2007年05月31日

アラン・プラテル・バレエ団『聖母マリアの祈りvsprs』〜その2

アラン・プラテル・バレエ団『聖母マリアの祈りvsprs』の感想、後半です。印象的だったシーンや、ダンサーについて書いてみました。

アラン・プラテル・バレエ団『聖母マリアの祈りvsprs』
2007年5月17日(木)19:00 Bunkamuraオーチャードホール

ダンサー・振付:
クワン・ブィ・ニョック、マチュー・デセーニュ=ラヴェル、リシ・エスタラス
エミール・ジョス、アイオナ・キューニィ、メラニー・ロモフ、ロス・マコーマック
エリー・タス、ロサルバ・トレス・ゲレロ、ヨー・スン・イェ
サミュエル・ルフェーブル
ソプラノ歌手:クリスティーナ・サヴァローニ
音楽演奏:
チャ・リンベルガー-ヴァイオリン、フルート
ヴィルモシュ・チコシュ-コントラバス
アンサンブル・オルトレモンタノ(指揮ヴィム・ベク)
  ヴィム・ベク、ロベルト・シュレーグル-サックパット
  フィオナ・ラッセル、カロリン・ヴァン・ダイク-コルネット
アカ・ムーン
  ファブリツィオ・カソル-サクソフォン
  ステファン・ガロン-パーカッション
  ミッシェル・ハツィジョルジュ-ベース、ギター、ブズーキ

構成・演出:アラン・プラテル
音楽
編曲:ファブリツィオ・カソル
原曲:クラウディオ・モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」
コラボレーション:ヴィム・ベク、チャ・リンベルガー


客席はオーケストラピット使用時バージョンの、6列が最前列。舞台は通常通りでオーケストラピットも存在しないので、最前列から舞台まで2〜3mのフラットなスペースがあります。緞帳が開く前から、舞台には白い衣類の切れ端のようなものが散乱しています。幕が開くと、同じく白い衣類が累々と積もってできた雪山のようなセット。その山の上手側のすそ野に演奏者たちのブースがあります。
ソプラノ歌手(私が見た日はクリスティーナ・ザヴァローニでした)は、ただ歌うだけでなくダンサーと絡んだり、結構演技もしていました。彼女の存在は10人のダンサーと少し離れたところにいて、外から彼らを見ているという感じ。彼女がダンサーたちを慈しむように見つめる場面は、胸締めつけられるものがありました。とっても綺麗な声で、存在感はあるけど違和感はない。混沌とした世界に、ものすごい透明感をもって溶け込んでいました。

最初に水の入ったペットボトルとパンを持って、男性が登場(エリー・タス)。ペットボトルを床に置くと、落ち着かない様子で指でパンをポリポリと引っかき始めます。そのうちパンをギュウギュウつぶしたり、口の中に無理矢理押し込もうとしたり、自分の腹にギュウギュウと埋め込もうとしたりと、初っ端からこれは病んでるな…と。と思ったら序の口でしたけど、幕開きから非常に惹き込まれました。その後は、もう登場するダンサーも繰り広げられるシーンも、どれもこれも目が離せないほど強烈に印象的。ダンサーたちはそれぞれに非常に個性的で、身体能力が高く、誰一人として同じ世界を持っていませんでした。

続いて登場したのは確かスーツの男性、ロス・マコーマック。靴とズボンを脱いで、上はスーツ姿で下は白のブリーフに白のハイソックスという不自然な格好に。彼の動きは、時折ロボットのように小刻みで面白い。因みに彼は、終盤に不思議な声も出していて、やっぱり機械音というか電子音というか、人間の口からは普通は出ないような声。マコーマックの動きには、身体の制御が効かないことへのフラストレーションがより強く感じられて、見ているこちらまで解放されたいもどかしさに襲われました。マコーマックはその幼児性も気になる存在でした。

序盤に登場する(順番忘れました…)フリーダ・カーロのような女性はロサルバ・トレス・ゲレロ。黒のパンツ・スーツに赤いキャミソール。いや本当に、フリーダ・カーロみたいだったんです。彼女は体格が良くてドンっとしているので、踊るとすごく迫力がある。でも威圧感はなくて、むしろ優しくて暖かい印象がありました。台詞は彼女の役割のようで、片言だけど聞き取れる上手な日本語を披露してくれました。台詞はプログラムに記載されていて嬉しい。最初に彼女が連ねていた名前は、いわゆる「英雄」。「ドラゴンボールZ」と言ったときなどには会場から笑いも起こっていました(私は基本的に笑わないので、、、)。

「平和を願う祈り アッシジの聖フランシスコの言葉」はテープ。これもおそらく彼女の声だと思うんだけど。
 
 神よ、私をあなたの平和の道具にしてください
 憎しみのあるところに、愛を
 いさかいのあるところに、ゆるしを
 分裂のあるところに、一致を
 迷いのあるところに、信仰を
 ・・・・・・
不覚にもここで最初に落涙。こういうシチュエーションには辟易とすることもあるんですが、この日はやられてしまいました。ここへ来るまでに既に作品に入り込んでいたので、つい、、、。ここは台詞じゃなくてテープというのが効果的だったと思います。台詞だと登場人物の生の感情が強くなるけど、テープだともっと上からというか、大きな存在に外から語りかけられるような感覚があって好かった。最初は何で台詞をわざわざ日本語で喋るんだろう…と思っていたんですが、片言のもどかしさが作品の持つフラストレーションと合っていたかもしれません。

会場から笑いが起こったのが、うんこのポエム。これもロサルバ・トレス・ゲレロによって語られます。
 うんこについての詩を書きました。
 いとしいうんこちゃん、
 なんてよくにおうんでしょう。
 茶色に光る衣をまとって
 いとしいうんこちゃん、 
 あなたをよく知っている
 毎日あなたを作っているのだから。
 私がしたことは、ただそれだけ。
え〜っと、変態だと思わないでほしいんですが、とても良い詩だと思いました。子どもか、あるいは作品の性質上、精神病患者が書いたと想像させる詩。「うんこ」の存在はちょっと切なくて、そして愛しい。ほんの一瞬前までは自分の一部だったのに、外に出た瞬間に忌み嫌われるものになってしまう哀しさ。そんな存在の愛しさがある。もしかしたら人間の心にもなれたかもしれないのに。そこを分かつものは一体なんだっただろうと考えたりしました。

黒の服に真っ赤なタイツの女性はリシ・エスタラス。1971年生まれの彼女がダンサーの中では最年長。ブロンドの美人で、ブラウスが透けて黒のブラジャーが見えているんだけど、とても男前というか、エロスの漂わない存在感でした。むしろ色気があるのは、ソフトモヒカンの女性アイオナ・キューニィ。

この赤いタイツのリシ・エスタラスが、客席を指差して、「そことそこ、こっち上がって来なさい!」(いや、本当にこういう感じだったんですよ)みたいなジェスチャーをします。客席に交じっていたダンサーたちが、1人また1人と立ち上がり舞台へ。どうも客席が暗転してから遅れて入ってくる外国人が多いなぁと思っていたら、関係者だと思った彼らは出演者だったんですね。

全員揃うとダンサーは10人。ソロやデュエットなど、全員にほぼ均等にシーンが割り当てられています。

袋のようなズボンを頭まですっぽり被って、片腕と片脚を出して何かを叫びながらジタバタとしていたのが、アイオナ・キューニィ。腕と脚が(時々顔も出してたっけ?)ニョキニョキと出た塊は、その異形さが面白い。ズボンを脱いだらキューニィの顔は真っ赤でした。そのまま倒立のデュエットへ。

最初に仰天したのが、そのアイオナ・キューニィと白いシャツに黒のパンツ姿のマチュー・デセーニュ=ラヴェルの倒立を中心としたダンス。本当に、ほとんどの時間倒立。倒立の状態で、相手にもたれ掛かったり脚や体を絡ませたり、そのままグニャリと倒れたり。とにかくすごい。とりあえず今までに見たことがない。キューニィは体が非常に柔らかくて、倒立した状態でどちらが前か後ろかわからなくなるくらい。ラヴェルもすごい身体能力とバランスの持ち主で、片手で倒立を繰り返していました。プログラムによると2人ともサーカスの経験があるようで、なるほど納得のパフォーマンス。長時間倒立という極限状態もあいまって、とても緊張感と切迫感のある興味深いシーンでした。

このアイオナ・キューニィがとても印象に残りました。1人だけ何度か衣装も変えて、役割的にも少し皆と立ち位置が違う。舞台を所狭しと駆け回ったり、山に跳び付いたりぶら下がったり、トウシューズを履いてきて踊ったり、それを脱いでポーンっと投げ捨てたりと目まぐるしい。と思いきや、舞台の隅のイスで小さくなって神経質な動きをしたり。彼女ばかり目で追ってしまいました。髪はソフトモヒカンで、小柄なパンクの女の子という風貌で、とてもキュートな印象。「女の子」と言っても1973年生まれなので34歳ですけど、少女のような空気を持っていました。非常に繊細で、それでいて譲らない強さがあって、しかも妙にセクシャルな存在。

黄色いパンツにアフロヘアのエミール・ジョスはブラジル出身。暖かい雰囲気の、包容力を感じるダンサー。彼のソロは、見えない相手に攻撃されているようなダンスでした。何気なく歩いていると、不意に殴られたように仰け反り、後ろに2・3歩下がる。あれ?というような素振りをしていると、またしても不意に攻撃されて後ろに弾かれる。見えない相手からの攻撃に、次第に緊張と焦りと苛立ちが増していき、見応えのあるソロでした。

確か、エミール・ジョスの踊りに後半辺りから絡んでくるのが緑のキャミソールを着ていた女性メラニー・ロモフ。大きな瞳の印象的な顔立ちと細い身体、そして繊細でピュアな存在感。その大きな瞳は、そこはかとなく病んでいるというか、悲しみを宿していてとても印象的です。彼女の踊りは生々しくて、その痛みが強烈にこちらの胸に響きます。細く柔軟な身体が極限までしなう様は、それだけで痛々しい。そのラインはとても繊細で清潔感があって、そこだけ空気が変わるような透明さがありました。

それぞれのソロの後、2人で踊ります(確か)。2人で踊ると、ロモフの支えてあげなければ崩れてしまいそうな危うさと、それをサポートするジョスの包容力がそれぞれ際立って、とても優しく綺麗なシーンでした。脱いだ靴を自分の手にはめているロモフに、ジョスがその靴を優しく足に履かせます。このシーンでも落涙。

なかなか踊らないなぁと気になっていたアジア系の2人、ヨー・スン・イェとクワン・ヴィ・ニョック。

韓国人のヨー・スン・イェの踊りはカンフーのような武術系の踊り。彼は力の抜けた存在感が魅力的です。何か攻撃をされても、スルリと身をかわして逃げてしまいそうな雰囲気があります。上手く表現できないんですけど、とても面白い踊りで好きでした。

どこかひょうひょうとしてニュートラルな空気を持っていながら、そこはかとなく影があるのがクワン・ヴィ・ニョック(ヴェトナム人)。クワンは、何故か最初から気になって気になって仕方がなかった存在。ヨーが「振りを忘れた」と言って(日本語で)踊りが中断してしまうと、クワンがヨーに振りを教えるように絡んできます。クワンの動きを追って踊るヨー。てんでバラバラ、しかも踊りのタイプもまったく違う2人が、時折ユニゾンしながら踊ります。クワンのピュアな存在感に圧倒されてしまった。その深く静かな眼差しは、傷ついて傷ついてやがて世界を映すことをやめてしまったような深い悲しみを湛えていました。とても力強く、そして美しく踊る人で、クワンが跳躍すると舞台の空気がバーッと動くのがわかる。ずっと踊っていてほしかったです。

2人が踊っている間、上手の椅子に落ち着かない様子でずっと腰掛けていたキューニィ。ソプラノ歌手が彼女に近付いて、愛しそうに見つめます。ズルズルと長いワンピースを着た彼女が何かを叫び続けるのを、後ろから抱きかかえて押さえるクワン。ヨーとクワンからの一連のシーンがとても印象的でした。クワンが踊り始めた辺りから、またしても涙が止まらず…。

終盤に圧倒されたのは、ダンサー全員で踊りまくるシーン(演奏者たちも舞台に下りてきていたっけ?)。とにかく格好良い!!ダンサーたちは客席にも下りてきて、通路を走ったり空いている席に座ったりもします。みんな個性的で、てんでバラバラ、舞台の上はゴチャゴチャ。でも不思議な統一感がある。冷蔵庫の残り物でごった煮を作ったら、超美味しかったみたいな。違うかな…。人間の身体と音楽とで、なんてすごいことができるんだろうと、心躍る場面でした。ただ純粋に「ダンスってすごい」、そう思いました。

ここで終わっていたら、もう少し受け入れられる人も増えたのかしら?最後は全員で自慰行為に耽るようなシーンが長いこと続きます(もちろん服は着てます)。等間隔に離れて立って最初は痙攣しているんだけど、徐々に手が股間へと移動していきます。「むむ?これは?」とこの辺で察しが付くんですが、予想以上に長い。手は股間から上へ上がっていき、洋服を捲り上げて胸へ、下がってきたかと思ったら今度はズボンを下ろしてorスカートに手を入れて再び股間へ。膝を着いて前かがみで、横座りになって、そしてうつ伏せになって。痙攣とも自慰行為ともつかない動きが延々と繰り広げられます。ご年配の方は大丈夫だろうかと一瞬不安が過ぎりながら見ておりました。ものすごい緊張感とヒステリックな空気が舞台から立ち上ります。あの長さがなければ、あれだけのエネルギーは生まれなかったのかもしれない。風船が劇場いっぱいに広がって「割れる…!割れる…!!」と解放の時を待つような気分がしました。
ついに舞台いっぱいにエクスタシーが広がると、半数は倒れ半数は立ったまま放心状態。やがて立っているダンサーが倒れたダンサーを起こそうとしたり引きずったり上着を脱がせたり、、、。

最後はどうやって幕が閉じたのか、ちょっと記憶が定かではないんですが、巨大なエネルギーが解放された後の、全てがなぎ倒されたような静けさの中に、ロス・マコーミックが発声していた不思議な電子音が聞こえていた気がします。傍らではエリー・タスが最初に自分が持ってきたペットボトルの水を飲もうとするけれども、痙攣して上手く飲めずに顔から水をドバドバとかぶります。グッタリとしたキューニィを男性が(ジョスかヨーだったかな?)肩に担いだ状態で山を登ろうとする姿も印象的でした。最後、山の向こうが明るく輝いて、光が漏れてきます。ダンサーたちがその山を登っていこうとするところで幕が下りた気がする。

あの山は何だったんでしょう。私にははっきりとした言葉では見つけることができませんでした。ただ、彼らは向こうには行けない気がする。そして向こうには彼らが望むものは何もないような気がします。全員で協力するように山を登り、一つの高みに到着するけど、そこはすごく狭いんです。尾根を渡って反対側のもう一つの高みへ移動しても、やっぱり狭くて何もない。結局みんなでズルズルと下りてくる。山を登るシーンもとても興味深く印象的でした。
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2007年05月28日

アラン・プラテル・バレエ団『聖母マリアの祈りvsprs』5月17日〜その1

やっとアラン・プラテル・バレエ団の感想をほぼ書き終えました。ちょっと長くなったので、とりあえず半分だけアップしてみようかなと。細かなシーンやダンサーの感想は後半で、、、。

アラン・プラテル・バレエ団『聖母マリアの祈りvsprs』、私は東京の初日を見てまいりました。
最初に書いておきますと、私はとても感激しました。なので以下の感想は、私の無い頭を絞ってありったけの賛辞を贈っているつもりです。私の感じたことが、振付家アラン・プラテルの意図するところかどうかはわからないけれども…。コンテンポラリーは見るのも感想を書くのも、私にとってはちょっと難しい存在です。だから、テーマとか振付家の訴えたいこととか、とりあえず抜きにして「面白かった」と思えたかどうかが、私にはとても重要。『聖母マリアの祈り』は理屈抜きに非常にエキサイティングで、まったく飽きずに見ることができました。
ただ、「受けつけない」という方もいるだろうなとは思いました。痙攣的な動きや、精神的に追い詰められたような表現、奇声、叫び、そして最後には全員で自慰行為に耽るようなシーン・・・。確かに見ていて気持ちの良いものではないかもしれないけど、あれだけダイレクトに痛みが伝わってくるという、あの感覚がすごいなと思ったんです。

初日の平日ということもあってか、会場は空席が目立ちました。1階席は後ろと端が空いており、2階3階もお客さんは入っていましたが、少なかったようです。この手のコンテンポラリーの公演でオーチャードホールを埋めるのはまず厳しいと思うので、そういう意味ではそこそこの入りだったのかもしれません。ピナ・バウシュなら埋まるかな?ナチョ・ドゥアトの神奈川県民ホールは最初から1階席しか使っていなかったし、プレルジョカージュも新国の中劇場で空席多数。昨年のNDTは新宿文化センターを埋めていたように記憶していますが。それはさて置き、観客が少ないせいなのか、引いていた方が多かったのか、拍手が静かで残念でした。

振付はアラン・プラテルだけではなく、ダンサーとの共同の中で創り上げたものだそうです。プラテルはダンサーたち全員で振付けることを基本としているそうで、プログラムでも10人の演者たちには「ダンサー・振付」という肩書きが付けられていました。前情報どおり痙攣的な動きが多く、台詞あり、奇声あり、とにかく痛々しい光景が繰り広げられていきます。でも、目を背けたいとは一度も思わなかった。むしろその、ダンサーたちの混じりっ気なし120%のパフォーマンスから目が離せませんでした。プラテルが彼らのことを、「彼らは、驚くべき人たち、驚くべきチームです。とても力強い。彼らは舞台上で決して妥協しません。個人的にも、そしてまた集団としても」と語っていたのが納得のパフォーマンスでした。4ヶ月をかけた振付は、すべてがグループ・インプロヴィゼーションとのこと。誰一人として妥協していない、踊らされていない、自分の内から湧き上がるものに誠実に耳を傾けて踊っている。いや、そういう意味では何かに踊らされているのかもしれませんね、、、難しい…。踊っているのと同時に踊らされているという不思議な共存、それも「制御と制御不能のはざま」を探るということの一つなのかもしれません。もちろんプラテルの才能があってこその作品ですが、でも彼一人で創りあげたのではない濃密感と、ダンサー一人一人に感じる絶対的な存在感があり、正にあのチームでなければ上演は不可能なんじゃないかと思わせるものがありました。

「過激なダンス・セラピー」という文句には、なんとなく違和感があります。でも、不思議な浄化作用があったのは確かです。素敵な舞台を見た後に幸福感に満たされて帰り道を歩くのとは別の、何かを洗い流してもらったような押し寄せる放心感。何かザラザラしたものが心を撫でていったような、少しヒリヒリするけど、少し何かが洗い落とされたような感じと言いましょうか。「癒された」なんてものじゃ決してないですけど、痛切な愛の響きが私に語りかけてきたのは事実です。それもヒリヒリと。そうするとやっぱり、この「過激なダンス・セラピー」という表現は、「ああ、なるほどね。」と思える。

私がこの作品を見に行こうと思ったのは、この一言、『ヒリヒリするほど美しく語りかけてくる』。日本文化財団のHPで読んだこの一言で見てみようと決めました(我ながら単純…)。そして正にその言葉のとおり、一見するとそこには美しいものなんてないように思えるんだけど、でも間違いなく美しい。そこにある苦しみはあまりに痛々しくて、見ている私に直に語りかけずにはいません。振付とは思えないほどの剥き出しの存在が、本当にヒリヒリと語りかけてくるのを感じずにはいられませんでした。比べるのはおかしいけど、今年来日したナチョ・ドゥアトの『バッハへのオマージュ』も信じられないくらい美しかったけど、あれとはまったく別の説明しがたい美しさというか。美も醜も超越した崇高な空気が漂っていました。本当に、あれほど澄んで静寂な空気の舞台は、なかなか出会えないかもしれません。

混沌として無秩序な中に、不思議な秩序と静けさが漂い、最後には絶望ではなく希望を感じます。希望と言っても、最後に救いが訪れるとか、事態が解決するとか、そういうことではありません。一つの解放はあったと思うけど。あれほど痛みを表現して(しかも最後には集団で自慰行為もあり)、見終えて嫌悪感や不快感が残らず、しかも絶望が漂わないのは、プラテルの眼差しに優しさがあるからではないでしょうか。

ダラダラと書いてしまいましたが、私が一番言いたいのは、そこには「愛」があったということです。アラン・プラテルという振付家が、非常に愛情深い眼差しでもってこの作品を創ったのだということ。制作にあたって、ダンサーたちを精神病院内の博物館へ連れて行き、またヒステリー症状専門の先駆者である精神医学者アートゥール・ヴァン・ゲフッテン博士が患者の行動の入念に捉えて製作した短編映画を見せたというこの作品。当然ながら精神病者を連想させるその動きには、決して悪意の類があるわけではなく、また決して精神病者を蔑んでいる訳ではないんです。精神病患者や宗教儀式でのトランス状態に共通する特有の動きを参考に、「制御と制御不能とのはざまの境界を探っていった」(プログラムより)というダンサーたちの姿に、私は自分の姿を見るような気がしました。自分と他者との関わりの中で生きている私たち自身に他ならないのではないかと。何らかの精神の問題が(それが痛みでも喜びでも)、例えば痙攣という形で身体に現れるとき、それは出口を求めるか、あるいはなんとかバランスを取ろうとする叫びなのではないかしら。彼らは特別な人たちではなくて、舞台の上にいるのは自分だと思わずにはいられませんでした。彼らのパフォーマンスが絶えず私に何かを語りかけ、思い切り心を揺さぶったのは、そこに自分を見たからだと思います。

この作品が美しかったのは、ダンサーたちの極限状態と見えるほどの剥き出しの、それこそ制御と制御不能の境目がわからないパフォーマンスと、アラン・プラテルの愛情深いの眼差しがあったからではないでしょうか。一見過激でセクシャルな表現を伴うこの作品が、そこはかとなく優しくて愛しいのは、プラテルがこの作品を、ダンサーを、ひいては人間を深く愛しているからなんだと思いました。

ここまで書いておいて何ですが、見終えた後に重たさは残りません。作品はウェットでもなければ、センチメンタルになることもない。不思議な清々しさの残る舞台でした。
posted by uno at 15:47| Comment(2) | TrackBack(0) | バレエ公演2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月26日

コジョカル『真夏の夜の夢』詳細決定&小出・後藤の『真夏』!

アリーナ・コジョカル主演『真夏の夜の夢』の公演詳細がNBSのサイトで発表されました。オベロンにはヨハン・コボー。

アリーナ・コジョカル&東京バレエ団『真夏の夜の夢』

10月24日(水)19:00
10月25日(木)19:00
10月26日(金)19:00
会場:ゆうぽうとホール

『真夏の夜の夢』
タイターニア:アリーナ・コジョカル/オベロン:ヨハン・コボー

『バレエ・インペリアル』東京バレエ団
吉岡美佳、木村和夫(24日、25日)/上野水香、高岸直樹(26日)

S席 15,000円 A席 13,000円 B席 11,000円 C席 7,000円 D席 5,000円

6月30日(土)一斉前売開始

で、一番驚いたのは、「クラブ・アッサンブレ特別企画公演」なるものです。公演期間中の25日(木)14:00から、タイターニア:小出領子/オベロン:後藤晴雄の『真夏の夜の夢』が上演されます!!嬉しい〜♪ こういう企画は前からあったんでしょうか?とりあえず私は初めて聞きました。これからもこういう試みはどんどんやってほしいですね。

クラブ・アッサンブレ特別企画公演

10月25日(木)14:00
会場:ゆうぽうとホール

『真夏の夜の夢』タイターニア:小出領子/オベロン:後藤晴雄
『バレエ・インペリアル』上野水香/高岸直樹

S席 8,000円 A席 7,000円 B席 5,000円 C席 4,000円 D席 3,000円

コジョカルとコボーもとても楽しみなんですが、東バファンの私としては主演以外の配役が気になるところ。木村さんの『バレエ・インペリアル』が2回も見られるのは嬉しいですね〜(もう2回見るつもりでいます)。企画公演も入れて4回。パックは古川・中島・松下のトリプルキャストで来るかしら?また井脇さんのヘレナも見たいし。ハーミアもライサンダーもデミトリアスも、そしてボトムも、早く知りたい…。
そして何と言っても楽しみなのが、小出&後藤の『真夏の夜の夢』です。あれからかなり成長したであろう後藤さんのオベロンが見られるのはとても楽しみだし、小出さんのタイターニアもきっと素敵だろうな〜♪ 

それにしても平日3日間…。19:00開演だからお仕事のある人も見に来られるかもしれないけど、それにしても…。地方から見に来たい方だっているだろうに、、、。

 →NBS
posted by uno at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ日記2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月25日

井上バレエ団HPリニューアル&チケット購入/熊川・橋本動画

明日26日(土)はマラーホフ&東京バレエ団<マラーホフ、ニジンスキーを踊る>『ジゼル』『ニジンスキー・プロ』の一般発売日です。とりあえずNBSから連絡はないので、チケットは取れたのでしょう。
 →電子チケットぴあ
 →eプラス

昨日は2つチケットを取りました。
井上バレエ団『眠りの森の美女』と、佐多達枝バレエ公演『わたしが一番きれいだったとき/他』です。

井上バレエ団の『眠り』は、ロイヤルのティアゴ・ソアレスがゲストでデジレ王子を踊ります。オーロラは島田衣子さんと藤井直子さん。結局チラシなどが手に入らず、島田さんと藤井さんがどちらの日に踊るのかわからなかったので、直接電話をしてみました。7月21日(土)が島田さん、22日(日)が藤井さんだそうです。島田さんのオーロラが見たかった私としては、22日は既にニーナの『白鳥』を取っていたので、彼女が21日に踊ってくれて一安心。という訳で、無事に島田衣子&ティアゴ・ソアレスのチケットを確保。
井上バレエ団も佐多達枝バレエ公演も電話で取ったんですが、座席は確認できず。というか、井上に関しては特に聞きませんでした。聞いたら教えてくれたのかな?佐多さんの方は確か前回電話で聞いた時に確認できなかった気がしたので、こちらも聞かず。さて、どんな席が来るのか楽しみです。
 →佐多・河内バレエスタジオ
 →井上バレエ団
今日見たら、HPがリニューアルされていました。『眠り』の公演情報もアップされていて、キャストもちゃんと載っていました。21日は武石光嗣さんが青い鳥を踊ります。やった〜♪ 因みに22日の青い鳥は江本拓さん(新国の江本さんですよね?)。

ところで、熊川哲也さんが降板したK-BALLETの『海賊』ですが、代役の一人である橋本直樹さんがアリを踊った盛岡の公演の評と映像がチケットスペースで見られます。橋本さんのアリをご覧になった方の感想をあちこちで読んだんですが、かなり好評のようですね〜。良かった良かった♪ なんだか私まで嬉しくなってしまいました。映像で少しだけ橋本さんのアリが見られるんですが、良さそうですよね。カーテンコールには熊川さんも登場します。
 →チケットスペース

『海賊』と言えば、一つ勘違いしていたんですが、グルナーラが姉でメドーラが妹なんですね。年齢的に絶対に都さんが姉だと思い込んで見ておりました。姉のグルナーラのその後がちょっと気になる熊川版。アリとちょっと良い雰囲気な場面があったんだけど、あれは関係ないのよね、、、。

で、やっぱり夏の『ドン・キ』も見たいな〜と思っております。と言っても評判の良かった橋本さんのバジルではなく、輪島さんのバジルが見たいんだけど。7月21日(土)の夜は井上バレエ団の『眠り』のチケットを取ってしまったんですが、『ドン・キ』ならそう長くもないし、昼に新国でK『ドン・キ』を見て、走って夜の五反田に間に合うんじゃないかと思うんですが、どうだろう…。
posted by uno at 16:01| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ日記2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月24日

マラーホフ&東京バレエ団【兵庫】 eプラスで先行発売

マラーホフ&東京バレエ団の兵庫公演の発売日が迫ってきましたが、eプラスで一般発売に先駆け先着順の先行発売をするようです。因みに明日25日(金)から兵庫県立芸術文化センターの会員先行予約が始まります。27日(日)が一般、eプラスの一般発売は29日(火)。

東京バレエ団公式ブログも更新されています。→こちら

■マラーホフ&東京バレエ団 兵庫公演

9月19日(水)19:00
兵庫県立芸術文化センター 大ホール

「レ・シルフィード」マラーホフ&東京バレエ団
「薔薇の精」東京バレエ団
「牧神の午後」東京バレエ団
「ペトルーシュカ」マラーホフ&東京バレエ団

5月25日(金)10:00 会員先行電話予約&ネット予約開始
5月27日(日)一般電話予約開始
5月29日(火)電子チケットぴあ/eプラス 一般発売

eプラス 先着順先行販売 5月26日(土)13:00〜
A席・B席が対象だそうです。

マラーホフが「レ・シル」と「ペトルーシュカ」を踊る組み合わせは、東京では存在しないんですよね。なので、何とも言えないんですが、やっぱり薔薇の精は大嶋&高村ペアなのかな?チラシの写真は木村&吉岡ペアなんだけど、チラシはまったく当てにならないですからね、、、。しかも、東京と同じキャスティングで踊るなら、この組み合わせの場合、小出領子さんの出番がなくなってしまう…。その辺はいろいろシャッフルしてくるのかしら?中島周さんも出番がなくなるのも残念。もしかして、「ペトルーシュカ」のあの黒い悪魔みたいなの踊ってくれないかしら。東京で中島さんがペトルーシュカを踊るときに、だれがあの悪魔を踊るのかも気になるところです。私の予想(希望)としては松下裕次さんなんだけど。小笠原さんも似合いそうだな〜。

因みに、上演時間は休憩2回を含め約2時間15分を予定しているそうです。東京も大体同じでしょうね。上演時間を書いてくれるのは助かるわ〜。
posted by uno at 11:15| Comment(4) | TrackBack(0) | バレエ日記2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月23日

牧阿佐美バレヱ団、年内の公演

既に皆さんご存知だと思うんですが、牧阿佐美バレヱ団の『眠れる森の美女』以降の公演日程も決まっているんですね。会場でもらった「バレエ エスカイア」に12月の『くるみ割り人形』までの日程が載っていました。

『アビアント〜だから、さよなわはいわないよ』改訂新制作
8月25日(土)15:00
8月26日(日)14:00
会場:新国立劇場オペラ劇場

「さらに完成度を高めた改訂新制作版を上演します」とのこと。それは良いことだと思います〜。初演を私はとても面白く見たんですが、それでも長いというか、もっと削れるな〜と思いながら見ていたので、改訂版には大賛成。ただ、日程が…。ただでさえ忙しい8月。しかも小林紀子バレエシアターの公演と重なっています…。見に行けないかもな、、、。
キャストが既にサイトに出ていました。今回はシングルキャストのようです。
一般発売は、6月6日(水)から。

カナヤ:田中祐子
リヤム:ロバート・テューズリー
冥界の女王:吉岡まな美

『ダンス・ヴァンテアンXI』
10月20日(土)
10月21日(日)
会場:ゆうぽうとホール

ゆうぽうと簡易保険ホールは、平成19年10月1日から「ゆうぽうとホール」に名称が変わるそうです。

『くるみ割り人形』
12月14日(金)
12月15日(土)
12月16日(日)
会場:ゆうぽうとホール

牧阿佐美バレヱ団

ここ最近の私は、毎日コツコツとアラン・プラテル・バレエ団の感想を書いております。なかなかどうして難しい…。そういえば、アマゾンからパリ・オペラ座バレエ『シーニュ』のDVDが届きました。まだ見ていないんだけど。それと、服部くんが掲載されているという雑誌「ELLE エルジャポン」を立ち読み。服部くんはカラーで1ページのみだったので、買いませんでした。立ち読みといえば、「ダヴィンチ」で山岸さんの「ヴィリ」もチラ読み。先週は久しぶりに漫画を購入。諸星大二郎「私家版魚類図譜」と、武富健治「鈴木先生」A巻。「鈴木先生」は最近友人に薦められて読んでみたんですが、なるほど話題になるだけのことはあるなと。
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2007年05月21日

『ボリショイ×マリインスキー』演目決定

すっかり乗り遅れておりますが、『ボリショイ×マリインスキー』の演目が発表されましたね。ボリショイに関してはキャストも発表されています。「お〜、楽しみ!!」というほどではないのが残念。ロパートキナが何を踊るかによって、またテンションも変わってくるけど。とりあえず気になるのは、メルクリエフの名前がBプロに入っていないことです!まさか、Aプロだけ??そ、そんな…。AプロとBプロ、1回ずつにしておこうと思ったんだけど、ロパートキナが出るし、メルクリエフはAプロにしか名前がないし、Aプロ2回・Bプロ1回ってのはどうだろう?待てよ、自分。22,000円だよ…。どうしよう〜。

ところで、どうでもいいことなんですが、『ボリショイ・バレエ×マリインスキー・バレエ』というタイトル、どちらの名前を先に持ってくるか、もめたりはしなかったのかしら?単にアルファベット順でジャパンアーツが決めただけ?昔、近所に○○町と▲▲町を繋ぐトンネルができたときに、「○○▲▲トンネル」にするか「▲▲○○トンネル」にするかで、随分もめてたんですよね〜。

■『ボリショイ・バレエ×マリインスキー・バレエ』

【Aプロ】
<ボリショイ・バレエ>
「エスメラルダ」プティパ振付/ドリゴ音楽
エカテリーナ・クリサノワ&ドミートリー・グダーノフ
「ジゼル」コラーリ振付/アダン音楽
ネッリ・コバヒーゼ&アルテム・シュピレフスキー
「海賊」プティパ振付/ドリゴ音楽
ニーナ・カプツォーワ&アンドレイ・メルクーリエフ
「慈悲深い人々」ウィルドン振付/ペルト音楽
スヴェトラーナ・ルンキナ&ルスラン・スクヴォルツォフ
「ファラオの娘」 ラコット振付/プーニ音楽
マリーヤ・アレクサンドロワ&セルゲイ・フィーリン
「パリの炎」 ワイノーネン振付/アサフィエフ音楽
ナターリヤ・オシポワ&イワン・ワシーリエフ

<マリインスキー・バレエ>
「ばらの精」フォーキン振付/ウェーバー音楽
「ゼンツァーノの花祭り」フォーキン振付/パウリ音楽
「ディアナとアクテオン」ワガーノワ振付/ドリゴ音楽
「グラン・パ・クラシック」クゾフスキー振付/オーベール音楽
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」バランシン振付/チャイコフスキー音楽
「ドン・キホーテ」ゴールスキー振付/ミンクス音楽>

【Bプロ】
<ボリショイ・バレエ>
「ばらの精」フォーキン振付/ウェーバー音楽
ニーナ・カプツォーワ&イワン・ワシーリエフ
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」バランシン振付/チャイコフスキー音楽
エカテリーナ・クリサノワ&ドミートリー・グダーノフ
「スパルタクス」セレジ振付/ハチャトリアン音楽
スヴェトラーナ・ルンキナ&ルスラン・スクヴォルツォフ
「ライモンダ」プティパ振付/グラズノフ音楽
ネッリ・コバヒーゼ&アルテム・シュピレフスキー
「ミドル・デュエット」ラトマンスキー振付/ハーニン音楽
ナターリヤ・オシポワ&イワン・ワシーリエフ
「グラン・パ・クラシック」クゾフスキー振付/オーベール音楽
マリーヤ・アレクサンドロワ&セルゲイ・フィーリン

<マリインスキー・バレエ>
「アルレキナーダ」プティパ振付/ドリゴ音楽
「眠れる森の美女」プティパ振付/チャイコフスキー音楽
「ミドル・デュエット」ラトマンスキー振付/ハーニン音楽
「マルキタンカ」ラコット振付/サン=レオン音楽
「タリスマン」プティパ振付/ドリゴ音楽
「海賊」プティパ振付/ドリゴ音楽

【チケット発売日】
6月8日(金)夢倶楽部メール会員 WEB
6月9日(土)夢倶楽部会員 TEL
6月11日(月)ジャパン・アーツぴあメール会員 WEB
6月16日(土)一般発売 WEB/TEL

ジャパン・アーツ
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4日間終了

木曜日から4日間連続で舞台を鑑賞してまいりました。正直、疲れた。昨年末にギックリ腰をやって以来、いまだに長時間の同じ体勢が辛いので、それが4日間となると徐々に痛みを増す腰にヒヤヒヤしながらの生活になります。ちょうど去年の5月に、体調不良でフェリの『こうもり』と山海塾の公演を見に行くことができなかったので、なんとなく5月を迎えるのが恐かった私…。今年はなんとか乗り切れそうです。昨日はバレエではなく芝居、大人計画の『ドブの輝き』を見てきました。最近はチケットを取るのが本当に大変…。昔は小さな芝居小屋で、桟敷席でかぶりつきで見たりして、楽しかったのになぁ…。まあ、若くないと桟敷で長時間はキツイですね〜。今はもう無理だ。今日はセェリ・ユース・バレエ団の『コッペリア』を見に行く予定だったんですが、訳あって別の場所へ。これについては後日書こうと思います。

さて、本腰入れてアラン・プラテル・バレエ団の感想を書かなければな〜と思っております。コンテンポラリーの感想を書くのはとても難しいので、心してかからないと…。この数日は、「アラン・プラテル」でブログ検索してます。賛と否、どちらが多いのかチェックするのが面白いです。「面白かった」という意見の方が多いかな〜。
コンテンポラリーの感想を書くのが難しい理由はいろいろあると思うんですが、一つには、「これを面白くないと書いたら、“わかってないな”と思われてしまうのではないか」という余計な心配があることも事実です。私だけかもしれないけど…。自分の感想にはいつもあまり自信がなくて、ヒヤヒヤしながらアップしているんです。でもこれはリハビリみたいなものだから、止める訳にはいかない。なんのリハビリ?って聞かれると困るんですけど、感じたことを言葉で表せるようになりたい、ただそれだけのことなんですけどね。あ、アラン・プラテル・バレエ団はそんな心配は無用なくらい私にとっては面白い舞台でした。

次のバレエは、ミラノ・スカラ座の『ドン・キホーテ』。ちょっと間が空くのでゆっくりアラン・プラテル・バレエ団と新国『コッペリア』の感想が書けて嬉しいです。
4日間遊んだので、明日からは頑張って働きます。
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2007年05月19日

今日は新国『コッペリア』に行きました。

新国立劇場バレエ団、ローラン・プティの『コッペリア』に行ってまいりました。本島美和&レオニード・サラファーノフです。

なんたる愛の残酷。
どうやらプティの『コッペリア』はコッペリウスの扱いが従来と違うらしいとか、結末が切ないらしいとか、ある程度の情報があったので度肝を抜かれたという訳ではないんですが、こんなに泣かされるとは思いませんでした。
ボニーノ扮するコッペリウスが人形と踊るシーン辺りから、もうこれはヤバイなと…。涙が止まりませんでしたね〜。ボニーノが軽妙な芝居をすればするほど、コッペリウスの孤独が痛くて痛くてたまりませんでした。
今回一つわかったことがあります。私がルイジ・ボニーノを苦手なのは、コミカルな作品においてだということです。昔、『ローラン・プティ・グラン・ガラ』で見た「ダンシング・チャップリン」がちょっと受け付けなかったんですね。それ以来、彼のコミカルな演技には構えてしまうようです。今回のコッペリウスも、1幕はどうもチャップリンが重なってしまって、「やっぱり私はボニーノは駄目なのかなぁ…」と思いながら見ていたんですが、2幕のボニーノはすごく好かったです。ただ、プティが踊ったというコッペリウスを是非見てみたかったなと。かなり雰囲気が違うと思うんですよね。ボニーノはそのやや低めの身長とちょこちょこと動くコミカルな動きで、オヤジの哀愁を漂わせていたんですが、スラリと背が高くて超ダンディなお洒落オヤジ・プティが演じたら、だいぶ違っただろうな〜。そういう意味でも、ここは是非小嶋さんのコッペリウスと両方見てみたかったです。プティのダンディさは、ボニーノよりは小嶋さんの方があるんじゃないかしら?

『コッペリア』を、これほどまでに孤独が胸に響く物語に創り変えたプティに天晴れです。ラスト、そこまでやるかという残酷さは秀逸。なんて愛は孤独で残酷なものなんでしょうかね…。

今日はサラファーノフが本島さんを落っことすというアクシデントがありまして、会場もどよめくほどでした。サラファーノフが、本島さんの身体が横一直線になるように抱え、そのまま上に放り投げて本島さんの身体が空中で2回転くらいする振付があるんですが、2回目のときに本島さんの身体をキャッチしきれなくて、床に落としちゃったんです。本島さんはお尻の辺りから横向きに床に落下。声をかけるサラファーノフに、「大丈夫」と言うように2度ほど頷いて踊り再開。その後もう一度サラファーノフが本島さんに確認をすると、またしても「大丈夫」と頷くように答えていました。かなりヒヤッとしましたけど、その後も何事もなかったかのように踊ってくれたので、多分本当になんでもなかったんだと思います。良かった〜。

細かい感想は今度書こうと思います。
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2007年05月18日

アラン・プラテル・バレエ団 見てきました。

アラン・プラテル・バレエ団『聖母マリアの祈りvsprs』を、Bunkamuraオーチャードホールで見てまいりました。びわ湖ホール、昭和音楽大学テアトロジーリオショウワに続き、今日が東京公演の初日です。

ものすごく面白かったです!!

瞬きするのも忘れるほど、食い入るように見つめてしまいました。見に行くかどうか迷われている方は是非見に行ってほしい。私的にはおすすめです。

コンテンポラリーのカンパニーは、それほど多く見ているわけではありません。有名どころや話題のカンパニーなどが来日すると、その中から興味のあるものをちょこちょこと見に行く程度。その中でも「次も絶対に見たい!」という衝撃を与えてくれたのは、バレエ・プレルジョカージュの『N』と、ナチョ・ドゥアトの『バッハへのオマージュ』。それに次ぐ衝撃でした。公演の謳い文句でもある「ヒリヒリするほど美しい」という、正にその言葉どおり。そこには、いわゆる美しい動きはないんだけど、でも間違いなく美しい。そこはかとなく崇高な空気が漂っていました。あれほど空気の澄んだ舞台は、なかなか見たことがないかもしれない。痙攣的な動き、奇声、性的な行為に耽るような動作が繰り広げられる中、何故か作品には静寂が漂います。うまく言えないんだけど…。静かで優しくて、そこには絶望ではなくて希望が見出されていたように思います。

生演奏とソプラノ歌手、そしてダンサーの素晴らしさ、それだけでも一見の価値があると思います。その痙攣的な動きや、セクシャルな表現に拒否反応を示してしまう人は、厳しいかもしれないけど…。ダンサーたちはとにかく個性豊か!全員が全員、本当に印象的です。そして身体能力が高い。もう格好良かったです。「ダンスって、すごい!」、素直にそう思いました。
posted by uno at 01:31| Comment(2) | TrackBack(1) | バレエ日記2007 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする