一つ一つのポーズの華やかなこと!一瞬の溜めを通過して、バッと大嶋さんが身体を開くと、真っ青な夜空に真紅の花が開くような艶っぽい華やかさがありました。首藤さんは完璧にコントロールされた美しい踊りの中に、極限まで感情を閉じ込めたストイックさがあり、それがとても切なくてセクシーだったんですが、もちろん大嶋さんもとてもストイックなんだけど、なんかもう抑えきれずに溢れちゃってた。見ているこちらまで胸を焦がすような、とても胸に迫るホセでした。でもやっぱり、ストイックで色気のあるという意味では、どことなく首藤さんに似ているかなぁ。
伏し目がちな色っぽい眼差しと、絶えず溜息をついているような薄く開いた唇。額にかかる濡れた髪までもセクシーでした。

ソリストの小出さんと高村さんがとっても可愛い。踊りは文句ないし、2人ともピシッと気合の入った空気がとても好かったです。小出さんは松下さんが、高村さんは宮本さんがサポート。高村・宮本の方がちょっと上手くいかなくて、高村さんが大きく傾いてしまいました。ズレたタイミングを取り戻すまで、少し時間がかかったようで、小出さんとの踊りに微妙なズレが生じていました。
高岸さんがやや不調で、いつもよりキレがない感じ。エスカミリオのちょっと個性的な動きが、不思議な踊りに見えてしまっていたかも…。あれを格好良く見せるのは難しそうですね。でも、真っ白な衣裳に身を包んだ高岸さんは、相変わらず太陽の男。登場しただけで、舞台の空気を明るく輝かせる力を持っていました。

斎藤さんと高岸さんはとても大人のパ・ド・ドゥ。カルメンも、エスカミリオに対しては始めから本気で挑みます。本気のゲームをする2人は、惹かれ合うというよりは対等なライバルのような雰囲気。ジッと絡み合う視線と、絡ませた足先の絶妙なタイミング。ピンと張った隙のない空気を作り出すのが上手い。東バやダンサーのファンじゃない人には、ちょっと長く感じるパ・ド・ドゥかもなぁとは思いました。私としては、斎藤さんと高岸さんが踊っているというだけでちょっと嬉しいんですけど。あと、音楽が好いなぁと思いました。特に後半。

白シャツに着替えたホセとカルメンのパ・ド・ドゥも好かったです。ホセに対しては、始めはからかうように振舞うカルメン。しかし、あまりに真剣で真っ直ぐな、切迫感すらあるホセの眼差しに戸惑いを覚えます。やがて、その眼差しに身を任せる心地良さに身も心も浸されていくカルメン・・・。それにしても大嶋さんは、なんて切ない目でカルメンを見るんでしょうか(♪)。流石のカルメンも心乱されないわけがない!しかも、どう見ても大嶋さんは年下の男なので、その辺の危うさも相まって秀逸。大嶋さんの若く情熱的で艶やかなホセが、斎藤さんの濃さを凌駕してしまいそうで、それはそのままカルメンの心にホセが入り込んでいく様と重なるようでした。最後には2人とも笑顔になって、若者のように無邪気に絡み合う姿が印象的。牛の幕が下りてきて、抱き合う2人をそっと隠します。

運命の奈良さんはとてもスレンダーで、シャープな踊り。最近の若い人は、全身タイツを着ても違和感がなくなってきたなぁと感心。オペラグラスでよく見ると、鋭い良い目をしているんだけど、それが遠くだと伝わりにくい。踊りはとても好かったけど、存在感がちょっと軽やか過ぎたかなと…。もっと運命の残酷さや非情さが、全身から漂うようになると良いなぁと思いました。シャープでスパスパ踊ってくれて、好かったんですけど。

最終幕の闘牛場の場面で、高岸さんと奈良さんの絡みが上手くいかなくてちょっとヒヤヒヤしました。そこは高岸さん、パワーで何とか持っていってくれますが、ややバタバタしていました。
ホセの剣に刺されたカルメンは、刺された腹部を触り、手に付いた血を確認します。運命から逃げないことを決めたときから、彼女はホセを許していたんじゃないかな…。死を待つ恐怖が終わりを告げ、むしろホッとしているような雰囲気すらありました。あとはホセの苦しみを思うだけ、、、。虚ろな眼差しのホセの優しく覗き込んで、ホセの前髪をそっとかき上げます。その手の優しいこと…。あの斎藤さんが、あの大嶋さんの、あの濡れた髪をかき上げるんですから、もう私は軽く興奮気味。「いいのよ」と言うように力無く首を左右に振るカルメンは、笑っていました。どうして、斎藤さんのカルメンはあんなに優しいんだろうか…。見ている私が何か許されたみたいな気持ちになるほど、胸にジンワリと伝わってくるものがありました。でも、同時に最後の最後まで「女」なんですよね。母親であり、恋人であり、という。所謂「色気がある」というのとは違うかもしれないけど、あの独特の湿気と粘着質(褒めてます)、そして大きな母性と少女のような無垢は、やっぱりノーマルではない。ノーマルではないものにはやはり、色気というか「性」が宿りますよね。

正面を向いて毅然とポーズをとった後、グニャリと崩れ落ち事切れるカルメン。そのカルメンを抱き起こし、彼女の動かない腕を自分の首に絡みつかせるホセが切ない…。ホセに抱きしめられ、こちらに背中を見せた状態でズルズルと崩れ落ちていくカルメン。死んでもなお意思を持っているかのような背中が格好良かった。虚ろな目をして呆然と立ち尽くすホセを残して幕が下ります。
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2008年01月28日

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』Bプロ 12月10日/11日

『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』Bプログラムの感想です。『カルメン』は別枠で後日アップします(たぶん)。

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007>東京バレエ団全国縦断公演
『シルヴィ・ギエム、進化する伝説』 Bプログラム
2007年12月10日(月)18:30 東京文化会館
2007年12月11日(火)18:30 東京文化会館

『カルメン』
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン

カルメン:斎藤友佳理(10日)/上野水香(11日)
ホセ:大嶋正樹(10日)/木村和夫(11日)
エスカミリオ:高岸直樹(10日)/後藤晴雄(11日)
ツニガ:後藤晴雄(10日)/平野玲(11日)
運命(牛):奈良春夏(10日)/高木綾(11日)
女性ソリスト:小出領子-高村順子(10日)/長谷川智佳子-西村真由美(11日)
ほか、東京バレエ団

感想は別枠で。

『椿姫』第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
ピアノ演奏:高岸浩子

シルヴィ・ギエム、ニコラ・ル・リッシュ

去年バレエフェスで見たときは、「良くも悪くも“ギエムはギエム”」という偉そうな感想を書いておりました…ははは、、、。いや、今でも「ギエムはギエム」と思うことはあるんですが、「それでいいじゃない」と思うことができる今回の『椿姫』でした。彼女が変わったのかもしれないし、私が変わったのかもしれない。丸くなったという表現はしっくりこないんだけど、「丸みを帯びた」というか(一緒ですかね…)。女性らしい柔らかさが少し増したような気がします。
ニコラとのパートナーシップは言うまでもなく完璧。流れるようにスムーズなサポートやリフトは、力みがなくて心地が良いです。ギエムの描くフォルムも無駄がなくて美しい。でも、以前見たときよりも、少しサポートにモタつきが見られました。と言っても、本当にほんの少しですけど。ギエムのポワントにも乱れがあったような…。あまりに完全無敵のマルグリットよりも、人間味があって良いかもな〜なんて思いましたけど。2日目には改善されていました。
ニコラのアルマンも素敵でした。黒いタイツの脚が真っ直ぐでとても綺麗。後半の情熱的なニコラも好かったけど、私としては序盤のニコラが好きでした。感情が弾ける前の、あのせめぎ合い。平然と振舞いながら彼女のヴェールを取り、椅子にかける(床に置いたっけ?)。咳き込む彼女を見て、思わず駆け出して抱きとめる。でも、彼女と目が合うと、クルっと身をかわして彼女から離れます。今あの目に見つめられたら、自分は正気を保てなくなってしまう…。毅然と振る舞いながらも、一瞬の陶酔、一瞬の動揺、偽りの態度…。それらのせめぎ合いが見事でした。

『シンフォニー・イン・D』
振付:イリ・キリアン
音楽:ヨーゼフ・ハイドン

【10日】
井脇幸江、長谷川智佳子、西村真由美、乾友子、佐伯知香、高木綾、田中結子、阪井麻美
中島周、高橋竜太、古川和則、平野玲、松下裕次、野辺誠治、小笠原亮、宮本祐宜
【11日】
井脇幸江、小出領子、高村順子、奈良春夏、森志織、田中結子、前川美智子、吉川留衣
大嶋正樹、中島周、松下裕次、鈴木淳矢、氷室友、長瀬直義、横内国弘、梅澤紘貴

一応10日がファーストキャストでしょうか。名前だけ見ると、「かろうじて10日がファーストかな〜」という感じなんですが、実際に見てみるとやはり差は感じます。当たり前ながら、細部が全体を作るんだよな〜と思いました。11日の若手メンバーも頑張っていたし、とても好かったんですよ。表情豊かに芝居っ気たっぷりに演じてくれて、こういう若い子たちまで演じるということが浸透しているのが、東バの良いところだと思います。でもやっぱり10日の方がワンステージ上にいる感じがするんですよね。笑いの起こり方も違う。11日は、「あ〜、ここで笑いが起こってほしかったな、、、」と残念な場面もあり…。ただ、11日は途中でアクシデントもあったので、彼らもテンションを保つのは相当大変だったろうし、同じことが観客にも言えたと思います。そんな中で、最後まで笑顔で、この作品の楽しさを損なわずに見せてくれたダンサーたちには、感謝の気持ちでいっぱいになりました。カーテンコールの中央で、みんなの気持ちを引っ張るかのように最高の笑顔をしていた井脇さんには、感動すらした…。

衣裳は、男性は黒、女性も黒で胸のところだけ黄色。男女ともキャップを被り、男性は膝に黄色のサポーターをしています。明るく軽快な音楽に乗せて、次から次へと愉快な場面が展開して目が離せません。下品に、滑稽に、そしてやり過ぎにならないように、それでいて笑いを誘うのは結構難しいと思うんですが、東バはこの作品をなかなか上手に踊っていると思います。
メインのカップルは井脇&中島で両日とも共通。ほっぺたを赤くしてそばかすを描き、おさげをピンと跳ねさせた“おてもやん”は田中結子さんが両日とも演じました。井脇さんがとっても綺麗で、そしてキュート。最近の井脇さんは、美しさだけでなく可愛らしさにも磨きがかかっている気がします。コミカルな中島さんがとても好かった。私は中島さんのキャラクター寄りのものが結構好きなんですが、あまり彼に合わないものもあると思うんです。でもこれは好き。初日の西村&平野のペアが最高。同じパートを2日目は奈良&横内。流石に芸達者の西村&平野が上をいきます。前回この作品を見たときは(確か2005年のギエムツアー)、西村さんが“おてもやん”でした。可愛いお色気が出ていてすごく好かったんだよな〜。田中さんもとても好かったんだけど、個性豊かな面々に囲まれると、少しキャラが弱いかなと思いました(そこが彼女の良いところでもあると私は思っているんですが)。初日の男性陣では、高橋さんの気合の入った踊りが格好良い。表情豊かで芝居も上手いし、高橋さんはいつでも要だよな〜と。「えーん、えーん」と泣いている女の子(初日は長谷川さんだったかな…?)を指差して、「ちょっと、泣いてるよ〜、どうすんの?」みたいな芝居が面白い。2日目は高橋さんの位置に氷室さん。ちょっとホワンとした優しい雰囲気がありますよね。泣いている小出さん(可愛い!)に対して、どうしていいかわからず手を焼いている感じが、優しさが出ていていいなと。あと、初日は古川さんの存在が大きい。踊りも演技もしっかりしているし、明るい空気を振りまいてくれます。何より本人が楽しそうなのが最高。
あとは、佐伯さんが可愛いな〜とか、高木さんは大人っぽくて綺麗だな〜とか。高木さんは踊りに品があるので好きです。吉川留衣さんはコンテが良いかも。案外(?)何を踊らせても様になる長瀬さん。

2日目のアクシデントについても書いておこうと思います。作品の中盤、場面の終盤で大嶋さんが怪我をするというアクシデントがありました。左右の男性の肩を借りて、走りながらポーンポーンとジュテのようにするところがあるんですが、何度目かの跳躍のときにバチンという音とともに大嶋さんが崩れるように屈み込みました。ケンケンして何とか袖に入り、そこで崩れ落ちるのが私の席からも見えた…。しばらく舞台は無人のまま音楽だけが鳴り続け、暗転。次の場面は途中まで男性が一人不在の状態で踊られました。パートナーなしで頑張ったのは奈良さん。一旦退場した男性陣が再び登場すると、人数が足りてる。よく見ると、小笠原さんが代役で入っていました。帽子はかぶっていましたが、膝のサポーターは無しという姿。微妙にタイミングがずれる場面もありましたが、完璧に踊りきってくれた小笠原さんに感動。もちろん小笠原さんだけでなく全員に、今でも感謝したい気持ちでいっぱいです。
大嶋さんは2日目の中でも抜群の存在感を放っていたので、是非最後まで見てみたかったです。

『TWO』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム

これは何度見ても格好良い。ずるいくらい格好良いなあと思います。見終わってすぐ「もう一度見たい!」と思う(これは昔十市さんが言っていて、良いこと言うなあと思った表現ですなんですが)。
何度も踊られてるので説明するまでもないと思うんですが、舞台の中央前面に立つギエムに上からスポットが落ちています。跳躍も回転もなく、彼女はその1.5m四方(予想ではそのくらいかと、、、)から出ることなく、1点に立って踊ります。最初はゆっくりと、次第にスピードを上げ、最後には両腕・両脚の軌道が鮮やかな残像を描きながら踊る。終盤にはスポットが変化し、中央のギエムには当たらず、その周りを囲むように光の壁ができます。ギエムが踊るたびに、その手や足先が光の中を通過しながら閃きます。マリファントは面白いこと考えたよなあ、と。ボルテージが最高潮に達したところでカットアウト!あの盛り上がったところでスパッと終わるのがまた、観客のドーッという拍手に繋がるんだろうな。しかも、スピードが上がり切ってからが案外長いんです。盛り上がったと思ったら終わり、というのと違うから、ちゃんと満足感が残ります。カーテンコールは2日間とも、ホールが振動するような喝采に包まれました。

2日目は、この前の『シンフォニー・イン・D』でアクシデントがあったため、私の集中力は途切れがち…。特に前半は音楽が静かなので、袖で対応に追われているらしい声が客席まで届いていて、様々な考えが頭の中を渦巻きました。なんら変わることない集中力で踊り、最後には大喝采をもたらしてくれたギエムが格好良いと思うと同時に、彼女にもありがとうという気持ちになりました。

※あとでプログラムを読んだら、あの照明は1.2m四方だそうです。

『Push』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム、ラッセル・マリファント

音楽は『TWO』と同じアンディ・カウトン。機械的と神秘的の両方の空気を持っていて、とても格好良い。場面毎に少しずつ音楽は変化して、水面に雫が落ちて波紋が広がるようなイメージの音楽になったり、重低音が心地良い、迫り来るような響きの場面もあって面白かったです。川口か神奈川だったか忘れたんですが、重低音に会場が振動して「ジジジジ…」と音がしていましたよ…。場面毎に暗転しますが、音楽は消えないので間違えて拍手が起こることはありませんでした(そんなこと心配してるの、私だけか?)。

リフトした状態から始まり、ギエムはマリファントの身体をゆっくりと滑るように体勢を変えながら下りてきます。その間、マリファントはゆっくり回転しながら前進してくる。床の上で2人が離れ離れに同じ方向を向いて座ると暗転。次に照明が点くと、また先ほどと同じ場所からリフトした状態で始まります。あの冒頭の繰り返しが、なんとも格好良い(私の隣のご夫人は「あら?」と言ってましたが…)。果てしなく続いていく悠久の時間を垣間見るような、そんな感覚に襲われる瞬間があります。暗がりの向こうから浮かび上がるように姿が現れ、ゆっくりとこちらへ向かってくるのが格好良くて、イメージを掻きたてられるんです。後半でも同じように、今度は暗がりの向こうへ消えていくところがありますよね。2人の姿が消えそうになると次の照明が点く。また消えそうになると、その次の照明が点くという場面。下手の上空から差すように降り注ぐ照明がまた格好良いんです。
モダンでありながら原始的でもあり、緩やかでありながら緊張感のある時間と空気が流れる作品。あの感じのコンテンポラリーで30分は長いかなと思う部分もあるんですが、あの感覚を受け取るには必要な長さだったのかも、、、。
この作品での2人の人間の関係性は、ギエムとムッルで見たときは男女の空気感があって官能性を生んでいました。後半には少し挑戦的というか、対立の要素も感じた。マリファントが相手だともっと深い根源的な繋がりを感じました。シャープな感じも少し薄れたかな。マリファントの持つ雰囲気もその原因の一つかもしれません。マリファントは1961年生まれということなので、ギエムより少し年上、ほぼ同世代だと思うんですが、なんとなく「お父さん」な感じがしたんです。一緒に踊っているギエムが可愛く見えたんですよね。マリファントは大きなオーラを持った、ちょっと不思議な魅力のある人でした。

私が好きだった場面の一つは、中盤、舞台中央で向き合う2人に真上からオレンジ色のスポットが落ちる場面です。全体的にオレンジ色の照明で踊られる場面なんですが、中央で向かい合って踊っていた2人が、踊りながら徐々に円状に広がっていくと、オレンジの照明も少しずつ広がっていきます。
この辺りから頻繁に取り入れられる振付の一つに、ギエムが下肢の回転で体勢を変える動きがあります。ギエムが直立した体勢のままスーッと倒れると、マリファントがそれを身体のどこかでサッと受け止める。そうするとギエムが、膝をクルっと回転させて身体を反転させるんです。正確には膝ではなくて爪先で回っているんだろうけど、膝から回転しているように見えて格好良かった。説明が難しいんですが、おそらく印象的な動きの一つだったと思います。
あと印象的だったのは、背中合わせの状態でマリファントが屈んで、その背中の上をギエムが開脚して通り過ぎるところとか、かな。スパッと空間を切り取るギエムの脚が綺麗。そして、反動を利用しているようでいて、実はギエムの完璧なコントロールのもとに身体が動いているのが格好良いな、と。それはギエムだけじゃなく、マリファントにも、そして全ての動きに言えることだと思いました。
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2008年01月27日

関西バレエ情報■ytvバレエシリーズ2008 と びわ湖ホール

ダンスマガジンとDDDを購入。どちらもコルプが表紙です。今コルプが熱いですね、日本は♪ 今月のダンスマガジンの表紙は、こげ茶でした。ちょっと珍しいかな?とにかくどちらもコルプが格好良いです。で、まだ読んでません…。

恐れていた事態が…。あちこちでコルプのバジルの評判が良いじゃないですか〜!『バヤデルカ』じゃなくて、衣裳も新調したという『ドン・キ』を見に行くべきだったのだろうか、、、。う〜ん…。いや、でもソロルも面白かったしなぁ。はぁ、、、。

ここ最近、あちこちのサイトで関西のバレエ情報が出ていて、「ほぉ〜」と興味深く拝見していたんですが、ダンスマガジンにも詳細が載っていました。因みに私はOdetteさんの「バレエ日記」で最初に教えて頂きました(ありがとうございます〜♪)。なんと言ってもBBLの日程が判明したのが嬉しい。

  <読売テレビ開局50周年記念 「ytvバレエシリーズ2008」

■モーリス・ベジャール・バレエ団
2008年6月17日(火)『ボレロ』/他 大阪厚生年金会館大ホール
2008年6月20日(金)『バレエ・フォー・ライフ』 フェスティバルホール
2月16日(土):一般発売

■英国ロイヤル・バレエ団<ロイヤル・ガラ>
2008年7月8日(火)/9日(水) 大阪厚生年金会館大ホール
2月16日(土):一般発売

■アメリカン・バレエ・シアター『海賊』全幕
2008年7月27日(日) フェスティバルホール
2月16日(土):一般発売

■マニュエル・ルグリ&東京バレエ団『ジゼル』全幕
2008年9月19日(金) フェスティバルホール

■松山バレエ団『くるみ割り人形』全幕
2008年11月16日(日) フェスティバルホール

■シュツットガルト・バレエ団
2008年12月2日(火)『オネーギン』全幕 フェスティバルホール
2008年12月6日(土)『眠れる森の美女』全幕 兵庫県立芸術文化センター大ホール

■ボリショイ・バレエ団
2008年12月13日(土)『白鳥の湖』全幕 フェスティバルホール
2008年12月14日(日)『ドン・キホーテ』全幕 フェスティバルホール

■東京バレエ団『ニューイヤー・ガラ』
2009年1月18日(日) 兵庫県立芸術文化センター大ホール

■東京バレエ団『白鳥の湖』全幕 上野水香
2009年3月7日(土)【予定】 梅田芸術劇場メインホール

ytvバレエシリーズ2008

先日びわ湖ホールに『美女と野獣』を見に行った際、びわ湖ホールでのバレエ・ダンス公演の情報も知りました。読売テレビとは別路線で行くんですね。びわ湖ホールは、なかなか面白い公演を揃えるよな〜といつも思います。ボリショイも『明るい小川』だし。

  <びわ湖ホール 2008年度 バレエ・ダンス公演

■ピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団『フルムーン』
2008年4月2日(水)19:00 大ホール

■アメリカン・バレエ・シアター『オールスター・ガラ』
2008年7月26日(土)時間未定 大ホール

■ボリショイ・バレエ団『ブライト・ストリーム』(明るい小川)
2008年11月24日(月・休)時間未定 大ホール

■ナチョ・ドゥアト スペイン国立ダンスカンパニー『ロミオとジュリエット』
2008年11月29日(土)時間未定 大ホール

BBLはフェスティバルホールで『バレエ・フォー・ライフ』、大阪厚生年金会館で『ボレロ』他の2公演です。どちらも平日なので、仕事が休みやすくて助かるよ〜。2月16日の一般発売前に、フォルテ音楽事務所からDMが届くかしら?先行予約があるといいんだけどな〜。読売のシリーズで、ロイヤルとBBL×2とABTの4演目セット券というのがあるので、BBLだけの先行予約はないんじゃないかと少々心配です。
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2008年01月26日

大津の『美女と野獣』/明日発売のチケット

実は先日、大津の『美女と野獣』を見に行ってしまいました。
全てのタイミングが合うときってあるじゃないですか?これは「行け!」ってことじゃないかと思って、もう勢いで。公演は16時からなので、のんびり日帰りで行けたし。

びわ湖ホールへ行くのは初めて。とても良いホールでした。1998年に開館ということなので、今年は10周年ですね。とっても綺麗で快適。ホワイエは全面ガラス張り。もちろん、目の前は琵琶湖です。開場前にロビーの喫茶スペースでお茶を飲んだんですが、残念ながら琵琶湖が見える席には座れませんでした。サンドイッチの他にもタルトやキッシュなどがあって、なんか嬉しい。
ちょっと変わってるなと思ったのは、お手洗いがほとんど和式だったとこと。全部和式で、洋式が一つ。最近のホールでは珍しいと思うんですけどね〜。だから嫌だったという訳ではないんですが。

公演もとても楽しかったですよ。とりあえずもう一度『美女と野獣』が見たかったんです。ワイルドガールが印象的だったヴァッロと、コションが面白かったアントヌッチなら、まあ外れることはないだろうと思って勢いで出かけたものの、遠征までする必要はなかったと後悔したらどうしよう…と少しだけ不安だったんですが、もうすっごく楽しかった!行って良かった〜と心から思いました。

ヴァッロのベルは知的で、ほのかな情熱を心に宿している女の子。佐久間さんのベルよりちょっと大人っぽくて、控えめな感じがしました。一見、佐久間さんの方が日本人的な奥ゆかしさがあるんですが、彼女は結構無邪気で可愛らしいベル。ヴァッロはワイルドガールでもベルでも、情熱的というよりは、情熱を秘めている感じがするんですよね。そこが、彼女のベルを敢えて一歩引いている、控えめで賢い女性に見せていたと思います。アントヌッチはとっても優しげ。冒頭の狩の場面でも、悪い人には見えないんですよね〜(♪)。野獣の踊りはワイルドでした。
マイケル・オヘアの父親がとっても格好良かった!なんて余裕があってダンディなの〜。あんなにお父さんが格好良くちゃあ、娘がなかなか嫁に行かないよってくらい素敵でした。
アンジェラ・ポールのワイルド・ガールは、若々しい雌狐の美しさがありました。とっても美しかったし踊りも良かったんだけど、物語のキーポイントであるワイルド・ガールとしては、やや存在感が弱かったかもしれません。ワイルド・ガールが野獣を許す、大好きな場面があるんですが、そこが案外サラッと過ぎちゃったな〜と思って、、、。

演奏で一箇所、東京公演と大きく違うところがありました。2幕の舞踏会、結婚の申し込みを断られた野獣のソロの部分です。東京では、「ッダン!ッダン!」という大きな音と共に、野獣が左右の腕で交互に胸を掻きむしるようにするのが印象的だったんですが、この日はその「ッダン!」が全然マイルドで、野獣の腕が空を切るように見えてしまいました。いや、東京の「ッダン!」を見ていなければ何とも思わない訳ですが、、、。実は東京で見たときは、ちょっとやり過ぎかな〜と思ったんですよ。音楽で野獣の感情を表現し過ぎというか…。でも、「ッダン!」の方を先に聞いてしまったので、微妙に物足りないような気分にはなりました。どっちが良かったのか、まだ私の中で答えが出ていません。

カーテンコールでは、キラキラの紙吹雪とカラフルな紙テープが一気に落ちてきて、NBSお得意(?)の「SAYONARA」の看板が下りてきました。最終日が東京じゃなくても、ちゃんと「SAYONARA」看板やるんですね。

久しぶりの遠征、楽しかったな〜。よく考えたら、去年は一度も遠征していないんです。そりゃ、行きたくてウズウズするはずだわ、、、。なんか楽しいんですよね。一人で新幹線に乗って、ときには駅弁食べて、ボ〜ッと考え事して、大好きなバレエを見て、帰りはボ〜ッとバレエのことを考えながら帰る(ときには駅弁)。あの一人の時間が、私にとってはとても大切なんです。暗いですかね〜。


明日は東京バレエ団『ドナウの娘』神奈川公演の一般発売日です。ロイヤルのセット券もNBSで明日発売。

■第15回神奈川国際芸術フェスティバル
 東京バレエ団『ドナウの娘』全2幕
2008年4月29日(火・祝)16:00 会場:神奈川県民ホール 大ホール

1月26日(土):一般発売
神奈川県民ホール
電子チケットぴあ

【キャスト】
フルール・デ・シャン:斎藤友佳理
ルドルフ:木村和夫
ドナウの女王:井脇幸江
男爵:中島周
母親:橘静子
伝令官:平野玲
他 東京バレエ団

S席:9,000円 A席:7,000円 B席:5,000円 C席:3,000円 学生:2,000円

一般発売:2008年1月26日(土)
かながわアーツ倶楽部会員 先行発売:2008年1月22日(火)

県民ホールチケットセンター:045−662−8866
音楽堂チケットセンター:045−263−2255


■英国ロイヤル・バレエ団『シルヴィア』『眠れる森の美女』

2演目セット券 発売:1月26日(土)

NBS
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2008年01月24日

ロイヤルのプレオーダー/井上バレエ団7月公演

明日からeプラスでロイヤルのプレオーダーが始まりますね。

■英国ロイヤル・バレエ団『シルヴィア』『眠れる森の美女』

プレオーダー:1月24日(木)12:00〜1月27日(日)18:00
→ 『シルヴィア』
→ 『眠れる森の美女』

e+ theatrixでロイヤルの特集記事があります。→  e+ theatrix

私はNBSに申し込んであるんですが、ちょっと失敗をしてしまいました。同じ時期に井上バレエ団の公演があって、そこにエマニュエル・ティボーがゲストで出演するんです。見に行くつもりでいたのに、すっかり忘れてロイヤルの予定を入れてしまいました…。ど、どうしよう。ティボーを諦めるか、ロイヤルを手放すか。とりあえず、井上バレエ団の詳細が出るまでは保留です。
7月公演の情報は、昨年12月の『くるみ割人形』のプログラムからです。

■井上バレエ団 7月公演 
<演目は未定のようです>

財団設立25周年
井上バレエ団40周年
井上博文没後20年
記念公演

7月12日(土)17:00
7月13日(日)15:00
文京シビックホール・大ホール

ゲスト(予定)
エマニュエル・ティボー(パリ・オペラ座)
トーマス・ルン(デンマーク王立バレエ)
セバスチャン・クロボーグ(デンマーク王立バレエ)

ティボーも見たいけど、島田衣子さんも出演するなら見たいし、記念公演のようなので是非行きたかったんですよね、、、。参ったよ、本当…。
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2008年01月23日

『エトワール・ガラ2008』公演情報

今更ですが、『エトワール・ガラ2008』の公演概要をメモしておこうと思います。

前回の公演から3年。ペッシュもベランガールもモローも、エトワールになりましたね。本当に『エトワール・ガラ』になりました。いや、皮肉とかじゃなくて、すごいことだなと素直に思ったんです。メンバーをほとんど変えずに、この3年の間に多くがエトワールになって帰ってくるんですから。これからパリ・オペラ座を担っていく一員である彼らが仲が良いというのも、ちょっと素敵なことだなと思いました。
なんと言っても私にとっては、シルヴィア・アッツォーニとイリ・ブベニチェクを見ることができる貴重な機会です。ニューフェイスは、マチュー・ガニオとボリショイのスヴェトラーナ・ルンキナ。どちらも楽しみ。前回の可愛いエンディングのような、素敵な演出を考えてくれたら嬉しいな〜。

バレエの会場でもらった仮チラシによると、<フジテレビクラシックファン>でダイレクトメール会員を募集しているそうです。「今回のバレエ公演をはじめ、クラシックコンサートなどの最新の公演情報やお得な先行情報を優先的にお知らせ」してくれるそうです。ということは、『エトワール・ガラ2008』の先行予約もあると考えていいのかしら?登録は無料。FAXが郵送で申込みができます。申し込みの締め切りは2月15日(金)。一応申し込んでおこうかな。

■『エトワール・ガラ2008』
2008年8月6日(水)〜8月10日(日) 【全5回公演】
会場:Bunkamuraオーチャードホール

3月29日(土)チケット一斉発売
S席:14,000円 A席:1,000円 B席:7,000円
S席セット券:26,000円
  ※セット券は限定数、Bunkamuraチケットセンターのみで発売。

出演(予定)
 
【パリ・オペラ座バレエ】
レティシア・プジョル
マリ=アニエス・ジロ
マチュー・ガニオ
バンジャマン・ペッシュ
エルヴェ・モロー
ジェレミー・ベランガール
エレオノーラ・アバニャート
 
【ボリショイ・バレエ団】
スヴェトラーナ・ルンキナ

【ハンブルク・バレエ】
シルヴィア・アッツォーニ

【ドレスデン・バレエ】
イリ・ブベニチェク

プログラム(予定)

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』(バランシン)
『テーマとバリエーションよりアダージョ』(バランシン)
『瀕死の白鳥』(フォーキン)
『ロミオとジュリエット』(ノイマイヤー)
『椿姫』(ノイマイヤー)
『アザー・ダンス』(ロビンス)
『アン・トレ・デュニオン UN TRAIT D'UNION』(プレルジョカージュ)日本初演
『受胎告知』(プレルジョカージュ)
『<新作トリオ>』(S.L.シェルカウイ)世界初演
『<新作>』(W.マクレガー)世界初演
『マーキュリアス・マニューヴァース』(C.ウィールドン)
/他

Bunkamuraオーチャードオール


ところで、BunkamuraのHPでエトワール・ガラの情報を調べていて気が付いたんですが、ザ・ミュージアムで「アンドリュー・ワイエス展」が開催されるんですね。ちょっと好きだったので、できるだけ見に行こうと思っております。是非あの絵の質感を生で見てみたい。と言っても、まだ11月の話ですけど。

Bunkamuraザ・ミュージアム
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2008年01月20日

『美女と野獣』公演評/「少女マンガパワー!」展/他

先週の日経に英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団『美女と野獣』の舞台評が掲載されていました。すみません、何日だったかは忘れて今いました…。書いているのは鈴木晶さん。佐久間さんとツァオ・チーの日をご覧になったようです。写真は2幕の舞踏会のベルと野獣。あまりにスペースが少ないので、やっと肝心の舞台まで話が及んだところで終わってしまっているのが残念だな〜と思っていたら、ご本人もHPの日記で嘆いていらっしゃいました。そういえば、今年に入ってから鈴木さんをバレエ会場でお見かけしたんだけど、どこでだったか忘れちゃった…。『美女と野獣』の会場では、漫画家の水野英子さんをお見かけしました。昔、ルジマトフの公演でも見かけたことがあるんですが、あれは何年前だったっけな〜。
鈴木晶さんは光藍社主催のパーティに行かれたそうで、ペレンとのツーショット写真を掲載しています。ペレン綺麗〜。
  
 →鈴木晶の優雅な生活


水野英子さんの最近の活動が気になったので、公式サイトを見に行きました。川崎市民ミュージアムでの『少女マンガパワー!』展でトークショーをやるようです。川崎市民ミュージアムはバスで行かなくちゃいけないから、ちょっと面倒なんだよね、、、。まあ、トークショーは行けなくても、展覧会には行っておきたいなと思います。少女漫画大好きだからさ〜。
因みに出展作家は下記の通り。
  
  手塚治虫 、わたなべまさこ、松本零士、石ノ森章太郎、ちばてつや、水野英子
  牧美也子、里中満智子、一条ゆかり、池田理代子、美内すずえ、竹宮惠子
  山岸凉子、萩尾望都、陸奥A子、くらもちふさこ、岩館真理子、佐藤史生、吉田秋生
  岡野玲子、CLAMP、今市子、よしながふみ

 →水野英子 公式HP「水野英子の部屋」
 →川崎市民ミュージアム


ところで、NBSでマラーホフの復帰が報告されていますね。ポリーナと踊ったロビンズ版『牧神の午後』の写真が3点。ロビンズ版の『牧神』はまだ見たことがないので、とっても楽しみです。有吉京子さんの『SWAN』でやたら印象的だったんですよね(また漫画かよ…)。iichiko総合文化センターのページでは、まだ出演者にボリショイのオシポワとワシーリエフが入ってるんだけど、単に訂正してないだけ?それとも大分だけ本当に彼らが来るんだろうか?
 
 →iichiko総合文化センター
 →NBS
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2008年01月18日

明日のチケット発売/昨日は『コッペリア』

昨日は『コッペリア』でした。東京の最終日、キャストは吉田都さんとイアン・マッケイです。
いや〜、都さんが可愛い♪ 可愛いだろうなぁとは思っていたけど、予想以上でした。顔だけでなく、もう全身が表情豊かという感じ。そして彼女は、コメディエンヌの才能もあるんですね。もう可愛くって可笑しくって、バレエで滅多に笑わない私でもクスリとしましたよ。2幕なんて本当に台詞が聞こえてきそうというか、見ている私の中で自然に台詞が流れている感じがしました。
前日のヴァッロと振付が違うところがあって、初めて見る私にはどちらが変えているのかわかりませんでした。1幕の序盤、フランツと向き合った体勢で腰を持って持ち上げられる(振り回されるというか…)ところで、ヴァッロは脚を後方に大きく振り上げていたんだけど、都さんは片方のポワントをもう片方の足の膝につけるようにしていました(うまく説明できなくてすみません…)。
私としてはヴァッロの日も都さんの日も、どちらも同じくらい楽しかったです。イアン・マッケイは1幕は調子が良くなさそうで、ちょっとヒヤッとする場面もあったんですが、3幕では立て直していたし、憎めない駄目〜な男を好演していました。私のタイプはどちらかと言えばシングルトンかな、と。のっほほ〜ん♪としたところが可愛かったんです。コッペリウスは断然デヴィッド・モース! ジョナサン・ペインも良かったんですが、もう私はデヴィッド・モースに心鷲掴み。そのモースは17日は市長で登場。彼に限らず、バーミンガムのキャラクテールたちは本当に芸達者です。
え〜っと、一つ気になるのが公爵なんですが、3幕に出てくるあのキリストみたいな人が公爵でいいの?

『コッペリア』始まってから、BRBのブログが更新されなくて悲しいです…。


明日は東バのベジャール追悼公演の一般発売ですね。ということは、来週には予約確認ハガキが届くかしら。

■東京バレエ団『モーリス・ベジャール追悼特別公演』
1月19日(土)一般発売
  →電子チケットぴあ
  →eプラス

クイーンズランド・バレエ団の『リトル・マーメイド』も明日発売です。「ハンブルク・バレエ熱」のsachikomさんからコメントにて教えていただいたんですが(ありがとうございます♪)、クイーンズランド・バレエ団は元ハンブルク・バレエのファースト・ソリスト、フランソワ・クラウスが芸術監督を務めているんだそうです。うわ〜、気になる! でも、大阪と神戸しか公演がないんですよね…。今回の日本公演は、大阪府とクイーンズランド州の友好交流都市20周年記念の公演ということで、東京ではやってくれないみたいです、、、。残念。

■クイーンズランド・バレエ団『リトル・マーメイド』
1月19日(土)一般発売
  →電子チケットぴあ 【大阪】 【神戸
  →eプラス 【大阪】 【神戸
posted by uno at 23:48| Comment(2) | TrackBack(0) | バレエ日記2008 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする