2007年09月30日

ちょこっとダンスマガジン/他

昨日に引き続き、ちょこっとダンマガ話を。
DDDではインバル・ピントとアヴシャロム・ポラックのインタビューでしたが、ダンマガは森山開次さんのインタビュー。新作のタイトルは『Hydra ヒュドラ』というんですね。初めて知りました。8月に向こうで1ヶ月間一緒にリハーサルをして、その後カンパニーで作品を練り上げ、初演の前に日本で森山さんや大植さんと合わせていくんだそうです。どんな作品になるのか、本当に楽しみです。

マリインスキー&ボリショイ「ロシアバレエのスターたち」のレセプションで、シュピレフスキーがイワン・ワシーリエフを推薦していたというのが面白かった。「ぼくより、イワンを取材したほうがいい。彼は将来有望だから!」と隣にいたイワンを熱心に推薦してくれたんだそうです。そんなアルテムも、ボリショイで充実した日々を過ごしているようで、良かったなぁと。
ケフィアのPR大使になったというアレクサンドロワの写真が可愛い(ぱっつん前髪も)。彼女は私服もお洒落で好きだな〜。

三浦氏のロング・インタビューは、モニク・ルディエール。とっても面白く読みました。ロビンズのこと、ジュドのこと、そしてパリ・オペラ座バレエに教えに戻りたいという気持ちもあるというお話。マチューに関する件もとても興味深かったです。どの話題に対しても、彼女の答えはとても明瞭で真っ直ぐで、そしてとても純粋で迷いがない。

「New File on DANCERS」は、小林紀子バレエシアターの高橋怜子さん。8月の公演で「エリート・シンコペーションズ」の“花形”を踊る姿が印象的でした。現在25歳というのにちょっと驚きました。美人で、とても落ち着いた雰囲気を持っていたので、もう少し上かと思っていた。11月の「ソワレ・ミュージカル」で主演予定だそうです。


ここからはバレエとは関係ない話題を。

「萩尾望都パーフェクトセレクション」の予約特典である、「特別複製原画全6点」が届きました。いや〜、感激!どれが「遺失原稿2点」なのかちょっとわからないんですが(見た感じ「これかな?」というのはあるけど自信がない)、とにかく嬉しいです。
そのパーフェクトセレクションですが、今月は「メッシュ」@です。「メッシュ」は昔、小学館のハードカバー版をBOOKOFFで全巻100円で購入しました。当時はバイトもしていない大学生だった私には、ちょっと嬉しかった。持って帰るの大変だったけど…。このハードカバー版はカラーページもそのまま掲載されているし、パーフェクトセレクションの価値も薄れるなぁ(私的に)と思っていたんですが、どうやら「発表順に」収録されているんだそうです。それは有り難い。「メッシュ」はすごく好きな作品です。パラパラと読んでいるうちに、ついつい入り込んでしまった。

「SWAN MAGAZINE」2007秋号を買いに行った本屋で、思わず即買いしたのが、宮谷一彦の自選集「スーパーバイキング」。解説は夏目房之介。え〜、自選集が出ているなんて知らなかったよ。以前から読みたかった「嘆きの仮面ライター」と「ダビデの眠る日」が収録されていたのが嬉しい。表題作の「スパーバイキング」は82年〜83年の作品。「嘆きの仮面ライター」が72年、「ワンペアプラスワン」が73年、「ダビデの眠る日」が75年。ん〜、70年代の作品の方が好きだな。
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2007年09月29日

東バ<ノイマイヤー・プロ>2008年3月!/ダンマガ&DDD

ダンスマガジンとDDDを購入しました。

 【DDD NOV 2007 Vol.14】

うちの職場の近くの書店は、DDDをダンスコーナーに置いてくれません。昔はダンスマガジンと並んでたら買いやすかったんだけど、あるときからダンスコーナーから姿を消しました。しばらくは演劇/映画のコーナーにあったんだけど、また移動してて、今回は音楽のコーナーにありました。探すの大変だからあんまり動かさないでほしいなぁ…。どこが売れるか模索中なのかしら?

そのDDDですが、次号から月刊になるそうです。なので、次号は10月27日に発売。だからちょっと価格を下げたのかな?今号は780円でした。そういえば、以前のDDDは、「REVIEWS」の舞台写真にダンサーの名前を明記してくれていなかったんですが、少し前から明記するようになりましたね。助かります。

表紙はイリーナ・ペレン。バレエ関連では、ベルリン特集の中でマラーホフのインタビュー、ラスタ・トーマス、イリーナ・ペレン、勅使川原三郎さんのインタビューも。11月の『椿姫』に向けて、酒井はなさんのインタビューもあります。REVIEWSのコーナーは、ニーナ&グルジア国立バレエ、『エトワール達の花束』、Kバレエ『ドン・キ』、NBAバレエ団『ゴールデン・バレエ・コー・スター』、小林紀子バレエシアター『ザ・レイクス・プログレス/他』、KAyM&イスラエルコンテンポラリーダンス『地中海の東からの風に乗って』。
「これからの注目公演」では、Kバレエから清水健太さん、小林紀子バレエシアターから島添涼子さん、インバル・ピントとアヴシャロム・ポラックのインタビューも。11月のインバル・ピント・カンパニーの公演は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と「注文の多い料理店」が題材だけれども、「具体的な物語に基づいた具象作品を作るわけではなりません」、とのこと。森山開次さんは、4年前に2人の振付作品に参加していたんだそうです。森山さんの「ムーヴメントと人柄と創造性、彼が醸し出すもの全てに惚れ込んでしまったの」、とインバル・ピント。大植真太郎さんは、イスラエルで自作を踊る姿を見て、一目で魅了されたんだそうです。楽しみだな〜。

 【ダンスマガジン11月号】

表紙はドロテ&マチューの『ドニゼッティ-パ・ド・ドゥ』
パラパラと写真を見ただけで、まだ読んでいません。というか、『ルグリと輝ける仲間たち』も『アビアント』も小林紀子バレエ・シアターも、自分の感想を書いていないのでまだ読めない…うぅぅ。気に入った写真が一つ。「ビフォア・ナイトフォール」でアバニャートをサポートするビュヨンの横顔、特に顎のラインが美しすぎるな〜と(♪)。溜息が聞こえてきそうです。

で、何がびっくりって、東京バレエ団の<ノイマイヤー・プロ>の告知です。来年の3月下旬を予定とのこと。
 バンザーイ!!×3
いや〜、これは嬉しい!待ってましたよ、「時節の色」(見たことないんです)。「スプリング・アンド・フォール」もとても好きな作品なので嬉しい。長谷川&木村ペアと小出&後藤ペア、どちらも素敵です。演目が「時節の色」と「スプリング・アンド・フォール」だけで、“他”すら書かれていないんですが、2演目だけなんでしょうか?他に東バが持っているノイマイヤーのレパートリーは、「月に寄せる七つの俳句」と、斎藤&高岸の「椿姫」のパ・ド・ドゥ。どちらかやるかしら?「時節」と「スプリング〜」だけで、上演時間は大丈夫なの?初役もあるかしら?などなど、気になることがいっぱいです。まさかハンブルク・バレエからゲストが来たりしないですよね?それはないか〜。それだったら、今回の告知に大々的に書きますよね、、、。ウルバンとリアブコの「作品100」がもう一度見たい私です。

早く東バの来年のラインアップが知りたいな、、、。
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2007年09月27日

井上バレエ団『くるみ割人形』詳細/他

井上バレエ団『くるみ割人形』の詳細が、やっと電子チケットぴあに出ました。ゲストは以前から発表されていた、オーストラリア・バレエ団の藤野暢央さん。出演者の筆頭が、宮嵜真央里さんになっているんですが、これは金平糖の精を宮嵜さんが踊るということでしょうか?それとも、まだ金平糖の精が確定していないので、その他の出演者だけとりあえず載せているのかな、、、。後者のような気がする…。7月の『眠りの森の美女』で一番気になったダンサーが宮嵜さんだったので、彼女が金平糖の精でも嬉しいです。島田さんはもちろん見たいけど。因みに、井上バレエ団の『くるみ』は、クララを少女が踊るヴァージョンだそうです。
既に15日(土)はギエムのチケットを取っているので、私は必然的に16日(日)に見に行くことになります。12月も土日休みまくりだな〜。気が重い(土日祝に休みづらい職場なので…)。

井上バレエ団『くるみ割人形』

12月15日(土)17:00
12月16日(日)15:00
会場:文京シビックホール

S席:8,000円 A席:7,000円 B席:5,000円 C席:3000円 親子席:12,000円

ぴあ前売開始:10月18日(木)

【ゲスト】藤野暢央
【出演】宮嵜万央里/田中りな/小高絵美子/西川知佳子
【指揮】堤俊作
【演奏】ロイヤルメトロポリタン管弦楽団
問合せ:井上バレエ団 03-3416-3656

 →電子チケットぴあ


東京バレエ団『真夏の夜の夢』の、祭典チケットが届きました。まあまあかな〜。もう少し真ん中だと嬉しかったんですけど、まあこれくらいなら文句は言いますまい、という感じのお席です。まだ感想を書いていないんですが、8月に小林紀子バレエシアターの『ザ・レイクス・プログレス』で見たヨハン・コボーがとても好かったので、『真夏』もとても楽しみになりました。

ロパートキナとヴィシニョーワのレッスンDVDが、アマゾンから届きました(25日だったかな?)。心配していた初回特典ポストカードですが、ちゃんと入っていましたよ〜。良かった、良かった。時間がなくて、ロパートキナの方をちょこっと見ただけなんですが、とても面白そうでした。題材のヴァリエーションを、実際にロパートキナが舞台で踊っている映像が素晴らしいです。とにかく惹きこまれる。ロパートキナのお嬢さんも、ほんの少しですが出てきました。

 →DVD「ロパートキナのヴァリエーション・レッスン」
 →DVD「ヴィシニョーワのヴァリエーション・レッスン」
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東京バレエ団<ニジンスキーの伝説>『ジゼル』9月9日

東京バレエ団 <ニジンスキーの伝説> 『ジゼル』
2007年9月9日(日)15:00 ゆうぽうと簡易保険ホール

◆主な配役◆

ジゼル:吉岡美佳
アルブレヒト:フリーデマン・フォーゲル
ヒラリオン:木村和夫

【第1幕】
バチルド姫:井脇幸江
公爵:後藤晴雄
ウィルフリード:野辺誠治
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
   小出領子-古川和則
   高村順子-中島周
   長谷川智佳子-平野玲
   佐伯知香-大嶋正樹
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
   西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子、浜野香織

【第2幕】
ミルタ:高木綾
ドゥ・ウィリ:奈良春夏、田中結子

指揮:アレクサンドル・ソトニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

フリーデマン・フォーゲルがマラーホフの代役を務めた『ジゼル』、2日目です。この日のジゼルは吉岡美佳さん。なんとなく見た目の雰囲気は、斎藤さんより吉岡さんのほうがフォーゲルと合っていたような気がするんですが、どちらも良い公演だったし、フォーゲルはどちらに対しても同じように真摯に向き合ってパフォーマンスしていたと思います。この日も、静かで深い愛を感じさせる、とても好いアルブレヒトを演じてくれました。

【第1幕】

吉岡さんは、とっても可憐。相変わらず、年齢を超越した可愛らしさでした。そして、その透明感は他の追随を許しません。吉岡さんのジゼルが駆けると、前髪までもが表現手段の一つのように可憐に風になびきます。登場してすぐにスキップするみたいなところがありますよね?そのとき風に揺れる前髪が妙に印象的だったんです。華奢な吉岡さんの踊りは硬質で(踊りが硬いという意味ではないんだけど)繊細、清潔感があってとても好きです。控えめで、ちょっぴり内気で、清楚で儚げな吉岡さんのジゼルは、守ってあげたいタイプの魅力的なジゼル。傷つきやすそうな危うさもあって好かったです。

フォーゲルのアルブレヒトは、初日に引き続き控えめだけど丁寧な感情表現が印象的でした。初日は、一見すると何を考えているのかわからなかったり、感情が薄く感じる瞬間もあったんですが、見終わる頃には「いいアルブレヒトだったな〜」とジンワリ込み上げるものがありました。その初日の感想を受けての2日目だったので、最初から私の見る目も甘い。初日と同様、2人で手を取って踊るような場面では、やや完成度に欠けましたが、吉岡さんとフォーゲルの間にいい空気が流れていて、見ていて幸せな気分になりました。2人とも見た目が可愛らしく、吉岡さんの可憐で儚げなジゼルとフォーゲルのホンワカおっとりアルブレヒトは、とてもいいペアだったと思います。吉岡さんが守ってあげたいタイプなので、フォーゲルの頼りがい度がアップしていたかも。

フォーゲルは、やっぱり花占いの場面がとても好き。一枚目、二枚目までは立って楽しそうに眺めているんだけど、ジゼルの表情が曇り始めると、側に跪いてジッとジゼルの顔を覗き込んでいます。それがなんとも優しげ。
ジゼルの具合が悪くなるところでは、自分の首元に吉岡さんの額を寄せて、そっと抱きしめてあげたりして、優しいな〜と。
そう、一言で言うなら、その風貌も相まって、とてもロマンチックなアルブレヒトでした。ご本人の性質まではわからないけど、もしかしたら普段からこういう人なんじゃないかな〜と想像させるものがあります。昔の少女漫画に出てくる男の子みたいというか、昔の少女の心をくすぐるというか(今の少女漫画は、もう世界が違いますからね〜)。男性的な臭いがしないのが、余計にそう思わせるのかもしれません。ロマンチックな風貌と、男臭くなさと、繊細な優しさを持ち合わせたアルブレヒトでした。

2日目に気が付いたフォーゲルのちょっと好いところを。収穫物を入れた籠を持って村の女性たちが登場する場面で、またフォーゲルの細かい芝居に感心しました。ズラッと弧を描いて並んだ女性たちに、端から挨拶していくんですが、一人一人丁寧に挨拶して、しかも籠の中の収穫物を覗いて感心する芝居までしていました。籠を覗いては「いっぱい収穫できましたね〜」とか「見事な葡萄ですね〜」とか言っているみたい。どこまでやるのかと思ったら、最後までやり遂げた。アルブレヒトって(フォーゲルって?)良い人なんだなぁと思ってしまいました。

パ・ド・ユイットの大八車は、心構えができていたので驚きはしなかったけど、やっぱりどうして急にそこにお金をかけたのな〜という疑問は頭を過ぎります。まあ、美術や衣裳を全部変えるのはお金もかかるし、「誰某のデザイン」なんていう肩書きがあったりすると、それこそそう簡単には変えられないですよね。少しでも豪華な感じにしようという苦肉の策だったのかもしれません。東バの舞台って、知らないうちにちょっとずつ、照明や特殊効果に新しいアイデアが取り入れられている気がします。

パ・ド・ユイットでは、私はいつも平野玲さんを見てしまいます。男女ともなかなか豪華なメンバーなので、東バ好きとしてはどこを見ていいのか困る訳ですが、男性に関してはほとんど平野さんを見ている。平野さんの跳躍はとってもシャープで、スパッと空間を切る脚が本当に綺麗です。高さがあってフォルムも美しい。一方、平野さんとペアの中島さんは、クリアな踊りの中に柔らかさと甘さがあって素敵です。パワフル系の2人、大嶋さんと古川さんも、タイプが違うので面白い。古川さんは明るいお兄ちゃん、大嶋さんは妖しいお兄さん(どちらも褒めてます)。いつもこのパターンで踊りますよね?跳躍の多い中島・平野ペアと、細かい脚捌きの見せ場がある大嶋・古川ペア。たまには反対のパターンで見てみたいなと思いました。
女性陣も手堅い4人で、見応え有り。安心して見ていられました。佐伯さんも、踊る毎に馴染んでいくのがわかって嬉しい。

井脇さんのバチルド姫が相変わらずお美しい〜。気品があって、人間的な大きさも感じさせる、余裕のバチルド。気高さは演出するけれども、気の強そうな感じや嫌味な感じはしません。ジゼルに「好きな人はいるの?」と尋ねる場面では、「女の幸せは好きな人がいて、その人の側にずっといられることよ」と語りかけるような優しげな空気を醸し出していました。井脇さんのバチルドは女の味方ですからね〜。

そしてこの日、私は木村さんのヒラリオンにいつになく心を鷲掴みにされてしまいました。もともと木村さんのファンだし、考え抜かれ、踊り抜かれた木村さんのヒラリオンは、超名脇役として私の中に位置付けられています。完成されていると思っていた木村さんのヒラリオンが、さらに新しい境地を見せてくれるとは!私が思っていた以上に、まだまだ進化する人だったんですね。1幕の最後、いつものようにヒラリオンばかり見ていた私に予想外の感動が押し寄せ、永遠のように孤独な数分間に涙が止まりませんでした。

当初、この日のヒラリオンは後藤晴雄さんが踊る予定でしたが、後藤さんの脚の怪我のため、木村さんが2日間躍ることになりました。後藤さんのヒラリオンも楽しみだったし、木村さんの公爵もものすごーく楽しみだったんですが、思いがけないプレゼントに涙する結果となりました。

狂乱の場も終盤に差し掛かった頃、既に意識朦朧としたジゼルが何かを見つけたように舞台下手へ駆け寄ります。行く手にはヒラリオン。続いて上手へフラフラと駆け出す。行く手にはアルブレヒト。どちらの腕もすり抜けてしまいます。その、ジゼルが自分の方へ歩み寄ってきたときの、ヒラリオンの嬉しそうなことったらないです。両腕を広げて、本当に嬉しそうな顔をして「さぁ!」と抱きとめようとする。そこには、ほんの少しの戸惑いがあるように見えます。「俺でいいのか?」「俺を選んでくれるのか?」という不安の入り混じった喜び。それまでの彼の報われない思いを想像すると、それだけで胸が締め付けられる思いがしました(あくまで私の想い入れが強いからですが)。
ジゼルはヒラリオンの横を通り過ぎ、彼女を抱きとめようとしたヒラリオンの両腕は、受け止めるものもなく虚しく差し出されたまま…。この瞬間、彼が今まで大事に大事に育ててきたものが、なんの予告もなくポンと宙に浮いてしまったのかもしれません。彼自身、どうしていいかわからず、一瞬そこに立ち尽くします。物語はジゼルを中心にどんどん進んでいくけれど、ヒラリオンの物語は下手でひっそりと繰り広げられます。おかげで、2日間ともまともに中央の演技を見られませんでした…。
ヒラリオンは一人、群集に背を向け、自分の広げた両腕をジッと見つめます。大事なものを受け止めることができず、虚しく広げられた両腕の、心掻きむしられるような虚しさ。そして、気の遠くなるような喪失感。「頼むからその手を早く仕舞ってくれ」と叫びたくなりました。見ているのが辛い…。
やがて、表情を歪め、ゆっくりゆっくりと両手で自らの顔を覆います。もう既に私は滂沱…。どうしようもない悲しみと、巨大な喪失感に、心底心かき乱されました。握り合わせた手に額を押し付け、一人苦しむヒラリオン。中央が騒がしくなると、ハッと我に帰ったように、物語の中へ戻って行きます。

ついにジゼルが息絶えた瞬間、嘆くアルブレヒトの脇で、それ以上に崩壊していたのはヒラリオンです。あの瞬間、ヒラリオンの心は粉々に砕けましたね、、、。本当に、それこそ「ウオーッ!!」という叫びが聞こえてきそうなほどの嘆きっぷり。「お前のせいだ!」「俺の!?何を言う、お前のせいだ!」「ガーン!!」の流れを経て、剣を手にヒラリオンに斬りかかるアルブレヒト。その剣の前に、「いっそ殺してくれ」と跪いて胸をさらけ出すヒラリオン。私はと言えば、アルブレヒトが駆け去る姿も確認せずに、最後までヒラリオンを見ていました。死ぬことも叶わなかったヒラリオンは、苦痛に歪めた顔を両手で覆い、やがて前に屈み込んで、拳で地面をガンガン叩きます。そして幕切れに合わせて、片方の腕を天高く突き上げます。

ヒラリオンがこんなに目立っていいのか?と思いつつ、もしかしてファン以外には目立っていないのか?とも思う…。実際どうなんでしょう。東バのファンでもなければ、木村さんのファンでもない方にとっては、まったく的外れな感想だったりして…。「ヒラリオンの人も良かったよね」というのが通常の感想かもしれないですね、、、。

 【第2幕】

泣きこそしないけれども、2幕の木村さんのヒラリオンもとても好きです。ぐぅっったりとうなだれて、ジゼルが死んで以来、きっと自分を責め続けてきたんだろうなと思わせる、憔悴しきった様子で登場。彼女のためと思ってしたはずなのに、結局は彼女を死に至らしめるほどに悲しませてしまった。アルブレヒトの裏切りを知れば、もしかして自分に振り向いてくれるんじゃないかと、チラリとも自分は思わなかっただろうか?彼女のためというのは奇麗事で、自分のエゴのために彼女を死なせてしまったという自責の念に捕らわれて、そこから一歩も抜け出せずにいるヒラリオン。というのは私の妄想ですが、そんなことを感じさせるヒラリオンでした。ヒラリオンは悪くないと思うんだけどな〜。まあ、この話に対して誰が悪いとか考えるのは、既にナンセンスなのかもしれないですね。

ウィリたちに踊り殺される場面でも、木村さんのヒラリオンは、ヘロヘロに与太っているけど端々はとても綺麗。次第に憔悴していき、やがて黒髪が額にヒラリ、ハラリ…(♪)。グルッとウィリに囲まれて跳躍することろでは、高く跳んで上半身のフォルムを綺麗に見せ、それでいてちゃんと苦しそうにも見える。少しずつ手を上に伸ばしながらシェネするのも、とても綺麗でした。そして、袖に放り投げられるのも慣れたもんです。

この日はS席が取れず、A席の端っこで見ていたんですが、ヒラリオンが火の玉(鬼火?)に驚くシーンで、袖にスタンバってる火が早くから見えちゃってて残念でした。そこまで出てこないとできないのなら、出るまで何かで隠すとかできると思うんですけどね、、、。

フォーゲルは、マントと白い百合がよく似合う。それだけで絵になりました。2日目のフォーゲルの登場シーンは、妙に心動かされるものがありました。どうしてだろう?上手く説明できないんですが、静かに心打たれたな〜と。特にオーバーに表情を作っているわけではないんですが、身の内に沸き起こる感情を押し殺しているのがわかる。ジゼルの死によって、彼が如何に多くのことを知ったのかが窺えるような佇まいと言うんでしょうか。マントをなびかせて舞台を走るところで、綺麗に円を描いて走らないのが、感情的にとてもリアルだなと。彼の心が彷徨っているのが感じられました。

ウィリとなった吉岡さんのジゼルは、やっぱり綺麗。1幕ではあんなに頼りなげで、守ってあげたいタイプのジゼルだったのに、2幕では大きな優しさを感じさせる、温かいウィリとなっていました。“温かい”と言っても、イメージは暖色系ではなく、やっぱり寒色系。生気を感じさせない、透明感のある淡いブルーのイメージです。そして体重など存在しないかのような軽さ。繊細で、消えてしまいそうな儚さの中に、愛する人を守りたいという、女性の持つ強さがあってとても好かったです。踊りも最初から最後まで一貫して安定感があり、とても丁寧でラインも美しかった。心身ともにとても充実した出来だったのではないかと思います。フォーゲルのリフトもなかなか上手で、吉岡さんがふんわりと漂うようでした。
いつも吉岡さんを見ると感じる、透明感や清潔感、ピュアなイメージと、そこから立ち昇る品の良い官能性。様々な要素が溶け込んで、彼女という存在を輝かせています。もともととても綺麗な人だけど、メイクと衣裳を施して舞台に上がったときの、あの溜息が出るほどの美しさは見事。

この日は、初役である高木綾さんのミルタをとても楽しみにしていました。とても好かったと思います。若々しくピンと張った空気があって、踊りはとても柔らか。緊張していたのか、いつもより少し硬くなっているような気がしましたが、それでも十分に大きくて柔らかい踊りに見入ってしまった。確か終盤のヴァリエーションで、一度だけ跳躍で上体のバランスを崩してヒヤッとしましたが、何事もなく進行したのでホッとしました。それにしても、初役とは思えないハマりっぷりに、先が楽しみになりました。高木さんはいつも、高い安定感を以って初役を全うする人だよなぁと感心。高木さんだったら、どこか優しげな、温かい雰囲気のミルタになるだろうと思っていたんですが、意外なことに違っていました。凛として、冷酷で、威厳のあるミルタ。色んな面を持っているんだなぁという、嬉しい裏切りでした。

2回の公演を見て、フォーゲルって良い人だなと思ってしまいました。すごく真剣に取り組んで、この2回の公演を良いものにしようと一生懸命になってくれているのが感じられたんです。すごく真面目で真っ直ぐな青年なんだろうなと。その風貌だけでなく、多くの人に愛される資質を持っている人だと思いました。
NBSの宣伝文句、『フォーゲルは「ジゼル」「レ・シルフィード」を最も得意としていますし』というのが、わりと本当だったなと思った2日目でした。
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2007年09月25日

東京バレエ団<ニジンスキーの伝説>『ジゼル』9月7日

東京バレエ団 <ニジンスキーの伝説> 『ジゼル』
2007年9月7日(金)19:00 ゆうぽうと簡易保険ホール

◆主な配役◆

ジゼル:斎藤友佳理
アルブレヒト:フリーデマン・フォーゲル
ヒラリオン:木村和夫

【第1幕】
バチルド姫:浜野香織
公爵:後藤晴雄
ウィルフリード:野辺誠治
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
   小出領子-古川和則
   高村順子-中島周
   長谷川智佳子-平野玲
   佐伯知香-大嶋正樹
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
   西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子、吉川留衣

【第2幕】
ミルタ:井脇幸江
ドゥ・ウィリ:西村真由美、乾友子

指揮:アレクサンドル・ソトニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


初日のこの日は斎藤友佳理さんのジゼル。そして、降板したマラーホフの代役として、フリーデマン・フォーゲルがアルブレヒトを務めました。やはり払い戻しがあったのか、ポツポツと空席があったのが残念…。フォーゲルのアルブレヒトも予想以上に好かったし、私にとってはとても良い公演でした。

 【第1幕】

幕開きは、最初にアルブレヒトが登場するパターンでした。マラーホフがアルブレヒトのときは、確かヒラリオンが最初に登場します。この辺は、主演のダンサーがレパートリーとしているヴァージョンに合わせるんでしょうか?どうやって決められるのか、ちょっと気になります(私だけか?)。もう一つ気になったのは、フォーゲルの衣裳。中に着ている白いシャツのデザインがヒラリオンと一緒だったので、もしかして東バの衣裳なんでしょうか?そういえば私、東バのゲスト無し『ジゼル』って見たことがないので、東バのアルブレヒトの衣裳を知らないんですよね、、、。

続いて木村さんのヒラリオン登場。今回も芝居が細かいです。ノックしようとした手を、もう一方の手で押し止め、ニヤニヤ&ウットリ。窓から中の様子を覗いて、「ウハ〜」とウットリ。それじゃあ覗きですよ〜。狩りの獲物をプレゼントして、満足。脱いだ帽子に差しておいた花を窓辺に。でも、他の花にまぎれてわからないよ、それじゃあ…。行きかけて立ち止まり、振り返って投げキッス。舞台を大きく使って退場していきます。いつもよりニヤニヤ増。
ダウエル氏の指導のおかげなのか、芝居が細かく、「見せる」「伝える」ということを意識しているのがとても良いなあと思いました。舞台上手の小屋にアルブレヒトの剣を発見するシーンで、小窓に手を差し入れる前に一瞬手を止めます。「何かを見つけた、それを取る」というのを観客に印象付けることで、これは何か大切な意味があるんだなと私たちも直感することができる。無駄な動きはしないで、意味のあるところはきちんと見せるという、考え抜かれた(それでいて自然な)芝居だったなと。

フォーゲルのアルブレヒトは、ここ最近私が見た中(マラーホフ、ルグリ、ルジマトフ)では、やっぱり(?)やや威厳は少なめ。でも、若々しくて甘い、素敵な青年です。一緒に登場した新ウィルフリードの野辺さんの身長が高いことに、改めて驚きました。フォーゲルと並んでも大差ない。野辺さんのウィルフリードは、座りは悪くないと思うんですが、やっぱりまだ薄い印象は否めないなと思いました。まあ、そんなにウィルフリードが濃くある必要はない訳ですが…。森田雅順さんが持っていた、控えめという名の存在感は、一朝一夕で追いつけるものではないのだなと思ったりしました。

フォーゲルは、「コン、コン」と実際に音をさせて、ジゼルの家の扉をノック。登場した斎藤さんのジゼルは、相変わらずの無邪気さ。1幕では、踊りはいつもより少し重たく感じたんですが、そのジゼル像は衰え知らずでした。マラーホフなどに比べると、フォーゲルのアルブレヒトがやや控えめな印象だったので、なおさら斎藤さんのジゼルの一人舞台のよう。マラーホフのアルブレヒトだと、友佳理さんのジゼルとパワーが拮抗して面白いんですが、フォーゲルはそこまで濃くはない。でも、天真爛漫なジゼルと、おっとりポワンとしたアルブレヒトは、悪い並びではなかったです。斎藤さんのジゼルをきちんと受け止め、丁寧に支える、好いアルブレヒトだったと思います。

フォーゲル元来のロマンチックな風貌も相まって、おっとり優しげで、甘い雰囲気のアルブレヒト。ちょっとポワ〜っとしているところも可愛い。表情などは、一見何を考えているのかわからないときもありましたが、総じてジゼルを思いやる優しいアルブレヒトでした。ジゼルへの愛情を汲み取り難いときと、逆に静かな深い愛情を感じてジ〜ンとするときと、両方ありました。汲み取りにくいと感じたのは、アクションが大きくないので伝わり難かっただけで、フォーゲルはフォーゲルの愛情の示し方をしていたんだろうなと、2日間見た後にそう思いました。

フォーゲルの良かったところは、例えば花占いの場面。ジゼルの、1枚目「うんうん♪」、2枚目「…ううん(否定の仕草)」までは傍らに立っているんだけど、ジゼルの表情が曇ると、跪いてジゼルの顔をジッと覗き込んでいるんです。花を見てるのかと思ったら、優しげな眼差しでジッとジゼルを見ていました。ちょっと感動〜。そしてジゼルが花を落として向こうへ行くと、「何のこれしき」と言わんばかりに花びらを1枚捨て、彼女のもとへ。とてもゆっくりと1枚ずつ数えてみせるフォーゲル。台詞が聞こえてきそうなほどに細やかな愛情が伝わってきました。

それと、具合の悪くなったジゼルを心配するところも良かった。アクションが大きくないので、派手に心配しているようには見えないんだけど、ずっと側に寄り添って手を握ったり、顔を拭ってあげたり、とにかく静かに優しいんです。初日の斎藤さんは、一瞬意識が遠退いたように「コテ」っとフォーゲルにもたれかかったのが可愛かった。
マラーホフの、「お前が大丈夫かよ」っていうくらい取り乱すアルブレヒトも好きなんですけど、モワ〜っとした(褒めてます)フォーゲルには、あのおっとりした心配の仕方が合っていたかなぁと。

斎藤さんのジゼルは、相変わらず無邪気で無垢で天真爛漫。本当に、子供のように無邪気です。捕まえようとするんだけど、一瞬間に合わずにフワっとすり抜けてしまうような、危うさがある。始めから、向こう側に片足を突っ込んでいるような、どこかそんなイメージのあるジゼル。これは裏切りを知ったら壊れるに違いない、と思わせるジゼルでした。そんなジゼルに振り回されているようで、静かに淡々と彼女に視線を送るフォーゲルのアルブレヒトが優しい。

斎藤さんとフォーゲルは、踊りはやや合っていない印象。相性が悪いとかじゃなくて、初顔合わせで、しかも練習時間もあまりなかったのではないかと思います。2人で手を取って一緒に跳ぶところでは、いかにもフォーゲルが跳び難そう。身長差からくる合わせ辛さを、きちんと解消しきれていない感じがしました。狂乱の場の段取りもいつもより悪い。まあ、今回は急遽のアルブレヒトと初役のウィルフリードということもあったのだと思いますが。

バチルド姫の浜野香織さんが、ちょっと怖くなってました。前に見たときは、おっとりホンワカしたお嬢様で、親の決めた許婚としてではなく、本当にアルブレヒトを好きそうなバチルドだったんだけど、今回はちょっと違ったな〜。以前より、自分の身分や立場に関して、意識が強くなっている感じがしました。威厳度アップ、同情度ダウン。だから悪いという訳じゃないけど。「オホホホホ〜〜、いいのよ。可愛い娘じゃないの」というのが、前より余裕があって、気位が高い感じになっていました。

後藤晴雄さんの公爵は、いつ見ても無駄に(褒めてます)格好良い。さらに威厳と貫禄が増した気がする。最初にウィルフリードを呼んで、「彼女に何か飲み物を」と指示するときの手が、とってもエレガントで滑らか。最小限の動きで全てを伝える、良いマイムでした。

パ・ド・ユイットは安心メンバー。佐伯さんも最近は安心して見ていられるメンバーに入りましたね。ホクホクと楽しみにしていたら、なんと女性陣が大八車に乗って登場!洋風の大八車、あれってなんていう名前なんでしょうか?とにかく、収穫した葡萄で作ったワインが入っていると思われる樽を中央に据え、草花や葡萄で飾られた2輪の台車に乗って4人は登場。それぞれパートナーが抱えて下ろします。

で、ジゼルの狂乱の場ですが、初役・初顔合わせが多いせいか、いつもよりやや段取りが悪い感じ。そのため、確固たるジゼル像を演じている斎藤さんのオン・ステージ色が強い(私的な主役は他にいるんですが)。斎藤さんは、終盤で「アハハハハ〜」って笑うのがちょっと怖いんですけど、わりと嫌いじゃないです。とにかく壊れる。それまでが天真爛漫で無邪気だっただけに、彼女の壊れてしまった心が痛々しい。ペタンと座り込んで花占いを再現する場面でも、その「ペタン」が普通じゃないというか、どこか壊れてる感じがするんですよね。
事がバレるとアルブレヒトは、ふらふらと上手へ行き、「ウィルフリード、どうしよう…」という無言のSOS。意を決して振り返り、バチルドの手を取る。わりと平気そうな顔をしているので、冷たい男系か??…と思ったら、徐々に顔色が曇り始め、彼女の手にキスをする頃には苦渋の表情へ。そこへ割って入ったジゼルに対して、「私の婚約者よ!」と左手の薬指を指差すバチルド。ジゼルがその手を取りそうになると、すごい勢いでサッと手を引きます(確かにあのジゼルに手を取られそうになったら、コワイかも…)。こういう細かいところが、以前より自己主張が強めな浜野バチルドでした。因みに2日目の吉岡さんは、ここでバチルドの手を取る演技はしませんでした。

狂乱の場のヒラリオンは、2日目に大感動してしまったので、詳しくはそちらで書きます〜。この日も相変わらず良いヒラリオン。私にとっては、この場面での主役は間違いなくヒラリオンです(東バに限り)。遠退く意識の中、ヒラリオンに駆け寄るジゼル。それを見て、本当に嬉しそうに腕を広げて受け止めようとするヒラリオンが切ない。しかし彼の願いも虚しく、その瞳にはヒラリオンの姿は映っていません。ヒラリオンが広げた腕の横を、通り抜けるジゼル。最後、取り乱したジゼルをヒラリオンがガッシリと抱き留め、ブンブン振って正気に戻そうとします。斎藤さんがいつもより暴れてた気がする。暴れるジゼルの腕や肩を必死に包み込んで、母親のもとへと送り出します。

ジゼルが息絶えた後の、「お前のせいだ!」→「オレの!?何を言う、お前のせいだ!」→「ガーン!」っていう遣り取りが好き。一度で良いから上手の前方でヒラリオンが嘆く姿を間近に見てみたい私です。

 【第2幕】

井脇さんのミルタは相変わらず格好良い。何故かいつもよりポワントの音が気になったんですが、ポワント変えたのかしら?そして、いつもながら井脇さんのパ・ド・ブレはすごいなあと。よく転ばないよな〜という速さと、微動だにしない上半身。流れるように舞台を滑ります。凛として、強い存在感を放っていました。最近はまたさらに一段何かを上った気がする。神々しいとまでは言わないまでも、何か神聖な透明感のある空気をまとっていました。

1幕では少し踊りが重たい印象があった斎藤さんですが、2幕ではそんなことは感じさせない、流石のジゼルでした。生気がなく、死の空気を漂わせて登場します。そして、独特の浮遊感と独特の湿度。しかし次第に滲んでくるのは、大きな愛。やっぱり彼女は愛の人なんですよね。静かな優しさに満ちていて、とても素敵でした。貫禄というか、何度も自分のジゼルを踊ってきたという確かな自信に満ちた、良い踊りだったと思います。

実は初日、2幕で睡魔に襲われておりまして、ところどころ見逃してしまいました…。ヤバい〜…というところで、フォーゲルのズドーンという着地音で目が覚めましたよ…。ジゼルと交差して横跳びして、両足で着地するところで、ズドン3連発。ズドーンは言いすぎかもしれないけど、眠りに落ちそうだった私には、それくらいのインパクトがありました。そんなにいつも着地音の気になる人じゃないので、この日も気になったのはここだけでしたが、、、。

フォーゲルの踊りは、とても柔らか。そして、所々にゆったりとした溜めがあって、それが妙に良い間を生み出します。ときには、そこにグッと感情がこもる。柔らかく床を捉える着地と、それと同時に後方に綺麗に伸びる脚。細かい脚捌きも綺麗でした。前々回(2003年)のバレエフェスで見たときより、いっぱいいっぱい感がない。細かいところに無駄がなくなったので、ただ柔らかいだけでなく、全体に流れるような踊りになっていて好かったです。

印象的だったのは、倒れ込んだアルブレヒトをジゼルが背後から起こし、胸に手を持ってくるところ。ジゼルがアルブレヒトの手を放すと、高々と掲げられたアルブレヒトの手は、2本の指を立て、誓いのマイムを作っていたんです。私はあまり見たことがない表現だったんですが、どうなんでしょう?とても好い表現だなと思いました。既に長い時間踊らされ、半ば朦朧とした意識の中で、アルブレヒトはジゼルへの愛を誓います。ジゼルがそっと手を放したときに、初めて観客の目に近いのポーズが映る。実に控えめで静かな愛の宣言。ジゼルはただアルブレヒトの手を握り締めたのではなく、彼の心を握りしめていたのだと思うと、ちょっぴり感動してしまいました。これに限らず、フォーゲルのアルブレヒトは、派手なアクションは少ないけど、とても温かい優しい気持ちに満ちていて、終わった後には「いいアルブレヒトだったな」と素直にそう思うことができました。

フォーゲルの動きが、ときどきすごくゆっくりなのも、印象に残りました。2幕の登場後とラスト、ジゼルの墓に突っ伏すところとか、まるでスローモーションのようにゆっくりゆっくり倒れこみます。ああいうところに、ポロっとアルブレヒトの感情が出るんですよね。そしてちょっとジ〜ンとしている自分がいる。フォーゲルがこの役をとても大事に大事に踊っていて、それを観客に伝えようとしているのが感じられました。

NBSの宣伝文句、『フォーゲルは「ジゼル」「レ・シルフィード」を最も得意としていますし』というのも、あながち間違いではないかもしれないなと思った初日でした。
posted by uno at 15:41| Comment(6) | TrackBack(0) | バレエ公演2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京バレエ団通信 第32号 2007 September

東京バレエ団通信第32号(2007September)が届きました。

メインは『真夏の夜の夢』の公演を控えた小出領子さんと後藤晴雄さんのインタビュー。相変わらず仲が良さそうで、読んでいて微笑ましいです。舞台にもその空気は出ていますよね。だから、見ている私も幸せな気持ちになれるんだろうな〜と。
「パっていうのは言葉と一緒。その当時最高の言葉が並べられているのだと思います。その言葉(パ)を使って、シェイクスピアの物語を生き生きと伝えられるといいですね」と後藤さん。「一回しかない機会ですので、自分に出来ることを丁寧にこなして、彼と、また皆と一緒に創りあげていきたいですね」と小出さん。さらに、「ダウエルさんとのリハーサルによって変わっていくところもあるでしょうし、」と小出さんが仰ってるので、またダウエルが来てくれるってことでしょうか?それは頼もしい。

楽屋日記は6月の『ラ・シルフィード』。担当は松下裕次さんです。今回ペアを組んだカップルに「〜・カップル賞」と名前をつけて、それぞれに松下さんのコメントと、ご本人たちのコメント。一番印象に残ったのは、松下さんと斎藤友佳理さんとエピソードです。「松下君、あなたはもっとアームスの中に“宇宙”を感じなきゃダメよ!」と友佳理さんからアドバイスされたんだそうです。友佳理さん、流石です。でも、アームスの中に宇宙って、すごくわかるな〜。

そして、12月の『シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007』で「カルメン」のタイトルロールを踊る、斎藤さんと上野さんのインタビュー。アルベルト・アロンソに直接指導してもらった友佳理さん。後にアロンソから、「友佳理が踊ったのが、私が本当に創りたかった『カルメン』だ」と言われたそうで、そのときは社交辞令だろうと思って聞いていたそうです。ところが、一昨年くらいにボリショイでザハロワが「カルメン」を踊ったときにアロンソから送られてきたビデオが、友佳理さんが踊る「カルメン」だったんだそう。アロンソからは、カーテンコールでのレベランスまで、「それは“カルメン”のレベランスではない!」と指導されたこともあったそうです。
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2007年09月24日

「徹子の部屋」とか「芸術劇場」とか。

え〜、見ました。熊川哲也さんがゲストの「徹子の部屋」と、アレッサンドラ・フェリ引退記念公演を特集した「芸術劇場」。ともに放送は21日(金)でした。

熊川さんは、お元気そうで少しホッとしました。もちろん今もリハビリ中だそうですが、軽いジョギング程度ならしているそうです。徹子さんともお知り合いのようで、終始和やかな雰囲気。いつもの熊川節も健在だけど、なんとなくいつもより自然な感じがして、見ていて楽しかったです。
怪我をしたのは、『海賊』ツアー序盤の札幌公演でしたよね。奇しくも札幌は熊川さんのご出身地。1幕ラストのアリのソロで、着地の際に今までにない感覚を味わったんだそうです。本来なら接するはずのない敵役のダンサーに助けてもらって、なんとか袖に入ったとのこと。怪我をした瞬間、自分のダンサーとしてのキャリアよりも、それ以上にカンパニーの経営や『海賊』ツアーの成功、チケットのセールスやスタッフのお給料、そういったことを考えたんだそうです。すっかり芸術監督が板についたんですね。
カムバックは『海賊』で、という気持ちもあるようです。実現したら素敵ですね。今回の怪我をしたことにより、また子供の頃のように「踊りたい!」という気持ちが沸々と沸き上がってきているそうです。

15歳のときから、幸いにも自分は「会場は埋まるもの」と思って踊ってきた、と。今このような状況になり、空席が目立ったりすると、とても心が痛むと仰っていました。でも、自分が怪我をしようとしまいと、自分が作り上げてきたカンパニーのダンサーたちが、素晴らしい演技をしてくれているのを見ると、心動かされるんだと語っていたのが印象的でした。歳のせいかウルウルっときてしまったりもするんだそうです。昔は生意気だったのかもしれないが、あまりそういうことは思わなかったんだそうです。そりゃあ、誰しも若ければ、そういうことはありますよね。多少熊川さんが生意気というか、まあ“やんちゃ”だったとしても、根は真っ直ぐにバレエが好きな若者だったに違いないと思ったりしました。本当に、復活の日が楽しみです。

フェリ特集の「芸術劇場」は、情報コーナーに吉田都さんがゲストで出演。日本公演の後、本当に最後の地、シチリアでの8月10日の公演を追った映像などもあり、非常に面白かったです。

放送されたのはAプログラムから下記の演目です。
アマトリアン&テューズリーの「ヘルマン・シュメルマン」、ケント&ゴメスの「シンデレラ」、そしてヘレーラ&カレーニョの「フー・ケアーズ?」の3演目がカットされていました。

『ロミオとジュリエット』より第1幕 バルコニーのパ・ド・ドゥ アレッサンドラ・フェリ/ロベルト・ボッレ
『マーラー交響曲第3番』 シルヴィア・アッツォーニ/アレクサンドル・リアブコ
『白鳥の湖』より第2幕 白鳥のパ・ド・ドゥ ジュリー・ケント/マルセロ・ゴメス
『エクセルシオール』 モニカ・ペレーゴ/ロベルト・ボッレ
『オセロ』 アレッサンドラ・フェリ/マルセロ・ゴメス
『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ(アダージョのみ) アレッサンドラ・フェリ/ロベルト・ボッレ
『太陽が降り注ぐ雪のように』 アリシア・アマトリアン/ロバート・テューズリー
『ハムレット』 シルヴィア・アッツォーニ/アレクサンドル・リアブコ
『マノン』第3幕より 沼地のパ・ド・ドゥ アレッサンドラ・フェリ/ロベルト・ボッレ


昨日、渋谷に行ったので、チャコットで「DANCE MOVE」をもらってきました。表紙とロング・インタビューは服部有吉くん。上野水香さん、中島周さんも登場。
ところで、ロパートキナとヴィシニョーワのDVDが既に発売されていました。そうか〜、アマゾンとかより早いんだ。初回特典としてポストカードが3枚入っているらしいんだけど、アマゾンで買ったら入ってないのかなぁ?入ってなかったら残念だな〜。
posted by uno at 00:09| Comment(2) | TrackBack(0) | バレエ日記2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月20日

【明日】 「徹子の部屋」/芸術劇場

熊川哲也さん出演の「徹子の部屋」と、アレッサンドラ・フェリ引退記念公演『エトワールガラ』が放送される芸術劇場の放送が、明日21日(金)です。どちらも楽しみですね〜♪

■熊川哲也 出演 「徹子の部屋」 テレビ朝日
9月21日(金)13:20〜13:55

 →K-BALLET COMPANY
 →徹子の部屋

■芸術劇場 NHK教育
9月21日(金)22:25〜00:40
情報コーナー 特集:バレエ界の名花 フェリが残したもの
公演コーナー:アレッサンドラ・フェリ 引退記念公演

 →芸術劇場
posted by uno at 23:50| Comment(0) | TrackBack(1) | バレエ日記2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月18日

K-BALLET COMPANY新シーズン/他

K-BALLET COMPANYのサイトで、9月からの新シーズンのダンサーの異動が発表されています。昇格、入団、そして退団。『トリプル・ビル』で「パキータ」にキャスティングされている遅沢祐介さんは、9月から入団される方だったんですね。8月のローザンヌ・ガラにも出演していたはず。K-BALLETのサイトによると、1998年のローザンヌでスカラシップを受賞し、同年ハンブルクバレエ学校に入学されたそうです。2000年にライン・オペラバレエにプリンシパルとして入団、そしてこの9月にK-BALLETにソリストとして入団。有名な方なんでしょうか?すみません、私はあまり詳しくないので知りませんでした…。ハンブルクバレエ学校に入学したと聞くと、なんだか期待してしまう私です。

ちょっと残念なのは、芳賀望さんの退団です。輪島さんが降板した『白鳥の湖』でジークフリート王子を踊り、吉田都さんのパートナーを務めた公演を見ました。とても好かったのにな、、、。

そして、今週に迫ってきました。金曜日の「徹子の部屋」に熊川哲也さんが登場です。

■「徹子の部屋」(テレビ朝日系列) 熊川哲也 出演
9月21日(金)13:20〜13:50
※放送日時は変更となる場合もございます。

 →K-BALLET COMPANY

同じ金曜日、NHKの「芸術劇場」で、アレッサンドラ・フェリの引退記念講演『エトワール達の花束』の放送があるそうです。これはあちこちのサイトで既に話題になっていて、私はそれで知りました。この日の「芸術劇場」は、情報コーナーも公演コーナーもフェリ特集。しかも情報コーナーのゲストは吉田都さんだそうです。楽しみですね〜♪

■NHK「芸術劇場」(NHK教育)
9月21日(金)22:25〜深夜0:40
情報コーナー 特集:バレエ界の名花 フェリが残したもの
公演コーナー:アレッサンドラ・フェリ 引退記念公演
 
 →芸術劇場
posted by uno at 23:46| Comment(2) | TrackBack(0) | バレエ日記2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月16日

BRB予約確認ハガキが届く。

<ニジンスキー・プロ>が終わって、よく考えたら次のバレエ鑑賞まで丸々1ヶ月ありました。次は小林恭バレエ団の『バフチサライの泉』。1ヶ月も空くなんて、結構珍しいかもしれない。

NBSから、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の予約確認ハガキが届きました。祭典の追加枠で取った分です。ん〜、ものすごく悪い訳じゃないけど、それほど良くもない感じ。因みに追加で取ったのは、平日の『美女と野獣』(エリシャ・ウィリス&イアン・マッケイ)と、中日の『コッペリア』(エリシャ・ウィリス&タイロン・シングルトン)です。『美女と野獣』は通路より少し後ろの端っこ。東京文化会館の後方のサイドは、それほど嫌いじゃないです。わりと舞台全体が綺麗に見渡せるので、見ていてストレスを感じることは少ない。『コッペリア』は、比較的前方のサイドブロック中央あたり。まあ、段差もあるし、それほど悪くない席だとは思います。
そろそろ、『真夏の夜の夢』の祭典チケットが届く頃ですね。良い席が来ると良いな〜。木村さんの『バレエ・インペリアル』目当てです。

昨日、あるチケットを取りました。なかなか取り辛いチケットなので、10時からパソコンで頑張って取れたときには、かなり嬉しかったんですが、問題発生!!なんとその日は東バの『真夏の夜の夢』のチケットを既に取っていたんですよ〜。問題の10月26日(金)は、大嶋さんのパックと木村さんのデミトリアスを楽しみにしていたのに…。もう自分、ものすごく悩みました。「一体お前に、大嶋パックと木村デミトリアス(しかもヘレナは井脇さん)を諦めることができるのか!?」と問い続けました。『真夏は』3日間チケットとってあるので、1日くらい諦められなくもないんですが、よりによって大嶋パック&木村デミトリアスの日とは、、、。悩んで悩んで悩んで、やっぱり『真夏』は見に行くことに決定。せっかく取ったチケットは知人に譲り、同じ公演の別の日をオークションで取り直しました…。何やってんだろう、、、私。最初にきちんと確認していれば、何も問題は起こらなかったのに…。とりあえず、無事に26日の『真夏』も見に行くことができるので、ホッとしております。
posted by uno at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ日記2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする